2015年はハリウッド大作が軒並み公開される年として映画好きの間では話題なんですが、そのほとんどがシリーズモノということで、過去作の復習が大変なんですよ。どれも長いシリーズですからねぇ。
その中で、とりあえず『ワイルドスピード』シリーズをば。日本公開的には最初なんじゃないですかね。「ハゲと車がぶつかり合う映画でしょ?」というなんとなくのイメージで扱われることの多いシリーズですが、その通りです。もうその認識のままでいいと思います。
けど、シリーズを通しで観るとまた違ったオモシロが出てきましたよ、という話。
今回一気見したのは長編映画6作ですので、特典とかに入ってるらしい短編は見てません。てか未見です。
全作ネタバレです。
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1作目『ワイルド・スピード』
- あらすじ
- ブライアン「トラック強盗っぽいハゲに潜入捜査しまーす」
- ドミニク「よそ者でも家族やで」
- ブライアン「めっちゃいい人だから強盗なワケないわ」
- ドミニク「金になるいい話があるんだけど‥‥」
- ブライアン「アウトー!! けどもう嫌いになれないから逃がしちゃう」
原題は『The Fast and The Furious』。雑に訳すと「速くてスゲェ」でしょうか。本シリーズは、原題邦題ともにタイトルが迷走してるのが特徴だったりします。
なんといっても魅力は主人公ブライアンを演じたポール ウォーカーと、ドミニクを演じたヴィン ディーゼルでしょう。2人ともカッコイイです。この頃はポール ウォーカーが主人公、ヴィン ディーゼルが魅力的なサブキャラという感じ‥‥で間違いないと思う。
Tシャツにジーパンというシンプルな出で立ちのポール ウォーカーはイケメンアメリカ人の原液みたいな趣があります。絵に描いた男前というか。
ヴィン ディーゼルは、今見ると「少し小さい?」という感じがあるかもしれません。けど、天性の人たらしであるドミニクの、一緒にいるといつの間にか好きになってしまうカリスマ性というのは健在です。人たらしのハゲ、それがドミニク。
後のシリーズ的に重要な人物としては、ドミニクの妹ミアと、恋人のレティですね。後者は「俺たちの好きなミシェル ロドリゲス」を体現したような役でサイコーです。
この頃はDVDプレイヤー盗んで満足してたんですよね。今じゃ信じられませんw
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『ワイルド・スピードX2』
- あらすじ
- ブライアン「警察クビになったけどストリートレースめっちゃ楽しいw」
- 元上司「潜入捜査したいけど危ないので本職警官使えない‥‥だからお前やれや」
- ブライアン「成功したら罪は帳消し、そして相棒はコイツだ」
- ローマン「幼なじみでーす」
- ブライアン「潜入して捕まえるぞ」
- ローマン「ついでに金持ち逃げしようぜ」
- ブライアン「さすがwww」
原題は『2 Fast 2 Furious』。2作目である「2」と「too」をかけたタイトルですね。「速すぎスゴすぎ」という感じでしょうか。
前作の監督&ヴィン ディーゼルが『トリプルX』作るためにシリーズを離れたのでドミニク不在で作られた2作目。シリーズで最も重要なドミニクがいないので軽視されがちな作品ですけど、シリーズは後にエクストリームな方向に路線変更したため、「本来こういうシリーズだったはずなんだよなぁ‥‥」という感慨に浸れる作品。てか、フツーにおもしろいです。潜入捜査、ストリートレース、そしてハゲ。これが『ワイルドスピード』シリーズの3本柱なんですよね。基本的には。それがわかりやすい作品。
2作目で重要なのはドミニクの代わりに主人公の相棒になったローマンでしょう。こいつはドミニクと違って軽薄なのがイイ。後に、ドミニクたちとも共演するようになってより顕著なんですが、深刻な状況でも冗談を言ってるようなヤツなんですよね。後にシリーズはハゲばっかりになるんですけど、「愉快なハゲ」というポジションを確立してます。ブライアンとの悪友コンビという感じが見ててホント楽しいんですよね。ドミニクが混ざるともう少し真面目になっちゃう。
後のシリーズ的に重要なのはリュダクリス演じるテズでしょうか。マイアミのストリートレースを仕切ってる人なんだけど、後のチームでは「パソコンの出来る頼れる裏方」というポジションに収まります。若干キャラ変えたんだね、というのがわかりますw
ちなみに、ブライアンと仲の良いストリートレーサーとして、みんな大好き(なのかは知らないけど)デヴォン 青木が出てますね。日本贔屓な本シリーズならではのキャスティングなのではないでしょうか。
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3作目『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』
- あらすじ
- ショーン「アメリカ追い出されて日本来た」
- ハン「ドリフト教えてやるよ」
- ショーン「狭いから立体駐車場でストリートレースやるんすかww」
- ハン「ヤクザの金ちょろまかしてるのがバレて殺されちゃった」
- ショーン「師匠の仇とったどー!」
- ドミニク「あんたハンの知り合い?」
原題は『The Fast and The Furious:Tokyo Drift』。原題邦題ともに突然のサブタイトルが付きました。
シリーズ的には異色の東京が舞台。ブライアンもいない、潜入もしない、あるのは若者とストリートレースだけ‥‥という「どうしちゃったの?」という作品。バカにされたり黒歴史的に茶化す人もいますけど、本作で一番重要なのは監督にジャスティン リンを起用したことですね。本シリーズを立て直したと言っても過言ではない重要人ですよ。
シリーズでは唯一のボーイミーツ師匠の成長物語、ということでフツーに楽しい作品です。劇中、師匠であるハンは事故死を遂げるんですが、この時ハンのことを事故に見せかけて殺したのが有名ハゲドライバーだった‥‥というのが6作目でわかります(てか後付けだろ)。なので、本編に出てくるハゲとしては、ラスト、カメオ的に出てきたドミニクだけなので少し寂しい作品だったりしますね。
シリーズ的にはドリフトという特定のテクニックをフィーチャーした話が新鮮です。基本的にドライブテクニックに関して説明はされませんからね。そのため、レースの味噌はカーブでのドリフト。他作だと「ここでニトロターボだー!」っつって直線で勝負が決まることが多いんですけど、本作はカーブ。他にも、物語のクライマックス、敵役との決着の付き方がストリートレースというのも特徴、というかシリーズ唯一ですね。他作は犯罪ばっかりやりやがってレースは意外と添え物扱いになりがちですw
あとは、何と言ってもハンでしょう。美形というワケではないけど、気怠そうな雰囲気が何ともカッコイイです。ハンは常に何かおつまみ的なものを食べてる、というキャラクターなんですけど、本作の中で亀田の柿の種を食べてたりします。やっぱ柿ピーといったら亀田だよな。
ややこしいんですけど、4作目から6作目は『TOKYO DRIFT』より前の物語なんですよね。なのでハンは生きてます。そして、6作目はジャスティン リンが監督する最後の作品。なので、ジャスティン リンが降板する時に「時間軸動かしてまで延命させたハンの件に決着つけた」とも考えられるかもしれません。
ちなみに、最新作、7作目『SKY MISSION』にショーンが出てくるそうです。ハンの弔い合戦的な内容にもなりそうなんで、そこらへんで出てくんでしょうね。ドミニクのファミリーに入ってガッツリ活躍するかはわかりませんが。多分しないのかなぁ。けど、ファミリーのみんなにドリフトを自慢するシーンとかあったら楽しそうですよね。カーステからはTERIYAKI BOYZで頼むw
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4作目『ワイルド・スピード MAX』
原題は『Fast & Furious』。1作目との関わりの強さを感じさせる原題はなかなか見事ですね。てか、ほぼ同じタイトル付けるってのもスゴイ判断ですが。多分「こっからシリーズやり直しやで!」という意思表示なのでしょう。邦題の方も「こっからシリーズは新たなステージに突入やで!」という雰囲気があって悪くはないと思います。邦題の問題は次次作からです。
ブライアン&ドミニクが復活、1作目と直接関わりのある続編。物語やちょっとしたやり取りとかも1作目を踏まえて作られてるので、「これが真の2作目なんやで」という勢いすら感じます。例えば、1作目の終盤、ドミニクはとあるトラック強盗に失敗するんですが、4作目の冒頭ではそれよりも巨大なトラックからガソリンの強奪に成功してます。他にも、ドミニクを逃がして終わった1作目に対し、4作目はドミニクを救いに行く所で終わる‥‥とかいろいろ。
物語の冒頭、悠々自適にトラック強盗をするドミニクの一味に元気なハンの姿がいます。つまり「3作目よりも前の話なんやで」ということですね。なんでこんなことしたかはわかりませんが、監督が「もっとハン出したいんじゃ」とワガママを言ったんじゃねぇの、とか邪推してしまいます。けど、ハン好きだから感謝しかない。
オリジナルのキャストを集めての新作、ということで気合いが入ってます。物語も潜入あり、ストリートレースあり、ハゲあり、という基本に忠実です。んで、本作が驚くほどにヒットしたんですよね。『ワイルドスピード』人気は健在だった、という証明になりました。んで、続編の制作が決定。本作はシリーズの基本に忠実だったんですが、続編からいろんなインフレが起こっておかしなことになります(ホメてます)。
ドミニクはレティの復讐というのを本作のラストで果たすんですけど、その方法で驚きました。車でひき殺すんですよね。見てて「ええっ! アリなの!!?」ってなりましたよ。次作でもそうなんですけど、悪役の処理が結構ぞんざいですw
今後のシリーズ的に重要なキャラとしては、ブラガの部下ながらドミニクの魅力に心酔しちゃってたジゼルですね。レティの代わりとしてドミニクとくっつくのかと思ったらあっさりフラれます。
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5作目『ワイルド・スピード MEGA MAX』
- あらすじ
- ドミニク「逃がしてくれてありがとう」
- ブライアン「ブラジルで仕事したらブラジルの犯罪王に追われるようになっちゃった」
- ミア「ブライアンとの間に子供できました」
- ドミニク「最後に大金奪って足洗おうぜ」
- ブライアン「仲間が必要だな‥‥」
- ローマン「来ちゃった」
- テズ「来ちゃった」
- ハン「来ちゃった」
- ジゼル「来ちゃった」
- ブライアン&ドミニク「成功したんで引退しまーす」
原題は『Fast Five』。思い切ってシンプルになりました。前作の原題は2作目3作目を無視するようなニュアンスがありましたけど、今回は5作目であることを強調してるのが特徴ですね。今までの4作のオールスターが結集する、という内容にふさわしいと思います。
邦題の方も「MAXの次はMEGAやろ!」ということでわかりやすいっちゃわかりやすいです。ただ、シリーズがまだまだ続くことをまったく考慮してないのが問題。てか、日本での宣伝はなぜか毎回シリーズ最終作であるかのようなキャッチコピーを付けるんですよね。結構悪質です。
本作の特徴は何といっても過去作の主要人物勢揃いさせて作られた犯罪チームの結成でしょう。てか、本シリーズとしては初めて、完全な犯罪者としての物語だったりしますね。カーアクション映画なのは変わらないんですが、物語を考えるとハイストムービー、ケイパームービーの方がしっくり来るようになってしまいました。夢の犯罪ドリームチームの話ですから。その証拠なのか、ストリートレースをするシーンがないんですよ。いや、物語上「車はストリートレースで調達した」という風にはなってるんですが、ストリートレースの現場で「あの車よさそうじゃない?」って言った次のシーンではもうその車をゲットしてる。まぁ、ドミニクとブライアンがタッグを組んでる時点で負けるワケないんで省略したんでしょうねw 結構なギャグだったと思います。
ブライアンが完全に犯罪者サイドになってしまったので、それを追っかける警察サイドの新キャラが出てきます。そんなホブス捜査官を演じるのがロック様ことドウェイン ジョンソン。シリーズ史上最もマッチョなハゲ。本作はドミニクの他にローマンが復帰したこともあってハゲ度が上がってるんですが、そこにさらなるハゲ投入。ハゲマシマシ。
そんなハイストムービー路線、そしてホブスの良きライバルハゲの魅力もあって、『ワイルドスピード』シリーズの新機軸を打ち出した作品だと言ってもいいと思います。傑作だと思います。てか、個人的には一番好き。
劇中、ブライアン、ドミニク、ローマン、ハンの4人が盗んだパトカーでレースするシーンがあるんですけど、この4人が横一列に並んだショットの多幸感ったらないですよ。個人的に、シリーズで一番好きなシーン。それこそ『アベンジャーズ』にも負けない最強チーム感がありますよ。
本作から、エンドクレジットの途中にオマケシーンが差し込まれるようになりました。オマケってのは要するに次作へのフリです。本作の場合は「えっ レティ生きてんの!?」という件。ホブスがそのことを知るんですが、ホブスにその情報を渡すのが2作目で潜入捜査をしてたFBI捜査官だったりします。演じてるのはエヴァ メンデスですね。「次作からはエヴァ メンデスも参戦かー!」とワクワクしましたが、このオマケシーンだけで、次作では出ませんでしたw
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6作目『ワイルド・スピード EURO MISSION』
- あらすじ
- ホブス「ドミニク手伝ってくれ」
- ドミニク「引退したから嫌だよ」
- ホブス「レティが敵の組織にいるみたいなんだけどなー」
- ドミニク「やるやる」
- レティ「ちょっと記憶ないんだけど何このハゲ超イケメン」
原題は『Fast & Furious 6』。まぁ、わかりやすいですね。ちなみに次作は『Furious 7』です。
問題は邦題の方ですよ。「MAX」系列を放り投げて別のこと始めちゃいました。次作は『SKY MISSION』なので、しばらくは「○○MISSION」で続けるつもりなんでしょうか。相変わらず毎回最終作みたいなキャッチ付けてんですけど。
本作で3作目からずっと監督してきたジャスティン リンが降板。そのためなのかは知りませんが、オープニングクレジットのとこで今までのシリーズを振り返るような映像が流れるんですよね。当然『X2』も『TOKYO DRIFT』も含む。結構な感慨に浸れます。
ジャスティン リンの最終作ということを考えると、エンドクレジット中のオマケシーンで、『TOKYO DRIFT』で事故死と思われてたハンを殺した真犯人は‥‥という映像を入れたのはジャスティン リンの置き土産のようにも思えます。6作目のラストで時系列が『TOKYO DRIFT』にラストにようやく繋がったんですよね。
5作目『MEGA MAX』でチーム映画として出来上がったので、6作目はその延長。ただ、犯罪チームは充分な金があって動く動機ないので、ホブスに無理矢理呼び出される形。ドミニクを動かすネタとして死んでなかったレティが使われる感じですね。なので、犯罪チームだけど、一応犯罪者を捕まえる正義っぽい立場になるんですね。そういう意味では2作目『X2』っぽいかもしれない。
今までにない特徴としては現役感バリバリのアクション俳優をさらに増量してきたトコでしょうか。ホブスの相棒‥‥なんだけど実は敵組織のスパイを演じてるのがジーナ カラーノ。総合格闘家で映画『エージェント マロリー』では主演。他にも、敵組織の一員としてジョー タスリムが出てきてます。この人はインドネシアのアクション映画『ザ レイド』でシラット使ってた人ですよね。マッドドッグに殺されちゃった人。笑顔がサッカーの岡崎慎司に似てます(私感)。
そんなガチのアクション俳優路線。次作でもその路線は続いていて、次作『SKY MISSION』の悪役はジェイソン ステイサム。『トランスポーター』シリーズでお馴染みのハゲですね。そして、タイのアクション映画『マッハ!!!!!!!!』でお馴染みのトニー ジャーも参戦決定ですからね。世界中からスゴイ人を集めてて、もはやちょっとした『エクスペンダブルズ』状態ですよ。てか、『エクスペンダブルズ3』に出てたロンダ ラウジーは『SKY MISSION』にも出てきますからねw
ということで、終わり。シリーズが長くてとっつきにくいと感じて敬遠する人も多いんでしょうけど、もったいないなぁという気持ちでいっぱいです。超おもしろいですからね。
時間があるならばシリーズ全部順番に観てほしいんですけど「1本しか観る時間ない!」という場合は、直前の6作目『EURO MISSION』観るのが無難ですかね。ウィキペのあらすじ読んで済ましてもいいですし。とにかく5作目『MEGA MAX』でシリーズの色合いがガラッと変わりますので、これ以降の作品を観るのが『SKY MISSION』の予習にはちょうどいいんじゃないかと思います。