北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

『生徒会役員共』640話の感想と完結記念企画について

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 終わってしまった‥‥のですが、書くことが多いので落ち込んでる場合ではない。
 マガポケアプリで全話無料やってるので、是非とも読みましょう。あと今週のマガジン買いましょう。永久保存版ですぜ。


#640

 カラー扉は主要キャラ大集合。最終エピソードで拾えなかったキャラもいるので安心。いそうだけどいなかったキャラとしてはトリプルブッキングとか、道下先生あたりだろうか。津田ハナヨ‥‥は狙いすぎ。
 雑多に集合してるのではなく、しっかりグループ分けされてて、整理の美しさにも感動してしまう。配置、ポーズ、服装などで各キャラがどのような属性なのかが分かる。
 激烈うまいと感じたのはムツミ。柔道部は同じ桜才制服でも上着を脱いだ状態なんですが、ネネ、パリィ、と同じ両手をあげるポーズを取っていて2年組のグループにも跨がる。「それを言うならチリもだろ」とかまぁありますが‥‥。
 あとは、桜才生徒会OGが3人セットのポーズを取ってる風でちょっとしたアイドルグループ感あって好き。
 カラーイラスト激レア組としては、橋高さんが静かにそっぽ向いてるのが渋い。あと、あすかちゃんの園児服もレアリティ高いですね(ここだけ切り取るとアウトな文章)。

 本編。増ページで計8なんですが、4コマではない。そうかぁ、そう来たかぁ。やっぱ最終回という感慨を描くのに4コマは不向き、とかそういう判断なのかな。こうなると『妹は思春期』最終回がむしろ異例、と歴史が更新された感。最長連載の最終回という座からも下りましたし。

 1ページ目。タカ教室での出来事。スズが生徒会の仕事だとタカくんを呼び出す。パリィが話しかけ、ネネが余計なことを言ってオチ。4コマ(4段)として完結してますね。
 そして、このメンツ。この場所。教室だけど2年という描写はない。「これは1年後もしくは生徒会継承後なのでは!?」と初読時なりました。同じようになった人多いのではないでしょうか。てか、作者がそうなるようし向けてると思う。最終回予想で必ず出てくるのが1年後とか、会長たちの卒業エピソードだと思います。「どうせファンはそんなこと思ってんだろ?」というようなオープニングだったと思います。ここらへんクレバーだと思うし、改めてすごい作家だと思う。ファンがどう思われてるか、正確に把握していて、それをスカす、もしくは少しだけズラすようなネタにする。こないだの次回作案の小ネタにも似たようなこと感じました。

 2、3ページ目。スズタカが移動するとシノアリと合流。その後も移動を続けるが、その背景にいろいろな主要キャラが映り込む。何かネタ的なことをするわけではないんだけど、本筋と関係ないところで伸び伸びと日常を謳歌してるみんなの姿が見える、というのが妙に感慨深い。最終エピソードでは「日常」が頻出して、キーワードになってるのは間違いないんですが、この背景でその他のキャラの日常が描かれることで、彼ら彼女らの日常は今と同じように今後も続くのだな‥‥みたいな感動。これは4コマではできない演出ですね。単に最終回だから主要キャラたくさん出そうってだけではない良さを感じる。小山先生はさすがに「とりあえず出しただけ」感もあるんですが、横島先生が本筋に登場するのでそこらへん難しかったのでしょうね。逆に柔道部は最高でしたね。ありがてぇ。
 そして、例の桜の木の下に到着。横島先生と畑さんが待っていて、写真撮影をするらしい。本作の中でも最古参キャラたちって感じですね。厳密に言うと、ムツミも相当な古参(横島先生より)なんですが、話的に無理なのも分かります。柔道部の扱いが大きかったのはそういう影響もありそう。
 そして、桜の下で写真撮影ですよ。この時点で多くの読者、氏家ト全ファンの多くが「やはりアレか!!」となったと思います。私もなった。そして、それを作者はそういうリアクションを狙っていた、と後で分かる。

 4、5ページ目。畑さんから簡単な質問。当然ボケてくるんですが、それに対してタカくん微笑む。いつも通りだがかけがいのない日常を強く意識する。「まさかタカくんは劇中世界にいながら最終回ということに気づいているのでは!?」とかしょうもないことも考えてしまう。このシノタカの2人が浸る感慨は、読者と同じですね。そして作者も同じなのだろう、と勝手なこと考えてまた感動してしまう。こんなにエモい最終回(最終エピソード)が用意されるとは正直予想してなかったので。
 ちなみに、畑さんの質問にアリアが答えそうになって遮られるんですが、この遮られた回答が衝撃であった。最終回にすごいこと言ってきたなw 個人的には「意外とそんなもん?」という感じでした。その上の大台に行ってると思ってた。まぁ、ここらへん漫画とかグラビアアイドルとかの数値で感覚がバグってる、というのはありそう。
 そして、いさ撮影。からの「ヒュウウ」ですよ。これは確定だろ!! やっぱりアレじゃん!!

 6、7ページ目。当然見開き。当然風でフワーリがぁぁぁぁ!!??
 という一世一代の大仕掛け。『濱中アイ』『妹は思春期』と割と近い期間にパンモロ最終回が連続したのですっかりそのイメージが強くなりましたが、その後は『あかほん』『プチたん』とノーパンツ最終回だったんですよね。だからどうなるかマジで確信できなかったんですが、やはり!! ファンの期待を裏切らない!!
 期待は裏切らないけど、予想は裏切る。ここが見事だったし、作者と意志疎通ができてるというか、コミュニケーションが取れてるような感覚に陥って感慨ぶけぇ。
 webやスマホアプリで閲覧されるような漫画は見開きの構図にも工夫がある。1ページずつ見ても違和感なく、むしろ動きを感じられるような構図にする、と聞いたことがある。本作のフワーリもそうでしたよね。これは意図したものなのかは分かりませんが、読者の視点移動的に、最初に「あれ!?」、視点移動の最終地点で「そういうことかい!」。私は初読時、見開き表示で読みましたけど、初読時を1ページ表示で読んだ人も多くて、その人が感じた驚きは私の驚きと少し違ったものになってるんだろうなぁ。

 8ページ目。最後。例の見開き、ファンの中では常識だけど、お約束を理解してない一見さん、もしくは若いファン、そして何より本作だけのファンとかはちょっと理解しにくい感じはあったかもしれない。そのために、このエピローグがあったとも言えそうな8ページ目。ギャグとして落ちました、みたいな会話が入る。ただ、やはり、これはお約束を知らない読者からしたら「15年続いた最終回がこれなの?」みたいな感覚になるかもしれない。想像することしかできないが、直近のパンモロ最終回である『妹は思春期』最終回から10年以上経っているので、ここらへんは難しい問題でしょうね。まぁ、ゆるっと終わったのが本作らしい、とか感じてもらえたら幸いです(何様)。

 ということで終わり。終わってしまった。ラブコメ的な決着とか予想してなかったし、それほど期待もしてなかったので個人的には完璧な、理想的な最終回でした。めちゃくちゃ緊張しながら例のページをめくったけど、「そう来たかぁぁ!!」とひっくり返りました。
 ここ数週の感想でずっと書いてるけど、劇中で「日常」に対する感慨をみんなが抱いてる姿を見て本当に感動しました。ちょくちょく雑な作風として語られることもあるけど、漫画家としてすげぇレベルの作家だったのだな、と当たり前のことを改めて感じました。はぁぁ、泣いちゃう‥‥。

 以下、完結記念号の『生徒会』関係の企画について書きます。一部だよ。

グラビア

 巻頭カラーだけど表紙はグラビア。さすがにこれは無理だったか。ただし、グラビアの内容が『生徒会』コスプレ。これは嬉しい。
 厳密に言うと、今年、マガジンラブコメ作品のコスプレグラビア企画があって、そのときにも えなこがコスプレグラビアを担当。2度目ですね。ただ、今回はかなりちゃんとしたボリュームなのでやはり嬉しい。
 正直本作のキャラデザってそれほど漫画的なデフォルメが強くないと思うので、コスプレしてもつまらなくない? とか思ってたんですが、実際のものを見るとどこかコスプレっぽい雰囲気を感じるので不思議だ。髪にリアリティがないのかしら。ただ、制服を脱いだグラビアではそれほど髪に違和感がないので制服由来なのかもしれない。
 コスプレなのにコスを脱ぐのが不思議ではあるんですが、「せっかくグラビアやってもらうんだからもう少し露出を‥‥」みたいな大人の事情でしょうかw 一応脱いだスカートがベッドに落ちててコスプレならではのドキッとする感じを演出してたんだと思いますが、個人的に本作にこういうセクシー要素は期待してないので‥‥。とはいえ、グラビア目的でマガジンを買う人、えなこ目的でグラビアを見る人も多いだろうから、やはり『生徒会』ファンとしては感謝しかない。人生で最も「えなこ」という文字列を書いたが、もう足を向けては寝られない。今ほどコスプレ人気がなかったら、巻頭グラビアは本作と関係ないものになってたと思います。
 個人的には最後の屋上シチュが面白かったです。「会長は高所恐怖症なんだよなぁ!!」とオラつくのも一興ですが、アニメオープニングに屋上の場面あるのでね‥‥。

連載作家陣記念色紙

 最高。いろんな人が描く『生徒会』が見れる。どのキャラを描くか、どう描くかの情報量が多すぎてここだけ眺めるだけで時間が溶けます。
 意外と少なかったのが自作とのコラボというか、イラストに自作要素を盛り込む人。もっとあると思ったし、もっと見たいんですが、ベテランなので気を使われてるのか? 和久井先生の学ラン会長とかすげぇ好きです。会長のコスプレは貴重。
 えなこグラビアのときにも感じたけど、本作の代名詞的な決めポーズとか、決めゼリフがないのでアプローチが難しそう。宮島先生のセリフの引用は「たしかに強いて言えばこれかもしれない‥‥」というオモシロがあった。グッズ展開とかでも使われてた記憶。
 人選。基本的には会長で、3人を描いたり、タカも入れたり。たまに違うキャラをメインにする人がいるんですが、その中ではスズが圧倒的に人気。大今先生に至っては目次コメントでスズ愛を語ってる始末。
 そんなスズ。スズといえばぁぁ?? とスズヘッドを選択した人も2人いて嬉しい。どちらも「スズヘッド」と色紙内に書かないのがニクい。スズヘッドの深さ、描き込みがどちらもほとんど同じなのも面白い。
 そんな中、なぜか週マガ以外から登場した荒川先生が描いたのは、ムツミ!! しかも単独。ありがてぇ~! 正直この手の企画でムツミが出てくるなんて期待してなかったのでマジ感動してしまった。
 あと、メッセージ系。感動したというか、我が意を得たのが鈴木先生。「エロいはずなのにエロく見せない唯一無二のマンガでした!」。これだよね。『生徒会役員共』という作品、氏家ト全という作家の最大の特徴であり魅力はこれだと思う。これは星野源ダヴィンチで似たようなことを言っていた。『生徒会役員共』評としての核心なのだと思う。

生徒会アンソロジー4コマ

 色紙とは別の、セクシー系の作家によるセクシー系のアンソロジー。ただし、内容は原作と同じネタ(セリフ厳守)。絵は自由なので、好き勝手やってください、という感じ。ネタのチョイスは各作家なのか、担当あたりが勝手に決めたのかは分かりません。ただ、話をイチから考えなくていいからこれだけのメンツを集められた、という都合はありそう。
 先ほどとも通じますが、同じ話をセクシー全開で描くことによって、逆に原作の健全さが際立ってたと思います。ちゃんと比較できるようになってるのが嬉しい。「全然違うやんけ!」となるけど、話は完全に一致なんですよね。漫画ってすごい。原作の話とセリフを厳守しながらも、原作にはない2コマぶち抜きを持ってくる人がいたりして、漫画演出の奥深さを感じるような企画だったと思います。
 ちなみに、スズヘッドは1回、シノヒップが1回。どちらも原作にはないオリジナル。理解度が高いというか、愛を感じますね。全体の中でもこの2本好きです。最後に登場したあの人は別枠として。
 やはりマガポケはセクシー系の作家が多い(てかエロもやってる人)、とか思ってたら最後に登場するのが、桜場コハル先生!! 安心感がすごい。よく考えるとセクシー要素ないんだけど、今回の完結記念企画に桜場先生がいないとか論外なんだよなぁ。てか、さっきの色紙にも参加してほしかったレベル。
 そんな桜庭先生は、4コマの中でコマの大きさを変化させる。4コマ漫画の方法論が違う!! 絵の構図はかなり原作通りなんだけど、受ける印象が全然違うので面白い。

氏家ト全先生一問一答独占インタビュー

 これよ。豪華作家によるあれこれも嬉しいけど、やっぱ一番気になるのはここですよ。超久々のインタビュー。パンモロ最終回と同じくらい、氏家ト全という作家を語る上で欠かせないのが、この簡素すぎるインタビュー。毎週の目次コメントでもお馴染みですね。
 さすがに15年も続いた連載の完結なので作者の感慨も深く、珍しくエモいことを言ったりし‥‥ない!! するわけない!! いや、それなりに語ってるところもあるし(目次コメントも長め)、普通に興味深いです。ここが一番貴重なページというのは間違いない。
 「一番○○なキャラクター」について3つ。めちゃくちゃ興味深い。個人的にはここがハイライト。3つもあって、会長が一度も出てきてないのが印象的でした。まぁ、前のインタビューでは出ましたね。
 好きな食べ物、苦手な食べ物。なんでそんな話に‥‥と困惑も多少あったんですが、嫌いな食べ物として出てきたのが「酢の物」。ムツミだ!! ムツミの苦手なものとして #556 に出てきた奴。あのとき作者はムツミに自己投影していたのか‥‥(手癖で描いただけとも言える)

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 個人的には熱血ファンタジーバトルの件については聞いてほしかったです。てか次作について。

再録だよ!生徒会役員共ベストセレクション

 計10ページ、19本。本編より長いw
 各巻から1本ずつ厳選してるかと思ったんですが、途中で抜けがあったり、複数選出される巻があったりして、ここは謎。作者によるセレクトとかだったらインタビュー以上に興味深いのですが、まぁそれは期待しすぎ。自作のことは語らないのである。先ほどの一問一答でも、自作についてが簡素で「これが見たかったんだよなぁ!」となりましたw
 選出内容。あまり脇役のことは出しづらいのでしょうね。生徒会限定、特に会長が多い。ここまで登場人物が偏ったネタを連続して読むのは意外と珍しいので、なかなか新鮮な読み味です。
 ネタに関しては、やたらタカくんの下半身について言及するネタが多いので笑いました。選者(担当さん?)の好みが透けて見えるようである。


 終わり。あとは、グッズ販売とか、抽選とかあって豪華ですよ。グッズ販売のページでは最終22巻の表紙イラストがしれっと発表されててビビる。ファンとしてはそこでひと盛り上がりしたかったんですが、販売の都合なので仕方ない。
 これで『生徒会』を楽しむのは終わり‥‥ではなく、来年1月の最終巻発売が残ってますね。そこでもグッズ販売があるそうです。個人的には、何かの発表(次作とか)をするならそこなんじゃないかと期待してる。期待したい!!

 ということで、連載の感想としては終わり。毎週楽しかったです。本当にありがとうございまいた。お疲れ様でした。当ブログ的にも最長の付き合いで、最大の別れ。本当に寂しくなるんですが、最終エピソード及び最終回、そして本号の特別企画のお祭り感があまりに嬉しいので少しはその寂しさが紛れました。本格的なロス感覚は来週以降来ると思いますw それまではマガポケアプリの全話無料を楽しもう!!!(単行本持ってるけど)