北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

『エターナルズ』の感想

 2021年のMCU映画3本目。配信作品も含むともう何本あるか分からないくらいなんですが、一番面白かったかもしれん。『シャンチー』と並ぶかも。一番好きなキャラはエレーナ。映画贔屓になるのは仕方ないよねぇ。

 『ノマドランド』で『アベンジャーズ』を商業主義の権化みたいに扱ってたクロエジャオが、オスカー監督のクロエジャオがMCUの新作!? と驚いたのも懐かしいですね。予告発表時に「この映像間違いなくクロエジャオだ!」となったのも懐かしい。そんなクロエジャオ印の映像美とMCUのドハデ感のマリアージュが不思議と心地よい作品でござんした。正直話のスケールが、あと強さがインフレしまくってるので、これがジャンプ連載作品とかだったら「雑すぎんだろ!」とネガティブな印象を受けてもおかしくないレベル。なんですが、MCUは大きな連続性はありながらもそれぞれが強烈すぎる個性、独立性を抱えた作品群であることが魅力でもあるので「MCUなら……信頼できる!」と不思議な安心感。
 てか、実写映画でここまで荒唐無稽なスケールの話をされても普通に受け入れてしまってる自分に驚きですよ。MCUに鍛えられてる……。

 そんなMCU全体のことや、『エターナルズ』続編なども興味あるんですが、ぶっちゃけ本作を観て真っ先に思ったこと、観てる最中席から立ち上がって叫びたかったのが、「これ『サイボーグ009』やないか!」。
 多人種、多国籍のチームものになると大体『009』の連想はできるし、過去には『X-MEN ファーストクラス』とか、実際の歴史への介入という要素も加わって「もうこれ『009』じゃん!」だったんですが、今回はそれをさらに越える『009』案件でした。ありがとうございます。
 陰ながら人類を支えてるヒーローがいて、それが多人種、多国籍。そして、一仕事終えたチームが世界中に散り散りになる。新たな敵の出現を機にチームが再び結集するが、集めるために世界中を飛び回り、各地で築き上げた日常生活へ別れを告げていく……ってこれ『サイボーグ009』やないかい。
 さらには、映画の中盤で明らかになる世界の真実。エターナルズの真実。地球上の人類は上位存在の餌となるため育てられてきた……ってこれはもう「天使編」!! つまりは「神々との闘い編」じゃん!! ついでに言うと「conclusion GOD'S WAR」だ!!(これはちょっと違うか)
 とにかく、神とも呼べる上位存在が人類を刈り取りにやってくる。それにヒーローたちがレジスタンスの声をあげる。もう『サイボーグ009』ですね。読み終えたことのないはずの『天使編』のラストと重なります(錯乱)。
 それで終わらず、エターナルズたちの正体。実は人間じゃなかった、ですよ。ここでのアイデンティティクライシス、そして「誰がために戦う」の葛藤がもうね……。マントはいらないからマフラーしてくれ。チームが集まって会議して、意見が対立し出すくだりとかもうニヤニヤしちゃいますよね。博士枠のキャラがゲイだったのはギルモア博士とコズミ博士のBLを連想しちゃうよね!(しねーよ) おそらくMCUで初めてセックスシーンが描かれたのも「神々との闘い」への目配せだよね!!(幻覚)
 ……と、普段のMCU作品とは違うタイプの興奮をしたので、MCUでは珍しくバトルシーンへの関心が低いというか、「まぁ面白いけども」という感じではあった。特にアンジーvs偽マブリーのくだりとかエモいのは分かるけど、どうでもいいかなぁって。てか、ディヴィアンズのどうでもよさが本作の欠点ではあると思う。まぁ、これ以上上映時間長くなったら困るので仕方ないんですけど。かといって、本作みたいな映像美をTVシリーズにするのは違うと思いますし。

 MCUフェイズ4に全体に言えることなんだけど、過去を舞台にしない限りサノスの指パッチンを扱わなくてはいけなくて、その制約が邪魔くさすぎる。特に新ヒーローの生い立ち紹介みたいな際に、「この人は指パッチンの抽選漏れなのかな?」とか考えちゃうじゃないですか。『シャンチー』も正直かなりキツかったと思う。毎回メインテーマにするわけにもいかないし。
 そして本作。チームが10人もいるので、全員が50%のロシアンルーレットを生存する確率は大体0.1%。何の理屈も用意しないのは無理がありすぎる。しれっと無視するのはどうなのよ……と思ってたら、例の衝撃の事実。エターナルズは生物じゃなかったの件。生物じゃないからサノスの抽選をそもそも受けてないのでしょう。これはうまい。
 ただ、今後の作品群が不可避なのは変わらないので、最悪ストレンジおじさんになかったことにしてもらうしか……。

 好きだけど小言めいたこと。霊丸とかかめはめ波が見れたのは嬉しいんだけど、正直あの攻撃、目からビームマンの下位互換にしか思えなくて結構残念なところあるよね。
 マブリーがマブリーすぎる件。パブリックイメージをそのまま落とし込むのはファンサービスとして楽しいんだけど、すべてがイメージ通りのファンサービスで終わってしまった気がしないでもない。まぁ、女性に対するケアを担当するキャラがマッチョ男性というのがすごいのかもしれないし、それが特別なことに見えないのはマブリーのすごいところなのでしょう。


 終わり。とにもかくにも『サイボーグ009』好きな人は是非、という映画だったと思います。いやぁ、良いもん観た。
 しかし、ミッドクレジット、ポストクレジットはいつにも増してコミック知らないとチンプンカンプンでしたな。ブレイド説あるけど、声優当てクイズみたいなことになってますね。

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