北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

『サイボーグ009 BGOOPARTS DELETE』26話の感想

 映画『エターナルズ』がめちゃくちゃ『サイボーグ009』的な内容だったので、ファンの方は観てみるといいと思います。マジおすすめ。

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神話復活編㉖

 001が合流して、今後どうするかの会議。こういう会議シーン、『サイボーグ009』らしさを感じて好きです。今回は001が中心ではあるものの、こういう会議シーンで高確率で重要になってくるのが004。今回も004が001の提案(?)に対するリアクションをし、話を一気に押し進める。ただ、ここで聞き捨てならないセリフが飛び出る。 “オレたちが時空を超えた今の〝存在〟になる前から…” 。この急に重要そうな情報が小出しになるのが本作の魅力だと思います。そもそも本作が『サイボーグ009』作品群の中でどういう位置に、どういうスタンスで存在するのか、という部分のSF的な理屈付け。その設定が少しずつ明らかになる。一言で済むような分かりやすい説明みたいなのはないけど、断片情報が小出しにされることでぼんやりと全体像が見えてくる。ここらへんの感覚、連載をリアルタイムで追っかけることでより特別になる魅力だと思います。

 お次はミュートス陣営の会議。先ほどは意見の対立が一切なくスムーズに結論が出たんですが、こちらはめちゃくちゃ揉める。物語的に核となる悪役はゼウス(ガイア)なんだけど、読者の懐古趣味的に見たいのは「001vsヘラ」の再戦でもあるので、そのバランス取りというか、おいしいとこ取り。
 もしくは、オリジナル要素の高い悪役であるゼウスに箔を付けるためにヘラが駆り出された、とも見えるのかな。原作のミュートス編が打ち切りのような終わり方をした際、ファンが最も不完全燃焼を感じたのはヘラだと思うんですが、今回その再戦の舞台を整えるのがヘラで、ヘラがゼロゼロナンバーを誘い、001が “イイダロウ…” と快諾。夢のマッチメイクは戦い自体も魅力的ですが、マッチメイクが決定する過程もファン的にはアガる。格闘技の大型試合が組まれた際のワクワク感とかも連想しました。

 一応ゼウスが指示を出す形になるんだけど、ミュートスたちは従うだけじゃない。ここで一矢報いるのがアポロンなのが嬉しいんだけど、その方法がとにかく最高。指からの熱線は原作準拠ながら、2本の指から糸のように垂らし、それを振り回す。めちゃくちゃかっこよかった。本作オリジナルではあるんだけど、原作の描写から考えて「ありそう」と思える内容なのが良い。ここらへんの拡大解釈、類推解釈のセンスは岡崎版の魅力の中でも屈指のものだと思います。二次創作の楽しさを感じる。
 ということで、ゼウスシステム破壊。先ほどゼロゼロナンバー陣営の会議で “ツマリ完全ナ任務の達成以外ニ君タチニイハ退路ガナイ” とありましたが、このアポロンたちの反乱によってゼウス側も退路を断たれる(ミュートスたちも)。敵側も必死の戦いになるロジックとしても面白いんですが、何よりミュートスサイボーグたちの “使い捨ての再生サイボーグなんかじゃない!!” という叫びが感動的。機械の体を持つ戦士だけど、決してロボットではない。これは『サイボーグ009』全体に通底するテーマでもありますよね。その熱い主張を敵側に用意したのが意外だし、これによってミュートスたちにも肩入れしてしまう。こう考えると、ミュートスたちの上の立場にオリジナルの悪役を用意したのはうまい手ですね。やっぱファンとしてはアポロンたちのことも大好きですので。もっと単純に憎める悪役が別に用意されるとより感情が乗っかりやすい。


 ということで決戦の舞台が整って今月は終わり。今回はとにかくアポロンが良かったなぁ。あの大ゴマの高揚感ったらない
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