北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

週刊少年ジャンプ2023年19号の感想

 ジャンプ本誌の最新号を全然読んでないから、ジャンプGIGAミウラ師匠の新作が載るって知らなかったです。相変わらず理屈っぽい!!(記事の末尾に感想書きます)

背表紙

 「ジャンプキャラクター初登場シーン集」。翼。いよいよ主人公が一周してしまうな……と思ったら次の新連載がどどんと始まるのであった。

表紙

 新連載。『食戟』コンビ新作。女の子が申し訳程度に端っこにいる、というのがなかなか意欲作って感じで良いですね。
 てか、幽霊とは思わなかったよ。これは幽奈さんとのコラボイラストとかあるんじゃない? 頼むよ。

読者プレゼント

 オッケーストラ。「いいもん知ってる有指揮者」あたりが好きですね。各グッズに添えたダジャレも頑張ってて、正攻法で良い回。ダジャレに使われる楽器が全然オーケストラじゃないのはちょっと惜しいがw

巻頭カラー『テンマクキネマ』附田祐斗 佐伯俊

 新連載。作者は原作と作画。本作は実質ネーム係なのかどうか……このネタも懐かしいな。当たり前ではあるが、森崎が協力する余地はなかったようです。
 モノクロ本編。1ページ目で映画を観ている主人公が細かい減点法でブツブツ言ってて「気難しい人なのかな?」と思わせて、めくって2ページ目ではクソデカ加点法。コテコテの演出ではあるが、主人公が初登場する場面として完璧でしょ。これだけで一気に好ましい印象が確立されてしまう。さすがの手練れっぷりだ。
 そんなクソデカ加点法。学校のテストで取る100点よりも価値がある、という意外としっかりしたロジックがあるのも良かったです。もちろん極端すぎるギャグではあるんだけど、100点を突破する理由が彼なりにはある。
 んで、幽霊。読切でもあったけど、まさか佐伯先生の新連載が幽霊になるとは……と師匠ファンとしては勝手に感慨深い。オシャレでかっこいいんだけど、ふわふわ浮いてるとちょっと可愛い印象も湧きますね。長髪とマフラーがナイスである。
 幽霊は脚本家。完成した脚本が未練。黒澤明的な監督が出てきたけど、名前はあんまダジャレ感ないのね。黒澤明以外あり得ない説明だけど。代表作が「白ひげ」になると途端に『ONE PIECE』なので笑ったわ。
 からの女優同級生。まさかの『恋染紅葉』要素ぶっ込んできたじゃん。独りミウラユニバースかよ。まぁ、幽霊はさすがに意識的だろうけど、こっちは考えすぎだろうな。割とよくある設定だし。
 重要そうなのは、お色気の気配がしない点。これはゼロで行くのかもしれない。作者の決意と覚悟を感じる。たぶんだけど、ミウラ師匠は絶対にやらないと思う。読んでみたいけど……。
 代わりになるかは分からんけど、少なくとも本話においては幽霊の天幕の魅力、絵的な魅力が圧倒的だと思う。可愛いのもあるし、ギャグ的な絵も楽しく、さらにはちゃんと怖い面もある。それでいてキャラデザに奇抜すぎる要素はない、というバランスも見事だったのではないかと思います。ドラえもんポジションのキャラの紹介として完璧なスタートを切ったような印象がある。まさかドラえもんポジの男性キャラで勝負してくるとは思わなかったなぁ。おもしれぇ~。

ONE PIECE』1080話

 黒ひげの一味やら海軍キャラの悪魔の実紹介。情報開示がエンタメになってるのが最近の特徴だと思うけど、ただ単にクレジットで「○○の実」と紹介されるだけなのが本当に特殊だよな。たしかにワクワクするんだけど、普通はもっと能力を駆使した場面と共に何の実か紹介されると思うけど、人名と実がただの情報として出ただけの人とかいるからな。文法が特殊すぎる。
 巨人族のデカデカの実は発想がバカ丸出しで好き。まぁ、「巨人族は最大でこの程度」という前提があるからこそデカデカの実が生きるので、短い連載だとやりづらそうな話ではある、のかもしれない。
 個人的に最もワクワクしたのはSWORDのひばり。狙撃手キャラの決め絵というのがめちゃくちゃ新鮮だった。尾田っちの絵の気持ちよさが詰まっていたと思う。てか、普通の銃を使うキャラってのが意外とレアだった、とも言えそうですね。特に長距離で活躍するタイプ。
 最後にガープ。こないだのキッドのくだりもそうだったけど、無双アクションというか、ワンパンで広範囲が消し飛ぶ類の技が多いですね。ちょっと話の都合も感じる。まぁ、兵器よりも実力者の個人が直接戦った方が脅威、という世界を描く上では不可避なのでしょう。ルフィ(たち)にそういう類の技ないと思うけど、この先大丈夫なのだろうか。強いて言えば、ナミがやりそうな感じもあるか? フランキーとウソップが準備を手伝えば出来そうな気がする……ってほとんどエネルですがw

『妖精の飼い方』林守大

 読切。こんな位置に読切はあり得ない……誰が……とソワソワしてしまう。正解は堀越先生。ただ「制作上の都合」と体調ではない表現をしてたのが気になる。まぁ、何にせよもっと計画的に休ませるようにしないといけないと思う。マジで。プルスウルトラとか言ってる場合じゃないのよ。また言いそうでイヤだなぁ。
 んで、読切。15ページなのでショートフロンティア用のを持ってきたのかなぁ、とか考えちゃう。絶対にショートフロンティアとは表記しないのが前から不思議です。
 瓶の中で妖精を飼う話。金魚みたいな飼い方の詳細がリアリティあって面白いのだが、妖精以上にビックリなのは主人公が住む世界の方であった……というツイスト。序盤で世界が滅んでると明かされ、そこで十分ビックリなんですが、それとまったく同じ類の舞台設定の開示が大オチとなる。ショート読切らしい切れ味でめっちゃ良かった。こういうのが読めるからショートフロンティア好きなんだよなぁ。違うけど。
 中盤で出てくる女性とのラブコメ……と言うには生々しい雰囲気も魅力的だが、これはやはり大オチから気を逸らすデコイのような役割なのでしょう。彼女と身を固めるというのは、管理された世界の中で幸せを見出し、人生を完結させようとする選択なので、それが主人公の完全な諦めを意味してるのでしょうね。「あら良い雰囲気じゃない」とか最初は微笑ましく思ったけど、絶望の極みみたいな話であった。
 んで、大オチ。唐突に思えるビックリ展開だったけど、それまでに重要な情報がチラホラまかれていたとも気づかされる。主人公が飼うことになった妖精は “妖精の中で最も小さな種で 尻尾つきの二つ目はレア” とか。あとは、瓶の中の妖精に種を与えると “不思議パワーで種を改良して新種の植物を生み出したりするらしい” というのも主人公の境遇を考えると意味深ですね。女性と身を固めようとしていたのもそういう……。2人以外の人間が全然描かれず(存在はしてるだろうが)、主人公の周りには無数の空室があることを考えると、段々と最後のアレの目的が見えてくる気がしますね。たしかに、何かを飼うという行為を突き詰めると、いずれ繁殖に行き着くというのは自然な発想だ。こっわ。
 『ヒロアカ』の穴を埋めて余りある作品だったと思います。年間ベストとか狙える級。堀越先生は安心して休んでくんちぇ。

センターカラー『アオのハコ』96話

 クリスマスイブ本番。すべてはこのための前座だったのだよ! という盛り上がりがラストにあって良かった。良かったが、私はユメカ(とそのエピソード)が大好きなので、大喜よりユメカの方大事にしてよ! と思わんでもない。ギュッとするべき相手はユメカだったのではないだろうか……(曲解なのは分かってます)。
 あと、これは私が卑屈にひねくれすぎてるせいもあるけど、「ご褒美としてそういうのいらないから!」という気持ちも少しある。人からの好意は素直に受け取れよ、というのは自覚してるけど。あと、ご褒美ではなく千夏の中の心境の変化があの行動へ導いたのも分かってます。

『マッシュル-MASHLE-』151話

 マッシュがあっちの世界で筋トレしてる中、現実世界では先輩たちが魔力を注いでる。「魔力を注ぐって何?」とは少しなるが、あれやこれやでマッシュ再覚醒の儀式を重ねてるのは好き。ここまで丁寧に強くなる理屈を重ねてる作品、意外と珍しいのではないか。
 からの友情パワー。実力では劣るが優れた連携で一矢報いる……からのドストレートに友情パワーでの急成長を見せるので驚く。前段落と矛盾するようだけど、理屈重視と飛躍の緩急が見事だったと思う。理屈っぽすぎるとエモの盛り上がりが阻害される面もあると思うけど、本話では理屈のアリナシをどっちも描く。おいしいとこ取り。もちろん、この友情パワーで勝つまで行っちゃったらさすがにやりすぎなんですが、あくまでも時間稼ぎであり、「確率を上げる」行為でしかない、と本人たちが割り切ってるのが良いよね。

『呪術廻戦』219話

  “あなたの孤独は私だけのもの!!” ってセリフめちゃくちゃ良いな。矛盾を抱えながら深い意味をこちらに想像させる。
 からの真球。数学でこの手の概念を説明されたとき「なにそれ?」と混乱した覚えがあるけど、その発想をバトル漫画に落とし込んでてめちゃくちゃ面白いな。ただ、接地面も概念レベルで平らじゃないと成立しない話だとも思うけど、こういうハッタリは超好き。小難しい雰囲気は出るが、中学レベル(高校か?)という難しさのバランスも最高。

センターカラー『ウィッチウォッチ』104話

 河城春子(強情張る子)って名前めちゃくちゃ面白いなw 字面だけ見たら割と普通の名前に思えるのが絶妙。からの「意志強し」という雑さも良い。近年の中でも指折りに好きなダジャレネームかもしれない。
 そんな2人。2人のキャラクター的に春子が折れるのが手っ取り早いだろうなぁ、と思ったらその通りになった。予想通りのガッカリというよりは、適切な答えが出たという気持ちよさを感じる。
 ただ、石くんの強い意志に対して「相手から告白されたら即okなのかよ」とは思う。ちょっと都合が良すぎる。
 この2人はニコたちの合わせ鏡なのは明らかで、だから強めに同意してくるギャグがあったはずなのに、ラストで「私と同じじゃん……」とエモめに語られても「そりゃそうだろ」としかならないな。普通に自分と同じだから同意してるんだと思ったのに、なんか急に伏線回収みたいな雰囲気出してきて困惑する。

『あかね噺』57話

 あかねとは別の素敵お姉さんの登場にドキマキする玉ちゃんを見ていたいのですが、話は声優の方にフォーカスするのであった……(当たり前だろ)。
 チャラい話題性重視とナメられがち。そこに一剣師匠のイメージも加わるのが面白い。普通にうらら師匠んとこ行けよ、とか思わなくもなかったが、これはこれで一剣師匠ならではの色なのね。
 んで、間の取り方でうらら師匠仕込みだと分かる。ここまでの解像度があったら楽しいんだろうなぁ、と落語ファンの沼を垣間見た気分。落語の世界の面白さが間接的に伝わってきた良い場面。

『SAKAMOTO DAYS』114話

 スラー(?)、普通に良い奴そう……からのスパイの正体。おおっ、アクション以外でこういうワクワクが発揮されると何だか嬉しい。普通にちゃんと面白いし、スラー(?)が良い奴で、スパイの任務に心を痛めてるのがしっかり描かれてて味わい深い。あのオチを踏まえると、赤尾との会話であった “自分がまっとうな人間だと” “言われてる気がしたから…” がまた最高ですね。

『逃げ上手の若君』105話

 尊氏は死にたがり。逃げたがり(正への執着)の若との対比なのは分かるが、「急所が外れれば首を刺しても大丈夫」というのは正直やりすぎで引く。大仰すぎる演出が松井作品の強みとは思うし、それが好きなことも多いけど、今回のは普通に「いや死ななくても大変でしょ」と引いた。
 そんな尊氏は分からなさが魅力。これは松井先生がこの時代を題材に選んだこととも関係してるんだろうなぁ。若に目を付けたのと同時に、悪役としての尊氏に魅力やカリスマ性を感じたのでしょう。史実は知らんが、分からなければ分からないほど漫画として着色しやすくなるって側面もありますし。

『僕とロボコ』132話

 扉から分かるホラー回。この作者がただ好きだからやってるだけ、という感じがとても良い。
 ホラーであり、不思議な話。あれだな、ショートフロンティアで載ってそうな感じだ。最後にもうちょっとツイストのある仕掛けがあったらもう完全にショートフロンティア。本作はもうちょっと実録の怖い話っぽい味わいになっててそれはそれで良い。
 個人的な好みとしては、お化け(?)が直接電話で話しかけてくるくだりで少しだけテンションが下がった。たしかに怖いけど、怖さの種類がちょっと変わる。まぁ、その一線越えてくる感じが怖いって狙いなんだろうけど。日記の「死んじゃった」のとことかルールに則った怖さがあって、そっちのが好き。血で文章が読みづらくなってて、少しこちらの集中度が自然と上がると怖いことが書いてある、という流れが良い。

センターカラー『アンデッドアンラック』154話

 アンフィールは感情と感覚の否定らしい。感情と感覚って全然別物だと思うのだが、漢字ありきの発想に囚われてないか? あとは、ここだけ急に障害っぽさが増しますね。そこにプラスして、否定とか関係ない悲劇が加わってくる。情報量というか、不幸が多い。
 そんな救出作戦。宇宙空間での密室ホラー。映画『エイリアン』っぽい雰囲気ですかね。それまた楽しみじゃないの。

『暗号学園のいろは』19話

 一応最初にポーカーの基本ルールを説明。意外と親切であった。いや、親切と言えるのかは程度問題だが。
 そんな説明も含め、初手でしょうもないコイン譲渡が行われ、そこで一番どうでもいい人のキャラクター紹介になってたのも良い。親切であり、引き込まれる。
 その後のポーカーの戦況とかよく分からんのだけど、問題と答えがぼんやりしすぎてて答えを確定できない、というのは面白かった。暗号学の基本みたいなものを感じる。まぁ、「それは問題作成者の落ち度では?」とか思わんでもないんだけど、「どこを答えとするか」の件を分かりやすく描く上で今回の状況がピッタリだった、というのは分かる。

『一ノ瀬家の大罪』20話

 とにかく即行動の翼が動けなくなる。夢のことを知って心が折れたというか、原動力を失う。それが最終的に何でも即行動のいつもの翼に戻る、という構成。最後の「聞いちゃうんかい」という展開がビックリなんだけど、驚いたあとで「それでこそ翼だな」という納得もある。そもそも、偽父に話を聞いたことで動けなくなったので、もう一度聞くことでそれを乗り越える、という意味でもキレイなオチだったと思います。
 あとは、写真の場所に行くと記憶が戻る、とルールが律儀に運用されてるのが良かった。意味なくフラッシュバックすると作者の都合を感じてしまうんだけど、それがある程度解消したと思う。
 写真の場所で記憶を取り戻すってのは英傑リンクですね……って話は以前にも書いた気がするな。自分のことも忘れちゃったよ。

『夜桜さんちの大作戦』173話

 5年後太陽の実力。武器を警戒してれば……と思ったら初手武器ぶん投げられて詰む。この見開き演出が素晴らしかった。ページをめくると下段以外が見開きで横に長い。右ページだけ見ようとすると状況が理解できず左へと視線を導かれるのだが、これが「あまりに突然のことに目と頭が追いつかなかった」の感覚とシンクロする。
 長男のテキスト。妹へのキモいバイブスが消失してて逆に不気味。修行の成果を感じますねw
 学校。何とかファミリーみたいな話だ! あの漫画、「もう学園モノはお腹いっぱいなんで……」と読むとやめちゃったけど、本作はどうなるのだろうか。まぁ、同じ感じには100%ならないけど。
 学校の紋章がタコっぽくて、スパイでタコというと007シリーズのスペクターが思い浮かぶ。桜だし、木モチーフの何かだと思うけど、どういうことなんだろうか。

『イチゴーキ!操縦中』18話

 魔界でバトル漫画。背景からバトル描写まで完全にバトル漫画になってて笑った。『ロボコ』とはまた違ったアプローチ。器用だな、林先生。読み味がバトル漫画、てかほぼ『ドラゴンボール』になってて最高だった。こういうジャンルミックスというか、「なんでバトル漫画もいけるんだよ」みたいなのに弱いんだよなぁ。『ゆらぎ荘』に激バマリしたのもこの点が大きいし。
 同窓会。いつもの操縦展開になるんだけど、それに対して「飲酒運転」と表現したのが面白かった。当たり前すぎるんだけど、まったくの不意打ち。てか、飲酒運転される側の車の気持ちってどんななんだろうなw

『人造人間100』17話

 スーツ美女って良いよね。分かる、分かるぞ、あしび。ただ、今回やりたかったのはスーツ美女よりも美女の魅力に瞬殺されるあしび、という方なのだと思う。急に人間臭く、同時に子供らしい言動を見せることであしびというキャラクターの魅力が瞬発的に倍増したと思う。最近はすっかり忘れてたけど、初期の頃(てか読切)だと少年と人造人間の関係性にエロではないけど、どことなくそういう方向性の雰囲気が出てたと思うのですが、そこから随分と遠くまで来たものだw
 しかし、やっぱりスーツ美女というのも素晴らしい。いわゆる美女キャラという記号が全然ないじゃないですか。そこらへんの意外性であり、ある種の上品さ。「美女に魅了される主人公」というよくある構図なんだけど、間違いなく本作独自の味が生まれてると思う。
 火花。95%は死ぬけど、残りは超能力を得る。マジで念能力だな。キメラアントがやってた念パンチ作戦そのものだ。もしくは『バビル2世』における宇宙ビールス。
 スーツ美女の火花。まさかの「つーか これが限界」。まさか最初に出てくるのがノブナガとか思わなかったぜ。『呪術』の三輪ちゃんは途中で出てきたたくさんいる中の1人だったから「ノブナガじゃんw」と軽く笑うだけで済んだけど、最初がノブナガとは。正直、新しいことが始まるワクワク感という意味では悪い面も大きかったと思う。以前より『HUNTER×HUNTER』の連想はしてたので、予想外のことが起こらなくて冷静になっちゃう感じ。ただ、その見せ方、見開きは「なにそのアングル!?」という感じですごい良かった。
 「つーか これが限界」もそうだけど、直前で出てきた人造人間も目だったのにな……というガッカリもあったな。まぁ、既知のものが出てくることに意味がある展開なので、ガッカリしても仕方ない話なんだろうけど。

『宇宙おじさん』宮澤大樹

 読切。ジャンプショートフロンティア。少年が公園で宇宙人を名乗る変なおじさんと出会う。そこで少年が渡すのが漫画「プリプリ ケツ太郎」子供向けのナンセンスギャグかと思ったら、悲哀のヒーローとして結構ちゃんとした設定になってた笑った。笑ったが、この「ナンセンスギャグかと思ったら意外と良い話じゃん……」という意外性がそのまま本作にも当てはまる。もっと味濃いめのキャラで押し通す話になるとか、実はおじさんこそがガニム星人だったとかそういう話になるかと思ったら、めちゃくちゃシンプル。あまりに真っ直ぐすぎる話が逆に新鮮で面白かった。今号は『妖精の飼い方』が情報量多めで意外な展開に振り回されるタイプだったこともあり、「こういうシンプルなのも良いじゃないの」みたいな気持ちになった。15ページの戦い方としてこんなのもあるとはな。知らない作家の作品をとりあえず読んでみて、「なにこれ!?」となるの、まさに雑誌で読切を読む醍醐味って感じのデクだ。

『ギンカとリューナ』29話

 最終回。1年後。みんなの努力のかいあってリューナの記憶が戻……らないんかい!! すごいなこれ!! マジで感動しちゃった。前話のラストは感動的だったけど、同時に先の話があまりに見えすぎて「このまま最終回ですね……」とか思ってたけど、まさかこんなにもシビアな話にしてくるとは。
 ただ、意外な展開とか、シビアな展開をやること自体が目的になってるのではなく、物語を誠実に進めた結果こうなっただけ、というのもよく分かる。それくらい最後の決着が良かった。別に記憶が戻らなくてもハッピーエンドにはなるんだよ、という感動がしっかりあって、それは記憶が戻るハッピーエンドよりも味わい深いものなのだと思う。ラストにおける海の提案にOKをもらって喜ぶリューナの笑顔が、その前フリも込みで見事なのよね。記憶を失ったリューナとしての美しさがある。ここらへんの機微がマジ見事でしたね。
 まぁ、これが、連載始めたときに想定した理想の最終回とは思いませんが、逆にそれ故の「すごい終わらせ方しやがって……」という感動があった。やはり急いで話を閉じる故に発せられる作家の個性というのは間違いなく存在しますね。
 強いて言うなら、難を言うならフギンとムニンの出番が少なくて残念でしたね。ただ、たった1コマでも「お前たちが見たいフギムニはこういうのだろ?」という作者の声はハッキリと聞こえた(幻聴)ので良かったです。1コマしかいないのに「これこれぇ!!」ってなれたからすごい(チョロい)。

巻末解放区!WEEKLY週ちゃん

 ネタハガキ東西戦。4/13は喫茶店の日ということでお題は「自分で開店するなら…… ヘンな喫茶店かカフェの店名を考えよう!」。
 東。南蛇井さんの「喫茶琢磨」。一瞬マスターの名前かな? とか思ったらダジャレなので脱力。このくらいの緩いダジャレはちょっとありそうかもしれない。ダジャレの意味も喫茶店らしさを感じるし、これは良い喫茶店の予感。
 虹谷ユメ子さんの「月9カフェ ちょ豆よ」。結局私はダジャレに弱いのか……と自分にガッカリすると共に、やっぱ好きなんだよなぁという自己肯定。ダジャレのもしょうもなさもそうだけど、字面の力弱さも好き。
 さばねこさんの「純喫茶 充電」。最近はカフェに行く目的がコレの人も多いんでしょうね……という時代性も感じる。そこに「純喫茶」なのに!? という奥行きがあるのが好き。
 西。照りさんの「珈琲亭焙煎」。看板のロゴとかデザインを突き詰めるタイプの作品は多かったですが、デザイン路線だとこのネタがぶっちぎりだったと思う。
 赤海雌細さんの「コント『喫茶店』」。こちらは逆にデザイン要素を極限までそぎ落とした結果、ハッキリと意図と目的と意味が発生してるパターン。ちょっと発明とかそういうレベルの驚きを感じた。

愛読者アンケート

 新連載についてと、K-POPについて。知ってるアーティストについて聞かれるのだが、いつものように選択肢の多さに圧倒される。知らない名前が多すぎる……。最近はジャンルとしての人気がすごいので、興味ない人でも名前くらいは聞いたことある、というパターンも多いんだけど、それでも知らない人がこんなに……という衝撃。感想としては「○○とか知らないし聞いたこともないよ」とか書きそうになるのだが、若干の失礼バイブスが発せられるので自重します。あとは、「名前は聞いたことあったけど日本の歌手だと思ってた……」パターンもあってマジ混沌。混沌に呻くキタクマガラ。

総括

 せっかく連休で1週休みがあったというのに、それと同じくらい更新が遅れてしまった。マジでいつになったら追いつくんだろうな。
 あと、『ギンカとリューナ』が終わってマジ悲しいけど、最終回が予想外に良かったのと、雲母坂先生の新作が始まるのと、『テンマクキネマ』に思ってたよりも魅了されたのでトータルではそれなり。

 今号のベスト作品。『妖精の飼い方』。マジ超良かった。
 次点は新連載とショートフロンティアと『ギンカとリューナ』。

gohomeclub.hatenablog.com

おまけ『純潔のアスモデウス

 ジャンプGIGA掲載のミウラ師匠新作。ジャンプ読むのが遅すぎて告知を知るより先に発売されるという異常事態でした。ワクワクして待つ期間がない!(実際は買うまでのタイムラグがある)
 そんな新作。まさかヒロインが宙に浮いてるとはな……。間違いなく『ゆらぎ荘』完結以降の作品で最も『ゆらぎ荘』に近い作品だったと思います。そこに新鮮さを感じなかった読者がいることは想像に難くないですが、個人的には『ゆらぎ荘』を盲目的に好きなので「やっぱりこれがミウラ師匠の最適解だったんや!」みたいな気持ちになった。ただ、読み進めれば当然『ゆらぎ荘』との違いはあって、そこがやっぱり新鮮で面白い。『ゆらぎ荘』よりも明らかにバトル漫画に近づいた設定になってて、「ミウラ師匠 次は本格バトル漫画で是非」とか妄想したこともある身としてはとても嬉しいバランス。『ゆらぎ荘』と似た作品だからこそ、それとの違い、変更点、追加点にミウラ師匠が今やりたいことが詰まっている。それがよりバトル漫画に近い設定であり、「ラーキスーケ」の理屈武装。ラーキスーケが発生する理屈を用意するのは『ゆらぎ荘』以降の作品で見られる特徴だと思います。今回はそれがより洗練されたというか、ガチガチの設定として用意された感。てか、今になって思えば『ゆらぎ荘』の中ではラッキースケベが何の理由もなく発生してたんですよね。「そういう体質」みたいな説明はされてたけど、あれは後付けで、理屈好きのミウラ師匠は「最初からそういう設定でガチガチに固めてから始めてぇ~!」となったに違いない(決めつけ良くない)。
 というように、『ゆらぎ荘』以降の作品である点、及び『ゆらぎ荘』以降の作品群から感じられるミウラタダヒロという作家の特殊性がこれでもかと感じられる作品で、ファンとして大満足でした。やっぱめちゃくちゃ変な作家だよなぁ。なんでそんなに理屈っぽいの……(うっとり)。
 あとは、主人公、男性主人公が真面目バカというある種の可愛さを持ったキャラクターになってるのとか新鮮で良かったですね。コガラシくんは「ハーレムの主はさぞ人格者に違いない」という逆算的に作られたキャラクターだと思うけど、本作は悪魔との対比というコンセプトが感じられ、おかしくもあり、可愛らしい。可哀想でもあって魅力的でしたね。悪魔のヒロインがライバルであり、デコボココンビでもあるわけだけど、普通にエロに弱い、というのも良い。好きだけど嫌い、を地で行くキャラクター。 “主よ! 僕は…僕は…っ!” とか最高。
 あと、元同僚たちが次々と結婚していって疎外感、という展開も良かった。「あいつらの方がよっぽどエッチじゃん……」というギャップも面白い。主人公たちはあくまでも少年漫画の範疇なのに、彼らはもうとっくに……という振り幅。それと同時に、ヒーローの孤独も描いてて普通に感動的でもあるんだよな。ヒーローは「なんのため」戦うのか、をかなり真正面から扱ってるのも最高。
 そのヒーロー(エクソシスト)という職業が実は闇堕ちを含んだシステムの上に成り立っていた、と主人公が揺らぐくだりとかも良かった。相変わらずミウラ師匠はこういう話好きね、という感じ。闇堕ちの危機が幽奈さんではなく男性主人公にある、ってのも新機軸で嬉しい。それに対するヒロインからの解答も、堕とすことがある種の救いとなっていてさすがの面白さ。理屈をこねくり回す快感。その理屈によって主人公カップルは唯一無二の特別な存在として確立して、それと同時にバトルの勝利が描かれてエンド。この盛り上がりも少年漫画として絶品でしたね。
 終わり。やっぱりミウラ師匠は理屈っぽかったです。このまま連載になって本誌で天幕さんとコラボしてほしい。いや、やっぱコラボするなら幽奈さんか。