北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

『her 世界でひとつの彼女』の感想

テレフォンセックス最高

 今年の映画は今年のうちに、キャンペーン。1日3記事は前代未聞です。計画性がなさすぎる‥‥。

  • あらすじ
    • 好きな人とはセックスしたい

 まず、最初によかったのはSFの世界観。突飛なSFっぽさはないんですよ。ものすごく進んだ都市だったら現実にもあるかも‥‥という街の中に少しずつ現実にはないSF要素が出てくる、というバランス。現在の延長戦上にある近未来、という感じが出てて素晴らしかったです。そもそも本作のヒロインである人工知能ってどう考えてもSiriですよね。連想不可避。

 そんな姿もない人工知能との恋愛をものすごーくロマンチックに描ききったのでスゴイですね。コメディーにしかなり得ない話にも思うんですが、本作では間抜けに見えることも承知で作られてるから見事です。
 人工知能との恋愛を描く上でセックスについて真剣に考えてるのもスゴイですね。凡人だったらセックスのない映画にしてしまうと思います。
 んで、本作の出したセックス問題の解答が、テレフォンセックス。身体がなくても声があればええんやで。そして、そのテレフォンセックスを序盤に1度やってるんですよ。主人公の趣味ですから。そんな序盤のテレフォンセックスはギャグになってるんですよね。知らない人とテレフォンセックスしてたら、相手の特殊性癖が次々に発覚して‥‥という。正直大爆笑でした。冷静に考えたらテレフォンセックスしてる様子って笑えますよね。
 序盤にギャグとして一度テレフォンセックスを見せているからこそ、中盤(終盤?)に出てくる人工知能とのセックスシーンがギャグに見えないんですよ。とてもロマンチックでした。また、真面目にテレフォンセックスが描かれることで、セックスで大事なのは性器ではなく精神の繋がりなんだな、ということが伝わってくるんですよ。いや、気持ちいいのも大事ですけどね。たまには「チンコじゃねぇんだよ!!」という綺麗事も言いたいのです。そして、そう言わせてくれる作品に出会いたいのです。

 主人公がヒロイン(人工知能)にホレた最大の理由は彼女の知性だと思うんですよ。彼女の好奇心と成長速度というのも重要でしょうか。だからこそ不完全なもの同士、良くなろうと試行錯誤することが出来たと思います。
 なんだけど、彼女の好奇心、成長速度が人間の手に負えるものではなく、ついに彼女の知性は人間の理解の範疇から逸脱してしまう‥‥というのが皮肉で悲劇ですな。

 主人公が代筆業をやってるんですけど、これがちょっと人工知能の人間版みたいな職業なんですよね。そして、愛の言葉を作り出すプロだから、人と付き合うのは簡単だけど続けるのが苦手、という根拠にもなってるのでうまい。
 ちょっと関係ないけど、この職業は『(500)日のサマー』を思い出したりしました。


 ということで、終わり。肉体がなくても恋愛は出来るのか、というテーマなんだけど、しっかりセックスを描いてるのが素晴らしかったです。
 字幕だったんですけど、スカヨハの演技もよかったですね。いわゆる「かわいい声」「きれいな声」ってのとは全然違う少ししゃがれたセクシーな声ってのがサイコーでした。けど、暗転するシーンがあるので字幕派は少し複雑。
 80点。

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 オリヴィア ワイルドが出てきましたけど、あの人って過去に電脳ヒロイン演じてましたよね。
 クオラちゃんマジかわいいので大好きな映画。クオラちゃんお持ち帰りしてぇぇぇぇぇぇぇぇ!

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 本作で生身の女性代表みたいな役やってたエイミー アダムスだけど、昔はアニメ世界の住人だったんだぜ。

 スカヨハと電脳、ということで『her』と『LUCY』は意外と表裏一体だったりするんじゃねぇの‥‥と思わないでもないのです。