古傷がないと死ぬ
マーベル映画『アントマン』から降りたことで話題のエドガー ライト監督最新作です。
監督作としては、『ショーンオブザデッド』かなり好き、『ホットファズ』結構好き、『スコピル』大好きなトコもあれば嫌いなトコも‥‥という感じ。他なんかあったっけか。
本作は少し好きでした。
- あらすじ
- 世界の終わりに行ったら世界が終わりました
エドガー ライト監督、サイモン ペグ&ニック フロスト主演による何とか三部作なワケですが、本作で特徴的なのは、サイモン ペグがダメ人間担当なんですよね。割とまとも、とことんダメな2人の男のブロマンス、というのが共通してると思うんですけど、本作はダメ担当が逆。
ブロマンス映画だとよくあるんですけど、同性関係に依存したままの男というのは子供の象徴なんですよ。んで、異性関係は大人の象徴。同性関係にある程度のけじめを付けて、異性とうまくやっていく、というのが一種の成人儀式になっていて、ブラザーロマンスと言っておきながら異性恋愛がドラマの目的地だったりする作品は多かったりします。
‥‥本作のそんな型に則った作品だと思ってたんですよ。ペグがダメで、フロストは社会的に成功してて結婚もしてる。と思ったら、ラスト。フロストもダメだったことが明らかになるんですよね。ペグだけが大人になれてないと思ってたけど、実はフロストだって子供のままだった。ここらへんが新鮮だっし、そんな2人が互いのダメな部分をすべて知り合った状態で最強のコンビになる‥‥というドラマは感動的でした。
子供のままのペグをバカにしつつも、別の友人に「(ペグを)置いてくぞ」って言われた時に、「できないよ」ってその友人と分かれるシーンがあるんですけど、ここが一番涙腺ヤバかったです。フロストの顔がサイコーでした。「でもやるんだよ」的なカッコよさはなく、苦悩に歪んでるのが心に迫るんですよね。
逆に本作観てて、「あれっ‥‥」と思ったのはパブクロールの扱いでして。パブを12件ハシゴする行為ですね。それぞれでビール飲んで。
ワタクシ、酒が弱くてですね、そのため本作の紹介でパブクロールという行為を初めて知った時に、「12杯も飲んだら死ぬ!!」と思いました。
なので、てっきり本作に対して「如何にして12杯飲んでも正気を保つか」みたいな要素が出てくると思っちゃってたんですね。下らないことをマジメに、戦術的に考えたりするのかな、とか。
そしたら、そんなことは一切なかったw 主人公は泥酔して「もう歩けない‥‥」なんてことには全くなりませんでした。肝臓つえー。
まぁ、実はアル中なので最初から酔ってた、ってオチなので、一応説明はあったんですけどね。しかし、12杯(正確には11杯)も飲む際に一切苦労しない主人公にはちょっと引いてしまったというか。
我ながら勝手すぎる難癖ですけどw
他に、本作でいまいちハマらなかったのが、説明が多い点。怒濤のセリフ量ですべてを説明するんですよね。全編に渡って、というのではないんですが、オープニング、クライマックス、エンディング、という3つの場所がほとんどセリフで済まされるので、ちょっと飽きました。英語わかんないから字幕追う作業になっちゃうんですよね。
まぁ、オープニングの怒濤の説明というのは「実はグループセラピーにおける自分語りでしたー」という着地があるので、全然イイです。個人的に困ったのがクライマックスとエンディング。まぁ、エンディングはオープニングとの呼応ということで百歩譲ります。
そんなクライマックス。いよいよ敵と対面して、「これからどうする!?」という場面。ひたすら口頭による説明が行われた後、敵が勝手に退却するんですよね。もちろん、主人公たちがついに手を取り合って、レジスタンスを表明、というドラマはあるんですけど、具体的に何かをやっったワケじゃないですからね。ちょっとなー。
宇宙人、クライマックスが怒濤の説明セリフ、敵が勝手に退却、そして世界改変。なんか最近映画で観たことある気がする‥‥と思ったら『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語』でした。『まどマギ新編』のあそこ、大嫌いんですよねぇ。
ということで、キュゥべえはビル ナイということでいいです。
最後に、本作で一番好きなシーンなんですけど。
敵が人間の偽物を使ってくる、ということで、味方が本当に味方がわからなくなり、互いに仲間(友達)であることを証明するシーン。
ここで、彼らが採る方法が古傷自慢なんですよね。ぶっちゃけ「古傷は再現されない」という理屈は無理矢理臭かったんですけど、それでも思い出が形として残っている、ってすげぇステキだなぁ、と。ワタクシ、特にドラマのある古傷なんてありませんから、殺されちゃいますわ。
まぁ、この描写に必要以上に反応してしまうのは『マダガスカル2』と同じからなんですよね。ものすごく大好きな映画なんですけど、これのラストがまさにコレなんですよ。なので、それが不意に出てきて、しかもそれが実写で、という驚きでかなりグッと来てしまった次第。
ということで、引っかかる部分は結構あって、そのせいで大好きな映画にはならないんですけど、それでもどうしても好きな部分もあったので決して嫌いにはなれない映画でしたかねぇ。
60点。
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古傷のくだりが似てる。
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本作よりもこっちのが断然好き。
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クライマックスのつまらなさが似てる。
こっちよりは本作の方がマシかな。