北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

週刊少年ジャンプ2022年35号の感想

 まだお盆休みの合併号ですらないのか。

背表紙

 「このキャラだ~れだ??」。前回は頼重。キャラデザのその部位に着目したことなかった……と気づかせてくれるのが本コーナーの良いところですね。

表紙

 『ONE PIECE』。映画記念ですね。個人的に『FILM RED』は結構ガッカリ。

読者プレゼント

 『トップガン』。たしかに人気だからこういうネタになるのも納得だわ。
 「真夏の予算増額ソーン突入」という、「ゾーンと言えばデンジャーゾーン」という引っかかりが弱すぎるダジャレが好き。引っかかりは弱いけど、「予算増額=デンジャー」という意味も汲み取れるので何気にうまいのかもしれない。

巻頭カラー『ONE PIECE』1055話

 サブタイが「新時代」なんだけど、これは映画ネタ!! すげぇな、ウタが直接出てくるわけじゃないのに。
 本編。ワノ国の真実はちょっと『カリオストロの城』っぽいというか、その逆バージョンって感じある。かなり面白かったです。まぁ、現状だとほとんど裏設定と大差ない気がする。あまり物語に絡んだ感がない。たぶん尾田っちワノ国に思い入れありすぎて設定が過剰なんだと思う。良いところでもある。
 緑牛、成長したモモにボコられる。いくらカイドウビームでも緑牛ショボすぎでは……と思ったら最後の一手はシャンクスなので少し安心。いや、相当株は落ちたと思うけど、モモに負けるよりはよっぽどマシ。海軍大将は赤髪海賊団に一喝されてビビりがち、といるあるあるができてしまったな。

『SAKAMOTO DAYS』81話

 久々に坂本見れて本当に良かった。やっぱ好きだわ。女性教師の格好をしてるのもポイント高いんだろうな、と今更ながら。
 「一撃入れたらいいよ」というヒソカルール。晶が急襲するのはかっこいいんだけど、「あんたは許可証もらってないじゃん」と気になった。まぁ、その点をクリアするからラスト、第二の協力者が成立するんですね。
 晶の隙の糸(違う)、自分の糸かと思ったら相手の糸だった、というのは鮮やか。『鬼滅』にはない独自性を入れてくるのが見事っすね。母親にも教えたことあるので、という因縁も感じさせて二重に面白い。

『呪術廻戦』192話

 呪力で殺さないとダメルール。前話かな? の感想で「事前に予想してたガチ勢はすげぇ」みたいなこと書いたけど、同時に「まぁ私はもうついていけないよ」的なノリもあった。そしたらちゃんと作内で説明あったので安心ですわ。さすがにそこまで把握してる人向けには描かれてなかったらしい。助かる。
 正直加茂くん空気というか、ドラマ的に邪魔である可能性も考えたんだけど、自動追尾っぽい矢が相性良いので、脳筋のサポート役としての適正があった可能性。

『あかね噺』24話

 いよいよ寿限無の本題。今回も丁寧に落語の内容を描写していくんだけど、そこにあかね自身のドラマが重なる。こないだの声優のとき、破門ジジイが「芝浜やるには若いじゃろ」的なこと言ってたと思うけど、それは今回も当てはまりそう。ただ、親の愛という意味においてはあかねには特別なバックボーンがあって……という感じ。
 あと、普通に寿限無のフルネームの由来が丁寧に説明されるのが知識欲として面白かったです。そう考えると「海砂利水魚」の名前を捨てた某芸人は罰当たりすぎる。
 ラスト。あかねの落語の真骨頂、本作の落語描写におけるネクストレベル突入か、という予感。こ、これは『食戟』システム導入なんじゃないかしら。『PPPPPP』でもいいけど。だとしたら、正直あまり面白そうではない。現状の印象。『食戟』とかは面白かったけど、本作にハマるのかがあまりイメージできない。

僕のヒーローアカデミア』361話

 アニメ、短編の新作が公開されてたのね。このジャンプ読んで初めて知ったわ。ジャンプが情報収集の場として機能している。ツイッターとか見ないからなぁ。母が喜ぶので助かります(ファン)。
 本編。弔の地雷は笑った。ミリオの真面目さがまた面白いんだけど、AFO視点では本気で重要な話でもある、というのが良い。
 あと、前回の感想で「ビッグ3が出てきても進展はしない」的なこと書いたけど、撤回。普通にちゃんと進んだわ。活躍(勝利)とまでは分からんけど、しっかり出てくる意味は感じた。ごめんよ。前回で終わりだと思った。まぁ、波動が少し影薄い気もする。
 大食いチャレンジで上限のない個性。この理屈は面白いし、ヤケクソみたいな文字情報の洪水も良い。一つずつどんな効果があるのか想像するファンもいそう。ただ、暗記パンの存在が脳裏をよぎった。それぞれ一口ずつで成立するなら大丈夫かも。

センターカラー『ブラッククローバー』332話

 最終章突入&連載再開。めでてぇですね。
 本編。アスタはガチで出世しちゃったし、団長は難聴ネタに逃げずに告白を認識してしまったし、いよいよ不可逆的にすごいことになってきた。要するに、最終章だなぁ、という実感。終わっちゃうけど、最終章だからこその出し惜しみのなさ。
 アスタの告白。アスタのことを考えればまぁ当然のことではあるんだけど、あそこまで真っ正面から告白して、撃沈し、それを聞いてた2人がガチ失恋するというのは面白い。そこで「魔法帝におれはなる」宣言をして最終章の開幕となるんだけど、その宣言が私的なものだったというのが良い。もっと式典で「えぇーそれではここでアスタさんから一言」みたいなノリになるかと思ったわ。

『ウィッチウォッチ』72話

 モモチってすごい。芸能人とまったく同じ名前のキャラを出すのか。まぁ、引退してるけど。
 でかいだけでなく、大人の女性ならではの色気というのを全開にして個性を出してるのは面白い。さすがに斜線入れすぎな気もするが、まぁ狙いは分かる。高校生と19歳の違いを絵で表現するって結構しんどい話だと思うけど、そこは成功してると思う。まぁ、今後衣装とか変わってもそれが継続するかは知らんが、とりあえず第一印象が成立しちゃえばこっち(あっち)のもん、なのでしょう。
 瞬間移動魔法。どの作品にも1人いると便利な奴や。いろんなバトル漫画に出てくる。まぁ、本作は本職バトル漫画ではないけど。
 脂肪が魔力。これはラスボス戦に向けて体重100kgになったりするんだろうな……と今週の『ヒロアカ』を思い出す。

『アオのハコ』63話

 大喜の立場になって考えると、キスよりも急遽舞台に立つことの方が緊張すると思うんだけど、それは小心者とかビビリとかそういうせいなのかしら。キスどころではないというか、そこはセリフがない分まだマシなシーンに思える。
  “異性の友達と” “恋人の違いってなんなんだろうな” 。正直テーマとしてはクソ陳腐だと思うんだけど、本話を読んだ最後のこのセリフを読むと、「それはキスの有無ですねぇ」と自然に浮かび上がってくるからすごい。マジで感動に近い驚きが生じた。

センターカラー『霊媒師の心理学』櫻井樹

 読切。作者名はサクライタツキ。
 本編。すごい、本編1ページ目から面白い。 “心があるから騙される” “君達幽霊にも心がある” だけでもう面白い。設定を提示しただけなのにな。納得してしまったから負けだわ。
 その後も、ルールの提示とクライマックスにおけるそれの応用(伏線回収的な)がいちいち丁寧かつ的確。バトル的な派手な絵面は「仕方ないんで入れました」感も少しあるんだけど、それを構築する理屈の部分がちゃんとしてるので全然アリ。理屈が良ければ私はもうおk。
 幽霊も除霊師も前職がキーになってくる設定もバリエーション豊かで面白いし、あえて何も説明されてない助手の女性についても「どうせ『シックスセンス』パターン」とか勘ぐってしまう。勘ぐらされてるんだと思う。きっとこれにも何とか効果みたいな言葉あるんだろうなw
 あと想像を喚起させられる穴としては、オッサンの入れ墨。「おいおい前職何だよ」ってなるじゃないですか。意味がありそうだけど、特にナシ。「ヤクザなのかな?」とかなるし、だとしたらすげぇ面白そうな経緯なんだけどね。そこが良い。あと、子供たちの親が近づいてきたらすぐに入れ墨を隠してるのも細かい演技として良かったです。

『僕とロボコ』99話

 ガチゴリラが何の言及もなく独り紅白帽してるので笑った。小学生あるある。
 ゴールキックって手で投げていいんだっけ? 細かいルール忘れてしまった。てか、最近サッカー観てないのを痛感。ワールドカップは観る気力あるといいな。ちょうど日本が超強い国と戦うので100%放送される安心感。
 心理学漫画の直後に『黒子』のミスディレクションが出てくるミラクル。『ロボコ』側が意図してないってのがレアで妙に嬉しくなってしまった。それに対する “見失うわけないでしょ” という返しもうまい。ちゃんと本話冒頭でギャグとして描いてるものを戦略として活かす。

センターカラー『夜桜さんちの大作戦』140話

 図書室での論争。バッドエンドじゃなくて「ビターエンド」と言ってるのが良い。知性キャラのちょっとした言葉のチョイスに知性を感じる。
 知性キャラのアクション。「結局戦って強いんかい」となったら台無しだと思うんだけど、ちゃんと直接の戦闘力はそこまで高いわけではないが、高い知性、観察力と、超絶細かいコントロールによるアクション、という感じが出てる。普通にかっこいいアクションになってはいるんだけどね。基本的な体技の範疇、みたいなギリギリ感はあったと思う。いや、別に普通に強くてもいいんだけど、個性という意味で。

『アンデッドアンラック』121話

 正直「まだビリーやるのか」とは思ったけど、一応ビリーの見える側面が毎回違う。前回は光堕ち後の悪役ムーブということで個人的にはかなりハマったんだけど、今回はかなり光に振れる。そして、ルインが相当存在感ないw
 ビリーがもはや可愛いオッサンみたいな顔にまで堕ちるんだけど、それはタチアナと2人きり(ルインは無視)になってから、というのは良かった。光堕ち度が増せば増すほどグラサン越しの目がよく見える。

『PPPPPP』43話

 結果発表に興味がない2人、というのが象徴的すぎる。客観的に見れば苦み混じりの勝利という感じでしょうか。当人は結果すら見てないんだけど(分かってはいるか)。
 そんな2人のやり取り、天才と凡才の悲劇を見てたメロミンの2人というのが良い。どことなくテーマが重なるようでもあり、彼ら以上にこじれてるとも言える。このバトンタッチは見事でしたね。当人たちは興味ないんだけど、それらを漫画として繋いだ際に、特別な味わいが生まれてくる。

『マッシュル-MASHLE-』118話

 兄様の “本当か?” は笑った。こういうタイミングで狂人の相手をする味方キャラがボケるの強い。 “出ないよ兄様!?” というツッコミも良い。ドラマ的なオモシロもあるけど、現状のこの兄弟が十分魅力的というか、少しだけ「このままでいてくれ」とか思ってしまうw
 不死身なのは魔心臓のおかげ。魔力があれば不死身、魔力は血液で補給可能。だったら心臓をくり抜けばいい、という話なのかな。くり抜いても心臓が本体認識されてそこに体が再生される? ただ、その場合は所持品はリセットになるので血液による補給は断たれそう。

『すごいスマホ』13話

 藻浦のスマホスパイウェア。すマホを使えば実際に触らなくても仕込める気がするんだけど、そこは現実的なんだ。いや、すマホ使用だと所有者から情報取れないから現実の技術で盗み取った、ということかも。
 藻浦卒業。彼が真実を知りある種の救いを受ける場面、ドラマとして感動的なんだけど、それと同時に「まほ姉ちゃん」についての背景が知れる。ただ、そうすると、すマホのキャラクターは所有者の求める人格が反映される、みたいな可能性もあるのかしら。だとすると、すマホAIプロファイリングとかできそうだな。

『高校生家族』96話

 筋肉コンプレックスとその反動としての筋肉信仰。基本的には大げさすぎるギャグなんだけど、細かい心理に関してはめちゃくちゃリアルな気がする。特に思春期男子にとっての「筋肉さえあればすべてがうまく行くはず……」という雑な幻想、結構なあるあるネタなんじゃないかしら。
 コンプレックスの根源は父にあり、父越えを果たせない絶望と、その先に見える一筋の光というのが絶妙。父越えのために筋トレしてるところを父に見られるとかオナバレ級にイヤなことだと思うけど、それがあったからこその希望。
 磯兵衛のだらけポーズが懐かしかった。ひょっとしたら本作でも既出かもしれないけど。首と肩が痛くなるからやめた方がいいよ。

『ALIENS AREA』9話

 またも日常(業務)回。やばい、本作こっちの方向の方が圧倒的に好きかもしれん。それくらいめちゃくちゃ面白い。まぁ、これでバトル要素なくなるとは思わないし、脇道だからこその魅力もあるのかもしれないが、新鮮な面白さが詰まってると思う。
 先輩とサシは緊張というのも地味なリアリティとして秀逸だし、その後の宇宙人駐禁も良かった。バトルに発展するほど凶悪な存在ではないんだけど、新人の業務としては厄介。あの平然とゴネる感じ、地球の人間社会でもよくあるというか、「警察24時」的な番組でよく見る光景。そういうリアリティも感じつつ、マジメくん新人に肩入れしてると「こいつは強敵だぜ……」と思える良さ、強敵(小物だけど)としての魅力もある。それを先輩がヘラヘラしながら見てる、というのも話がハデになりすぎなくて良いよね。「この問題には簡単な解答があるのか」みたいな。相手がこちらを格下と見てナメてるからこそ、「格下の国で事務処理されるのイヤだろ?」というロジックの面白さもある。宇宙人と手続きの遅い日本あるあると混ぜるギャップ。たしかにイヤと感じるだろうな、という説得力。先輩が大人のとしてのたくましさ、ずる賢さでスマートに仕事をこなす(憧れていいのかは知らんw)。
 前話もそうだったけど、イントロと呼応するアウトロがしっかりあるのも良い。『ルリドラゴン』が続きが気になるところで休載に入っちゃったけど、なぜか本作の方がキレイな一話完結になってるという。こっちのが続き物っぽいのに。

『ルリドラゴン』休載のおしらせ

 作者がどうのこうの、のほかに編集部の判断について言及されてるのが珍しいと思った。全体的に編集部の反省の色が見える気がする。どういう体調不良か知らんけど、連載始める前から問題を抱えてたのに無理して始めた、とかじゃないといいな。まぁ、とりあえずヒットしてるっぽい雰囲気なので、無理してでも始める価値はある、という判断はすごいと思うけど。

『LINNE』雪一

 読切。17ページでショートフロンティア用ではない、たぶん。たまぁに15じゃない作品もあるけどな。
 LINEをもじったタイトルってあの会話AIの奴? と思ったらマジだった。そこに死者からのLINEというホラー要素を加え……と思ったらSF。LINEという限定的コミュニケーションと、短期読切ならではの情報の少なさがマッチしてて見事ですね。これはショートフロンティアってことにしていいですか?(知らんがな)
 主人公がスーパーマンすぎない、知将キャラすぎないのも良い。タイムループモノっぽい雰囲気になるんだけど、割とあっさり終わるというか、諦める。まぁ、厳密にはループではないので挑戦する回数が限られてるんだけどね。
 ラスト2ページでありえないことが起きるというのも漫画ならではの魅力を感じる。最初読んだとき、「りんねが助かった世界」に上書きされたのを表現したと思った。『ドラクエ11』的な(まぁあれのルールよく分かってないけど)。『バックトゥザフューチャー』のが分かりやすいか。
 ただ、最後のアオリが “きっとどこかで、幸せなキミを願って” なので、「だったらいいな」の世界、すなわち夢オチ……もしくは「助かった時間軸が新たに生まれた」というマルチバースオチなんじゃないですかね。MCUと『ドラゴンボール』はタイムマシンのルールが大体一緒。そう考えるとタイトルが輪廻で、本作の主軸となるタイムラインのりんねは死んで、その魂は助かったもう一つのタイムラインに輪廻転生した、とも考えられそう。こっちのがキレイそうですね。
 初読時、絶対「実は主人公の方が死んでLINEに閉じ込められてる」説だと思ったんだけど、全然違ったわw 『霊媒師』でも似たようなこと考えたけど、我ながらワンパターンだ。創作に向いてない。

『地球の子』23話

 そうか、地球の子からしたら例の地球JKは「お母様」になるのか。こういうの好き。
 地球の子は遺伝子レベルで服従するようになってる(推測)。なるほど、ここでも地球の子の遺伝子を持たない令助が普通だからこそ特別な存在として扱われるのですね。この部分のドラマ、本作しっかりしてて好き。
 ぶっちゃけアクションは派手なだけで勝ち負けのルールが分からなくてイマイチだなぁ……と思ったら子供単体に心理的な揺さぶりかけてくるので良い。クズ感ハンパないって意味でも悪役の魅力を感じるし、令助は大人としてJKには負けないメンタルを持ってる、と以前描かれたことを考えると、今回JK(じゃないけど)から見て年下に狙いを絞ったのは理にかなってる。
 ここに来て令助の株価が爆上がり……というか、めちゃくちゃ高かったことを再確認する流れなんだけど、それを考えると衛は正直まだキャラが弱いというかドラマの蓄積が足りてない感はある。これはもうちょっと見たかったな。まぁ、子供がいじめられてる絵面だけで「はいクソ死ね」ってなるので、うまいことバランスは取れてる気もする。

『みらい健やか安定所』比名たろう

 読切。こっちがジャンプショートフロンティア。
 最も適した未来を知ることができる「みらいノート」のある世界。名前に反して未来予知ではないという点が味噌ですね。最も合理的で、効率的な未来。それらを盲目的に追求しがちな現代社会(昔もそうかも)のメタファーとして面白い設定だと思う。運命に逆らう話という意味では『地球の子』の直後に読む独自の味わいも生まれますね。まぁ、『アンデッド』とかでもいい。
 決定的にディストピアたらしめてるのは他人が勝手にみらいノートを買い、勝手に見てる点。母も最悪なら行政機関までに監視されてるのが地獄。みらいノートを見なくても、それが存在するだけで「向いてる/向いてない」のジャッジが絶対的に下させる世界、というだけでも面白そうなので、ここまで分かりやすい悪役(クズ)が出てくるのはテーマの矮小化のようにも感じるんだけど、まぁページ短いのでこれは仕方ないか。分かりやすい面白さは間違いなくある。
 しがないミュージシャン。絶対「未来の自分」だと思ったんだよなぁ。これも違ったか。もう私は考えが古いのかもしれないw
 向いてない未来を選ぶ自由もある、というオチ。ぶっちゃけこの設定だったらこれしかないし、そこに特別なオモシロがあったわけではないけど、それでも面白かったのは向いてない未来を選択した2人の職業(志望含む)がどちらも芸術家だった点。これは分かりやすさを重視しただけかもしれないけど、ひょっとしたら我々読者が日頃お世話になってて、日々の生活に潤いを与えてもらってるアートが実は「向いてない作家」によるものだったら……みたいな余韻が現実にものびてくる。主人公は漫画家だから当然本作自体、そして作者の比名たろう先生についても思いを馳せてしまうじゃないですか。ぶっちゃけジャンプに読切を一度載せただけでは漫画家として成功したと判断していいのか怪しい……とこのジャンプショートフロンティアというやや特殊な掲載枠すら面白く感じてくる。まぁ、不適正作家にしては面白すぎるんだけど。
 あと、背が伸びたオチ。未来が変わったと希望のようにも思えるけど、これが「背が伸びたからあの子と結ばれるかもしれないぞー」と喜ぶのはみらいノートの肯定に他ならないので、少しモヤモヤもする。まぁ、未来が変わったということなんだろうけど、そもそもみらいノートでは未来の身長は決められてないのでな。
 あと、本作に “それは希望の提案か 善意の脅迫か” とクソかっこいいキャッチコピーがついてて感動してしまった。こんなところにもいちいち付けてくれるのがすごいし、そのクオリティがまたすごい。前号のだと付いてなかったのは載せるスペース(ページ上部の余白)がなかったからなのか、もしくは別のところで使ってて、毎週こういうのが考えられてるのか。やべぇ、次号以降が楽しみになってきたぞい。今すぐ読めるんですけど。

『ドロンドロロン』33話

 ギンチヨが挟み撃ちで逃げ場を失う場面の絶望感が素晴らしい。セリフがなく、絵のみで、しかもコマはそれほど大きくない。静かに確実な死が迫ってくる感。
 各対決でサクサク決着がついて、ページは短いんだけど、大事なところは省略してない。ちゃんとそれぞれに勝利のロジックとかが用意されてるのが良いよね。場面が勝利後にジャンプしちゃってたりすると「事情は理解するけど……」という残念さが生まれてたと思う。
 一番因縁ある奴が一番ロジック弱いのでそういう意味では残念さもあるんだけど、「勝ったけど瀕死な敵を食べて体力回復」という行動はめちゃくちゃ合理的で、それ故のクソ野郎感があって好き。片腕の因縁というのもしっかり用意されてて、駆け足だけどやることはやってる。

巻末解放区!WEEKLY週ちゃん

 8/6-8は仙台七夕まつりということで、仙台特集の後編。
 今号も『伊達先パイ』についての言及はなかったでござる。ずんだと言えば『伊達先パイ』だろ、ふざけてんのか……(五条先生になってしまった悲しみ)

目次

 前号は高橋先生の訃報についてで目次コメントが染まったんですが、前号休載だった先生のコメントもそれ。ただし、コンビ作家で前号担当じゃなかった人はその限りではない。やっぱ編集部から「今週はコレで」とお達しが出たパターンなのかな。

青山剛昌さん、兄貴!って感じの楽しい人でした。似た境遇の人がいるの嬉しい。
(『ONE PIECE』)

 100巻突破という同じ境遇なのに青山先生のが兄貴で、前作もヒットしてる、というのが化け物すぎてビビるね。まぁ、そういうこと言い出すとサンデーには高橋先生というまた別の化け物がいるんだけど。あそこまで行くといよいよ現役作家の最高峰って感じだな。神に最も近い生者とかそういうレベル。

早くもプロスケーター羽生君の新作が待ち遠しい!過去の名作の再演も超期待
(『夜桜さんちの大作戦』)

 あの引退のニュースを見て真っ先に思い浮かんだのが権平先生でした。

愛読者アンケート

 『霊媒師』について。緑ちゃんの印象は「死者だと思った」なんですが、選択肢にない。いや、何なら先輩についても「まさかこっちが死んでる?」とも疑いました。

総括

 長かった。理由は明白で、読切の感想が長くて、3つもあったから。そういう意味では読切が増加するであろう『ルリドラゴン』の休載が痛い。

 最後に今週のベスト作品。『アオのハコ』です。
 読切はどれも良かったので全部次点だけど、どれも味付け薄めという共通項もあったと思う。その方向性で判断すると、一番好きなのは『LINNE』かなぁ。他2つも良かった。
gohomeclub.hatenablog.com