北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

『サイボーグ009 BGOOPARTS DELETE』8話の感想

チャンピオンRED 2020年 05 月号 [雑誌]
チャンピオンRED 2020年 05 月号 [雑誌]

 2ヶ月ぶりです。ついに単行本も出てテンション上がりますね……と思ったら話数のミスが直ってない!!

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単行本1巻

 ついに出ました。めでたい。雑誌で連載追うのが面倒でも「009なら読むよ!」という人も多いと思います。
 そんな1巻。7話まで収録されてまして。同日発売のチャンピオンREDを買うとその直後から読むことが出来ます。連載派はいいぞ……。
 ちなみに、1巻の収録が7話まで。そして今月のチャンピオンRED掲載が7話……となってるんですが、8話です。前回が6話でミスってて、そのミスは単行本で修正されたんですが、雑誌の方のミスが放置されてしまったw

チャンピオンRED特別付録

 これが良い。悪いことは言わない。単行本出て単行本派の人もいると思いますが、今月は買ったらいいんじゃないかしら。オススメ。
 石ノ森版「ミュートス編」最終話の原稿の複製。ファンなら間違いなく嬉しいやつなんじゃないでしょうか。ただ、この付録の魅力はそれだけではなくてですね……。

神話復活編⑧

 誌面だと⑦だけど正確には⑧です。前回が⑥だったけど私が正しいw

 それはさておき、冒頭でまさかの回想!! 初登場となるヘレナによる回想で始まります。さっき付録で原作の方を読んだ場面を岡崎版で完全再現……ではなくリメイク。対決する009とアポロンを中央で分かつようにヘレナのシルエットが配置されたのが芸術的。そんな手を伸ばすヘレナのシルエットは原作における “やめて!” のコマの再解釈……だと付録が手元にあるとすぐに確認できるんだよなぁ。マジ最高。付録が読書体験に大きく作用する演出として機能しちゃってるからすごい。
 原作におけるミュートス編は『サイボーグ009』の全シリーズの中でも少年漫画色の強いシリーズだと思います。だからこそ人気だと思うんですが、逆に言うと少し子供っぽくもある。それが岡崎版だともっと大人向け、リアル寄りにチューンアップされてて本当にかっこいい。よりシリアスな雰囲気になってるのでアポロン“おねえちゃん!?” と言うのがちょっとギャップ萌えみたいな味わいにもなってると思います。とてもじゃないが「おねえちゃん」と呼ぶようなキャラクターには見えない、のに言うからグッとくる。

 ヘレナの回想が終わり、再びゼロゼロナンバーたち。前話ではドルフィン号による加速装置の共有が最高に面白かったんですが、今回はその余波である「加速装置酔い」が描かれる。もちろん我々は加速装置を経験したことはないんですが、めっちゃありそう!! と説得力がすごい。原作には一切ない要素なんですが「そりゃそうだよな」「ない方がおかしい」というレベルで納得できちゃうから面白いです。
 そんな加速酔いをしてる一同が可愛いんですが、ここで凝ってるのがそれを見せる順番。最初は003。まぁ順当に可愛いのが想像しやすいキャラじゃないですか。そっからコミカル、シリアスなキャラへと流れて、最後は004。最後に一番イメージが結びつかない004が出てくるのが最高でした。ファン的には「004でも酔うんだ」とニヤニヤしてしまいますし、本人が不本意そうなリアクションしててキャラ萌えの塊だったと思います。ぶっちゃけ003より可愛いw

 一方リカルド。妻に娘のことを追求されたのをごまかすように抱きしめるのが男の欺瞞に溢れてて最高だったんですが、ちょっとあの場面、妻の瞳をリコの瞳に重ね合わせてるようでもありますよね。そういう意味ではあの抱擁は本心によるところも大きかったのかもしれません。
 その直後に “ゼウスシステムによる完全複製による人格投影の雑音” と語られるのも見事でしたね。ギョッとするような情報なんですが、その助走とも言える描写が手前にあるからうまい。

 んで、ドーム。今回のメインディッシュであるミュートスサイボーグ全員集合。この場面はヘレナの視点、からアポロンの視点に移る感じだと思うんですが、ヘレナがゼウスシステムに心酔してるようなのが不気味でもありますね。原作ラストのヘレナだったらこのような言動になるか? と少し違和感を抱くというか。
 あと、細かいところで面白かったのが「カバ男」が「アロゴポタモ」とかっこいい名前が付けられてた点。一部のアニメだとネレウスだったりしますね。逆に言うと、アルテミスはいません。あれはあれで可愛いから好きなんですけどね。とはいえヘレナがいるので無理です。
 てか、ヘレナが本格参戦となったら、リコとヘレナ、新旧ゲストヒロイン揃い踏みということになりますね。003の胃に穴があかないか心配ですw

 そんなミュートスサイボーグたちを見下ろすようにヘラが登場してエンド……と思ったらヘラが美人になってる!! なるほど、こうなるのですね。リコは囚われの姫ポジションになるのかと思ってたらそう単純ではありませんでした。
 ヘレナとアポロンの件もそうなんですが、ヘラという絶対的な悪が登場したことで戦況が大きく変わりましたね。早々に009とアポロンが戦ったときは「出し惜しみナシかよ!」と驚いたんですが、むしろアポロンはラスボスでない説。何なら共闘も……? とか想像が膨らんじゃいますね。

 リカルドがアレして、リコもアレして、ヘラが絶対の悪として君臨したので話がシンプルになったというか、いよいよ本題に迫ってきた感じがありますね。ヘレナとアポロンが単なる悪役ではなく、もう1人の主人公みたいな雰囲気も出てきたので本当に楽しみです。原作だと単純明快なスーパーパワー対決みたいな話でしたからね。人気キャラの掘り下げとして嬉しいところ。そういう意味では岡崎版のオリジナルキャラであるリカルドとリコの扱いが興味深いです。オリジナルの新キャラが大活躍するあまり旧キャラの扱いが小さくなりがちだと思いますが、本作だと徹底的に原作キャラ優先な気がします。

 あとやっぱ気になるのは、最後にヘラが「この世界」という言葉を強調してた点。これは中盤で009が言っていた “この世界の黒い幽霊団遺産をすべて消去するんだ!!” と呼応してると思います。009が言ってたのは、あくまでもミュートス編の遺産のことであり、今後原作の別の「○○編」へと話は続きますよーみたいな布石だと思ってたんですが、ヘラだったらそこらへんのメタな事情も把握して「この世界」という言葉を使ってても不思議じゃないよなぁ、と思った次第。もちろん作品の演出という意味で同じ言葉を使わせただけなのかもしれませんが。


 終わり。とりあえず話数の件が直るといいですね。まぁ、別に困ることもないんですが、ブログ書き始める際に一瞬ギョッとしますw
 あとはやっぱ冒頭の回想の場面、最高でしたねぇ。眼福でした。
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