男の裸>女の裸
池袋で観ました。かなり物語の中心だったんで得した気分。けど、音響はよくなかった気がします。
個人的にラップは好きなんですが、詳しくはないです。本作に出てる人たちのはあまり聴かないですし。名前は知ってるけど、名前と顔が一致しない程度。
- あらすじ
- 竹内「このオナホを取ったらチンコ出ると思うじゃん?(シコシコ)」
なんと言ってもラップミュージカルです。こんなん初めて観ました。それが思いの外成立してたもんだから、それだけで観た価値あります。
登場人物はみんなラップするんですけど、一口にラップっつっても多種多様なんですよ。リズムの取り方、言葉の詰め方、言葉の選び方から、もちろん声質とかもろもろ。とにかく個性が超強いです。映画の冒頭に各勢力の人物紹介みたいなパートがあるんですけど、それぞれが数小節ラップするだけで印象に残ってしまう。名前や所属は覚えてなくても、観たり聴いたりすれば「あーあの人ね」ってなっちゃう。ラップミュージカルっておもしれーなー、っていきなり感心してしまいました。
そんな個性豊かなメンツが終盤に全員集合してマイクリレーするワケですから、その興奮ったらないですよね。
ミュージカル映画の上、ラップ限定なんですけど、作り物感というのがキーになってるんじゃないでしょうか。登場人物が会話の代わりにラップするのって不自然だけど、映画の世界観全体が作り物っぽいので、それがあまりマイナスにならないというか。セットとか、スゴイ雰囲気あってよかったですよね。作り物っぽさを感じるまでに個性が強いので、その中でラップしてもあまり違和感が生じなかったんだと思います。
その上本作は長回しが多いんですよね。ワンシーンワンカットな場面が多かった。セットの魅力を堪能できてよかったと思います。作り物感ってのと通じるけど、どことなく舞台っぽい雰囲気もあった気がします。
そこらへんを踏まえて『レミゼラブル』(トム フーパーの)とか連想した人とか多いんじゃないですかね。個人的には、劇中何度も思い出しました。
そんなラップ。本作の魅力の大半を占めるラップ。それに字幕が付いたでしょう。いらない。マジいらない。日常と非日常がシームレスに繋がっていく感じが魅力でもあったと思うんですけど、字幕が入ることで一線引かれちゃった気分。
そもそも音がうるさい上、セリフの音量とのバランスが悪すぎるため、ラップ以外の部分の方が聞き取りにくかったですよ。
竹内力が何言ってるかわかんないのは、もはやギャグなので問題ないです。
各キャラについて。悪役のメラくんがサイコーすぎて大好きでした。てか、クレジットでは頭だから実質主役なんですよね。
惜しみなく裸を見せてるのが魅力の7割くらいなんですけど、行動原理がハッキリしてるのもよかったです。ぶっちゃけ「お前何がしたいの?」みたいな人たちが多かった中、「カイゼッテーコロス」だけで突っ走ってるメラくんはマジ魅力的でした。
特に二丁拳銃シーンの場面は好きでしたねぇ。かっちょよすぎた。
ヒロイン。これもとても好き。とにかくアクションですよね。運動能力がスゴイのは当然として、様々なシチュエーションで戦ってくれるので見てて飽きなかったです。あと裸もありましたし、得しました。てか、乳首きれい。
ヒロインのお連れさんもスゴイよかった。多くは語られないけど、強い思いを秘めてるのは伝わってきました。ヒロインとアクションの種類が違って、差別化されてるのもよかったですね。
てか、このヒロインのお連れさん、演じてるの女子高生って聞いたんですけど、マジですか。そもそもの部分、男かと思ってたw
あと個人的には窪塚洋介も好きでした。『ヒミズ』の時も思ったんですけど、この人なんてことないトコでの立ち振る舞いや所作がカッコイイんですよね。手足の長い長身ってのもアクション映えしてて超魅力的でしたし。
あと、当然のようにラップうまかったですね。
それに、家具ネタも楽しかったです。人目で「こいつヤベー」ってなる感じ。メインの悪役ではない分、一瞬で魅力が伝わってきたのでよかったです。
ただ、因縁とかは一切ないんで、そこらへんの魅力はあまりなかったですかね。
因縁というのは主人公との因縁ということですけど、この主人公、まったく魅力的じゃなかったです。興味が湧かない、てかホントどーでもいい。ラブ&ピースとか心底つまらないです。それに彼らの暮らしがどういうものってのが一切描かれないので、その生活が脅かされても危機感をあまり覚えないですよね。
そもそもコイツ何がしたいのかもわからなかったですし。その上スゴイ人なのかも全然わからなくて‥‥。ラップはうまいけど、ケンカが強いのかはわかんないから、コイツが積極的に動き出しても盛り上がりづらいと言いますか。
似たような理由で佐藤隆太も全然いかんかった。
映画観た後に、うちで本作の予告を観たんですけど、「一人のカリスマの死がトライブを一つにする」みたいなこと言ってて‥‥えっ、あの人カリスマだったの!? 全然わかんなかったっす。
とにかく武蔵野の人たちがキャラ弱いので、物語の根幹部分が弱かった気がします。
他に悪かった部分ですと、ラストの決着の付け方が雑だった気が。
そもそも悪役の竹内力ファミリーはほとんど自滅ですからね。殺人扇風機はたしかに楽しかったけど、ギャグで竹内力が死んだら萎えますわ。ボスキャラじゃん。
あとは、SARUが2つあって超わかりにくかったです。顔見たりラップ聴いたら「あーコイツか」ってわかるんですけど、名前が覚えにくいにも程があるんじゃないかしら。まぁ、暖簾分けとかそういうことなのかは知りませんけど。
映画関係ないけど、SALUってラッパーいますよね。個人的によく聴くんで、そこらへんも含めややこしかった(難癖)。
最後に、これは良い面と悪い面が接してるんですけど、リアルラッパー陣がラップ超うめー!!って件。
ラップミュージカルなんで、当然ラップがうまい人が出てくるとそれだけでアガるんですよ。窪塚洋介もそんな感じですけど、ラップの魅力がスゴイ。
ただ、窪塚洋介は特殊で、本作の物語の中心にいるキャラを演じてるのは大体俳優なんですよ。その脇をリアルのラッパーが固めてる。だから、主要キャラよりも魅力的なんですよね。その後、俳優のラップ聴くと「悪くはないけど‥‥」ってなっちゃう。
特に問題なのは新宿ですよ。あそこのボスよりも幹部みたいな2人の方がラップうますぎて、ボスの威厳がまったく伝わってこなかったですよ。「ははーん さては傀儡政権だな」とかマジで疑ってしまったレベル。
知らなかったんですけど、どうやらこの2人、本作でラップ指導も担当してるらしいですね。たしかクレジットにそう載ってた気がする。そりゃ勝てないわw
まぁ、いろいろと思うことはありましたけど、とにかくラップミュージカルだったというだけで大満足です。ラップでミュージカルをやる、ということが成立していたというだけで忘れがたい作品になりました。
てか、ラップミュージカルが本作だけで終わってしまうの、惜しいですよね。監督は園子温だから、今後ラップミュージカル専門の人になるワケありませんし、そうなると他のラップミュージカル映画が作られる可能性って低いんですかね。ワガママですけど、園子温じゃなくてもいいから定期的にラップミュージカルが作られてほしいです。それくらいに魅力的でした。
80点。
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