北区の帰宅部の意訳

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『X-MEN:フューチャー&パスト』の感想

○○ッ○ォォォォォォォッッ!!!!

 3D字幕です。3D映像はぶっちゃけ期待してなかったんですが、意外とよかった。特にフューチャーのディストピアっぷりを紹介するトコは3D映えしてたと思います。ユニバーサルスタジオにある『ターミネーター2』のアトラクションっぽい。

 本シリーズは全部映画館で観てます。ちょうど自分が映画にハマりだした頃に1作目を観て‥‥今になって思えば1作目の影響で映画にハマったという可能性があるかもしれんってレベル。それだけに思い入れの強いシリーズなのです。迷走してるっぽいトコもありましたが、強引にでも続けてきたのは価値あることなんじゃないですかね。

 てか、まだ映画館でやってるトコあるのかしらw

  • あらすじ
    • 劇団『ファーストジェネレーション』による『X-MEN2

 パストの物語ってほとんど『X-MEN2』なんですよ。監督が帰ってきたから、と考えれば飲み込みやすいんですけど。
 アンチミュータントな人間、マグニートーのエクストリーム脱獄、「敵の敵は味方」ということでマグニートーと一時的な協力‥‥かと思ったらマグニートーは密かに漁夫の利を狙ってました、というオチまでそっくりです。ここまで似てるとさすがに意図的なんじゃないか、と考えたくレベル。

 『X-MEN2』との似てるけど違う部分がありまして、それが政治の中枢へのテロとその結果。
 『X-MEN2』では冒頭にナイトクロウワーによるホワイトハウス襲撃がありました(個人的にオールタイムベスト級に大好きなアクションシーン)。この際の大統領暗殺未遂によってミュータントは社会的に追いつめるはめに。最終的にはホワイトハウスで話し合いで解決(脅迫っぽいとか言わないで)。
 一方、『フューチャー&パスト』ではマグニートーが投獄される理由が大統領(J.F.K.)の暗殺容疑。マグニートーはハメられた形なんですよね。むしろ助けようとしてた、と。マグニートーの銃弾避けは未だに信用できないw そして、物語のラスト、今後は本気で政府要人をブッ殺そうとするマグニートーを止めるミスティーク。彼女の姿が全世界に中継されたおかげでミュータントの未来は明るくなりましたー、という決着。舞台はホワイトハウス。『フューチャー&パスト』ではミュータントがテロを止めることで社会的な地位を獲得するんですね。
 『X-MEN2』と似た構成の物語ながら逆のことをやっていて。本シリーズは長いですけど、『X-MEN2』と『フューチャー&パスト』で二部作っぽくなってるなぁ、とか思ったり。

 一方、フューチャー側の物語はほとんど戦ってるだけ。ハデな超能力者合戦はこっちで堪能してねー、という感じ。
 キャラのメンツ的に『X-MEN ファイナルディシジョン』のアフターという印象が強いです。まぁ、時系列的に当たり前なんですが。
 『ファイナルディシジョン』のメンツに新キャラが大量に投入されるんですが、どのキャラの能力もすんなり飲み込めるからスゴイですよね。すぐにどんな能力か把握できるし、覚えられる。ここらへんは監督のセンスなんだろうなぁ、とか素人ながらに思い知りました。
 唯一、ネイティブアメリカンっぽい人(掟ポルシェ似)、ウォーパスの能力がイマイチわかんなかったけど、「とにかく強い」って感じなので問題ないですね。ちゃんとカッコイイ見せ場はありましたし。

 フューチャー側最大の発掘といったらブリンクでしょうね。
 『X-MEN2』におけるアクションシーン最大の見せ場の1つが先ほども書いたテレポーターによるホワイトハウス襲撃なんですけど、このブリンクが使うのはテレポートじゃなくて「どこでもドア」。
 最初は味方のサポートみたいな使い方だったんですけど、段々と自身も戦うようになっていって、この「どこでもドア」アクションが最高なんですよね。位置関係とかカオスになりそうなもんなんですが、簡単に見てわかるようになってたのもスゲーと思います。どんな頭の使い方をしたらあのアクションの設計が出来るんだ‥‥と驚愕するばかりです。

 一方、パスト側での発掘といえばクイックシルバーでしょうね。てか、本作全体の中でも最大。
 ぶっちゃけ物語の途中で突然出てきて突然去っていくのでイビツと言えばイビツなんですけど、あの魅力には勝てません。強すぎ。万能感ありすぎ。ほとんど「神様なんじぇねぇの?」級。
 その場にいるすべてのキャラがシリアスな中、クイックシルバーただ独りだけ余裕丸出しでニヤニヤしながら状況を危機を打破するシーンの楽しさったらないですよ。シリーズの中でも彼ほど超能力を満喫してるキャラはいなかったんじゃないですかね。最強すぎる‥‥。

 ワタクシは『サイボーグ009』の大ファンなんですけどね、本シリーズは『サイボーグ009』との類似がよく指摘されてきたと思います。性別、国籍、人種も違う人たちのヒーローチーム。差別をテーマにしてる点も共通してますし。さらにはキューバ危機やベトナム戦争というリアル近代史にヒーローチームが介入する、という点まであります。さらには、「改造手術」ですよ。
 当然、今までの映画シリーズでも「009っぽいなー」って思うことは多かったんですが、今回ついに出ました! 009の加速装置!!!
 まぁ、クイックシルバーと009のキャラクターは全然違うんですけど、やっぱり能力が一緒なんですよね。とにもかくにも速い。自分が速すぎるので周りが超スローに見える。『サイボーグ009』が最近映像化された作品だと『009 RE:CYBORG』ってのがあるんですけど、ここで加速装置の速さを描くために、水しぶきってのが使われてたんですよね。本作でもあったっしょ。
 やっぱりああいう高速描写をする時には水しぶきがマストアイテムなんだな、と思い知った次第。アクションをスローモーションで見せる『300』でも血しぶきが効果的に使われてますよね。

 『サイボーグ009』との類似はこれだけではなくて。まぁ、ここは大分個人的な連想が強くなるんですけど。
 『サイボーグ009』というのは作者が完結編をまとめ上げる前に亡くなってしまった未完の作品なんですよね。そして、遺族やらプロダクションが生前の構想ノートを元に完結編を最近発表しまして。そんな『サイボーグ009完結編』、ファン向けな内容だし、過去シリーズを再構築するような設定で、ぶっちゃけ作品単体として特別優れてるワケでも‥‥という感じなので、オススメはしないんですけど。
 ネタバレにもならない程度にざっくり『サイボーグ009完結編』を説明すると、今までのシリーズとは矛盾するけど矛盾しない世界観の話で、壮絶な戦いの果てにサイボーグ戦士達が平穏を手にして「ヨカッタネー」。ぶっちゃけ、ラストの着地部分が結構強引で、「とにかくサイボーグ戦士たちを幸せにしてやりたいんだよ!!」という力業のような印象も受けました。
 これ、本作と似てません? 過去に矛盾を重ねながらも続けてきたシリーズをある種メタ的に包括し、多少強引にでも主人公達の幸せを用意する、という着地。「死別した皆がここでは生きていて皆笑ってる‥‥ここが天国??」というのは両方のラストに感じた感想です。

 『フューチャー&パスト』のラストの天国についてなんですけど、ウルヴァリンの爪ってどうなってるんですかね。骨のままなのか、アダマンチウムなのか。あの過去の改変だとウルヴァリンは改造手術を受けてない気もするんですよ。
 もちろん、ウルヴァリンの幸せを考えたら、あの手術はない方がいいに決まってます。それはわかってるんだけど、そうなんだけど、心のどこかでは「アダマンチウムの爪があってこそウルヴァリン!!」と思っちゃったりして、自分の中でもどっちつかずな気持ちです。
 アダマンチウムの爪じゃなかったら今後の作品に出た時にも困るよなぁ‥‥みたいなメタい部分でも気になりますw


 ということで、映画単体としておもしろいし、映像的な見所もバッチリでありながら、シリーズに愛着があればあるほど感動してしまう、という凄いバランスの作品だったと思います。結構無計画にシリーズが量産され、矛盾も多いシリーズのすべてを受け入れ、「これで皆文句ないだろ!」という結論を出してしまう、という映画史的にもとんでもない作品だったんじゃないですかね。
 95点。

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『サイボーグ009完結編』の感想まとめと単行本最終巻 - 北区の帰宅部
 元は小説で発表された完結編が後にマンガ化されました。ブログで書いてるのは後者。
 ちなみに、初めて読む人はコレではなく『サイボーグ009』本シリーズにおける「誕生編」「ベトナム編」、そして「地下帝国ヨミ編」を読めばまず問題ないと思います。完結編よりオススメですよ。