あけましておめでとうございます!
— Komiflo (@komiflo) 2019年1月1日
Komiflo 1月の雑誌配信日カレンダーをお届けします♪
エロマンガ雑誌が1年分読み放題のコミフロはこちら!→ https://t.co/QwrKf7BmLp
5日 ホットミルク 2月号
12日 快楽天BEAST 2月号
17日 失楽天 2月号
26日 X-EROS #75
29日 快楽天 3月号 pic.twitter.com/eUzqvaMytf
今月のKomiflo配信カレンダーなんですけど、みんな適度にばらけてて最高じゃない? 各間隔が7-5-9-3ですよ。ゼロス快楽天のスパンが短いとはいえそれでも3日ありますし。安心しております。
- 「表紙」藤丸
- 『魔王(♀)の押しかけセックス』しんや
- 『夢現ロマンティック』雛原えみ
- 『ママのカレ』いーむす・アキ
- 『めぐみの果実』藤丸
- 『真夜中のプロローグ』さめまんま
- 『乳繰りアニマル』SAVAN
- 『夜回りセッ…』石川シスケ
- 『コタツファイト』もず
- 『かわいくてもオオカミ』Noise
- 『ヒミツのおしごと』雲呑めお
- 『初乗りぷらいすれす』ねとろもりこん
- 『青春リビドー山 女スパイ物語』位置原光Z
- 『私…変われるかな…?』いちまつ
- 『DOLLS』えーすけ
- 『おかしまつり』mogg
- 『シンデレラアポロジー』外山じごく
- 『お姫さまジャンキー』ハードボイルドよし子
- 『あめのちうららか』江口ジョーズ
- 『あなただけのわたし』ゆずのきいち
- 『犬噛くん、今日誕生日だってよ』和六里ハル
- 『思い出』「タカシ」
- 『クロッシングナイト』秋谷昭
- 「読者コーナー」
「表紙」藤丸
背景にフルーツが転がってるのが本編との関連ですね。この表紙を最初に見たときは本編があんなにギャグ全開になるとは思っていなかったですw
表紙の方だと微妙にアップになってて気づきませんでしたが、フルーツのカゴの中に女性が入っちゃってるという感じなのですね。ちょっと本編のノリに近づいてきたかな。
『魔王(♀)の押しかけセックス』しんや
フルカラー6ページ。6ページの短編にしては設定が特殊なため物語要素も濃く感じます。これ結構すごいのではないか。オチが付くとかはなく、導入の部分で話としては完結してるんだけど、逆にいうと、6ページの短編のためにあれだけ特殊な設定を用意したということですよね。導入に2ページ使っちゃってて面白いバランスだと思います。ただ、その導入が終わると裸になるので衣装の魅力とかは堪能できるんですよね。あの衣装すごい好きです。
あと、面白かったのが男性の顔。ほとんど描かれなくて、何なら異世界時代の方が真正面から顔が描かれてるので笑いました。男の顔が描かれないまま終わる作品はそこまで珍しくないし、短編だとよりその傾向は強くなると思うんですけどね。てか、男性の格好、異世界時代もスーツっぽい感じですね。吹き出しでよくは見えないですが。
『夢現ロマンティック』雛原えみ
これすごい。マジすごい。年間で考えても屈指のレベルで面白かったと思います(年始に言いがちな表現w)。
思春期特有の性への関心、それと同時に生じる「そんなのいらねぇよ」という無意識的な反発というのが丁寧に描かれてて最高ですね。この序盤のくだりで既に傑作だと思います。異常に色っぽく見えてしまう前の席のあの子を意識しすぎて夢の中にまで出てくる始末。「男をたぶらかしてけしからん」みたいな勝手なこと考えてるのもちょっとリアルですよね。エロいのは男の方なのにw
んで、夢と現実の境が徐々に曖昧になっていき、やがて現実にも浸食するようになる。せっかくなら夢と妄想だけで完結した方がコンセプトの完遂として面白かったかなぁ……なんて最初は少し思ったんですが、あまかったです。本作はもっとすごかった。男がキレイな女の子の魅力にやられちゃう話だけだと思ってたんですが、違うんですよね。 “…そもそも普通の女の子も性欲ってあると思うんだけど 女の子を欲情させちゃう佐藤くんだって嫌らしい男の子なんじゃない…?” ですよ。この一気に逆転する感じ、最高です。彼女のことを見てエロい気持ちになってたけど、それは一方的な考えで、女性が同じようにエロい気持ちになっててもおかしくないですよね。彼女は「見られる」だけの存在ではなく、彼女にも意志があるので、彼女も何かを「見る」んですよ。しかも、よりによって主人公が彼女のことを見てた(見て悶々としてた)ことが彼女に筒抜けで、それが原因で彼女がエロい気持ちになってた、とかあまりに衝撃の展開かつ納得の大きい展開なので頭をガツーンとやられた気分です。これはマジ見事ですわ。エロマンガだから男性本位になってしまうのはある程度仕方ないと思いますが、そこから「女だって男と同じように」と広げるのはスゴイ。エロい目で見てる、というのは主人公の行動であり、それは同時に我々読者の行動でもあるんですよね。それを見透かされてる驚き、そしてそれによって彼女も同じようにエロい気持ちになってる、という既存の考えが根底からひっくり返されるような衝撃。まじやばい……
エピローグ。エロいことはしてないし、エロい格好もしてないんだけど、ひょっとした本作の中で最もドキッとさせられますね。てか、彼女は涙ボクロ、おっぱいボクロがあるから強いんだよなぁ。否が応でも見てしまう、視線を吸い寄せる魔力がある。
『ママのカレ』いーむす・アキ
オチでやられた。タイトルについて理解したつもりになってたけど、まさかのオチ。これは笑うわ。こんなんずるい。
本作の特徴……てか『夢現ロマンティック』の直後だから余計に感じることなんですが、モノローグがない。一切ないです。主人公が誰かよく分からないんですよね。男な気もするけど、タイトルから考えると娘でもある。とにかくモノローグがないため、誰の本心も分からないんですよ。特に気になるのは男なんですが、アイツは本気で恋人の娘に手を出してるのか、 “本当はっ 紗綾ちゃんだよっ!!” とクライマックス言ってたあのセリフは本当なのかちょっと怪しい。てか、恋人の娘に手を出す時点で相当なクズですからね。どこまで信用していいのか分からない。それに母親の方との関係もうまくいってるっぽいんですよね。マジで娘の方に入れ込んじゃったと見ていいのか?
エロ的な話をしますと、個人的に歯磨きシーンが非常に好きでして、口の中を見せてくる場面が最高にエロかったです。2人の関係が明らかになる印象的な場面ということもあり、マジ最高でした。あの「あ~ん」たまんねぇなぁオイ。
『めぐみの果実』藤丸
知らず知らずに男をその気にさせてしまうめぐみさんの話。めぐみさんが自覚的にエロいわけではないってのが特徴ですね。無自覚的に誘惑してしまって、結果エロいことをされてそれに困りつつも、抵抗とか困るレベルが低いんですよね。「仕方ない」と受け入れるまでの壁が異様に低い。もちろん彼女が悪いとは言わないけど、責任はないけど原因はあるんだろうな、というキャラクターが面白いです。怒りつつもガチで怒ってる感じじゃないのが良いよなぁw
あとはフルーツでのダジャレがすごい。ここまでギャグに走る作品とは思わなかったんだぜ……。こういうギャップについては表紙担当作品の特権ですね。「こんなだったのw」という驚きで1回楽しめる。
フツールでダジャレやるだけかと思ったら、突然 “その点 若いお兄さんはすごいわ” “最後まで汁たっぷりだもの” とか差し込んでくるからずるい。トッポやめろw 絶妙に古いネタで不意打ちとか笑うだろ。
ラスト。無意識的に男を誘惑するのは旦那が相手でも例外ではなく、というオチ。可愛いのに妙に色っぽいとか、あんな奥さん最高だろ。羨ましいわ。
『真夜中のプロローグ』さめまんま
さめまんま先生の前作が狂おしいほどに好きでして新作は楽しみにしてました。期待しすぎるのもどうかなーと思いつつ期待をやめられずにいたんですが、めちゃくちゃ面白いじゃないか。感謝しかねぇ……
導入部分がまず良い。丁寧でじっくりしつつも酔って感情の起伏が激しくなってるヒロインが可愛いし、たまぁに胸とか笑顔を意識してしまう感じとかすげぇ説得力ある。
あと、地味に良いのがネカフェの店員ですよね。なにあの妙にキャラの立った人。物語とは関係ない余計な一言(モノローグ)をぼそりと漏らしてくるのがやたら印象的。主人公たち2人の運命的とも言える出会いに意識が行くし、何なら舞い上がってしまうけど、この世界には2人以外の住人もいるし、その他の人にこの2人がどう見えているか、みたいなギャップが面白いですね。主人公たちは非日常に浮かれてるけど、完全に日常モードで見てる他人からはこの2人は違って見える。多面的というか、重層的というか、作品に奥行きが生まれますよね。まぁ、単純にクスッとくる魅力なんですが。
ペアシートをかけてのジャンケン。はいはいこれでペアシートになって密室で始まってしまう……とか思ったらジャンケン勝つので笑った。エロマンガだからどうせ、という読者の予想を裏切ってくるので面白い。主人公も “勝ってしまった…” と後悔してるのが面白いですね。この時点で期待があったのか、彼女への罪悪感なのか。
離れることで余計に意識してしまったのか、オナニーしてしまい、それを見られることで2人のパワーバランスが決定づけられる。彼女の方が年上ってのが元々あったのでもうダメですねw 惚れた弱みと言えばキレイですが、「酔っぱらいうぜぇ」のスタンスが完全に失われしまう情けなさが最高。
あれだけ騒がしかったのにいざエロが始まると口数が減って急に静か、というギャップが素晴らしいですね。ネカフェというシチュエーションだからというのもそうなんですが、静かになると急に色っぽい。黙ってれば美人効果ですね。……そんなことを考えながら読んでたら主人公が “…声…ききたい…” ですよ。やっば、感想が主人公とシンクロしてしまった。というか、作者にまんまと踊らされてる。とにかく、主人公が彼女に対して初めて前のめりになったその瞬間に、序盤にあった前髪のくだりを引っ張ってきての彼女からの語りかけ、からのキス。いかん、最高だ。ここまで丁寧に気持ちが通じ合う描写をされちゃうともう文句ないですよね。
ラスト。タイトルの通りこれから2人の物語が始まる、という余韻を残してのエンド。素晴らしかったですね。素晴らしかったんだけど、Komifloのコメ欄がラストの男の角オナについて盛り上がってて爆笑してしまった。まぁ、たしかに気になったけどw(ツイッターによる作者の友人の話らしいです)
『乳繰りアニマル』SAVAN
こないだ『イチャつきアニマル』があったのでその続編かとも思いましたが、どうやら違いそうですね。格闘技? 部活? における恋模様みたいなシリーズということなのかな。
『イチャつき』の方はフルカラーの短編だったので、今回はエロが始まるまでの焦らしとも思えるパートが最高ですね。主人公の女の子からしたら最初から大好き全開なので何ならすぐにでもエロが始まってもおかしくないんですが、彼の方が笑えるくらいに鈍感。キスしてもダメとか良いですね。偶然ぶつかったとでも思ったのかw
と思ったら、さすがに彼も意識するようになる……んだけど、それとほぼ同時に彼女の方のスイッチがオフになるんですよね。彼女が攻めてるときは彼が気づかなくて、彼が気づき始めると彼女が攻めるのをやめる。ここらへんがもどかしくもあり、2人の関係性が可愛らしくて魅力的です。普段通りの状態が互いにとって理想の形であり、それこそが好きという感じですよね。
『夜回りセッ…』石川シスケ
夜回り先生と引っかけるなら「ッ」まで入れちゃダメだろw
とにかく、先生が女子高生を保護したと思ったら、実はその子は援交をしようとしてて、その穴埋めを求められる。面白いのが先生の理性の弱さでして。 “え!? ラッキー!!” は正直すぎるので笑った。そもそも彼女から迫る前の段階からおっぱいガン見してたのがバレてて……というのがね。もう立つ瀬ないですね。そこを指摘された時点で2人のパワーバランスは決定。
あまりにエロが表に出てるので忘れそうになるけど、そもそもこの先生は仕事でもない夜回りをしてるような人でして、疑問の余地なく超善人なわけですよね。おそらく女性に対する免疫がないんでしょうね。エロいけど変なとこ真面目で、 “安くないでしょ…” とか気にするの面白かったですね。「やめよう」と言えるほど強くはないけど、抵抗はあって、みたいな。そっからの相手ベタ褒めもなんか可愛らしく思えてくるレベルですげぇ良い。
エピローグ。彼女が私服で現れたのが彼女の愛情を端的に表現してますね。制服でなくなったことで夜の道に2人でいることが完全に恋人のデートに変貌する、という小さな変化だけど大きなドラマになってるのがマジ最高。
『コタツファイト』もず
コタツの魔力にすっかりやられてしまった彼女との話。冒頭のアイス喰いながら電マ使ってる場面からして面白いですね。もちろんエロくもあるんですが、それと同じくらい「ダメだこいつ……」感もあるw その後のコタツから下半身だけ出てるショットとかも、露出してる部位としてはエロいはずなんだけど、色気は一切ないのでおかしいです。本作はこのバランスは絶妙で、前半の可愛いけど色気はない描写から、後半しっかりエロくなるんですよね。体勢としては大きな変化はないんですが、このコントラストがしっかり生まれてるのは見事だと思います。
頑なに籠城を決め込む彼女に対して水攻めw コタツにこもってる→トイレ行くのも面倒でため込んでる、というロジックなんでしょうね。話しても無駄なのに徹底的に生理的な反応に訴えかける。戦術として正しい気がしますw
この手のライトなケンカをしつつ、トータルではめっちゃ仲が良いカップルってのは理想的ですよね。変な話、幸せな順風満帆なデートを見せられるよりも羨ましくなりますよ。互いに着飾ってるような感じがゼロで本音でぶつかり合ってる感じが良いんですよね。めっちゃ明るくて楽しい作品だけど、そういう意味においては読んでて一番落ち込む作品とも言えますw はぁぁ、うらやま……
『かわいくてもオオカミ』Noise
恋人のことを可愛いショタとして愛でていたら実は……。子犬だと思ってたらとんだ肉食系で、というのがタイトルですね。
本作の面白いのはショタの下克上みたいな安易というか極端な話にはならない点。 “俺涼香に男として見られてんのかちょっと心配だったんだ…” というセリフが最初の方に出てきますけど、別にこの男の方がエロ魔神で彼女のことをレイプまがいに犯す、とかではないんですよね。恋人として愛してるし、セックスの愛し方もそう。肉食系と発覚した後も彼の可愛い面がゼロになったわけではない。射精を我慢する顔が定期的に描かれますけど、フツーに可愛いんですよね。子犬だと思ったらオオカミだけど、オオカミだと思ったら子犬、という要素もあってそこらへんの反復横飛びがっとても楽しい。
彼女の方も子犬の側面を見つけて愛でることもあれば、振り回されて必死な部分もあったりして、2人の関係において上下がハッキリしないんですよね。最終的に彼女の方が優位に立って終わりますけど、あれは男の方はエロが第一ですが、彼女の方はエロよりも「かわいい」を優先してるんですよね。彼がエロを求めて前のめりになってる時は彼女が優位になるけど、実際に彼がガンガン攻めてくると彼の方が優位になる。なんだかんだ良いカップルじゃねぇか、という結論なんじゃないかしら。
『ヒミツのおしごと』雲呑めお
店長が店員のドジに疲れてデリヘルを呼んだらその子が登場。バイトの掛け持ちも別に悪くないし、学生とかじゃないのでデリヘルをやってること自体も特に問題ではない。彼女が照れない限りは彼女に弱みは一切ないんですよね。一方店長の方はチンコギンギンにしてデリヘルを呼んでる事実が動かないのであまりに情けない。さらには彼女はデリヘルの店の方ではナンバーワンなのでこっちの仕事には自信あり。この2人のパワーバランスが一気に逆転するところが本作の魅力ですね。日頃困ったもんだと思ってたあの子の完全に主導権を握られる情けなさ。
それだけでは終わらず、彼女は店長のことを密かに想っていた、感謝していた、という事実が明らかになっていざ本番。関係が逆転し、仕事として堪能したあとで、2人の気持ちが通じ合い、単なる仕事ではない関係に発展するんだから最高ですね。最初は仕事だからとサービスを受けてて “さすが人気嬢だな” と言ってた店長が “俺の店で働いた後に……ッ” と仕事に対して嫉妬するようになるコントラストが素敵です。彼女のことを本気で考えるようになった証拠ですよね。彼女の健気な姿勢も愛おしいですが、店長の気持ちが動く変遷の部分が本作は好きだなぁ。
『初乗りぷらいすれす』ねとろもりこん
キャバ嬢だか風俗嬢が入れ込んでたホストに捨てられて、という感じでいいのかな。『ヒミツのおしごと』からものすごいギャップだ。ただ、サービスとしてやってたエロが次第に……というグラデーションに関しては共通点もあると想いますね。この変遷、良いですよねぇ。マジエロい(好物)。優しくされるのには慣れなかった彼女の気持ちが徐々に動いていく様とか、本当に最高です。
Komifloのコメ欄が絶頂時のクラッカー演出で盛り上がってて、私も面白くてちょっと笑ったんですが、ただ、需要なのはあのクラッカー演出の位置ですよね。あれは彼女の頭部でクラッカーが炸裂してるので接合部の快感というよりは彼女の頭の中で発生する快感というニュアンスが強いのでしょう。その後の射精の描写がかなり小さいのも特徴だと思いますが、メインは彼女の絶頂であり、彼女の頭部、気持ちの変化の部分ってことですよね。男性よりも女性の絶頂の方に重きを置いてるの面白いですね。どうしても男性本位になりがちだと思うんですが(それが悪いとは言いません)、本作は違う。あくまでも彼女の方がメイン。ここが良かったなぁ。
『青春リビドー山 女スパイ物語』位置原光Z
欄外の数学の問題(いわゆる鶴亀算)。答えが間違ってますね。20:60が正解。そもそも選択肢が間違ってて、鶴と亀の和が80だっつってんのに、和が80になる選択肢がありません。雑すぎるというか、根本的なところで勘違いしてたとかそういうパターン?
まぁ、そんなことはさておき、本編はマジ最高。テーマは女スパイなんですが、男が女スパイに対して抱く幻想を目の前でことごとく粉砕していくので笑いました。ライダースーツかと思ったらサロペットとか落差ありすぎて最高w しかも、サロペットがそれだけで終わらず、宝石を胸にしまわずサロペットのポケットに入れたりするのも良い。サロペットが便利なのが憎い。
男の幻想が崩されていくのが面白いんですが、最終的には女スパイに対しても「これはこれで可愛いのでは……?」みたいな気がしてきます。ドジとか間の抜けた印象もあるけど、スパイとしての仕事は成功してるので優秀なんでしょうね。ギャップが良いw
『私…変われるかな…?』いちまつ
タイトルからして可愛い印象があるんですが、「そういう意味かーい!」となるので面白いです。変わってしまう話か。
フルカラー8ページなんですが、カラーならではの魅力がありますね。1ページ目は夕方の学校が舞台で薄暗く陰がさしてるんですが、ページをめくって2ページ目に行くと一気にピーカンの海辺。そこで彼女がいろんな意味で白日の下にさらされることになる。そのまま徐々に彼女が変わっていき、最終的には夜の海に捨てられる。そして最終ページでは再び夕方の学校なんだけど、彼女自身が変貌を遂げていて……という。もちろんモノクロでもこういう明るさ、暗さの表現は出来ますけど、カラーだとより際立ってたと思いますね。彼女の変貌表現に日焼けがある点にも同じことが言えると思います。
『DOLLS』えーすけ
寝取られというか。寝取らせというか。寝取らせの面白い点は劇中のキャラクターが「寝取られ」という趣味を自覚してる点ですよね。ちょっとメタ的な印象すらある。
寝取られとか寝取らせって言いましたけど、厳密には主語が違う。本作の主人公は寝取る側。頼まれた側。そこで面白いのが、主人公はこの依頼に関して、依頼者に関してあまり良く思ってないんですよね。役得に感じながらも特別感謝はしてないというか。何なら「あんなクズから俺が救ってやるよ」的な気持ちもあったっぽいんですよね。この欺瞞、傲慢がめちゃくちゃリアル。この気持ちが湧くこともかなりクズなんですけど、ちょっと分かっちゃうよなぁ。そして、そんな気持ちを見透かされたかのような “死んでも嫌よ” も最高。彼女のことを分かったつもりでいたけど、それは驕りでそんなことはなかった。それを境に主人公はただ単に性欲に任せることになって、とプレイが加速していくのも展開として盛り上がりがあって良い。
心理描写が異様にうまいから、この話だとシリアスで重苦しいような雰囲気にもなるんだけど、最後の最後にいきなりカラッと明るくなるのが面白いですね。ただ、一貫性はあって、大事な転換はほとんど「分かったつもりでいたけど全然分かっていなかった」という感じなんですよね。自分の理解を超える考えの持ち主が次々に現れるというかw あんだけの雰囲気になっておきながら最終的には、誰も被害者ではない、という謎のハッピーエンド感。すごいw
『おかしまつり』mogg
女の友情がチンコの介入によって崩壊? 変容? する話。いわゆるオタサーの姫みたいな現象もそうですけど、こういう同性間の友情が異性間の色恋(色欲)の前に脆くも崩れ去っていく話、見ててつらんだよなぁ。つらいと同時にちょっと理解できてしまうというか、納得してしまうのが面白いんですよねぇ。
内気な主人公が友人の暴走によって巻き込まれていく話なので、シリアスな悲劇でもあるんですが、その友人の暴走っぷりがちょっとギャグっぽくて明るくもあるのが独特で面白いですね。 “泣かされたのは超ムカツク!” のくだりとか読んでて「えっそうなるの!?」とビックリしてしまいましたw 少なくとも彼女はたくましく順応してるのが妙におかしいというか。
最終的な結論も予想外かつ独特。主人公の思わぬ才能というか魔性性がが露わになって友人を乗り越えていく、とかでもない。結局友人の異常な趣味に主人公も順応していってチンコ狂いに……でもない。最終的にはやっぱり友人との友情がメインになるんですよね。2人のキスが印象的ですけど、あれはその場にいる男たちに見せてエロい気持ちを煽る意味のものではないんですよ。マジであの2人の気持ちが高まった果てのキスなわけでして。異様ではあるけど、仲良いままで安心……したのか?? みたいな不思議な味わいがとても良い。
『シンデレラアポロジー』外山じごく
下着泥棒を捕まえたらショタで、よく見ると超可愛い。最初は怒りに任せて動いていたんだけど、徐々にショタの魅力に目覚めて、それに気づいたときには既に彼の弱みを握っているので……という主人公が性欲に溺れて暴走していく様がめちゃくちゃ面白い。こういう心理めっちゃ分かるわ。途中まで気づかなかったけど突然「あれっ自分がこの立場にいるってことは……」とエロい可能性を見つけてしまう感じね。可能性ってやつが厄介でして、下手な誘惑よりも魔が差してしまう恐ろしさがあると思います。元々罰を与えてやるつもりで捕まえたわけなので、「別にこれは罰を与えてるだけだから……」と自分に言い訳できてしまうんですよねw
タイトルが意味深げながら最後まで分からないままだったんですが、12時の鐘の音で主人公が理性を取り戻すってオチでしたね。そこでようやく我に返って「やっべぇ淫行じゃん!!」と謝る。だからシンデレラアポロジーって面白すぎるわw
『お姫さまジャンキー』ハードボイルドよし子
シンデレラの次は白雪姫。この掲載順は見事だわw
オタサーの姫。ただしここでのサークルはコミケとかに出展するようなタイプのサークル。一応自分もマンガ描くんだけど、それよりも欲しいのはイケメンで、それに失敗すると憂さ晴らしのようにキモオタたちのチンコを貪る。いや、チンコというよりは愛情を貪って一時的にごまかしてる、という感じですかね。タイトルが「ジャンキー」で分かりやすいんですけど、このやめたいけどやめられない感じがめちゃくちゃリアルですね。別にオタサーの姫とかなったことありませんけど、こんな感じの心理なんだろうなぁ、と勝手に納得してしまう説得力がありました。自分でもキモオタ相手にいい気になってるのが良くないのは分かってるし、それは自分の価値が所詮その程度だと言われてるようでつらいんだけど、つらいからこそ再びキモオタたちにチヤホヤされる甘美に酔い、逃避してしまうというか。まさかエロマンガ読んでてオタサーの姫に感情移入するとは思いませんでしたw あり得ない人物に感情移入できてしまうというのは優れたマンガ、優れたフィクションの証拠なのでしょう。
ジャンキーの話ですので、話だけ切り取ったら暗いんですよ。暗くてつらい現実を突きつけられる話なんですが、彼女のそのジャンキーっぷりが誇張されてるのでギャグっぽい味わいが強いですね。それが話は深刻なのに読み味はめちゃくちゃ明るくて楽しい、という不思議なバランスになってて素晴らしいと思います。
ラスト。最後の最後に彼女の本当の姿が明らかになってエンド。姫モードは姫モードで可愛いんだけど、彼女の素である姿も充分可愛いし、自信持っていいと思います。彼女には何とか幸せになってほしい、報われてほしいなぁ……と思うのは私が彼女の中に自分と重なるものを見出してるからなんだろうなぁw
『あめのちうららか』江口ジョーズ
マンネリになってるカップルがあえてやらないことを選択する話。マンネリ打破の方法として、エロマンガなんだから変態な方向に飛躍してもおかしくないんですが、ものすごく現実的で誠実な方法を選ぶのが良いですね。それでいて「セックスしない」デート中、ふとした瞬間に彼と触れ合う瞬間を切り取った場面も超効果的だったと思います。セックスがなくなるとそもそも接触自体が減るので、彼の肌に対する感度が高まっていく。この彼女側の心理がめちゃくちゃ丁寧に描かれてて、この時点で本作は勝ちですね。彼の性格もあり、作家の計算なんでしょうけど、彼の方は多くを語らないタイプなんですよ。表情もセリフも少ない、顔と言葉によって心理を読み取れないからこそ物理的な接触を求めてしまう、という感じですよね。徹底して彼女側の心理を描くという意味でもこれは大成功だったと思います。
そんな多くを語らない彼の心理が珍しく表に出る場面が “……行く?” なんですよね。彼女の方が我慢の限界だったので、彼女の方からなかば襲いかかるような話になるかと思いきや、彼の方も限界だったんかーい!! という予想外の展開にニッコニコですよ。
“ゴムしてないんだった” と彼が言葉には出さずに思っただけで、彼女が自らのクチに誘導してくる感じとかもう最高ですよね。言わずとも通じ合ってる。なにこの理想のカップル。う、うらやま……
そんな中出し緊急回避の後もやりまくって、見える範囲だけでも事後のゴムが3つってやりすぎで笑った。しかももう1回のリクエストで終わりましたからね。元気すぎる、というか興奮しすぎw 普通のエロマンガだったら回数とか気にならないし、別に何回出しても不思議じゃないんだけど、本作はそれまで徹底して丁寧でリアルな話運びでしたからね。それで4回+1というのは「どんだけ効果あったんだよ」と思わざるを得ないw
『あなただけのわたし』ゆずのきいち
真面目な女子高生の先生への純愛……なんだけど、先生の変態行為によって話はおかしな方向へ運んでいく。というか、結局のところ彼女の方もなかなかおかしくて、という予想外の展開が魅力ですね。先生のことが好きすぎるあまり、多少の変態行為にも付き合ってしまう……にしては行き過ぎじゃない?? という飛躍が楽しい。おさげで典型的な真面目優等生だし、先生への愛の言葉も純愛っぽいんだけど、彼女の取ってる行動がどう考えても一線を踏み越えていて、というギャップ。そんな彼女に対して「おかしいだろ」と言えない弱みを先生が抱えているのも良いですね。本来ストッパーになるべき先生が機能不全に陥ってるのが面白い。先生が過ちを犯していなかったら彼女は真面目なままで通常の純愛で終わっていたのだろうか……みたいな「もしも」を考えてしまいます。たまたまアレがキッカケだっただけで、それがなくても別のキッカケを見つけていただけな気もするんですよね。
ラスト、先生が逆ギレ的に下克上したけど、それを含めて彼女としては理想の展開で、という彼女にとってのハッピーエンドになるのもねぇ。彼女は満足だけど、本当にハッピーエンドでいいのか?? みたいに後引きますね。
『犬噛くん、今日誕生日だってよ』和六里ハル
あまりに男にとって都合のいい話なんだけど、それを強引に押し切ってくるその力業、その部分こそが本作の魅力というか。ギャグなんだけど、父親が彼女に頼み込むくだりとか正攻法で良いですよね。彼女に借金があって「肩代わりしてやるから……」と迫るみたいな話では全然ない。彼女は承諾してる、どころか元々好き。ギャグで押し切るとはいえ、変なところが気にならないように計算されてるんですね。とにかくギャグで押し切るんだから、徹底して明るく、暗い重いは一切ナシ、と統一されてるのが本作の美点だと思います。案外難しいですよね。油断すると入り込んじゃうもんですので。
結論としてもさ、最後まで主人公は彼女のことを性的な奉仕をするメイドとして扱うんですよ。凡人がこの話作ろうとしたら「メイドとしてではなく恋人として愛し合いたいんだ」みたいな真面目な話にしちゃうと思うんですよ。そこを徹底して男にとっての都合の良さで押し切ったまま終わってるから本作はスゴイと思います。真面目に美しいラブストーリー純度を高めるのも難しいけど、その逆を徹底するのも同じくらい技術が必要というか、作品としての価値は同等だと思いますね。
『思い出』「タカシ」
うへぇ、超絶胸糞だ……。さっきと同じ話になりますが、ここまで徹底して悪夢を描けるのもスゴイ。
正直な話、趣味ではないんですが、悔しいかな本作が面白いのも事実。単に露悪的な話を詰め込んでるだけじゃなくて、話運びがめちゃくちゃうまいんですよね。具体的に言うと情報の開示の順番がめちゃくちゃ効果的だと思います。まず、最初に主人公の家庭教師に疑いの目を向ける友人が描かれるんですが、この友人こそが主人公にとっても最も大事で、守りたい存在ですよね。エロの話としては蚊帳の外なんだけど、彼女の物語においては最重要な人物。そのあと、家庭教師が現れて “初めて会った頃はずっと暗い表情してたよ” とさりげなく嫌な予感をさせるのもうまい。さらにあとになって気づきますが、この件こそがタイトルの『思い出』ってことですね。要するに本作はレイプの話なんだけど、単に肉体を犯すだけではなく、精神的にも徹底して追い込むという外道オブ外道。その外道性が最も顕著に現れるのがタイトルの『思い出』に関わってくる。ホントさ、胸糞だし、好きなタイプの作品ではないんですが、うまいよなぁ。悔しいけど感じちゃう的な状態に読んでて陥りましたw
『クロッシングナイト』秋谷昭
自殺しようとするオッサンと、コスプレするお姉ちゃん。人目に付かない場所に集まる、という意味で2人が交わるのが面白かったです。コスプレイヤーに関しても男の願望を煮詰めたような存在ではなく、コスプレをやる素人の悲哀とか苦労みたいなのが滲み出てるのが最高。コスプレするのも大変だなw と妙に納得してしまいました。また、よりによって死神キャラのコスプレというのも最悪のチョイスで笑える。
自殺の止め方として “このまま一緒に飛んだら殺人ですよ…っ!??” とあって、この方法がめちゃくちゃ良かった。たしかにこれ言われたら止めちゃうだろうなという納得もあって、彼女の機転に感心するんですが、それと同時に体を張ってまで自殺を止めようとする彼女の真摯な姿勢に感動してしまうんですよね。いやこれ死神じゃなくて天使だよ。マジで。見ず知らずのオッサンにあそこまで体張れるとかマジ尊い。
そんな彼女の行動があまりに美しいので、キレイな物語にしても良かったと思うんですよ。それでも傑作にはなったと思います。ただ、本作は安易にそうはならなくて。オッサンが調子に乗るんですよね。どうせ死ぬんだから、みたいな思い切りの良さもあるんでしょうが、図々しく「もうちょっとちょうだい」と要求してくるので笑ってしまいました。なんだけど、童貞で、文字通り死ぬほど悩んでる状態であんな優しい人が現れたら、自分もああなってないという自信はないw あそこでかっこいい対応が出来てたら童貞のまま死のうなんてことにはなってないってことですよね。世知がれぇw
「読者コーナー」
私『優惑』大好きですので、読者投稿の「一緒におじさんに対してキュンキュンしてしまいました」にめっちゃ同意。わっかるなぁぁぁあ!!! 単に「おっぱいエロい」というだけで終わらないのが物語の強みだと思うんですよね。
あと、エロマンガ感想を書くようになって4ヶ月くらい経つんですが、エロマンガ感想って難しいと感じることはあって、本コーナーの『シルエット』への投稿は「私もこういう感想書きたい……」と強く思いました。エロについてここまで語れないのが悩みなんですよね。
あと、サバイバル刃先生の連載が多忙につきお休み。代打の出来も素晴らしくて楽しかったんですが、やっぱサバイバル刃先生のことが気になってしまうのも事実でして。便利屋みたいに使われてることに対する恨み節みたいな部分も含め好きなんですよねぇ。もちろん苦労してほしいとかそういう話ではないんですが。
終わり。年末年始ということもあるけど、あまりに遅くなってしまった。反省です。
アンケートの面白かった作品3つ。あれも入れたかったという後ろ髪は引かれつつ、3選は悩みませんでした。まずは『夢現ロマンティック』ですね。これは優勝。本当に素晴らしかった。あとは『真夜中のプロローグ』と『お姫さまジャンキー』で決まりです。他にも好きな作品はあるんですが、頭一つ抜けて良かったのはここらへんですね。