北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

『マトリックス レザレクションズ』の感想

 『エヴァ』『るろうに剣心』『カウボーイビバップ』の新作が公開される2021年でしたが、その大トリとも言えるのが『マトリックス レザレクションズ』。個人的に一番(唯一)思い入れのあるタイトルなので楽しみにしてたし、不安でもありました。監督が片方だけなのとか心配になるじゃないですか。その点に関しては、杞憂。普通に面白い映画だったと思います。

 『シンエヴァ』を観た際、感想として真っ先に思いついたのが「思ったよりちゃんと終わった……ちゃんと続きだった……」なんですが、『マトリックス レザレクションズ』に関しても同じ。ちゃんとした続きになってたのが驚き。もっとリブートとか、7周目のループの話とかになるかと思った。もっと観念的、哲学的な話で煙に巻かれるのかと思ったんですが、思いの外説明がしっかりしてる。結構理詰めで『レボリューションズ』の続きであることを説明してくれる。ここは本当に良かった。好き。まぁ、「死んだ2人は機械が復活させときました」というのは身も蓋もなさすぎてアレかもしれないんですがw 私は『リローデッド』も『レボリューションズ』も大好き(特に前者)なので、ちゃんと三部作すべての続きである点が徹頭徹尾強調されてたのが本当に良かった。作ってくれて感謝しかない。

 ただ、アクションはつまらなかった。全体的にパッとしなかったってのもあるし、端的にアクションシーンとして酷い内容だったところもあるので、「映像技術が進歩してるはずなのに??」と困惑でしかない。新幹線のくだりとかマジしょうもないし、大したアイディアも感じないし、カメラも揺れ揺れで「これが『マトリックス』最新作……」と虚しくなった。あと、エグザイル大集合のくだりも。ツインズみたいな超能力使う奴も出てこないし、気づいたらみんな勝ってるし、何だったんだろうなあれ。メロビンジアンの登場は嬉しかったけど、顔出しただけで終わっちゃったので、ファンサービスでしかなかったのかな……とか考えてしまう。
 あとはクライマックス。覚醒ネオの無双……が全然ないし、特に強キャラとのタイマンみたいな見せ場もない。ネオがひたすらバリアするだけの連続で悲しくなった。監督は『マトリックス』のアクションにそれほど興味なかったのか……と知りたくない事実を突きつけられたようでもある。
 ただ、ネオの代わりにトリニティが覚醒するのは最高だったし、飛翔までしちゃうのも好き。最後に、特に意味はないけどアナリストをボコボコにしに行くのも痛快。「子供を使うんじゃねぇ!!」とこの上ない正論を吐いたのも好き。大人トリニティならではの良さ。

 メタ。メタ視点、メタジョークがあまりに連打されるので混乱した。メタジョーク自体はファンサービスでしかないんだけど、この混乱する感覚が大事だったのでしょうね。そういう意味では『リローデッド』『レボリューションズ』にはなかった『マトリックス』らしい魅力だと思う。
 ただ、正直こういうメタ視点込みのゲームの話だと、今年は『フリーガイ』があって、あれがあまりに素晴らしかったので正直見劣りもした。あっちはオリジナル作品だったという強みもあるし。
 めっちゃ好きな点もあって……チャド!! ティファニーの夫としてチャドが出てきて、その顔がチャド(スタエルスキ)だったのにはマジ爆笑。本当に好き。てか、チャドめっちゃイケメンやし、普通に役者いけるな(イケメンだから役者いけるという前時代的な発想)。ネオの分身だったチャドがトリニティの別の人生の夫、というメタ的な意味合いも最高。同時に『マトリックス』同窓会としてもニッコニコな場面であった。強いて言えば、チャドにも戦ってほしかったなw
 先ほどアクションがポンコツ化してて悲しくなったと書いたんですが、本作にガッカリした原因の一つが『ジョンウィック』シリーズ。キアヌ(とチャド)がアクション映画としてのアップデートを繰り返してるのに本家である『マトリックス』が……というガッカリ。まぁ、なのでアクション要素は『マトリックス』の息子とも言える『ジョンウィック』シリーズに期待するとしましょう。そっちが残ってるのは普通に朗報。クソつまらなかった新幹線要素に関しては、今度はデヴィッドリーチが『バレットトレイン』でリベンジしてくれる。なんで頼れる息子たちなんだ。ありがとう87eleven……。

 好きだった要素。アイオ全般。ナイオビが「ザイオンって戦争好きだよねぇ」と否定的だったのにはマジ笑ったし、機械との共存というビジュアルも好き。
 アイオに限らないけど、粒々モーフィアスも好き。単に新キャストのモーフィアス像が好きってのもある。粒々を生かしたミッションがあるのも好き。
 これは調べるのがめんどくさいって話なんですが、アイオのスペルは「IO」でいいのだろうか。ZIONの真ん中2文字とも取れるし、ゼロワンと対になる思想を反映してるようにも感じられる。
 イチゴを食べる際にレッドピルごっこができるようになる、という素晴らしい知見を得たのもありがたい話。逆にブルーベリー食べづらくなるんですがw

 ちょっと『マトリックス』自体からは少し離れた話。メガネキャラのテンプレ演出が出てきたのが個人的に嬉しい。アナリストの「正体を明かしたらメガネを捨てる」。ジャンプ漫画だと『BLEACH藍染、『ONE PIECE』クロとかそういうライン。実写で見れたのが良かった。
 メガネのデザインが青で、ブルーピルを連想させるのも良かったですね。正体を明かすとブルーピルも必要なくなる。
 ただ、アナリストとの対決が残念な感じで終わっちゃったのがやっぱなぁ……。煙に巻かれたというか。バレットタイムも面白いし、スミス参戦は熱いんだけど、あれで終わりかぁ……。バイクで逃げようとバレットタイムなら一瞬で追いつけたと思うの。別にスミスに殴られても死ぬわけじゃないし。


 終わり。ちゃんとした続編で最高に面白かったけど、『マトリックス』にはアクションを期待しちゃうなぁ、というのが全体的な印象。ロマンス要素が史上最大級なのは良かったです。過去作のロマンスあまり好きじゃないけど、本作は良かった。

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