今年は『ドラえもん 絵世界物語』が歴史的な傑作だったので『コナン』への関心がまったく上がらず、ほとんど「まぁ去年も行ったし……」くらいの気持ちだったのですが、実際観てみればちゃんと楽しいので安心しました。ちゃんと面白いし、日本映画最大級のヒットシリーズにしては、めちゃくちゃ変。
『ハイキュー』新作楽しみですね
満仲監督が『隻眼』監督に起用されなくて本当に良かった……という『ハイキュー』ファンの感想をまず最初に書いておきたい。『ハロウィンの花嫁』好きな人は是非とも『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』の方も……よろしくお願いします……。私は『コナン』の長野県警キャラとかよく分かってないまま本作を観て、まぁそれなりに楽しめたので、『ハイキュー』ミリしらで『ゴミ捨て場の決戦』観てもたぶん大丈夫だと思う。所詮はバレーをやるだけの話ですし。『コナン』から『ハイキュー』に戻った満仲監督は完璧なまでの傑作を作りました。ありがとう……次作もよろしく……。
脚本:櫻井武晴
ローテーション的に櫻井回なのは分かってましたが、長野県警がキーになるということで、「櫻井コナン」の警察組織モノとしての要素があり得ないほど高まってるので最高でした。『ゼロ』は正直やりすぎなバランスと思いつつも大好きな作品なんですが、本作は完全に『ゼロ』路線でしたね。そして『ゼロ』以上。
やたらと細かく違った警察組織が出てきて、それぞれ別の目的、思惑を抱えながら同じ事件を追い、バラバラの思惑のまま事件解決で全組織が一同に会する。熱い。「これこれぇ!!」とテンション上がる気持ちと「いや分かんねぇよ!!」が同居する。『ゼロ』初見のときの思い出が甦るぜ……。本作のすごいところは、クライマックスで最後にまた知らない組織が出てきた点ですよね。「今なんて言いました?」と呆気にとられる感じ、『絶海』初見時を思い出すぜ……。
暗唱
そんな「組織がいっぱいいすぎだよ!」という本作ですが、その中で素晴らしかったのが事件解決、犯人確保後のお説教タイム。あの手の説教も櫻井コナンの定番な気もするんですが、本作の「職業倫理暗唱」は最高でした。バラバラの思惑でバラバラに動いていたけど、1つだけ共通するものがあって、それが職業倫理。正直今までのお説教ってあまり好きではなかったんですが、本作のはやたら複雑だった物語の決着として本当に素晴らしかったです。
単なるキレイな場面で終わらないのがこのシーンの良いところ。とてもキレイに話が締められたように思えるんですが、職業倫理を暗唱してる中で、暗唱できない人がいて……と銃を眺める風見。コナン映画の大雑把なノリで小五郎の発砲を処理しなかったのも良かったですし、公安の汚い仕事に思わず良心が痛む風見。大変可愛かったですわね。本作の風見、怪我もしないし折檻もされないんですが、何なら歴代最高に可愛かったと思います。苦労人&忠犬感がプリティですわ……。
安室の声変わり
今回の安室、安楽椅子探偵ぶりが魅力的でした。そして何より、公安として汚い仕事を、何の言い訳もなく汚いものとして描いてたのが良い。原作シリーズは全然知らないのでアレですが、映画シリーズの中の公安はいつも「漠然としたスーパースパイ」くらいの感覚で正直興醒めするところもあったんですが、今回のダークヒーロー感はすごく良かった(ヒーローかも怪しいレベル)。「好きピはこの国」とか抜かしてた『ゼロ』からは信じられないほどの変化である。
そんな安室の新たな一面が見れたという意味で、本作から声優が変わったのはかなり良かったと思います。「今回の安室さんいつもと雰囲気違くない!?」というのが単なる声の違うではなく、作品の特色でもある。結果オーライ。
これは完全に偏見ですが、劇中で安室が高校生にキャーキャー言われてる場面を観て「現実の安室さんはああいう子に手を出してしまったんだな……」と暗い気持ちにはなった。たぶんああいうモテモテ設定は昔からあるので偶然でしょうが。
警察捜査に混じる私人
やたらと複雑な警察組織が魅力ですが、そこに同行するコナンと小五郎という異分子も良い。コナンはお約束ですが、小五郎がコナンと別に行動したのが良かったですね。あそこまで警察にガッツリ同行する探偵というのがそもそもフィクションなのですが、コナンというそれ以上にあり得ない存在がいる世界なので、小五郎の存在がものすごくリアルに感じられて、そこが渋い。まぁ、正直小五郎の活躍という意味では『水平線上』のときほどの爆発はなかったと思いますが、発砲という違法行為(それも警察から銃を奪う)に大人キャラとしてのかっこよさを出したのが独特というか、コナンには絶対にできない魅力だったと思います。いや、コナンも厳密に考えれば違法な行為もあるだろうけど。発砲経験もありますし。とはいえ、「いや発砲はダメでしょ!」という極めて現実的な感覚を共有できるのが本作の魅力なのは間違いない。
現実離れした警察組織としての公安、その相手をする本作で最もあり得ない存在であるコナン、というのも良かった。あそこだけスパイ対決みたいになってて良かったですし、公安を転がすコナンもかっこよかったですな。リアクション役の哀ちゃん、ヘタこく忠犬の風見も可愛い。私は櫻井回の哀ちゃんも好きでね……。風見の次くらいに好き。
警察組織と私人の探偵。前者が結果を最優先するとしたら、後者はエモでしょ。小五郎の行動原理も極めてエモですし、最後に明かされるコナンの優しさ(死亡ドッキリバラシ)もラブコメを何よりも重視する本作の世界観的に最も輝かしい行動だったと言える。お決まりの「江戸川コナン 探偵さ」の「探偵」の意味が、各組織との対比によって重く感じられる作品だったと思います。犯人が警察の人間で、動機が恋愛だったのも利いてくる。
死亡ドッキリに関しては、「原作キャラが映画で死ぬことはあり得ないんだよなぁ……」と意地悪な見方をしてしまった。さすがにそこまで素直な気持ちにはなれなかったです。去年『100万ドル』での平次の告白も、「告白成功なんて重要な話を映画でやるはずがないんだよなぁ……」と冷ややかな気持ちだったのと同じ。
アクション
櫻井脚本の警察趣味が全開になった本作ですが、その影響もあってか、アクションの毛色も今までと違っていたと思います。アクションを担当するキャラの銃所有率が高いというのも大きいですね。
今回すごくフレッシュだったのは雪山での銃撃戦。銃撃戦自体が新しいとは言いませんが、あの真っ白でスケールの大きい舞台で、相手の位置を探りながら……という緊張感がとても良かったです。これはメインキャラが元気に動き回れない、というのも大きな要因だったかもしれませんね。孔明は普通に動けるけど、おそらく知略での活躍を見せたいので、アクション最前線という感じではないだろうし。
雪山の銃撃戦が渋くて好きだったんですが、クライマックス、突然始まる「列車強盗」にマジでテンションぶち上がりました。楽しすぎる。車運転できるキャラが多いという特徴もありそうですね。現代の、超特殊な列車強盗。やはり『コナン』の映画シリーズは日本の『ワイルドスピード』と言える。事件が解決して話が終わると思ったら、犯人逃亡からの特殊列車強盗、というのは完全に『ワイスピ EURO MISSION』と同じ構造。
格闘アクションもあるよ
当然のように蘭なんですが、その前に元太と光彦があるので珍しい。銃声を聞いた小学生が音の元へ走り出すくだりは「悪夢すぎる……」と軽く目眩がしたんですが、2人の活躍自体はとても良かった。変に都合良く活躍するのではなく、ある程度現実的な範囲での活躍になるのが良い。櫻井脚本の子供の扱い、好きなんですよね。
そして、子供たちのピンチに満を持して現れるのが米花町の暴力装置こと蘭姉ちゃん……とふざけた紹介をしたくなるくらい登場の瞬間が熱かったです。ただ、映画シリーズで蘭が安易なゴリラ扱いされるのはあまり好きではないので、本作の「善戦はするが勝ちまでは行かない」のバランスはすごく良かった。子供のために戦う、という助走もバトルにエモが乗るので良かったですね。ここらへんは『絶海』と同じ。てか、櫻井脚本回はそれほどゴリラ扱いされないですね。『業火』は例外として。
犯人逃走後、子供たちの心配する蘭も良かった。というか、3人とも「本当は戦うべきじゃなかった」くらいの扱いになってるのが良い。映画のお約束として開き直るようなノリも嫌いではないけど、キャラの魅力が真に光るのはやはり現実的なバランスの上にキャラが成立してるときだと思います。まぁ、本作の場合は小五郎の「遊びじゃねぇんだ」の温度感が魅力の根幹にあるので、「いえーい! 蘭姉ちゃん最強!!」というノリはやはりふさわしくない。
臨死体験
長野県警キャラのことはよく分からないものの、普通に(それなりに)楽しめたと思うんですが、一点、本作の中で一点だけちょっと引いたというか、個人的に明確なマイナスの場面があって、孔明の臨死体験。あんな非現実的な場面、『コナン』シリーズでやっていいの? 最後はあくまでも現実的に発砲という方法で現実に戻ってくるのは良かったんですが、正直かなり面食らってしまった。原作シリーズは初期以外全然知らないんですが、それでも反射的に「あり得なくない?」という気持ちになってしまったというか。
ただ、そのあとの風見のくだりは良かった。飼い主のプライバシーに踏み込みすぎてガン無視される風見が可愛い。
「キミがいれば」
今年もキミがいなかった。『ハロウィン』『黒鉄』とかつての伝統復活かと思ったら、そこから2年連続でキミがいない。今年だったら小五郎の発砲が「キミがいれば」チャンスだったと思うんですよ。いや、コナンじゃないからダメか。じゃあその前のレーザー反射のくだり。なんで入れれるところで入れないかね。『ドラえもん』だって「夢をかなえてドラえもん」が復活したというのに……。
立川監督だったら「キミがいれば」入れてくれる可能性がある(『黒鉄』は監督のアイディアらしい)ので、3度目の立川監督に期待ですな。立川監督は櫻井脚本の年に担当させると思うので、早くても再来年でしょうか。ただ、「永岡監督&大倉脚本」「重原監督&櫻井脚本」でローテが固定される予感は正直あります。
ネクストイヤーズヒント
『紺碧の棺』リメイク来るぞ!!……と、女海賊なのでマジで思ったんですが、どうやら違うらしい。シリーズにおけるたった2つの失敗作、その一角『紺碧』のリベンジが見れると思ったんですが、その機会は与えられない模様。まぁ、園子回という意味で『紺青』がそうだったのかもしれません。
千速なる人物らしいです。カルタキャラはもう別にいるでしょ……と思いましたが、確定情報ではないらしいので安心しました(ただ結構怪しい)。
そして萩原らしい。私の苦手な一角来ましたね。てか、あの一角マジで人物関係が複雑すぎて難しいぜ。正直誰が死んでるのかもよく分かってないレベル。雰囲気で観てる。
とはいえ、交通機動隊らしく、バイクアクションが期待できそう。それは何より。バイクアクションはシリーズの定番と言えそうですが、がっつりメインとして扱われるのは初めてで、かなり楽しみです。(映画)初登場の女性キャラがメインというのも珍しくて良いですね。警察キャラが2年連続ですが、来年は大倉脚本でほぼ確なので、今年のノリとはまるで違ったものになると思います。
主題歌は愛内里菜と三枝夕夏の女性デュエットでお願いします。『紺碧』、女性同士のバディモノというテーマはめちゃくちゃ良かったんだよなぁ。「面白そう」ではあったんや……。
終わり。去年、『コナン』映画でtier作る記事も書いたので、お暇でしたらそちらもどうぞ。現状『隻眼』はBかな。『ゼロ』と同じAにしようかと思ったけど、新境地開拓の意味で『ゼロ』のが偉いと思う。
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