北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』の感想

 今時珍しいほどに小粒な映画でした。
 ネタバレあるから未見の人は読んじゃダメだよ。損するよ。

gohomeclub.hatenablog.com

 良くも悪くもスケールが小さい。良くも悪くもどうでもいい。MCUのシリーズが複雑になりすぎてるってのは分かるし、毎回上映時間が150分で膀胱がインフィニティウォー状態になるのに問題があるのも分かるんですが、だからといってシンプルすぎる本作が絶対の正解かというと疑問もある。
 そもそも待望のカーネイジ登場がこの扱いで、しかも食べて終了だったのはいくらなんでももったいないのではないか。まぁ、ミッドクレジットがカーネイジとかどうでもよくなる級の爆弾だったのも事実なんですが、とはいえなぁ。前作にウディハレルソンが顔見せしたのが一番好きなシーンかもしれない。
 まぁ、特別悪かったわけでもないんだけど、前作の悪役と具体的に何が違ったのか、とか印象は弱い。
 シュリークの方はもっと酷い。ヴェノムじゃカーネイジに勝てないから弱点であるシュリークを隣に配置しました、みたいな意図しか感じない。ゲームでたまにあるラスボス戦専用のギミックとかそういう感じ。まぁ、シュリークとの関係もひっくるめて「実力は劣っても仲が良い方が勝つんだよ」という話にはなってたと思うが、それだけのためだったよなぁ。関係ないところでもっと暴れてほしかったんだけど、そういうことすると上映時間が長くなるんだろうなぁ。けどなぁ、普通に彼女がヴェノムとタイマン張ったら負けるはずないよね。

 良かった点としては、前作の良かった点を煮詰めてる点。そういう意味では理想の続編なんだけど、それ以上のものがないので、印象の薄い続編にもなりかねないというか、何のための続編だったか分からなくなったりもする。
 エディとヴェノムがもはやカップル、もしくは夫婦になってるのとか最高だったんですが、その他にもアンとダン、そしてチェンにおいしい出番があるのが嬉しい。前作の良さをちゃんと分析できてるというのを感じる。もちろんトムハ一人二役のドツキ漫才みたいなのも面白いんだけど、脇役も超良いんですよね。前作。「元カノの今カレが悔しいけど超良い奴」って最近のハリウッド映画だと割とあるけど、本シリーズは頭一つ抜けた魅力を放ってると思う。本作でもとりあえず出ただけじゃなく、しっかり笑わせるし、活躍もするし、ヴェノムたちの成長を示すドラマにも関わってくる。あとは、前作でも思ったけど、「なんでミシェルウィリアムズこんな映画に出てんの??」の驚き。ギャグシーンでもあり、頼れるサイドキック的な感じで良かったなぁ。しっかりヴェノムが寄生するサービス付き。ブロマンスの触媒としてヒロインって要するに当て馬的な役割なので残念なことになりがちなイメージもあったんですが、本シリーズは見事なバランスだったと思います。
 個人的な本作のベストシーンは、アン(の中のヴェノム)に対するエディの謝罪シーン。ヒーローがあそこまで謝るのって珍いのでは。それと、ヴェノムに謝ると同時にアンに謝ってるようにも見える、というのが大事でしたよね。エディの成長という意味で非常に大きな場面だったと思います。

 それはそうと、やっぱり本作で語りたいのはミッドクレジットのアレですよ。ついに歴史が動いた。歴史の転換点に立ち会えたという感動。MCUの外からMCUに繋がるとはなぁ。マルチバースMCUがどんどん何でもアリになると予想されるとはいえ、このMCUを外から見る視点は今後もなかなかないのでは。もしくは、MCU以外の「○○ユニバース」構想で初めて成功例に立ち会えたかも、という感動。DCも好きなんですが、最近はユニバースとしての繋がり関係なくなっちゃった感が残念ですよね。フラッシュの映画とかまたすごそうではあるんですが。
 ということで、MCU合流。正直『モービウス』とかどうでもよくなっちゃったんだけど大丈夫!? いや、よく考えたら『モービウス』にマイケルキートンが出てくるのは祝マルチバース結合ということか。そういう意味では楽しみだな……。てか、マイケルキートン、フラッシュの映画にもバットマン役で出るらしいし、すっかりマルチバースの象徴みたいな役者になりましたね。どこかで『バードマン』ネタあるといいなw
 とにかく、MCUマルチバース結合の瞬間を初めて見れたのが『スパイダーマン ノーウェイホーム』ではなく本作だった件。まぁ、『ロキ』はややこしいので一旦除外するとして。あの瞬間、『スパイダーマンNWH』におけるストレンジのやらかしなんじゃないかとも思えるんですが、ヴェノムたちが目撃するニュース映像が『スパイダーマン ファーフロムホーム』のラストと同じだった気もするんですよね(記憶は曖昧)。そう考えると、『FFH』ラストの時点でマルチバースの釜の蓋は開いていた、となるのではないか。そもそもMCUにファッキンテンポな編集長がいるのがおかしいですし。だとすると、今まで『NWH』の予告で「ストレンジありがとう!!」と感じていたものは実はまったく別の意味を持つ場面だったのでは……とか思うと本当にワクワクしますね。なんで日本は今年の公開じゃないんだろう……。
 ディズニープラスの関係でディズニー作品は世界同時公開がデフォルトになると思うんですが、そう考えると、ソニーが余計なことしやがって……という気持ちがどうしても。いや、ディズニープラスの件について全面的に賛成とかそういう話ではないんですが。


 ということで終わり。トムホはMCUに置いてきていいから、『NWH』に出演したアンドリューガーフィールドをSSUにお持ち帰り、みたいな夢を抱いてしまう。『アメスパ2』大好き……。

 どうせ『NWH』に出るんでしょう?? とマジで期待してます。頼むで。