北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

映画『LEGO® ムービー』の感想

神になれるオモチャ

 話題の映画観てきました。大ヒットしてますね(世界的に)。続編も決まったし、次のアカデミー賞で長編アニメ部門の最有力なんじゃね?とか早計なこと考えちゃってます。
 あ、観たのは2D吹替です。3Dでも観たかったんですけど、ちょっと時間や割引の関係で妥協しました。

 個人的にもレゴには思い出がありまして、子供の頃にすげぇハマりました(映画関係ない話になります)。
 まず最初はマニュアル通りに作るんですよ。最初はブロックの数も限られてるので自由度が低いというのもあって。そして、レゴにどんどんハマっていって所有するレゴブロックの数が増えていくと、マニュアル以外のものも作りたくなってくる。今まで作ったのを分解してそのパーツをまったく別の使い方をしようとするんですが、ここで母親が「せっかく作ったのに壊しちゃっていいの?」とか釘を差すんですよね。それを「うっせぇババァ!!」と無視して分解します。分解中に「おっ このパーツ使えそうだな」みたいなことを考えるのがサイコーに楽しいんですよね。そして、すべてをバラバラにすると、大量のブロックが目の前に広がります。それを見て「何でも作ることが出来る‥‥!」みたいな悦に浸り、思いつくままにブロックを組み合わせていきます。作ってる最中は超楽しいんですよ。全能感がスゴイんですよね。考えたものが次々に形になっていく快感。そしてそれが完成すると戦慄します。自分で作ったという底上げがあっても耐え難い程に、クソみたいな出来映えなんですよ。取り返しにつかないことをしてしまったという後悔に苛まれながら母親に泣きつきます。「だから言ったじゃない‥‥」と言う母の手を借りながらそれを分解します。本来合わない凸凹に無理矢理押し込んだ部分とかあるので、とにかく手こずります。そうこうしている内に自分の中にあるレゴ愛が薄れていって、「もうレゴいらない‥‥」。
 少年キタクはその後、ガンプラのBB戦士(2〜3頭身のミニチュアプラモ)にハマりました。当然マニュアル通りに作ります。たまに武器を持ち替えさせるくらい。

 ‥‥関係ない思いで話を失礼しました。
 そんな少年が大人になって観た映画『レゴムービー』。映画館で「これはオレか‥‥」と震えましたよ。よく考えると全然違うんだけど、子供はマニュアルを従わず、大人はマニュアルに従う、みたいな対比がとにかく染みたんですよ。しかも、『トイストーリー』シリーズと違って両者を肯定してくれるんですよね。素晴らしかったです。

  • あらすじ
    • 「人の作ったレゴ壊すの楽しすぎわろた」

 最初に感動したのは映像でした。目に入るものすべてがレゴなんですよね。それがちゃんとアニメーションしているという。「絵が動いてる!生きてる!」というのがアニメーションの原初的な楽しさだと思うんですけど、それのレゴ版。
 さらに言えば、レゴ世界の人間の骨格。ちゃんとあの骨格のまま動いてるんですよね。詳しくないので知らないので、ひょっとしたらズルしてる部分とかあるのかもしれません。そんな風に疑ってしまうほどに動き回るんですよ。あの骨格でアクションとかしちゃっててマジで感動しつつ笑えました。
 レゴ人間でおもしろかったギャグでいうと、ハリウッド映画でよくある「美女がヘルメットを外したら髪の毛がフワァァ(スローモーション)」ってヤツ。それのレゴ版があるんですよね。これは映画館で爆笑してしまいました。頑張って再現してるんですけど、カツラが滑ってるようにしか見えないw
 レゴアニメならではの魅力といったらビルド(組み立て)のシーンでしょうか。レゴ人間の中でも才能のある者はレゴブロックを自由に組み合わせて乗り物などを作り出せるんですよね。それをすごいスピードで行うんですが、『トランスフォーマー』の変身シーンみたいですげぇカッコイイんですよね。見てて「オレもレゴ組み立ててぇぇ」って思ってしまいました。

 本作が公開前から話題になってたのが、バットマンとスーパーマンの共演。『マンオブスティール』の続編にバットマンが出るぞ!なんてニュースが話題になりましたが、レゴの世界で先に実現してしまいました。ぶっちゃけ、観る前は少しだけ「イメージ壊れちゃうんじゃないの?」とか思ってたりもしたんですが、観たらちゃんと仕掛けがありました。『レゴムービー』の中だったら何やっても大丈夫でしたね。極端な話、バットマンが殺人鬼の悪役とかでも、うまいこと成立するように出来てました。まぁ、ここまですると文句言われるでしょうけど。
 まぁ、そんなワケで、(許可取れば)どのキャラをどんな風に出してもオッケーなんですよ。ある意味『アベンジャーズ』なんか目じゃない豪華ですよね。ミケランジェロミケランジェロガンダルフダンブルドアのギャグとか超豪華ですよね。
 おそらく本作で一番豪華なサプライズゲストだったのは『スターウォーズ』陣営じゃないですかね。話の中で「ハイパードライブが必要だ!」ってなった時には、「まっ まさか‥‥!!」とテンション上がっちゃいましたよ。しかも、いざ登場したらしっかり曲付きですからね。マジで映画の物語と関係ない部分で大感動です。
 こういう具合に様々な世界観がレゴというルールの元にグチャグチャに混ざり合う感じ、これこそがレゴの魅力ですよね。バットモービルミレニアムファルコンのパーツがそれぞれ混ぜても使える、というカオス。

 本作の物語的部分の最大の仕掛け。まさかの実写パートですね。ウィル フェレルの顔が画面に映った時には、あまりの驚きになぜか笑ってしまいました。ワタクシは吹替で観たんですが、字幕でお仕事社長の声をやってるのがウィル フェレルってことなんですよね。ちょっとこの仕掛けは字幕、てかアメリカ人じゃないと感じにくい部分だったのかな、と思うと少し悔しいw
 一応実写パートが入るフリというのは序盤から入っているんですよね。絆創膏とか、物語のキーであるスパボンとか。さらに、優れたビルダーだけが垣間見ることが出来るという「上の世界」。まぁ、要するにレゴを組み立ててる人間(の手)なんですけど、ここでの言い回しがどうも神っぽいんですよね。アニメのラストに実写パートが挿入される、と聞くと『ハッピーフィート』を思い出すんですが、あちらでは人間のことはエイリアンのように扱うんですよね。人間が管理、研究のために動物にタグを付けることが、動物目線だと「エイリアンにアブダクションされた!!」っていう感じになってて。それが本作ではついに神の世界にまでなってしまう。たしかに、レゴの性質を考えるとこちらの方が自然ですよね。物語の終盤、主人公が死にかけ、あの世(人間世界)を垣間見ることで精神的な成長を遂げる、というのがスムースに行われる。人間とのコミュニケーションという要素が『ハッピーフィート』では出てくるんですけど、あの映画における人間はエイリアンで、『レゴムービー』における人間は神ですからね。コミュニケートするよりは一方的に啓示を受ける、となってるのも納得です。

 本作の中で、建物とかがよく破壊されるんですよ。それはもちろん映画的な派手さを描くためには破壊が不可欠って部分もあるんですけど、本作の実写パートを観た後だと別の意味も出てくるんですよね。要するに、子供がパパご自慢のレゴコレクションをブッ壊して遊んでたってことですから。たしかに、あれだけの完成度を誇るレゴ建築をブッ壊すのは超楽しそうですよね。レゴって組み立てるのも楽しいですけど、壊してる時も相当楽しいですからね。そういう部分まで満遍なく描くとは、ちくしょう隙がねぇな、と。
 本作で秀逸なのは、人のレゴ作品を破壊する喜びを描くんですが、最後には主人公が破壊される側になって終わるんですよね。最後に妹が出てきますから。父が「マニュアル通りに完璧に作ったのにグチャグチャにしやがって!」と思うのと同じように、今度は主人公が「せっかく俺好みにグチャグチャにしたのに少女趣味に変えられてしまう!」ってなりますから。まぁ、それが一種の成長ってことなんですかね。


 ということで、レゴアニメという部分、まさかの実写パート突入という物語の部分、両方が超おもしろかったです。ただポップで明るいアニメ映画、ってだけではなかったですね。説明書通りに遊ぶだけがオモチャじゃねぇぜ!!という部分は明らかに『トイストーリー』シリーズを超えてたと思います。本作がピクサー映画だったらウィル ウェレルは泣いて終わってた気もします。
 90点。

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