北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』の感想

 予告観て「こいつぁ楽しみだぜ!」となって本編観たら少しテンション下がるの、2作目以降の恒例になりそうで怖い。特別つまらないというほどではないんだけど……ってこんな書き出し先週も書いたわ。

マッツ

 グリンデルマッツは最高。予告の時点で最高なのは分かっていたが、やっぱり最高。ジョニデ版が嫌いというわけでは決してない。むしろ「ジョニデの新たな代表作の歴史に立ち会っている……!」みたいなワクワクも感じてたんだけど。
 アレな感じのキャスト交代って大体テンションが下がるか、「いつの間にか慣れたね」みたいな感じになりがちだと思うんですが、本作みたいな初登場の瞬間から「最高!!」となるの本当に珍しいと思う。とにかくすごい。
 ただ、本作における最高のショットであろう、ジュードロウとマッツが杖を突きつけ合ってるのが予告で既出だったのはいただけない。予告で最高にワクワクしたショットだったけど、まさかあそこがクライマックスだとは思わないじゃん……。そもそも、あのバトル自体が物語とは直接関わってこない、「はいここファンへのサービスでーす!!」みたいな場面なので、予告で知ってたけどストーリーを通して観ると感動が倍増、って感じでもないんだよね。

エズラミラー

 クリーデンスは本シリーズの最重要人物だと思ってたし、ダークサイドの運命の子、闇のハリポタだ!! とか思ってたくらいなんですが、3作目にして急にどうでもいい扱いになってしまったな……。
 映画を観る前は「ミラー降板でも常時ポリジュース薬で大丈夫」とかふざけたこと考えてたんですが、本作の扱いを考えると「もうこのまま退場でも問題なさそう」にまで考えが変わりました。マッツを打ち出したいのは分かるけど、もうちょっとうまいことクリーデンスに見せ場作れなかったのかな。

前作

 前作はとにかく話がとっちらかってて、『ハリポタ』シリーズとの絡みも激増でやたら難解。ただ、クライマックスのジョニデ演説は最高だぜ。みたいな印象だったんですが、本作もとっちらかってたでござる。いや、さすがに前作ほどではないんですが、逆にクライマックスにおける「世界が一変してしまった!」という感覚は乏しい。長期的なストーリーにおける本作の位置がよく分からないんですよね。グリンデルバルドが悪いことしようとしたけど阻止しました、で終わっちゃう。長期的には何もなかったに等しい。
 とっちらかってて、各人何がしたいのか分からない、話がどこに向かってるのか分からない。「ノープランで行くぞ!」というのが本当にそのまま、悪い意味でそのままの意味だったと思う。
 最近の細田守と同じで、「ローリングは脚本やらなくてもいいんじゃないか?」みたいな印象すらある。
 ただ、本作における悪行が「不正選挙」だったのは面白かった。テーマとしてかなり面白いし、現実社会の反映というのも感じる。「選挙だけどキリンに任せよう!」というのも「魔法界それでいいんか」と軽く引きましたが、話が分かりやすくなったという恩恵はあった。キリンちゃん可愛いからすべて許せる気持ちになったというのもある。

キリン

 ジラフか幻獣か一瞬分からなかったんですが、ファンタスティックビーストでしたね。前作に続いてメインビーストが東洋系(中国系)というのは西洋系の大ネタであるドラゴンが散々既出なせいもあると思う。
 そんなシカ……じゃなくてキリン。お辞儀するのがめちゃくちゃ可愛くて最高。まるで奈良のシカ。
 あと、マッツに抱かれるキリンちゃんという絵面も最高でした。殺されちゃうんだけど。

ジェイコブ

 本シリーズ最大の発明は例のパン屋だと思うんですが、どうも魅力を引き出し切れてない感。ダンブルドアとの絡みにもマジックが生じそうな雰囲気はあったんだけど……予感だけで終わってしまった。
 てか、一番見たいのってニュートとジェイコブの絡みだと思うんですよ。クイニーとの結論も気になるし、ジェイコブが杖を持つ絵面も新鮮で良かったんですが(使ってよ)、やっぱりニュートに振り回されながらも圧倒的なまでの好意で応えるジェイコブの姿が見たい。そこが弱い。ニュートが兄貴と手をつないで気まずい……みたいなギャグも良かったけどさぁ、兄貴もいいけどジェイコブでしょ。
 そもそも本作はニュートの物語としてもパンチが弱い。キリン選挙も無理矢理ニュート絡めるための逆算って感じ。
 そんなキリン選挙。ダンブルドアで一度お辞儀したのが結構な時間の無駄だったというか、絶対ジェイコブの前でお辞儀する流れだと思ったんですよ。そしたらダンブルドアが「いやぁ困りましたなぁ」とか色気振りまくので、「素敵だけど何この時間!」と複雑な気持ち。絶対ジェイコブが選ばれるべきだったよなぁ。魔法界に激震、ドイツから広がる大改革、とかなればよかったのに。
 まぁ、これはシリーズ最終章で再登場したキリンがジェイコブの前でお辞儀して、雷神ソーが「I knew it!!!」となるんでしょうね。


 終わり。もっと面白くなるポテンシャルを秘めてるはずなのに……ともどかしかった。まぁ、魔法のビジュアルは安定して魅力的だし(シリーズの超偉い部分)、セクシーおじさん頂上対決も期待通りの良さだったので、一定の満足があったのも確かです。この良さは次作以降も続くと思うので今後も楽しみです。