快楽天BEAST2018年 12月号の感想

　Komifloだと画面にハートマークが出てきて、それが「いいね」になっています。定額で大量消費してる身分で申し訳ない気持ちもあるので、押すじゃないですか。ある程度良かったと思う作品にだけ押すつもりでいるんですけど、後から振り返ってみるとほとんどの作品が押されている。
　数字を絶対評価するならいいんですけど、「今月の順位高いですよ」みたいな相対評価を考える上だと、私の1票には大した価値がないんですよ。1票の格差問題。違憲判決待ったなし。
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快楽天ビースト 2018年 12月号

「表紙」kakao

　表紙はやるわ、巻頭カラーでがっつり本編もやるわで大ボリューム。単に表紙やるのも面白いですけど、物語のあるキャラクターを表紙に持ってくるとなるとまた別のオモシロがありますよね。最初はただ1枚の絵としか認識できないけど、後から彼女の物語を知っていく流れになりますので。
　てか、よく見たら本編と格好が違うんですね。同じ日の話かと思ったけど、どうやら違った。付き合った後の光景だったりするのかな。

『メルティギャル』kakao

　巻頭カラー。表紙からの巻頭カラーへの流れが最高ですよね。表紙では脱ぎ始めの雰囲気あったけど、本編1ページではついに脱ぎ。
　あと、前から非常に興味ある件としては、エロマンガ（読切）の巻頭カラー問題。せっかくのカラーなんだからエロいことするじゃないですか。半ば強制的な縛りと言ってもいいと思うんですが、物語の冒頭にいきなりおっ始めるってのも難しい話でして。モノクロページになったら、改めて物語をイチから語り直さないといけない問題。ここの処理ですよね。ここをどう面白くするか、がエロマンガ独自の課題だと思います。
　そんで、本作の巻頭カラー問題。当然いきなりおっ始まって景気がいいんですが、気になるのは “…ずっと庄司に振り向いてほしかった” 、このセリフですね。ただの恋人じゃない、ただの行きずりの関係じゃない。この2人には何か大きなドラマがあるぞ……という期待をあの一言で煽る。そして巻頭カラーが終わり、時系列が戻る。エロ的に盛り上げつつ、物語的に気になるネタを1つ放り込んでおく。これは見事でしたね。
　んで、モノクロ本編。服をがっつり着込んだ姿が初めて見れるんですが、全然印象が違うので笑う。すっぽり覆い隠してた形になるんですね。出発点としてはココなんだけど、表紙、巻頭カラーと長かったなぁｗ
　ちなみに、クリスマス。クリスマスかよ！！ 気が早すぎ……と思ったけど、12月号なのでした。その巻頭カラー作品としてふさわしいネタを用意してきたわけですね。もう年末、クリスマスですか……なんか落ち込みますｗ
　幼馴染だけど、進学校に通う主人公と、とにかくド派手なヒロイン。カラーがあるからとにかく派手な印象は強いですよね。この2人のギャップとしてはバッチリだと思います。主人公に比べるとちょっとバカっぽい印象もあり、彼女の方からやたら積極的に迫ってくる。派手だし、軽い子なのかなぁ……とか思うけど、そこで巻頭カラーでのあのセリフですよ。はい、おもしろーい。巻頭カラーの色による印象、そして時系列をずらした物語の順序による感動が完全に成立しました。最高。こうなるとバカっぽい印象も「真っ直ぐ可愛いじゃないか」みたいな風にあっさり変わるから単純ですね、私が。
　ラスト。読んでてもう付き合ったつもりでいたんですが、違ったｗ 彼女は元気を出すための一夜限りのつもりだし、彼も言い出せてない引け目を感じてた。ここまで尽くされて黙って別れたら男がすたる……と決意した瞬間に物語が終わるのがオシャレ。告白そのものを描く必要はないですね。あそこまでの関係になったのにあっさりを身を引く彼女、そんな彼女の姿を見て彼の中で心が動き……というこの瞬間が物語的には最も重要なわけで、その後の告白そのものはどうでもいい。まぁ、どうせ成功しますしｗ あそこでちゃんと彼の方から、という形になったのが良かったですね。

『小さいけれど大山さん』オクモト悠太

　身長が小さいんですが、胸は大きいです。語りの妙でして、身長の小ささが分かる、他の女性との身長差を横から映すショットよりも先に彼女のワンショットを見せるようになってるんですよね。身長も大事だけど、やっぱりおっぱいが一番大事、という至極全うな主張ｗ
　そして、「大きいけれど小山くん」が登場。この2人の身長差がすごい。前後の物語を知らずにあの雨宿りのコマだけ切り取ったら「絵ヘタなのか？」とか思ってしまうというか、トリックアートみたいな印象すらあるｗ
　とにかく低身長巨乳がポイントの本作なんですが、ここで面白いのがロリ的なニュアンスは皆無なんですよね。ここが最高でした。上司だし、小山くんへの態度も大人っぽく、エロになる際も完全に年上としてリード。ここ、良かったですね。ちゃんと大人の女性の色気が感じられる……んだけど、2人が同時に収まるショットが出てくるとギョッとするｗ
　小山くんも優しいのでしょう、特に身長のことは何も言わないんですよ。コトが始まってからはマジでゼロ。変な話、セリフだけを見たら低身長という設定が死んでるレベル。なんですが、とにかく絵としてのインパクトが強いんですよね。大山さんが積極的だからフェラをして、そのまま69の体勢……になるけど成立しないｗ 届かない。ここで小山くんが「俺も舐めたい」とか言わないから良いですね。あと、背面座位でキスをするんですが、口がギリギリ届く。危なかったですね。ちょっと首がつりそうなくらい伸ばしてるのが面白かったです。面白いんだけど、そのちょっと無理も感じる姿勢ってのが「それだけ相手を求めてる」という心情表現にもなってるわけで。
　そして、最後にタイトルにもなってる名前の件でキレイに落とす。うますぎるので笑った。コンプレックスになってもおかしくないイヤな名前が、あの一夜のおかげで愛おしいものになった、という転換は見事ですね。

『ミスマッチ・ラブ』雛咲葉

　まさかの身長＆バスケネタが連続するので笑った。小山くんはセリフでしかバスケ設定出てこなかったけど、こっちは明確にバスケシーンもある。そして、本作は女性の方が高身長。この対比は面白いなぁ。
　逆に、一致してる部分としては、小さい方が攻めですね。やっぱ意外性とかがあるので巨人殺しになった方が物語的には面白いのだろうか。そんなことを考え出してしまうｗ まぁ、体が大きい方が一方的に攻めるとちょっと暴力的に見えてしまいかねない、みたいなことはあるかもしれませんね。もちろん、大きい方が攻めの作品も可能だとは思いますが。
　身長差を感じるベストショットとしては、倒れ込んでキスするコマでしょうか。倒れることで身長差がなくなり、それこそ巨人殺しみたいなことになるんですが、倒れてもやっぱ体のデカさ、長さが違いますね。彼女の方が窮屈そうに体を曲げててとても良いです。
先ほどの作品もそうでしたが「多少無理してでも」と見て感じられるところが気持ちの強さの表現になってると思います。
　あと、すごい良かった部分としては、学園の女子から王子様扱いされてるヒロインがエロい関係になるに従って可愛くはなる……けど、過度に女の子全開にはならなかった件。ツンデレじゃないけど、割と好きな人が出来たら安易に別人のように変貌しがちだと思うんですが、そこまでではない。彼女の言動は最初から最後まで一貫してるのが良かったです。彼女の王子様性が否定されるわけではない。
　そこで面白い副産物。彼女が最後まで王子様の地位、人気を保ち続けたおかげで、モブ女子からの黄色い声援が “まんまBLじゃない！” となるんですよね。ものすごく変わった形だけど、最初の方で彼の方が嘆いてた「モテたい」という夢が叶いましたねｗ 女の子を男扱いして面白がるのは行きすぎると正直ちょっとどうかと思うし、男の恋人が出来ても継続するのは可哀想となってもおかしくないんですが、本作においては主人公カップルの2人を理想として受け入れてるわけで、物語的にはキレイな着地ですよね。

『一回抱いてみ!?』きづかかずき

　同棲して半年何もないカップル。事前に特別な取り決めがあるわけでもないなら、確かに怖いですね。んで、タイトルの通りになるんですが、蓋を開けてみたら彼が性豪で……ではない。度を超したおっぱい好きでした、という話。
　彼のおっぱい好きぶりが徹底しててすごい。最初の射精まで常におっぱいに触れてる。顔か手が常におっぱい。一応素股で射精するんだけど、おっぱいを堪能しつつの「ついで」という感じすごいですよね。これは彼女もキレるわｗ ほぼ顔も見てないですよね。この一方通行感すごい。
　んで、彼女が反撃に出て挿入まで行くんですが、彼が再びおっぱい責めが始まる。パイズリはいいけど、挿入中はおっぱい味わえないからおっぱいに手を出す。これで、前半のおっぱい責めのフリが効いてきまして、あそこで彼女はすっかりおっぱいを開発されちゃったんですよね。徐々におっぱいだけで感じるようになる、というグラデーションが丁寧に描かれてました。そのおっぱい責めが挿入中に帰ってくるので、興奮はクライマックス……という展開がキレイでしたね。おっぱい好きがバカやってるように見えて、意外と無駄のない構成になってたと思います。

『記憶と後悔』藤ます

　生徒会長と下僕と呼ばれる男子生徒が説教室でエロいことになる……だけだとよくある話だと思いますが、そこから1つ、2つと特殊な設定が加わってくるので驚きました。そんな徐々に明らかになっていく2人の関係が、セックスを通じて語られていくのが見事でしたね。挿入はすべてが明らかになってからですけど、エロいことが始まるのはなんと2ページ目。はっやｗ エロいことを続けながら秘密が明らかになり、物語が展開していく。これマジですごい。エロと物語的なオモシロが同居してる。
　第一の秘密として、セックスが始まると彼の記憶がなくなる。 “俺は彼女の性欲のはけ口に使われている” とあるので、記憶がなくなるから生徒会長が好き勝手やるのに利用してる、だと思うじゃないですか。違う。彼が興奮するとタガが外れて暴走してしまう、だと思うじゃないですか。少し違う。
　序盤、彼女が過剰なまでに一方的に攻める。まぁ、彼女がエロいんでしょう、とか思ってたけど、それだけじゃない。目覚めの儀式だったんですね。彼女はエロエロなんですが、自分が気持ちよくなるためのエロではなく、男側の性的興奮をあおる行為が連続する。彼のことを利用するにしてはおかしいですよね。過剰なまでに淫語が連発されるんですが、それは彼女の性格もあるんでしょうが、何よりも彼の中の何かを引きずり出すために必要な訴えかけ、という見方も出来ますよね。
　んで、最後に明らかになるのが、二重人格。そうきたかｗ 記憶がなくなるのと、彼女が男の興奮を煽り続けた謎が1つに繋がりました。最後にトリガーワードで一押しするくだりとか丁寧で分かりやすいですよね。わざわざ劇中に「二重人格」という言葉は使わずに説明できてるからスゴイ。一応もう1人の彼に名前がついてて、それを呼ぶことで二重人格の説明の補強にしてるんですが、その名前がひどいｗ
　セックス中にしか現れないので生徒会長の秘密は永遠に守られて……と思ったらハメ撮りが最後に行われてエンド。タイトルが「後悔」だから大変なことになるかと思ったんですが、そんなことはなく表の彼が知るだけでした。知ることで忘れてることを後悔するわけですね。う、うまい……。

『おんなのこのかきかた』平間ひろかず

　3度目の身長差……だけど、本作は見た目が幼いという部分が強調されてるので、ちょっと無理あるかｗ
　タイトルが平仮名なのは多分中盤にある「引っ掻く」という行為に掛けてあるのかな。違うかもｗ
　大学の漫研のOGにエロ漫画家がいて新人をアシ狩りしていく。と思ったら女性キャラが描けないのでヌードデッサンやることになる。アシ狩りは伝統的に行われてるけど、ヌードデッサンはそうではないってのがポイントですね。もちろん彼女がエロいのは変わらないんだけど、いろんな偶然が重なることで、ヌードデッサンからのあんなことやこんなことになる。いつもやってることだけど、彼は今までになかったイレギュラーで、それ故に特別な関係になる、というが大変良い。もちろん彼女の方はそんな特別には感じてないんですがｗ
　先輩がヌードデッサンさせてくれる、という体裁なので徹底して彼女の方が優位に立ってるのが最高。彼女が指示、指導するので行動としてエロいことを攻めるのは彼の方なんだけど、精神的に上にいるのは彼女。まぁ、よく考えると筆下ろしモノですね。最高です（大好き）。ところどころで彼女の方が彼を可愛く思うくだりが入るのとかマジ最高。
　しかし、ただの筆下ろしものではなく、あくまでもヌードデッサンという体裁が加わることで特別なエロさが生まれてるから素晴らしいです。全身を撫で回すことになるんですが、もちろん愛撫に他ならないんだけど、「あくまでも質感を確かめるためだから！！」という言い訳ですね。この言い訳があることで、ただの愛撫シーンとは違って質感を想像させるチカラが強いんですよ。この効果がすごかったですね。ただ撫でる、ただ触るだけの場面がめちゃくちゃエロい。

『妄想バレバレ』夏桜

　エロ漫画家からのエロ小説家。
　古民家カフェの店員なので和装してて可愛い、というのがエロマンガ的な都合でもあるんですが、「そんな特殊な設定だからバレてしまった」という理屈にもなるのが良いですね。ぶっちゃけ都合全開でエロいシチュエーションになるのもまぁアリだと思いますけど、本作は丁寧。
　タイトルの通り、妄想の結晶であるエロが小説がバレて、それの追体験をすることになる。夢のようだと思いますが、本作が真に素晴らしいのはその先だと思います。いざ挿入、となった時に主人公が彼女の持つ小説を奪うんですよね。彼の妄想の中の彼女ではなく、目の前の彼女自身が好きである、という彼の情熱の発露として感動的だったと思います。
　さらに、その表現方法もめちゃくちゃ気が利いててですね。挿入前、小説を片手にしてた時は小説の再現ですので、とにかくセリフが多いんですよ。小説と同じセリフを言ったりするので当然なんですが。一方、小説を捨ててからの挿入後。最初、彼女は小説通りに動こうとするんですが、主人公がそれを否定。そこからいよいよ本番なんですが、驚くほどにセリフが少ない。喘ぐので文字はあるんですが、意味のある文章は本当に極一部。これすごいですね。小説と中の外、2つの世界の対比としてセリフの量で違いを作る。小説とマンガの表現の違いとして文句のつけようがないですよね。小説は文字、マンガは絵、そりゃもう納得ですよ。すごい。

『Inside-out』長頼

　お嬢様学校の子が秘密のパーティーに誘われて大変なことに……と思ったら違った。この導入はすごい。処女奪われる場面が描かれない。前後が描かれて終わり。すぐさま数日後。この「えっ違うの！？」と驚かされる感じ、良いですねぇ。ジャンル詐欺というか、予想を裏切ってくる。
　んで、未知の世界に触れてエロに目覚めちゃったのかと思ったら、それどころじゃなかった。彼女の方からキスを求めてくるので「チョロいなぁ」とか思ってたらガブリ。エロ的に暴走してるだけじゃなくてちょっと暴力性、加虐性みたいなスイッチも入ってるのが怖いですね。かといって女性を傷つけるクズに復讐する爽快感のある話でもなく……という案配がめちゃくちゃ面白い。彼女はエロを求めてるのも間違いないんですよね。ただ、とにかく不気味。
　面白いのが、パーティーの場面である序盤と、数日後の再会。この2つの場面で主人公というか語り手が完全に交代してるんですよ。モノローグが描かれるキャラが見事に代わる。これが面白いですね。主人公だと思った人が悪役っぽくなり、悪役だと思った人が主人公っぽくなる。もちろんどっちも悪だし、どちらかと言えば男がクズなのは間違いないんですが、とにかく彼女の不気味さの表現がハマってる。何考えてるか1ミリも分からない感じが最高ですね。最後の有無を言わさず相手のチンコを立たせるくだりもエロい、けど不気味。トータルで言えば不気味とか怖いみたいな印象が勝つんですけど、その不気味さもエロとは表裏一体だよな、とか考え出すとキリがないです。

『グッドシェア』八樹ひより

　何をシェアするかと言えば、シェアハウス。なんだけど、実際は居候。手違いというか騙されて金だけ取られて、住人のいる部屋にあてがわれた。そこには三十代の鬼上司。
　精神的にいっぱいいっぱいで年齢的なこともあり焦っている主人公と、ちょっとぼんやりしてて何考えてるか分からない、が受け身でちょっと可愛い部下の2人のキャラクターが最高ですね。会社辞めるつもりだからと暴走する主人公もエロくて良いんですが、部下の方もまた良いんですよね。特に、帰ったらエプロン姿で迎えてきてくれた場面とかちょっと「俺もキャリアウーマンになりたい」とか思ってしまったレベルｗ なったところであんな出会いはありませえん。とにかく、ちょっと抜けてる感じが癒しなんですよね。
　料理もおいしそうで最高やんこの子……とか思ってると、約束のことをきっちり覚えてる。意外としっかりしてるというか、そこは割り切るのかい！！ という残念な気持ちだったり、独りで舞い上がってた主人公の空回り感ですよね。そっからの “三十路の性欲なめんなよ!!” は笑った。あってか、年齢ぼかされてたけど、三十路って明言してますね。言葉のあやでアラサーなのかもしれないけど、三十後半ってことはないのかな。それで一回り下ってことは、新卒22か、高卒18で入った新人の可能性もあるのかしら。そんな部下と同居でエロとか最高じゃないか。なぜか本作、女性側へ感情移入してしまうｗ（感情移入というか憧れ？）
　そっからまさかの逆転劇が始まるのがマジ最高。彼の意外すぎる一面が露わになる。約束が終わったらようやく本音を出せるってことなのかな。やっぱ意外と冷静で、しっかりしてる。割り切りがすごいよ。そんな彼のギャップも魅力的だし、主導権奪われた三十路の方も可愛いですよね。単に可愛いってのもあるけど、それまでのセックスは会社と同じ上下関係だたので、彼女のストレスのはけ口としての機能はイマイチだったんですよ。会社とまったく違う関係性でセックスすることで彼女の問題は初めて解決される、というのが伝わってきてちょっとした感動もあるし、そんな開放感があるから余計にエロい。
　エピローグ。騙されてなかったんかい！！とオチがついて終わり。これ、ひょっとして彼は演技してた？？みたいな余地も感じてしまうのは私だけかしら。彼の意外と冷静な面とかを考えるとなくもないのかー？？とか考えてしまいます。

『graduate study』もくふう

　やったーサンタだーｗ 12月号ですね。こういう季節感は雑誌として大事だと思います。正直まだ気持ちがクリスマスにはなれませんけど、やっぱ女性のサンタコスは可愛いですよね。太った爺さんの格好してるだけなのになぜあんなに可愛くなるんだ……
　そんな衣装がやっぱ本作最大の魅力でしょう。1ページ目からサンタコスが見れるんですが、姿勢の関係で実は全体がよく見えてなかった。その後、時系列が戻って私服、コートと経由してから例のサンタがどーん、という流れ。思ってたより可愛い！エロい！！となりますね。この構成はうまかったなぁ。最初に「サンタですよー」と期待を煽ってから、違う格好を経由してから満を持してどーん。まぁ、私服もコートも充分可愛いんですけどね。
　飲み会で披露するサンタコス。押しつけられる形で着るんですが、押しつけたのが女性ってのが本作の良心。竿役の助教授がセクハラを気にする発言もありましたけど、そこらへんめちゃくちゃしっかりしてるのが良い。彼女は助教授の知的なところに惹かれたわけで、だからセクハラを気にする常識を持ってるのも納得ですね。そして、サンタコスを押しつけた女性（助教授の同期）は、最終的にああなることを分かっててやったんじゃないかなぁーと最後になると思えますね。自分は着ないし、真っ先に助教授の意見を求める。そして、その他の学生の後始末も率先してやってくれる。
　衣装が最大の武器である作品だからなのか、作者の作風なのかは分かりませんが、コマ割りがかなり自由というか、エキセントリックな気がしました。コマ割りはあるんだけど、キャラクターがそれを乗り越える度合い、頻度がめちゃくちゃ高いというか。とにかく衣装が魅力的なのでそれを大きく見せたいってのもあるのかな。冒頭の説明的な場面（2、3ページ目）でも結構奇抜なコマ割りになってて面白いんですが、やっぱ最高なのは盛り上がりがピークを迎えたクライマックス。言葉も少なくなったのもあり、いよいよ盛り上がって理性が飛んじゃってる感、本能で動いちゃってる感が出てて最高だと思います。改めてですけど、やっぱ衣装が可愛い。

『摂食』榎乃

　不穏なタイトルの時点で勝ちだと思います。摂食障害とかは聞くけど、摂食だけは意外と聞かないですね。生きる上で必要な食事、という意味ですけど、当然本作では「食べる」がエロい意味。
　大学生のバイトが年上の女性に捕まり、食べられる話。エロい店にやってくるエロい女性で、いきなり捕まって、いきなり関係が始まる。彼女の正体がどうこうみたいな話は一切ゼロ。とにかく「そういう人」として終わる。ここでタイトルを思い出しますけど、彼女はそういう人なんですよね。生きる上で必要な食事（性）の量が多い。特別なものではなく、日常として性をむさぼる。
　さらに言うと、彼が元気すぎる件。もちろん資質もあって、だから彼女に気に入られたんだと思いますけど、本作で数少ない説明パートで “たまに夕食を作ってくれるんだけど” “そういう日はなかなか興奮が収まらない気がする” ですよ。なんか盛られてるーｗ 彼のことを「食」で支配するあたりも、タイトルとの関連を感じさせて良いですね。説明的な描写がとにかく削られた作品だからこそ、語られてる情報が濃い。

『音ハメ語り』桜去ほとり

　「ぴょんぴょん」「ちらっ」「ぺこり」みたいな擬音が吹き出しの中にあるので、変な表現をする作家だなぁ……とか思ってたら、意図的でしたｗ 変な作家ではなく、変なキャラ。日本のオノマトペ好きの留学生の話。名前がNoma Tope（ノーマトープ）なので笑った。そのまんまかいｗ
　ちなみに、彼の方も大沼澄平。オオヌマトウヘイ、オーノマトーペイってことですね。すごい、言葉遊びが一貫してるｗ
　とにかくオノマトペを口に出す2人の話。この時点で面白いんですが、マンガというメディアへの合致がさらに面白いんですよね。マンガにオトノマトペは付き物で、通常の作品でも多用されてます。ただ、本作はそのオノマトペが吹き出しの中に入ってる、というだけ。メタ的、実験的な試みが面白いですね。めちゃくちゃ変なことをやってるんですが、吹き出しの中にあるだけなので、ぶっちゃけ読んでる最中はそこまで違和感はなく、読みにくいということは特にない。
　マンガとオノマトペで面白いんですが、本作はさらにエロマンガなわけで。当然エロが重要になってきます。行為が始まっても口頭オノマトペは続行するわけですよね。劇中のキャラクターがオノマトペを意識的に発することで、実況みたいな味わいが生まれますね。今行われてるエロい状況について2人が冷静に観察しているニュアンスがあると思います。彼らがどう感じてるかが丁寧に説明されるので、それを読んでる読者としてもその感覚がリアルに浮かび上がってきてエロいんですよ。実験的なオモシロを優先してるだけの作品ではなく、しっかり実験的な手法がエロに役立ってる。これが見事ですね。実験性が表に出過ぎると作者のオナニーになりかねないんですが、それがエロを引き立たせる方法として機能してる。

『スリル-Revenge-』武将武

　ツイッター見てたら知ったんですが、続編らしいです。1年ちょい前の作品の続きらしいです。マジかー、Komifloのバックナンバーでちょうど見れないやつだ。Komiflo殺し。前作を読もうとしたら、単行本かビーストのバックナンバーを買うしかないんでしょうね。まぁ、将来的に買うことになると思います。Komiflo読者を殺せるので、1年以上前の作品の続編作ると売り上げ延びると思いますよｗ
　スマホのカードゲーム。姉の友人が絡んできて、ゲームで勝つとエロいことをしてくると思ってたら、今日はやたら勝ってしまって……という話。やっぱ前作は負けまくるんですかね。気になる……
　彼女がわざと負けてる、というのは主人公も気づいてるんですが、だからといってエロい要求を我慢できるわけもなく……という彼女の手の上で踊らされてる感、落とされてる感が素晴らしいですね。主人公が命令してエロいことをしてるようだけど、実際は命令させられてるに過ぎない。たまたま彼女が攻められるのを求めてる。もしくは彼が自発的にエロにおぼれていくのを求めている。それにキッカケ、トリガーとしてゲームが利用されてるだけ。
　そのスマホゲームってのが効果的でして。実際のカードゲームがモノを用意しなくちゃいけないので邪魔ですし、据え置きの対戦ゲームだと室内に限られちゃうんですよね。屋外で、裸になっても続行できる、という意味においてスマホゲームがベストだったんでしょう。いやむしろ、スマホゲームという設定でエロ的に広げるとこういう話になるのが必然だったんでしょう。割とマジでこの設定は見事ですよね。やっぱ前作がなぁ、読みたいよなぁｗ

『甘えたがり系引きこもり彼女』海老名えび

　どうでもいい小ネタなんですけど、「せんべいクリッカー」で爆笑してしまった。懐かしいｗ 時間を無駄に使う象徴のような扱いですね。まぁ、その通りだと思いますｗ 良いネタ持ってきたなぁ。
　話としてはタイトルの通り。就活に失敗して引きこもりになった彼女と就活中の主人公のあれこれ。ここで大事なのは、彼が就活中で、別に絶好調なわけでもないし、疲れてて就活に嫌気もさしてるという点。なので、一緒にいよう、一緒に引きこもろうという彼女の主張は悪魔の誘いのように聞こえるんですよね。そっちに溺れてしまいたい気持ちも間違いなくある。意見が真逆の2人だけど、仲の良いカップルなのでセックスに関してだけは目的が合致するので、セックスを通じてコミュニケーションを重ねていく、というのが面白い。
　セックスが始まってから物語が動くというか、物語的にもそっちの方が本番なんですよね。なぜ彼女が彼の就活に反対するのか。そして、なぜ彼は彼女の甘い誘いを断り続けるのか。これが明らかになった時に「仲良しすぎんだろ！！」という微笑ましさがヤバイ。彼女としては、社会に出たら一緒にいる時間がなくなり、外の世界の女性に彼を奪われると心配。一方彼は、彼女のことが本気で好きでずっと一緒にいるために働かなければならない、という強い意志。真逆のこと言ってるけど、最終目標が合致してるケンカかと思ったら最強のノロケでした、みたいなオチ。最高ｗ
　あと、ご褒美的に最後、彼女のスーツ姿が見れるのも嬉しいですね。スーツ姿もめっちゃ可愛いやんけ（女性のスーツ好きです）。

『NTRチューバー』ワカメさん

　読み方は「ネトラレチューバー」。明け透けなタイトル、清々しいですね。
　ヒカキンならぬビラチンｗ ビラチンが助手を動画で募集してたので、それに応募した子の母親の話。娘じゃねぇんだ。母親はビラチンに特に興味ない、という距離感が本作の肝ですね。娘が何か知らないものに夢中になってて心配、という無理解故の不気味さ。ぶっちゃけ私もユーチューバーには馴染みがないので「どうせロクでもな奴がやってんだろ」みたいな偏見は多少あります。そういう偏見、親からしたら心配のデフォルメが本作ですよね。娘が夢中になってるよく分からないこの人がクズだったらどうしよう、という心配の具現化。
　ビラチンとしては応募のあった娘に迫るつもりだったけど、母親が想像以上に美人なので予定変更、ということなのだろうか。ロリコンじゃないのはむしろ健全だぞ（クズなのは変わりません）。いや、娘が相手だったらフツーにアシスタントをお願いしてた可能性もなくはないのか。母親が美人なので急遽エロい気持ちになった、とか。
　タイトル。ネトリチューバーではなく、ネトラレチューバー。要するに、ビラチンのことではなく、主人公のことを指してるんですよね。単に寝取られるだけではなく、チューバーになってしまう、チューバーとしての立場を受け入れてしまうまでの話。この最後まで読むとタイトルの意味が一段階深く理解できる感じは面白いですよね。第一印象が覆る快感ってのは物語を楽しむ上で最重要なことの1つだと思います。

『蠱惑の里』内々けやき

　「第2夜」。あれっ、今回はKomiflo限定版ないんですね。期待しちゃったんですが。ノーカットもそうだけど、修正も弱くなるので楽しみだったんですが。内容は同じでもいいから修正だけでも何とかならんだろうか……ってそれ言い出したら他の作品もそうなんですが。
　巫女じゃなかった方の子が蟲の毒に犯されていくのが今回。友達の巫女を救い出す線も考えてたんですが、そう甘くはなかったですｗ
　蟲のチカラによって女性として開花……と言うと聞こえが良すぎますがｗ エロに溺れていく。女性らしさを得ること自体は彼女の願いとも合致するんですが、どう考えても良い方向には転ばないよなぁ、という不気味さ。
　男たちをエロで魅了してご満悦ではあるんだけど、一番大事であるはずの好きな彼がその場にいないってのが不穏であり、泣ける。彼以外の男に好かれたって仕方ないですよね。その感覚が抜けてる、そこまで考えが回らないほどに毒が回ってしまっている、という悲劇。この「エロいんだけどこんなのダメだよなぁ」という風俗店で説教始める親父みたいな二律背反が悩ましいですｗ
　毒が回って正常な思考が出来てない、という表現として “でもそれって本当に望んでいた事なの？” のコマが秀逸。喘ぎ声と重なって読みにくいんですが、その読みにくさこそが彼女の思考の表現としてバッチリなんですよね。面白いことするなぁ。
　んで、主人公が交代しそうな感じでエンド。島の人間だと誰でも蟲の適性があるかもしれない、ということで、今度は島の外から来た女教師。島の、祭りの異様な雰囲気に対して疑問を抱いている感じが良いですね。ちょとした探偵役みたいな雰囲気も出てる。やっぱメガネは知性の象徴ですわ。とても良い。次回はメガネvs蟲って感じになるのかしら。主人公が交代しそうな雰囲気あるので、結構長い連載になりそうですね。教師で終わるとも限りませんし。

『アナルと魔法のランプ』火鳥

　続編ってことでいいんでしょう。もしくはシリーズ。毎回アナルなのか……
　ランプの魔人に対して「肌の青い女」と言ってるのでディズニー版のイメージが強いのかな（大元について詳しくないんですが）。今度実写化するらしいですね。ウィルスミスだってよ。可愛くねぇな……
　ランプをインしてしまったので、魔人がケツから出てきてる絵面が強烈すぎるｗ てか、ランプ入れる向きってそっちだったのか。てっきり先端の部分だけ入れると思ってた……
　魔人と1対1で漫才的に進むかと思ったらBJ参戦。後崎もBJも無駄にこだわりが強くてめんどくせぇ。魔法あるのになぜあんな目になるのか。
　当然3つの願いなんですが、3つ目でキレイに落ちるのでちょっと感心してしまう。散々な目には遭ったけど魔人の思惑通り2つで満足させて……でひどいオチ。ひどいハッピーエンド。

「読者コーナー」

　赤城あさひと先生のイラストがめっちゃキレイかつ、冬の季節感バッチリなので良かった。もう12月号なんですね……サンタ作品も載るわけだわ……
　『グッドシェア』のヒロイン紹介。彼女の名前、サド原さんだったのかｗ 納得しかない。

goo.gl

　終わり。アンケートに沿って面白かった作品を3つ選ぶならば、『記憶と後悔』『おんなのこのかきかた』『音ハメ語り』になるかな。アレもコレもと言いたくなるんですが。
　ちょっと今週の3選、バランスが良いというか、それぞれ良さが別方向なので気に入ってます。良い号でした。ぶっちゃけ全部良かったです。

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