北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

週刊少年ジャンプ2022年43号の感想

 鼻水とくしゃみが止まりません。

背表紙

 「このキャラだ~れだ??」。前回は写楽。あの作品の主人公って辰巳だよね? とは思う。
 今回の。団長の肩ですね。ここ切り取るんだ、というオモシロはあった。あと、団長まだ出てないんだ。2人目はユノだったのね。

表紙

 『ヒロアカ』。アニメ開始記念。

読者プレゼント

 RPG。具体的には『ドラクエ3』。武闘家はもうちょっと何とかならなかったのかと思うよ。
 『ドラクエ3』の中でも特別な職業である賢者が懸賞とかけて「懸者」となってるのは普通に関心しました。『ドラクエ3』と懸賞ページの両方の意味での重要度がマッチしてる。

巻頭カラー『僕のヒーローアカデミア』367話

 デクの「さすがに移動距離ありすぎじゃない?」の件に理屈がつくのが良かった。それがスターのお兄ちゃんたちで、複数の戦闘機を配置して “行け” “俺たちを伝って” 。これはスパイダーマンオマージュでしょ。映画だと『アメイジングスパイダーマン』の1作目が近いですかね。そもそもウェブもスパイダーセンスも持っててさすがに近すぎるとは思ってたんですが、スパイダーマン映画における最も美しい瞬間の再現させられるとほぼ反射的に感動しちゃう。
 からの瀕死かっちゃんの横に落ちたオールマイトのブロマイド。前も書いたけど映画『アベンジャーズ』の1作目。コールソンじゃん。すごいな、ネタが盛り盛りだよ。

『SAKAMOTO DAYS』88話

 セキュリティ崩壊は決定なんだけど、そのちょっと前に戻っての坂本到着。負けると分かってるのに、というオモシロですね。
 そこで、シカヘッドが坂本のことマジで誤解してるのは笑った。いや、誤解しても仕方ないんだけど、動揺ぶりがちょっと可愛いというか。ただのサスペンスじゃない魅力がある。よく考えれば、たしかに敵陣営の中では彼が一番愛嬌があると言えそうですね。ネチネチ悪口言うくだりとか彼の新たな魅力に気づかされた感がある。

ONE PIECE』1061話

 海上でのドタバタ。正直言って、ジンベエが仲間になった弊害はここにあると思ってて、今までの海上での「落ちたら死ぬ」という緊張感はほぼ皆無になったと思う。まぁ、その分危機のレベルもインフレ状態になってて、今までの「自然」が相手ではなく、人工の何かが明確な敵意を持って対処してくる。まぁ、いくらベガパンクとはいえ、ジンベエが海中で負けたらガッカリ極まりないので、ここらへんのバランスは未だに難しそう。ジンベエの行動をどう制限するか、が最終章の海上戦の肝になってくるのかな。
 んで、ベガパンク登場。アッサリすぎるので笑う。いや、ベガパンクが管理してる島なので、島にはベガパンクしかいない(他は全部機械)と考えるならば、案外この距離感はあり得る話なのかもしれない。最終章という都合なのかもしれない。
 『FILM RED』のときに「そろそろオッサン描くの飽きた」という旨の発言を尾田っちがしてたと思うんだけど、その流れは本編にも続いているのかもしれない。ヤマト見たときは「やっぱ尾田っちすげぇな」と結構感動したんだけど、今後も美少女路線が続くのはちょっと寂しいかも。渋いオッサンが当たり前にいるのが『ONE PIECE』の美点だと思ってるので。結構珍しいよね。ジャンプ作品だと。『ONE PIECE』フォロワーは多いけど、この部分は意外と継承されてない気がする。

『アオのハコ』70話

 扉絵がリクエスト企画。ごめん、よくあの企画の要綱読んでなかったんだけど、こういう感じなのね。しばらく続くというか、ネタに困ったときに頼る感じになるのか。『ONE PIECE』でも見た奴。なるほどね、そういうことか。ちなみに今回は「セーラー服の千夏」。今後も見れる、複数見れるとなると、「大喜をリクエストする酔狂な人いるのかな?」みたいな部分も楽しみになってくる。何枚も続く企画ならば、大喜も全然あり得ますね。酔狂じゃなかったわ。
 本編。三浦先生と菖蒲の相性の良さというか、とにかく新機軸の超大型新人出てきたという実感がめちゃくちゃ楽しい。ここまでハマるんだったら本作を連載用に練り直すときに最初から用意しとけよ、とか思っちゃうレベル。まぁ、そうすると必然的に雛が押し出される形になるのでアレかw
 帰国子女のイケメン、松岡くん。出オチ的な役かと思ったんだけど(菖蒲が遠くから見るだけ)、しっかり出番もありそうだし、血の通ったキャラクターになりそうな予感。ただ、「ザッツイケメン」みたいなチャラさ、いけ好かなさも持ち合わせているようでその点は少し不安……というか個人的にざわつくものがある。美女イジリを1対1のコミュニケーションで行うのはどうも飲み込みづらいというか、ほとんど暴力的なまでの無神経さを感じてしまう。むかつくから嫌い、という話ではなく、絵に描いたようなイケメンくんが実はクズでした、みたいな陳腐な話を本作がやるのが不安。
 円満に別れた菖蒲の元カレ。イメージ通りすぎるんだけど、実際に目にすると衝撃を受けてしまうな。好意を向けられたら嬉しい、とりあえず付き合う、の理屈はめちゃくちゃ分かるんだけど、「それはオタサーの姫だぞ……」みたいな不穏さも感じてしまう。オタサー的なコミュニティには近づかないでくれw
 合宿。キャンプファイヤーのジンクス。うわぁー、正統派ジャンプラブコメって感じの陳腐さだ。それこそ『ニセコイ』とか『勉強』でもジンクスを物語的な推進力にするの大好きだったじゃない。キャンプファイヤーだと『ゆらぎ荘』でもありましたね。あれはジンクスあったっけ?(演劇の代役はあったw) 「そんなベタなことしなくても……」という感想もあるんだけど、ここまで連発するとジャンプ全体の意志というか、編集部もしくは担当が「ここはジンクスぶっ込みましょう(圧力)」みたいに影響を及ぼしてるんじゃないかと疑ってしまう。ジャンプなりのラブコメノウハウみたいな。
 まぁ、不安もあるけど、それをどう捌くのかという楽しみでもありますね。これは『ニセコイ』『勉強』『ゆらぎ荘』でも同じ。今の時代、メタの視点からは逃れられないし、作家も(編集部も)それを内面化してるのだと思う。

『呪術廻戦』198話

 スーパーミソジニスト直哉の領域展開が子宮モチーフだった、という事実がめちゃくちゃキモいと同時に腑に落ちるものがある。ここまで嫌悪感を誘うキャラクターにできるのはすごいよ。別に物語的にはそこまで重要なボスキャラじゃないのに。
 領域展開の内容。モブを一蹴する分にはいいけど、これバトルとして面白くなるのか? と不安になるような内容だったが、真希に一蹴されてとっとと終了なので良かった。これは引っ張りようがないというか、引っ張ってもさほど面白くないと思う。話としては「真希さんは領域キラー」となればいいので、ぶっちゃけ領域展開の内容は何にでも代替可能だったと思うんですよね。そういう意味では、「どこまでもキモい奴だったな……」という印象が真っ先に残るバランスのまま消えてなくなったのは見事だと思う。

センターカラー『僕とロボコ』106話

 宇宙のことを考えるとロマンチックになっちゃうよね、というあるあるネタだったのが、徐々に友人間のマウント合戦になっちゃうのがおかしい。憧れというピュアな気持ちが徐々に、それでいて案外すぐに競争意識という人間の醜さが混ざってくる。途中から「絶対それ狙ってやってるだろ」という大喜利化してしまうのが人間の心理として妙にリアル。嫌なリアリティだw

『大東京鬼嫁伝』4話

 割と日常回。蛙のレギュラー入り。見開きがないのは残念だったけど、この日常ギャグっぷりは相当良かった。『ゆらぎ荘』もこういう回は絶品だったよな……とか余計なことを考えてしまうのがネックなのですが、これは今後も続いてしまうと思う。誰が悪いという話ではない。
 前から暴力的なノリが好きだったけど、既存キャラの再登場によってその暴走っぷりがお馴染みになったというか、「待ってました!」みたいな良さにもなってたと思う。パロディとかするのかー、と一瞬面食らってしまったw
 「謝るのは○○の方が先」がたった2ページ後に再登場するのはさすがにどうかと思ったけど、彼の本質、彼のヒーロー性の本質はここにある、と端的に示してみたのは良かったと思う。今後にも響いてくる大事な部分なのでしょう。ちょっと発想はヤクザっぽいかもね。筋を気にしてるというか。

『あかね噺』31話

 師匠会議。イケオジ好き。やっぱ馬上先生の真価はイケオジにあると思うのよ。なんで女子高生を主人公にしたのか少し謎だったけど、まぁこんだけ出てくるなら文句ないです。あるわけない。『ONE PIECE』に美少女が大量投入されて少し心配になってたけど、本作があるから大丈夫。安泰ですわ。
 そんな師匠方が一生に対して “自らが落語界を背負っているかのような横柄な振る舞い” と言ってるのも良かった。どう憎まれてるのか、が端的で分かりやすい。一生には王道を行くような印象もあったけど、そのスタイルの強情さにはやっぱ問題も生じるよね。あかねに憎まれてるのとはまったく別の理屈として。こういう嫌な大人の世界って感じが面白かったな。もっとやってほしい。そしてイケオジをくれ。

『ギンカとリューナ』3話

 まだ3話なのでしばらくは主人公陣営が無双するのかと思ったら、魔力を利用した機械に関してはてんでダメ。これは面白かった。おのぼりさん設定も生きてるし、その上で世間では落ちこぼれとされる新キャラが代わりに活躍できるのも良い。レトロ家電オタクみたいな感じにしたのも「すごいんだけどすごくない」扱いにしてて面白い。食事を共にする、という儀式も良いね。
 前回も感じたけど、ものすごい小さなエピソード(イベント)をすごい頻度で重ねていく、という印象。せこせこ進むのでビックリしてもうた。

センターカラー『絵に描いた餅を描いた餅』林快彦

 読切。第16回ジャンプ金未来杯。この号が発売した直後にプラスにまた別の読切が載るらしくて、本来なら「元気いっぱいの新人で良いねぇ」と腕組みオジサンマインドになるんだけど、金未来杯で競い合うことを考えると、プラスに新作掲載はちょっとずるくない? 編集部に向けた疑問だけど。まぁ、一番のズルは某作が連載再開する号に載る奴。
 本編。扉に「監修:全日本ろうあ連盟」とあるので、「2人のどっちかがそうなのかー」とか思いながら読んでたらどっちも違うので不穏。クレジットがある種のネタバレになってしまう問題。まぁ、些細なことではある。
 愚直なまでに直角のコマ割りが印象的だったんだけど、主人公が音を失う場面でコマ割りが一気に変則的になる(直角だけど)。音を文字で表現する矛盾についての話だったけど、コマ割りと見せ場における見開きの使い方も含め、とにかく漫画という表現方法で遊びまくった作品という印象。そりゃ面白いよなぁ。
 見開きで漫画の子が飛びかかってくる場面。この2人は、元はといえば教室の窓越しに交流が始まったわけで、窓とは壁にあいた四角い穴であり、それはコマじゃん。実際、出会いの場面では壁が極端に抽象的に描かれてるし。それが見開きの場面で壁をぶち抜くような形で、逆方向に飛びかかる。超熱い。そのとき何を言ったのか、漫画を読むことで知る、というのもめちゃくちゃ面白かったですね。
 あと、漫画を読みながら回想する、というのが完全に平行して描かれるのも漫画でしかできない表現って感じで超好き。
 まぁ、タイトルが気取りまくってて洒落臭いとか、物語そっちのけで作品が終わるのもあまり好きではないんだけど、似たようなこと劇中で言われてしまったからずるいなw

『高校生家族』103話

 テニス部の応援漫才はクソ笑った。あまりに痛々しいし、素人の頑張ってる漫才(楽しそう)というのがめちゃくちゃ解像度高くて好き。 “投票よろしく ダンクスマーッシュ!” とかもう狂おしいほどに好き。実際に居合わせたら心が死ぬけど。
 投票結果を「水やりする光太郎」で表現するのがめちゃくちゃオシャレ。良すぎるでしょ、あのエンディング。

センターカラー『マッシュル-MASHLE-』125話

 メガネの回想。昔は規則メガネではなく、合理メガネだった。どっちもメガネのステレオタイプになってるのが面白いし、この真実を誰にも知られずに話が終わる(読者だけが知る)というのも良い。最後まで彼は自分の正義を貫いて、彼だけで勝利し、終わる。誰にも理解されないがそれでいい、というバランスが渋い。
 前話もそうだったけど、バトルの内容が2人の主義主張の反映になってる。自由を謳歌する敵を蟻地獄のように追いつめて倒す。最後の最後には敵が “いいな” “それ” と納得して終わるのが最高なんだよなぁ。大事なポイントを完璧に把握してる。
 まぁ、冷静になって考えると、ここだけ単純に実力で勝った話になってて、少しだけ「それでいいのか」とか思うんだけど、まぁここだけならいいのか。全部がこうだと困るけど。

『ウィッチウォッチ』78話

 新キャラを既存キャラと絡ませるだけで1話できちゃうし、まぁ大体面白いんでしょうねーという信頼もある。作品として勝ちのループに入った感あるな。
 女子会をデフォルメ人形で監視。デフォルメ人形だからセーフ、というのは分かるけど、だとしてのも残りの2人に了承得ないとまずいじゃろ。人として。「千の魔女の警護だから」で許されることなのだろうか。ちょっと実感が湧かない。
 ネズミの変身が膝枕によって強制解除。バレそうだけど、瞬間移動した直後なので、ネムがたまたま膝の上に瞬間移動してきただけ、というようにも見える。なので変身の魔女だとはまだバレない(という体裁も成り立つ)というのは面白かった。まぁ、ネズミ状態で逃げるときにわざわざ膝の上を通るのは無茶苦茶なんだけどね。

『ゴッドハンド藪』林聖二

 読切。15ページだがショートフロンティアではない。てか、今号、林先生の読切が2つも載るのね。ちなみに連載には仲間先生が2人いるぞ。
 本編。すごい、15ページ、扉を除くと14ページしかないのにアホみたいな勢いで最後まで駆け抜けていった。「2年後」とか場面が飛んだと思ったらバトル漫画的なクライマックスまで用意されてるので笑う。濃すぎるというか、忙しすぎるw 勢い重視の大味ギャグだったのに “心なしか身長も伸びてる…” とめちゃくちゃ小さい天丼を入れてくるのも笑った。そこはどうでもいいだろ。
 あと、メガネ外し仕草とか、グラサン透過演出がシンプルにかっこよかったです。メガネ回りだけちゃんとしてるとかずるいぜ。

『逃げ上手の若君』79話

 前半。女性陣の攻撃をオッサンがサポートする。女が矛、男が盾、というのが痛快(敵があんななので)。そこでオッサンが使う盾が敵兵の死体なのは下衆の極みなんだけど、まぁよく考えたら目の前にいる敵は生きてる女を捕まえてあーだこーだと言っているので、死体を使う方がマシと言えそう。
 後半。若。逃げて紅潮しながら敵を煽る姿はまさにメs……ではなくワカガキ。撃ち抜かれた読者も多いことでしょう。
 海野殿生きてた。あれだけの描写があっても死なないのか。「やっぱ歴史ものは人が冷酷に死んでいくのが新鮮だぜ」とか思っていたのは何だったのか。いや、歴史に詳しければ「海野が死ぬのはもっと後年デース」と分かってたことなんでしょうが。

『夜桜さんちの大作戦』147話

 船への襲撃。金級が当たり前に同行してるのが頼もしいし、それが自然な流れでサポート役に回るのも良い。金級の人たちが全部やってくれたらそれはそれで問題なんだけど、とはいえ流れが雑だと「夜桜贔屓かよ」みたいな印象にもなっちゃう。
 あとは、何と言っても最後の見開きがゾクゾクするほどかっこいい。穴をこじ開けて進入する場面なんだけど、進入組の周りを他の場面のキャラのコマが囲うような構図になってて素晴らしい。ゴリアテ何やってんのー(可愛い)。

『PPPPPP』50話

 レイジロウの見た「神」が無数のラッキーで笑ったんだけど、ミーミンが見たのは「ミーミンとメロリン」。特に前者はギャグっぽい印象も強いけど、この2人に決定的な違いがあることによって2人の「好き」の解像度がグッと上がる。これはマジで見事でした。
 本題。ラッキーの見たものに対して運が分析。もう完全に夢占いみたいな話ですね。
 前話の内容って抽象的だったんだけど、それを運が理論化するというか、論理的に整理して答えを導き出す。この流れがめちゃくちゃ痛快だし、天才ではない運が天才である(天才を含む)ラッキーの悩みに答えるという図として最高だった。知能をもって圧倒的な才能に立ち向かう姿はまさに運というキャラクターそのものですね。「運とソラチカの戦いなのにラッキーの話すんのかよw」とか少し笑ってたんですが、ちゃんとラッキーの話してたのに運の評価爆上げとなった。最高としか。
 まぁ、よく考えるとね、ラッキーは本作の中でも最重要とも言える選択をしたんだけど、それがほとんど運の言いなりだったようにも見えてしまうのは少し問題だったと思う。もちろんラッキーの意見を引き出しながらのカウンセリングだったとはいえ。
 本編がまったく興味ない(ように見える)これまでの戦況を本編後の2ページでまとめてくれてる。これ見て今更ながら気づいたけど、2戦とも順当に音上が勝ってるのね。次の勝利がソラチカだったら、「音上vsそれ以外」の戦いはすべて音上の勝利。うわ、つまんねぇw そらそこに焦点を置いた話にしないわけだわ。いや、音上の強さを強調したことを踏まえた話に続く可能性もあるけど。

『アンデッドアンラック』128話

 神に対する総力戦。面白いし、盛り上がるのは確かなんだけど、「不抜って何だよ」とか思わんでもない。何か勢いですごいものをごまかされた気がする。めちゃくちゃつまんなそうな否定なんだけど、いいのかこれで。あんだけかっこいいのに、友才のアクションが皆無というのも痛い。チカラもそうだけど、彼は元々非力な存在だからよかった。
 一度しか撃てないスーパーハイパー波動砲を不減に譲渡することで……という鬼コンボは最高だった。一番好き。まぁ、蓋を開けたら「不減だけじゃ意味なかったわ」で終わってしまったのは悲しいんだけど、一応最初の発射時のワクワク、瞬間風速はバカ高かったからいいのかな。いいのか?

『ALIENS AREA』16話

 物質を埋め込まれたときの記憶。回想に入るんだけど、見開き2ページの中、右下だけ白枠の現代で、それ以外は黒枠の回想シーン、というのがめちゃくちゃ良かった。パッと見の意外性とかっこよさがあるし、流れで読むとめちゃくちゃ自然というか、読みやすい。奇をてらってるようだけど意外とシンプル。……この段落に限らないけど、こんな細かい話をしたところで、1ヶ月前の内容誰も覚えてないでしょ。いや、冷静になったら負けだ。
 父さんが焼かれる場面もめちゃくちゃかっこいいし、最高に怖い。あと、一目で「これは父さん」と判断できるのはメガネのおかげですね。
 物質埋め込み。ゲロ気持ち悪いんだけど、そこで行われてることは優しさに溢れている、というギャップが良い。
 からの会議。それぞれが質問、回答、そして結論と実に会議らしい手順を踏んでるのが最高。それでいて「1票入ったぞ あと一歩!」という盛り上がりがあるから楽しい。
 最後の危機。敵が強大だから全班投入しようと話だったけど、「そこまで強大だと全班じゃ足りないので反対」となったのは面白い。面白いが言い分としては全うだし、そこで「感情的」という次のテーマが生まれたのも良い。
 そっからの巻き返しはどうも感情的に見えるんだけど、感情的ではないことの確認をしてから最後のオッチャンも賛成、というオチが良い。別にあの賛成がなくても多数決で勝ちは決まってたんだけど、最後まで「感情的」にこだわった末の結論。
 前話もそうだったが、大人のイヤなところが詰まった会議(なんだけど少年漫画的な攻防や盛り上がりもある)がめちゃくちゃ面白かったな。不思議な作品やで。全然バトルしないんだけど、しなくて最高に面白い。

『すごいスマホ』20話

 全ちゃんオリジン。すべてはクソ父に由来する。アリナシのジェスチャーでしか会話しない冒頭から最高でしたわ。たった1話でここまでクソを煮詰めたのは見事としか言えない。指先を動かすだけ、というのはスマホ操作も連想させ、グーググ所有者にも匹敵する強大なチカラを持ってると実感させられる。
 そこに対するファザコンもしくは憎しみをこじらせた全ちゃん。さらに妹の死が明らかになる。ちょっと瞬発的に彼に肩入れしてしまうよなぁ。印象を作者に好き勝手に操作されてるようで超楽しい。
 不老不死ができるなら……と全ちゃんの真の狙いが明らかになる流れも鮮やか。ここにきてシスコン。いや、亡くなった妹に囚われるのはまぁ当たり前の話ではある。やってることのスケールがでかすぎるだけ。そんなショタ全ちゃんに投げかけたクソ父の言葉がマジで人間じゃなくて素晴らしかった。本作的にラスボスは全ちゃんだけど、全ちゃん以上の悪をこれでもかと納得させられる。
 からのそんなクソ父と究は似ている、とメインのストーリーに結んだのも見事。究特定のくだりが「部下に圧力かけただけ」なのは「ジョバンニがすべてやってくれました」にも通じる強引さも感じるんだけど、そこを捨ててまで描いた全ちゃんオリジンが圧倒的に面白かったからもういいや。

巻末解放区!WEEKLY週ちゃん

 ネタハガキ東西戦。9月は「秋の夜長……夜ふかしあるあるを教えてください」。主にテレビとか芸能ネタに関して、あるあるが分からないことが多くなってきて軽く絶望してます。もう老人だな。世捨て人かよ。
 東。さばねこさんの「日の出の時間をしみじみと知る」。「夜」というお題に対して夜とは対極の「日の出」としたのがめちゃくちゃ良い。ある意味夜ふかしのゴールとも言えそうなネタ。
 ガオさんの「オレ一瞬寝てたぁ?」。ありありと光景が浮かぶようで好き。ちょっと夜ふかしマウントみたいな心理もあるかな。私はあるw
 西。しぶめいじさんの「家中の画鋲」。超笑った。一番好きかもしれない。あるあるとしての強度も感じるし、「そんなことするくらいなら早く寝ろ!」と言いたくもなる。何だろうな、自分を俯瞰視してるようなおかしさと恥ずかしさ。
 白髪ネギ華道さんの「屁が『ボスッ』ってなる」。イラストがめちゃくちゃシンプルなんだけど、一目で「分かる!!」となってしまったので負けだわ。屁をこく際に眠くて屁用の体勢にならないからああいう現象が起きてしまうのか。

目次

日曜にTVで「がっちりマンデー!!」って番組やっててメチャクチャ焦りました
(『大東京鬼嫁伝』)

 また定番のネタを……と思ったけどひょっとしたら上京したから、という話なのかもしれない。……と思ったけど、調べたらかなり手広く放送してたので単に活動時間が変わって遭遇したってだけかな。

モルモットが好きなのでPUIPUIモルカーの放送を楽しみに待っています! <鷹将>
(『あかね噺』)

 モルモットガチ勢からするとモルモットの良さがめちゃくちゃ表現されてるらしいですね。逆に考えるとモルモット素人の私はリアルモルモットに触れることで……。

愛読者アンケート

 金未来杯。支持。質問は読切についてと、ジャンプを読み出したキッカケ。単行本が続きが読みたくて、だった気がする。『ONE PIECE』と『HUNTER×HUNTER』。他にもいくつかあって「これならジャンプ読んだ方が早い」となった。

総括

 前回の記事がかなり短めにまとまって「この調子でサクサクいこう!」と満足してたんですが、今回は普通に長い。ほぼ平時の長さ。書きすぎなんじゃ。

 今号のベスト作品。読切ですね。金未来杯
 次点は多くて、もう一つの林読切、『あかね』『PPPPPP』『エリエリ』『すマホ』。
 ちなみに、ベストコマは読切の見開き、ベストキャラは運です。即決の号は楽。
gohomeclub.hatenablog.com