北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

『サイボーグ009 BGOOPARTS DELETE』28話の感想

 年末年始でいろいろブログ書いたのと、『スパイダーマン ノーウェイホーム』の衝撃がでかすぎたので、1月ぶりという事実がしっくりこないです。2月とか余裕で経ってるイメージ。
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神話復活編㉘

 009vsアポロン(に化けた誰か)。加速装置バトルは本作でもお馴染みで、相変わらずの面白さなんですが、今回は森の中というシチュエーションが良い。無数の障害物でもあり、2人の速さを示す比較物でもあり、隠れるのに使ってもいい。そんな森をアポロンは大規模に伐採もできる、というハデさもある。それに対して “乱暴な剪定アル〰!” と言った006がまた彼らしくて最高。
 そして、そんな加速者同士のバトルの外にいる004が “これはサイボーグ同士の加速音だ!” を残りのみんなを指揮し出す。004が指揮するのはいつものことですが、この加速音について004が言及したのはおそらく「地下帝国ヨミ編」への目配せですよね。もしくは、そのときの経験があるから004は今回ああいう発言をしてる。こういう作者もファンであり、読者もファンであるツーカー関係みたいなものは二次創作作品ならではの魅力だと思う。本家だとこういうセリフは出てこないのではないでしょうか。

 アポロンの正体。まさかのゼウスであった。これは普通に意外。たまげた。切り込み隊長的な役割なのにいきなりラスボス(たぶん)だったとは。
 ただ、前回の内容を読み返したら、前回の次点で左手の傷は描かれてたので(それも結構な大コマでw)、熱心な読者なら前回の時点であのアポロンの正体には気づいていたと思うんですよね。ふ、不覚……。
 ちょっと感想からそれますけど、こういうとき毎話の感想をその都度書いてる身はつらいんですよ。単行本だったら「左手が伏線でしたねー」と知ってたようなこと書けるんだけど、毎話感想を書いてると今回みたいな明確な見落としを隠せないw まぁ、こういうリアルタイム性が連載を1話ずつ追うことの醍醐味だとは思うので、こういう見落とし込みで私の読書記録として面白かったりもする、はず。
 毎月真面目に読み込んでるつもりだったんだけどなぁ。先月の時点で「正体が分かるかもしれない」という選択肢が頭になかった……くそぅ……。

 んで、009をコピー。真面目に戦ってる009には悪いんですが、正直「スペック的に009は大したことないからコピーしてもそれほど怖くない……」とか思ってしまった。ごめんよ。そしたら、ゼウスの狙いは直接の戦闘ではなく仲間の攪乱であったと。うまいこと納得のできる合理的な展開になってて見事ですわ。ファンサービスのために多少無理のある展開を入れる、という逃げがない。
 一度009と戦うフリをしたのは移動する隙を作る意味もあったのでしょうが、戦う2人を読者に見せて「区別つかねぇ……」と実感させる効果もあった気がする。先手を打ったのがゼウスだと考えれば分かるけど、絵的な情報ではまったく分からない。それを味わった上で場面転換されるともう皆目見当がつかないですよ。

 ということで合流。先に移動したのがゼウスなのでめちゃくちゃ怪しいんですが、敵がゼウスであること、ゼウスに変身能力があることをこの009の姿をした男が自ら語るので「ゼウスがそんなこと言うメリットないよね?」と気持ちが揺らぐw 結果的にはゼウスだったわけだけど、ちゃんと初読時、どっちか分からないように混乱させてくる。
 あと、ゼウスの変身能力の由来を女好き(違うよ)の009になぞらえた一同のリアクションもめちゃくちゃ面白かった。こういうちょっとメタ的とも言えるような会話に弱い。めっちゃ好き。現に今回もリコにモテてたんだよなぁw

 ぶっちゃけ、こういうそっくりさん展開ってかなり定番じゃないですか。漫画に限らずいろんな作品であると思います。なんだけど、本作のこの展開は正体を見破る方法、そしてそれが同時に加速装置殺しの機能も担ってて感動した。アイディアとして洗練されてる。最初読んでるときは「『どこ落ち』じゃんw」とか軽い気持ちで読んでたんですが、宙に上がることに別の意図が隠れてたので秀逸。あの場であそこまでのアイディアを思いつく002、只者ではない。「どこ落ち」というファンの目を曇らせるネタを入れたのも「実はゼウスでした」の驚きを強調する前フリとして効果的だったとも思います。「どこ落ち」かと思ったら002が009を落とす展開になるのはかなりショッキングw

 ちょっと自信のない話にはなるんですが、偽009にはスーパーガンを使おうとする場面がないんですよね。本物はスーパーガンを構える場面が複数存在するのに。スーパーガンがゼウスのコピー能力の対象外なのだとしたら(服などと一緒に見た目だけコピーした)、この描写の違いによってゼウスの正体が見破れる作りになってたのかも……とアポロンの左手を見逃したショックを引きずった感想w
 自由落下中には移動効果がないとはいえ、偽009が全力で加速しちゃえば落下中でも002たちよりも早くスーパーガンを撃てるので、少なくとも1人は道連れにできたと思うんですよね。速さによっては全員撃てるかも。もちろん混乱もあるのでそこまで瞬時の判断を期待していいのかは少し怪しいのですが。


 ということで終わり。めちゃくちゃ面白かったと同時に痛恨の見落としが発覚して動揺を隠しきれない回でした。まぁ、こんだけ動揺できるのも読書体験として貴重、ということで。
 ちなみに、来月は休載だそうです。『8マンvs』も掲載されないようなので、めちゃくちゃ珍しい『サイボーグ009』が一切載らないチャンピオンREDということになる。気をつけてね。
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