北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

週刊少年ジャンプ2025年45号(紙版)の感想

 みんな『羅小黒戦記』を観てくれ。

表紙

 『カグラバチ』。2周年だそうで。まだ若手のイメージがあったけど、近年のジャンプ的には2年って結構な期間ですよね。中堅扱いされる日も近いのかもしれない。ピンとこねぇ~。

堀越耕平×外薗健特別対談

 『カグラバチ』2周年&『ヒロアカ』ファイナルシーズン開始記念。特に出せる写真はないのでご両人の手のアップの写真が添えられており、それが何とも『ヒロアカ』っぽくて良い。
 知らんかったけど、外薗先生が関西弁なので驚く。全然知らなかった。目次コメントではそんな感じないじゃん。いや、私が見落としたり忘れてるのかもしれないけど。そうじゃなかったら、目次コメント用の人格を生み出してる、とかありそう。
 自分は身を引いてるし、世代も違うので、無責任に好き勝手ホメまくってる堀越先生が何か良い。伸び伸びしてる。そんなホメホメな外薗先生のかっこよさの多くが映画由来というのも、分かっていたこととはいえ改めて言われると何か嬉しい。決めコマのかっこよさとかは抜きにしてもエセ日本の妙な解像度の高さとか、映画好きなのが伝わってきますよね。そこかよ、っていう。
 あとは、堀越先生のお気に入りシーンとして、「夜を払い、舞い降りる黒翼の剣士」が挙げられてるのでニコニコしちゃいました。堀越先生も黒翼の剣士民だ。よく考えたら手フェチな1コマなのでいかにも堀越先生が好きそう、という感じか。

読者プレゼント

 ボウリング。謎テーマだが、奥から手前に投げられる玉もグラビアなので熱い。マジで何も分からないけど勢いがあるのですべてヨシ。グッズにボウリング関係のものがまったくないのも、「無から生み出したアイディアなのか……」と驚かされる。
 ダジャレ的には「比肩しがターキー」が好きです。苦しさとうまさと心強さと。

巻頭カラー『カグラバチ』95話

 カラー扉。歴代悪役がみんな楽しそうなので何より。モブは言い過ぎだけど小者っぽい悪役が並んでるのも良いですね。
 第1回人気投票。キャラクターです。57人から番号で投票する形なのでネタ票も作者票も受け付けないスタイル。珍しいなぁ……と要綱見てたら「あれっ web投票のリンクは?」となり、いろいろ調べたら完全アナログ仕様、物理投票権オンリーなのでびっくり。今時そんなことが……。一応本誌以外に単行本(紙)にも投票権はあるので電子派の人も安心……ではないよなぁ。電子で単行本揃える人もいるし。かなり強気な姿勢ですが、それを押し通せるだけの自信があり、票数でイキりたいってことなんでしょうね。いやほんとびっくり。そんな投票権は切り取ったら裏の本編に穴があくクラシックスタイルだ。みんなで幽の顔に穴をあけよう。
 本作に個人的な偏愛は特にないんだけど、シャルあたりは当時作品の雰囲気が大きく変わった感じがして印象的だった、気がする。そんな感想を抱いた記憶があるような気がするが、ひょっとすると違うかも。まぁ、どのみち今では誰もシャルへの興味なさそうだが。あとはチヒロが主人公としてどこまで人気あるのかは気になる。ハクリが勝っちゃうパターンもあるのではないだろうか。もしくは成人男性諸君に魅力的なの揃ってるのでそっち系も強そう。筆頭としてはやはり†黒翼の剣士†さんだろうか。悪役陣営では昼彦が人気出そうな雰囲気あるが、銭湯効果であの人が悪役トップになるのも想像しやすい。楽しみですな。

 本編。初っぱなからラフいので笑う。堀越先生と対談なんかしてるから。バーガーキングに描き下ろしなんてしてるから。ジャンプ編集部から「是が非でも次の看板作品にしてみせる」という圧力を感じる昨今ですが、作者の負担も考慮してやれ。
 そんな中でもかっこいい決めのシーンはちゃんと完成させてるのでこれはこれで楽しい読み味。迫力の緩急を感じる。なんだけど、最後の最後に一番盛り上がるステゴロパンチはラフなまま終わらせてるので意外、だが逆に不気味な迫力が生まれててなかなか面白かったです。意図的にここの優先順位を下げた、とかありそう。最後のアザミンの顔とかラフなことで怖さが生まれてて超かっこよかったと思う。そして負傷した幽は普通に完成してるので謎だ。
 コイン妖術に関しては、この手の能力バトルモノでありがちな、ただのアイディアの展示みたいな印象で正直どうでもよさがあった。特にこれといってコインを使った気の利いた殺陣があるわけでもないし、中二アイテムとしてコイントスってかっこいいよね、くらいの薄いバイブスのみだったのでは。メインは殴るだけなので、そういう意味では良かったです。とはいえ、悪い意味での能力バトルあるあるが当てはまっちゃったのは少し心配。意味のない設定が上滑りしてる感。

『魔男のイチ』53話

 時操さん。悪い魔法ではないらしい。悪いのは別にいる。ちょっと拍子抜けという、都合良く話が単純化されたような印象。まぁ、時操のキャラ的にはもう十分好きになっちゃってるのですが。
 共生の象徴たる赤ちゃんを殺したがるジキシロ。あの意図的に空気読んでない最悪のタイミング、最高でしたね。それに対する各人のリアクションもめちゃくちゃ凝ってて最高。オラつきながらキレてるデスカラスも良いし、切り込み隊長的に真っ先に突っかかるゴクラクも良い。そして、実はリアクションを隠されていた嫁さんが黙って真顔ビンタ。先週の『カグラバチ』アザミンみたいな良さがある。
 関係ないけど、 “百万人分愛してあげる!!”MCUファン的には「3000回愛してる」を連想してニコニコしちゃいます。
 んで、最後に問題の悪い魔法が現れてエンド。315って何やねん。『イカゲーム』かよ。下半身はタコっぽいくせに。

『雪解けワンすてっぷ』近藤ぶし

 読切15ページ。『ONE PIECE』が急遽お休みなのでその代原。目次には尾田っちいるので結構心配になりますね。そもそも計画的に休みを入れてるのに。
 本編。アイドルが「本物のアイドル」であるワンコと組まされる。マジでこの話だけで最後まで突っ切るので最高。出オチっぽいんだけど、「たしかに犬はアイドル性の塊だよな……」と妙に納得できちゃうので面白い。あとは “バズるやつ” とかすごく好きです。独特の角度がありますよね。SNSでのバズる犬。
 ワンコが可愛いのは当然というか前提みたいなもんなんですが、人間のアイドルの方もちょくちょく可愛く見える瞬間がしっかりあって良かったです。特にアイドルしてる場面がちゃんとしてる。とはいえ、ワンコだよなぁ。変に擬人化せずに、リアルワンコのバランスで描ききったのが本当に良かったと思います。あの何考えてるか分からない顔とか最高にアイドルだわ。

『アオのハコ』214話

 遊佐弟の頑張りではなく、単に大喜のスランプらしい。可哀想な話をするじゃないか。3年で部のエースとなったことで不調に陥る、というのは普通に面白いんだけど。
 大喜が千夏パイセンとイチャイチャしてるところを、例の隣人に見かけられる。本当にエロ漫画的な展開しか想像ができないんだけど大丈夫なの!?(大丈夫だよ)
 からの突然の母さん。意外すぎる。意外というか突拍子もない。正直「今そういうとこ掘り下げてもしょうがなくない?」とか酷いことを考えてしまったんだけど、人の体調不良に理屈を求めるんじゃないよ。

『ウィッチウォッチ』220話

 チャミーへの理解が深いドリーくん再登場。あまりにおいしいキャラだったので再登場が嬉しい気持ちと「当然だよなぁ!」的な気持ちが同居。
 なんだけど、正直今回は思ってたほど面白くなかった。「イケメンがオモチャにされるのが面白い」という一点に特化しすぎたのか、いろいろと雑。まだ2回目なので「お約束なので」みたいな雑展開にされると萎えるぜ。トラブルの発端がドリーくんにあったのも良くない。彼が悪いとなるとオモシロの意味が違ってこない? あと普通に深刻な睡眠障害だから病院とか行った方がいいと思う。
 せっかくの良キャラがもったいない回だった。最初は「何気に今回一番面白いのドリーの方じゃない?」という感じの魅力だったのに、彼を分かりやすくメインにしたら「そういうんじゃないんだよなぁ……」となってしまうパターン。深夜番組がゴールデンに進出したらつまらなる現象に似てる。マジでもったいない。というか、篠原先生がその面白さを掴み損ねてるのがちょっと意外。理論派というか、「読者はこういうのが好きなんでしょ?」と的確に突くのが得意なタイプの作家だと思ってたので。

センターカラー『僕とロボコ』252話

 お馴染みの日常感あるオープニングめっちゃ面白かった。そこからの「主人公病」というテーマも良いし、展開も良い。ただ、冒頭のドラえもんみたいな使い魔が主人公病の話と思いの外関係がないというか、ベタ大喜利が始まってから彼がどうでもよくなっちゃって少しチグハグだったと思う。
 そして、ものすごくさらっと『モジュロ』の件に触れたのでびっくりした。そんな感じなのか。まるっと1話使ってロボコが新連載を歓喜する話をやったりするんじゃないかと思ってた。とにかく最速でネタにすることを優先して、元々準備してあった回に無理矢理『モジュロ』ネタをぶっ込んだ、みたいな感じなのだろうか。

『呪術廻戦≡』5話

 そんな『モジュロ』。謎のジジイが謎に強く、言い分も謎。謎すぎて狂人の類かと思ったら、まさかの認知症。マジかよ。すごすぎ。いや、たしかにこういう術者のいる世界だったらこういう問題も間違いなく起きるだろうからめっちゃ面白いですね。そして、アーバンベアに続いて社会問題を積極的に取り入れてくスタイルが一貫してるのも熱いですね。そもそもメインのストーリーラインも排外主義に落ちないためのギリギリの攻防って感じあるし。良いぞ。

『SAKAMOTO DAYS』232話

 暴走する弟妹に苦労する兄貴、からこっちの兄貴が参戦し、最終的に「あいつが一番強くねー?」な兄貴が参戦してエンド。本作にしては珍しく何やってるか分からないアクション描写になってるんですが、それが意図的で、 “なんだ いまの動き……!?” という引きになってるので面白い。作品への信頼がなかったら普通に下手なバトル漫画と錯覚しかねない場面である。
 明瞭さとハッタリという意味では、妹のクソデカガトリングを振り回すバトルスタイルも超楽しかったですね。ゼロ距離射撃は笑った。
 モブ教員がモブすぎて強さの参考にならないんですが、たまには普通に強い先生もいるのでそっち系の展開にも期待だろうか。ルーと警官のくだりもそうだったけど、どこまで強いかよく分からん新キャラが、本作の中では割と古め(インフレを考えると弱め)のキャラとぶつけられるのは面白い方法ですね。

『さむわんへるつ』4話

 今週のお題であり、今週のデートは喫茶店。カフェチェーンではなく純喫茶に行くという週ちゃんが喜ぶやつだ。
 前回と同じフォーマットの話かと思ったら、新キャラ。うなぎポテトの知り合いで、リスナー仲間らしい。そういう繋がりもあったのか。人名と共に異名(RN.)、そして強さの指標であるポイントが表示されるのが少年漫画すぎるので笑った。ジャンプで人気を得るための工夫なのは分かるけど、そこまで徹底しなくてもいい気はする。
 上昇志向に囚われたミメイに対して「楽しそう」のテーマ。これ自体は正論だし、「所詮趣味の大喜利だからな……」と思うんだけど、趣味の大喜利だからこそ「そんなにキラキラした話にしなくても……」ともなっちゃう。まぁ、これは私のイメージするラジオリスナー像が古くて「童貞&無職であるべし」みたいな幻想を抱きすぎてるんだと思う。古いぞ。いや、昔も別にそういうノリがあっただけで事実を反映してたとは思わないんですけど。とはいえ、本作にもいつか、そういうオールドスクールな職人キャラ出てきてほしいな。現状、陰キャ要素をかなり意図的に排除してると思うけど、いつかは緩やかに解禁していってほしい。別にメインテーマにはしなくていいから。
 まぁ、陰キャではないものの、うなぎポテトの変人性はかなりのもので、本来なら社会性皆無になるところだが「楽しそう」のチカラで周囲の人に愛されてる、としたのは良かった。職人仲間であんな未成年がいたら可愛くて仕方ないだろうな、と想像しやすい。オフ会に未成年いたら少し緊張感が走ると思うが、それはまた別の話。事前に知らされてた可能性もあるし。

『しのびごと』52話

 ウミネコからイヤホンを渡すことで9号部隊の仲間入り、という儀式はすごく良かった。9号オペさんのツッコミが入ることで初めてチームの一員と言える。
 ブラコン姉がギャグっぽく描かれるので助けに来てくれるのは当然みたいな感覚になるが、そこにハヤブサのアオイさんへの秘めたるクソデカ感情、と繋がっていくの超良い。ギャグにカモフラージュされたシリアス、沁みるぜ。
 敵は血液を操るが、周囲が雨で水浸しなので、血の混じった水ごと操る。雨への適応がテーマになるのは分かってたけど、こういう形になるのは良いですね。あまりに雨特化型になると「この人普段どうやって戦ってんだろ……」ってなると思うというか、そういうバトル漫画って結構ありがちだと思うんですが、ベースの強さは感じさせつつ、雨への対応も抜群。再戦することがあったらまた別の顔を見せてくれるんだろうな、という期待も生まれる。

センターカラー『あかね噺』177話

 前話ラストであった、噺に浸ってほとんど無意識的に笑う客、というのを今度は舞台の袖から2人の視点で描く。圧倒的な実力に歓喜するひかると、何をしてるのかを自分との比較で冷静に分析するからし。めちゃくちゃ良い。キャラの魅力で進める少年漫画ではほとんど定石みたいな話だけど、2人のそれぞれのリアクションによってあかねのすごさが多角的に浮かび上がってくる。そして、まだ分からないからしによって謎を残し、モニター越しでも当然すべてが分かる師匠2人のリアクションへと繋がっていく。もっと近くに審査を担当してる師匠がいるはずなんだけど、そこは絶対に見せてくれないのも面白いですね。

『ひまてん!』61話

 お姫の元マネージャー現る。おおっ、姫と警護役だ。つまり忍者だろこれ。小野先生の新連載は絶対にこっちになると思ったんだよなぁ。まさかの本格ラブコメでびっくり、からの懐かしの姫要素復活が熱い。お姫の寝間着が和服っぽく見えるのも嬉しいあたりです。
 嬉しかったのですが、競泳水着を無条件で「好きでしょ」という扱いにされても困る。が、アイドル視点による「アイドルのプライベート水着は価値が高すぎる……」という自意識にフォーカスするのは面白かった。その結果としての謎の競泳水着。知らねぇよ、という話なのだが、その空回り感は楽しい。

『悪祓士のキヨシくん』

 マクド行って謎の強キャラ風の男と出会う。『呪術』なら真人、『カグラバチ』なら昼彦タイプの悪役だろうか。最近多いですね。なんか流行とかあったりするのかしら。興味深い。あとアレか、『鬼滅』の宮野真守

『逃げ上手の若君』221話

 自慢の強キャラが揃うが当然全然歯が立たない。からのまさかすぎる追加の強キャラ。歴史モノでそんなことあり得るのか、とハッタリが利いてて大変楽しかったし、本作らしい魅力も感じる。ただ、それとは別に「現状の危機を考えたら吹雪って別に頼もしくなくない……?」とか少し失礼なことも思ってしまった。一通りワクワクした後で。チームが完成することで改めて本領を発揮できるとか、奇策が用意してあるとかそういう感じになるのだろうか。
 本編後のコラム。急に本郷先生が参加中の一大プロジェクトの宣伝めいた内容が入ってきて、こっちの連載も終盤にむけてまとめめいたテーマが多くなってきれるのかな、とか思った。

『異形頭の街。』白咲しろくま

 読切。15ページ。ジャンプショートフロンティア。さっきの代原と何が違うのでしょうか。どっちも目次コメントないし。
 本編。罪を犯すとその罪を象徴するモノへと頭が変容する。乱暴なビジュアルもいて不気味だけど、基本的にはどれもめちゃくちゃ魅力的なビジュアルなので驚く。何なら色気すら感じるレベル。正直このビジュアル、キャラデザの時点で優勝みたいなところはある。
 そんな罪人は超能力を使えるらしいので(なんで?)、キルスイッチを持った警官をコンビを組んで仕事をする。面白そう。ただ、ランプ頭のコンビを担当する新人警官がちっこくて可愛いのが正直本作においてはノイズだったと思う。短い作品で、別に彼女のことは特別掘り下げることもないのに、「異形」というテーマが圧倒的な魅力を放つ本作において、彼女の小ささも異形に思えて、ちょっと邪魔かなぁって。彼女自体は可愛らしくて、独立した存在としては快だと思うんですが、バランスとして「なんであんな子供みたいな子いるのよ」みたいになっちゃう。ショート作品だからなぁ。気が散る。まぁ、ショート作品としての完成度はどうでもよくて、白咲先生のスキル誇示を優先するならば、「こういう可愛いのもいけまっせ」というのは至極全うな判断だと思う。思うけど。
 異形のことは信頼してはいけない。キルスイッチはいつでも押せるようにしてなくちゃいけないのだが、崖から落ちる危機に瀕し両手が塞がる。ここでのサスペンスはすごく良かった。ランプ男の表情が読めないことによる怖さがすごく迫力ある。あったので、裏の裏で普通に親切ってなるのは拍子抜け。マジで何一つ危ないことなんてなかった。最初から何もなかった。無から主人公がサスペンスを生み出してるだけ、というのをドラマみたいな扱いにするのはあまり好きじゃないというか。本作に限らず、「意外な展開」に取り付かれた結果「裏の裏は表だから平坦だよ!?」って作品結構あると思う。
 ということで、話の展開とバトル的なクライマックスについては結構拍子抜けだったけど、とはいえ抗いがたい魅力がランプ男のビジュアルにはある。一点特化で刺さる何かがあれば充分だとは思います。特に知らない若手作家の場合。

センターカラー『ハルカゼマウンド』16話

 ここぞという場面で会心の当たりを見せる。意外性はまったくなく、「ここでページをめくったら見開きでかっこいいスイングどん!」という予想までできるんだけど、さらにページをめくったら一直線のライナー打球になるとは思わなかった。やっぱ本作は見開き使いが良いですね。横長のコマであり得ないほど直線の打球を見せてから、それを取り損ねたピッチャーの焦りのリアクションを下段に配置、というのが読み味として非常に気持ちいい。その左でキャッチしようとするセンターを正面から映してスローモーションのように細かくコマを切っていくのとかも最高。

『鵺の陰陽師』117話

 イメージの中のヤリチン学郎良すぎる。誰かの能力で具現化してほしい。姫のイメージが楽しいわけですが、具体的に純血を奪われる瞬間のイメージは婉曲表現になってるあたり、リアルなセックスを直視できないオタクの図としてすごく良い。そしてこのダンス中のチャラ学郎がやっぱ謎の魅力に溢れてるよな。誰かの能力で学郎の人格がヤリチンに変わる回やってほしい。
 そんな純潔のピンチなわけですが、それを打破するのが2人の「ゴチャゴチャ考えずに思ったことを全部直接言う」だったのも最高。陰キャの陥りやすい罠への対策としても正論だし、何気にものすごく大事なことだと思う。前述のヤリチンイメージが的外れでおかしかったのもフリとして利いてるというか、正しいですね。心を開いて相互理解に至る話としてとても良かったと思う。そこからの「捕まえる」の場面についてはよく分からないです。

『カエデガミ』15話

 これでカジが戦線離脱だったら激萎え、みたいなこと先週書いたんですが、普通にまだ元気で戦えるようなので良かった。良かったが、先週のアレはもっとボロボロに負けたように思っちゃうよな。
 因縁の相手だと思ってたし、それは正解でもあるのだが、同時にそれはカジに原因があるのだった、となる真実、めっちゃ良いね。意地悪で好き。カジが世界に対して吐いた呪詛を額面通りの意味として受け取られてしまったが故の悲劇。もちろん責任がカジにあるとまでは思わないけど、子供と妖怪が生んだ美しい悲劇としてものすごく好き。
 ということで、「人とは分かり合えない」のテーマを掲げた敵さんとの対決。普通にカジと仲直りすることを優先してほしい気持ちも大きいんですが、とりあえずコウとシユウの旅に現れる敵としてはめちゃくちゃふさわしいテーマを持ってるので面白い。コウとシユウ、それぞれの言い分で相手のテーマを上回る、みたいな感じになるのが理想だろうか。個人的にはもう勝敗とかどうでもいいのでカジと仲直りしてほしいw(それも多少は描かれると思うけど)

『灯火のオテル』21話

 ドアドアさん、しつこい。終わったと思ったサスペンスが復活する展開、面白いっちゃ面白いけど「もういいかな……」ってなることも多くて、本作も一瞬そうなりかけたんですが、ドアドア“その善人面をやめろ” がものすごく真に迫ってるので良かった。好き。涙(のように見える傷)と共に本音でオテルの善意にツバを吐きかける姿勢が最高です。
 そんなドアドアのヤケクソの一撃。雑に技を無数に掛け合わせて……というの、こないだ『ヒロアカ』のアニメで見たな。オールマイトのメカが見所だと思ったら、徐々に若返ってくAFOの演技が圧巻でした。逆にメリッサはあそこまで機械っぽく喋らなくていいと思う(せっかくの志田未来なのに)。
 んで、フィルギャ暴走。『カエデガミ』がこないだやってたような展開である。いや、この設定は定番だし、その設定なら絶対にやらなくちゃいけないようなイベントではあるんだが、並べないでくれよと。まぁこれは仕方ない話ではあるな。後から始まった『カエデガミ』が先にやったのがイレギュラーだった、という話。

『ピングポング』13話

 騎馬戦で上から球を打ち下ろす形になり、球速も上がって有利。理屈は分かるのだが、上から人の頭に打ち下ろす図がどうかしてるので面白い。いや、前から人の頭狙うのはどうかしてるんですが、下から回転かけて頭でワンバンさせるのとはやっぱ絵面のインパクトが違う。変なんだけど、この途端に変さが際立って見えることがまさに「上から打ち下ろす」の強さを示してるわけで、変さと謎に筋通ったところが面白い。
 んで、天才に追いつかれることの恐怖と嫌悪をついにコーチが吐露。決意の現れなんですが、そのことに平がショックを受ける。赤信号の休憩時間にゆっくりとその衝撃を噛みしめてると、赤信号はそもそも休憩ではない、と間髪を入れずに二の矢が飛んでくる。エモめに話が傾いたが、漫画的にも劇中の試合展開的にも「そんな暇はない」と畳みかけてくる。漫画の読み味として最高である。
 そっから、先ほどの超上回転の逆で、あり得ない距離のサーブを成立させてくる、という理屈も良い。本来なら「いや無理でしょ」という話なのだが、上回転のくだりを飲み込んでしまった手前、下回転の驚異も飲み込まざるを得ない、っていう。まぁ、とはいえピンポン球はめちゃ軽いので、空気抵抗の関係でいくら回転をかけたところで出せる距離には限界があるとは思う。まぁ、ここらへんはギネス記録とかで頑張ってる人が実際にいるかもしれないので、実際のところは知らないです。

『エキデンブロス』14話

 平然とした顔でこちらの様子を観察しながら抜いていく。絶望感溢れる良いオープニングなんですが、その「平然とした顔」がまさに本話のテーマになってくる構成なのでめちゃくちゃ熱い。前回語られた「主役」のテーマのさらに一歩先、という感じですね。主役らしからぬ汚い必死の顔をするし、させる。
 んで、絶望中のランナーを励ます材料として今までの記録を読み上げるというのも理にかなってるというか、実際にありそうで好き。覚えてるというか、普通にいざというときのために調べておいた、が適切だと思うけど、「注目される」がテーマなので覚えてたって表現にしたんだろうな。ちょっと強引さも感じる。
 下り坂の駆け引きというのも面白かった。タイムの勝負じゃなくて、同時に走って競うからこそ生じるオモシロって感じですね。本当の地獄は下りが終わったあとの平坦な道、というのも素人的には目から鱗で良かったです。
 んで、諸悪の根源であるマスコミの皆さんがカメラから目を離してしまうほどの迫力、というのも痛快なオチで良かったですね。まぁ、実際はそこまでうまくは行かないと思うけど、それはそれ。駅伝の醍醐味が詰まった良い回だったんじゃないですかね。間違いなく今までで一番面白かったと思う。戦略面でもドラマ面でも。話の構成とかも見事でしたし。

巻末解放区!WEEKLY週ちゃん

 10/10は目の愛護デーということで、年に一度のお楽しみ、メガネ特集。このときだけ週ちゃんの制作チームにお邪魔したい。
 今年のベストメガネキャラは『あかね』の正明師匠だと思うけど、ああいうベタなメガネ記号を背負ったキャラがやたら多い一年でしたね。『魔男』チクトゲもそうだし、若いスポーツ漫画のメガネたちもあまりにベタ。メガネ豊作の年とも言えるけど、使われ方の工夫としては逆だったりもするのかな。
 眼帯キャラが多いのには気づかなかったのでびっくりかつ面白い。隠された方の目に秘密が、という展開が用意されてるのも「眼帯のベタ」って感じで興味深いですね。定石とも言う。そして、『sakamoto』天弓だけが左目に眼帯をしてたのもかなり気になる。漫画家の美的感覚として「どっちを眼帯にするか」は絶対に一度は考える点だと思うんですが、天弓はアクションするし、敵なので左目ってことなのかな。具体的な描写を数えたわけではないけど、基本的に漫画は左に進行するメディアなので、主人公に立ちふさがる悪役は(向かって)右向きのショットが多いことが予想され、その場合、目が手前に来るように眼帯は左……みたいな。目の傷、目元の記号の場合はそれを強調したいので逆に手前、ってなるんじゃないかな。つまり、痣とか傷系主人公は左目。
 『しのびごと』のメガネが豊富、というのも盲点だった。好きな作品なのでショックではあるが、メガネのデザイン面でも多様というのは週ちゃんらしい注目ポイントになってて良かったです。あと、戦闘モードに入る際にメガネを外すヒバリと、謎の強キャラで底が見えないミミズクというのは良い対比になってましたね。ひょっとしたら今後ミミズクが窮地に追い込まれるなどして、メガネが外れる展開が来るかもしれない。外さなくても横の隙間から瞳を映すショットとかもよくある。

次号予告

 『逃げ上手』が表紙。発表的なことは書いてないのでカウントダウンはなさそう。てか、表紙の回に向けて本編をこれ以上なく盛り上げてきましたね。若い作家が今週、2周年なのに主人公不在でラフ掲載してるのとは対極のような計画性だ。ラフの件は外薗先生に原因があるとは言いたくないが。
 んで、沼先生が凱旋。早すぎるので超意外。嬉しいです。正直そこまでガツガツと新作描いてくるイメージじゃなかったので意外です。嬉しいです。
 そして、『しのびごと』がまたしてもカラー。みたらし先生が死ぬぞ。

目次

イエベとブルベって言葉を最近知った。女子の中では普通と言われ謎に悔しい。
(『ひまてん!』)

 イエローベースとブルーベルベットだよな。

愛読者アンケート

 コラボイラストについて。イラストよりも対談のが好きとは言いづらい雰囲気である。てか、対談企画は楽ならもっと頻発してほしい。
 web漫画の宣伝について。総じて興味がない。PV数が何を意味するかは分かるけど、数値の相場が分からないので言われたところで何も分からない。『鬼滅』が北米で1億ドル越え、というのは分かる。マジすごい。アメリカでは『呪術』のが人気だと思ってました。そんな中、今年は中国の謎続編アニメ映画がさらに信じられない数字を叩き出してるので正直意味が分からないです。考えるのをやめた……とかそんなレベル。とはいえ、『無限城編』が3本合わされば余裕で戦えるレベルなのでやっぱりすごい。あと北米売上なら1本でも勝ってる。やはりすごい。北米売上だけで国内の『国宝』より高いんだからインフレ展開が雑すぎる漫画を読んでるような気分。

総括

 木曜深夜の更新となりました。今週はこの後また書くものが詰まってるので急ぎたかったんですが……。

 ベスト作品。『エキデンブロス』。すごく良かった。駅伝らしい魅力に溢れてたと思う。事前に「駅伝らしさってタスキを繋ぐとかそんなじゃろ?」とか思ってたんですが、全然違う角度で面白かったので申し訳ない気持ちです。
 次点は読切2つ。『カエデガミ』も良かった。

 ベストコマ。『ハルカゼマウンド』の弾丸ライナーの見開き。一瞬『カグラバチ』の薊にしようかとも思ったけど、ラフをありがたすぎるのも変な話かなと思い直した。

 ベストキャラ。『鵺』の学郎。イメージの中のヤリチン学郎。もっと純潔を奪ってほしい。
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