北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

『生徒会役員共』583話の感想

 気が付けば新刊発売直前ですね。映画の関係で出るの遅かったと思うけど、映画が延期なので前巻からのスパンがとんでもないことにw

#583

 扉はトッキー。温泉感はない格好ですが、アオリが完全に温泉仕様で、何なら本編でのトッキーの話を先取りしてるようでもある。

 柔道部。体が痛むので温泉にでも行きたい。そういえば商店街でやってる福引の一等が温泉。ここまで来たら当たるのが筋じゃないですか。漫画だと。そういう期待を煽るオープニングだったと思います。漫画のお約束、というか話作りの際便利な装置として利用されがちな商店街の福引を踏まえたネタ。
 オチとしては弱めなんですが、福引の結果や如何に!! と次ページへと興味を引っ張るのがこのネタの本分なのでしょう。

 2ページ目。福引から帰ってきたコトミ。相変わらずドヤってるんですが、それを真に受ける柔道部のみんなが可愛い。この純粋さ、柔道部の良さですね。そんな中、トッキーだけが呆れの入った顔をしてるのも2人の付き合いの長さが感じられる。1人だけ「どうせ‥‥」みたいな感じがある。
 1等の温泉旅行ではなく、5等の温泉の素。実際に福引したその場でのコトミのリアクションも見てみたいです。そこでも柔道部のみんなの前と同じノリなのか、そこでは全力で悔しがるのか。
 ちなみに、「美の湯」とこのネタの時点で確認できますので、7本目のオチに向けた布石が打たれてると言える。ちょっとした伏線というか。旅行じゃないんかい、という話なので気づかなかったけど、体の痛みを癒すという目的からはかけ離れた「美の湯」。

 シャワー室の簡易湯船で使う。旅行ではないけど温泉回!! 旅行だったら2週跨ぎだったのかなとか想像すると惜しいですが、今までにまったくなかったアプローチという意味では面白いです。
 キレイな緑で、いい香り。それに反応したムツミでオチ。食いしん坊キャラとしてのムツミ。ほのぼの感のレベルがいつもより数段階高まってる感じがムツミの良さであり、柔道部回の良さですね。
 前のネタではツッコミはチリヘッドと明確に描かれてるんですが、今回の「さてはハラへってるな」は特定できないヘッド。言い回し的にチリだと思うんですが、柔道部の総意みたいな印象が強まってるんじゃないですかね。コトミに対して壁があるわけではないけど、ムツミに対してとコトミに対してだと距離感の違いはどうしても生じるというか。

 いざ入浴。コトミが手を入れ熱がってるとトッキーが迷いなくザプン。2コマぶち抜きで「ザプン」の文字が枠の境を越えてることで、コトミに一言やってから間髪を入れずに脚を入れる、という動きの流れがよく現れてると思います。今回に限らないけど、本作は2コマぶち抜きをしても結局は4コマ漫画の中の2コマ、という扱いになってるのが多いと思います。4コマ作家としての強さを感じる。
 んで、トッキーのうっかりでオチ。最初に熱がってたコトミが逆襲するかのようなオチになってるのが良いですね。2人の世界というか、こんなときでも仲良いな、みたいな。

 全員入浴。厳密にはアニオリの2人がコマに入りきらなかったけど、あの横並びの図はちょっとアガりますね。セクシーショットというわけではないけど豪華な印象がある。
 せっかくみんなで入ったんだから一列になって背中を洗いっこしよう、とムツミが提案。スポンジが足りないとチリが返し、その打開策をコトミが提示してオチ。ムツミの発案をコトミが下ネタで汚し、チリがツッコむ、という流れが美しい。言い出しっぺのムツミが置いてけぼりを食らうのもおかしい。たぶんだけど、コトミはチリがいるから下ネタを放り込んだんじゃないですかね。ツッコミがいる安心感というか。トッキー相手にこの下ネタを言うのかどうかは少し気になる。
 コトミのオチ。「風呂」「プロ」をかけてるのではないか‥‥とか思ったけど、これは指摘した方がダジャレになっちゃうパターンな気がするw
 あと、見所としてはコトミの髪型。入浴時に髪が浸からないように短くまとめてあって、これがめちゃくちゃ可愛い。しっかりアップのコマまである安心設計。ショートカットの多い柔道部ですが、ムツミも入浴時は髪を短くしてると思われる。結構危ういとこまで垂れてるし、コトミほど極端な違いはないんですが、長さは明らかに違う。

 再び横並びの図。気持ちよさにご満悦。「全身の力がぬけてく」というチリの発言からコトミに繋がり、オチ。コトミのおしっこネタ、久々に来ましたね。過去に結構な数あるネタですよね。すっかり「コトミといえば」なレベルだと思う。作者的にもコトミを風呂に入れたらこの話題は避けられない、みたいな感じだったんじゃないかしらw
 てか、あんなこと言われたら一目散に風呂から飛び出ちゃうと思うんですが、柔道部のみんなの静かに距離を取る、というアクションが面白かったです。100%真に受けてるわけではないが、決して信用もしてない、みたいなバランス。
 あと、横並びの図に入らなかったアニオリの2人ですが、片方はチリの隣にいることが確認できる。1コマ目にあった正面からの図でいうところの左。

 エピローグ。風呂から上がっての振り返り。最初にあったように、体の痛みを取るのが目的。なので「痛みふっとんだー」という話になる。そんな中、トッキーがふと温泉の素の効能を確認すると‥‥というオチ。コトミが一切出てこない話で終わったのが良かったと思います。柔道部古参の3人を遠くから見てるトッキー、という距離感が余韻のあるオチになる。先輩たち喜んでるし言えるわけねぇ‥‥みたいな味わいが良いですよね。それがトッキーというのがまた良い。
 まぁ、所詮温泉の素なんてそんなもん、という意味でもちょうどいい落とし所だったと思います。いや、私が温泉の素をそれほど信用してないって偏見もあるんですが。


 終わり。シチュエーション固定の柔道部回、良かったですね。やっぱあの平和な女子グループ感、本作の中でもオアシスのような存在ですわ。好き。メインになったのはコトミとトッキーがほとんどですが、小さなセリフであれば全員に出番があった、というのも丁寧な作りだったと思います。
 個人的なお気に入りとしては、最後のネタ。トッキーから見た古参3人、という距離感が印象的なオチで好きです。柔道部特有のほのぼの感に対して静かにツッコミの視点を持ったまま終わる、という余韻も素敵。
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