すずasすず
是枝監督と主演4人のイメージがあまり合わなかったんですよね。4姉妹のうちの何人かはテレビのイメージが強いというか。けど『そして父になる』はすげぇ好きだし、間違いないのかな、と思い観ました。間違いなかったです。
とはいえ、是枝監督作を網羅してるワケではないんですよね。『そして父になる』は大ハマリしましたけど、それ以前に観たことある作品ってわずかですし、その中でハマったのも『空気人形』くらいでした。
- あらすじ
- 「ボールは友達!」
是枝監督の名前に惹かれたとはいえ、「みんな美人ですねぇ‥‥(ブヒブヒ)」という気持ちがあったのも事実でして。広瀬すずはCMくらいしか知りませんでしたが、上3人目当てだったという側面もあります。
そういう意味では非常に眼福でした。ただ単に3人(4人)がキレイな格好してキレイな映像に収まってる、というだけでも充分なんですが、そのキレイさにそれぞれ違いがあって、その違いが各キャラクターをしっかり説明するようなものになっているんですね。
一番わかりやすいのは長澤まさみで、この人はセクシー一直線ですよね。オープニングから朝チュン。初登場がほとんど裸なのが象徴的です。喪服を着ても一番スカートが短い。女しかいない家の中でもなぜか露出の多い服着てるし、やたらと脱ぐ。すぐ脱ぐ。ごちそうさまでした!
綾瀬はるかは初登場時にシャツインしてるので一目で「こういう人か!
」ってわかっちゃいました。夏帆はマイペースさが服にもよく出てましたよね。喪服っていうのは男だと一辺倒になりがちですけど、女性だと種類があって、そのキャラクターの個性が服にもよく出るんだなぁ、と感心しました。喪服は自由度が少ないけど、だからこそその中で何を着るのか、って部分が際立つんですね。
喪服といえば、広瀬すずの喪服は制服。学生だから当たり前ですけどね。ただ、彼女の初登場はその葬式で、それまでの彼女の姿は描かれないためしばらくずっと制服なんですよ。この制服ってのが彼女のよそよそしさを象徴してるように感じました。もちろん幼さの記号でもあるんですが。そんな彼女は3姉妹の家に転がり込むことになり、その時に初めて私服が見える。ここで彼女の「素」が見えたように感じるんですが‥‥実は心を完全には開いてなかった、というのが本作の中では山場。そんな彼女が最終的にどんな格好になるかというと、全裸ですねw 「もう隠し事はナシやで!!」という解放という意味で非常にわかりやすいですね。そのまんますぎてちょっと笑いそうになりました。
ただ、それと同時に「俺はロリコンじゃねぇよ!!」という気持ちが頭の片隅に湧いてそれは少しノイズでした。上3人のナチュラルエロは大変眼福だったんですけど、広瀬すずはちょっと‥‥。「えっ それサービスのつもりでやってんの?」とか「なにこれロリコン踏み絵!?」とか変な考えがよぎってしまったんですよね。どうでもいいか。
服装が顕著なんですけど、4姉妹がどんなキャラクターなのか、という説明が非常にスマートなんですよね。別に言葉による説明は全然ないんだけど、一目でどんな人がなんとなくわかるし、ちょっとした仕草や行動で「やっぱこういう人だよね」という確信に変わっていくので気持ちがいいです。
本作はキャラクターの説明だけでなく、物語の説明などにおいても言葉による説明が少ないんですが、非常に情報量は多いんですよ。何気ない言動が核心に迫るヒントになっていたり、今後の展開への伏線になってたりする。割と落ち着いた雰囲気の作品だから退屈に感じそうかもしれませんが、全然そんなことはないんですよね。常に何らかの情報が与えられているので、脳味噌のどっかは働き続けるんですよ。そういう意味でも目の離せない作品だったと思います。
4人のキャラクターからはあまり想像できないんですけど、本作はちょこっと出てくる嫌な人、嫌な大人の描写も見事だったと思います。わかりやすいのだと、3姉妹の母と、広瀬すずの母ですね(その夫もだけど)。
前者は、勝手なタイミングで勝手なこと言い出して、場を乱す。「あー親戚にこういう人いるよなー」という感じがすごくリアルなんですよ。あんなこと言ったら長女怒るってわからないのかなぁ、ってのが誇張されすぎない嫌さ。。
後者は、葬式の挨拶を中学生に押しつけるという異常すぎる行動を何てことなさそうにするのが気持ち悪い。あまりにフツーに言うので観てるこっちもその異常性に一瞬気づかない、みたいな感じなんですよね。
そんな嫌な大人は出てくるけど、別に悪役ってワケではないのが特徴的ですね。別にそんなムカつく母親に対して4姉妹が「必ず倒してみせる‥‥!」と努力友情勝利するような話では全然ない。そうなんだけど、ああいう嫌な人が少しでもいると世界観にグッと説得力が増しますよね。あの嫌なヤツがいるおかげで「美人4姉妹の日常ポルノ」ではなくなったような気がします。
ということで、終わり。キャラクターの説明が言葉によってなされないんだけど、それでいてステレオタイプな記号に偏りすぎるワケではない、という絶妙なバランスが最高に魅力的でした。思えば『そして父になる』でも2組の夫婦の対比描写が釣瓶打ちされてましたよね。それが本作では4姉妹で行われていた、という感じ。
90点。
本文で触れるの忘れたけど、原作は未読です。映画が完成されすぎてマンガが全然イメージできないレベル。どんな作品なのかは少し気になります。
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『海街diary』にリリー フランキーが出てきた時はちょっと本作のこと思い出しちゃいました。ストローがりがり!
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未見。まえだまえだは以前にも是枝監督作品に出てたんですね。『海街diary』での圧倒的童貞感は素晴らしかったです。
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