北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

映画『SP 革命篇』の感想


「革命編」じゃなくて「革命篇」なんだよ、って感じはあまり好きじゃない


 ♪デッデッデ! デデッデッデ!!

 わかりにくいですが、『SP』です。観たんです。岡田准一が小さい身体でがんばってました。
 シリーズがようやく終わります。最終章なはずです。

 まぁ、なんだかんだ言ってシリーズのファンなんで、楽しみでした。まぁ、前後編で公開された映画の前編は、話がほぼ進まないクソでしたが。
 そして、映画後編公開に併せて放送されたテレビの2時間スペシャル「革命前夜」とゆーのもかなりクソでした。映画前編を超雑な編集で1時間に短縮して、残り1時間で映画後編への準備を見せる、だけ。盛り上がりがない。期待して観たワタクシがバカでした。



   あらすじ
岡ちゃんはSP
上司の堤真一がなにやら怪しいことを企んでいるらしい
国会で総理への不信任案が提出されてる最中テロリストが国会を占拠
出入り口は塞がれ、希望は国会内にいる主人公らSP4人のみ
主人公は堤を止められるのか



 という。まぁね。前編のことを考えたらかなりおもしろいです。
 最終作ということでもちろん物語は進む。今までモヤモヤしてたとこもしっかり描く。

 なによりも素晴らしいのが、本編開始からフルスロットルで進むトコ。映画開始とともに、テロリストたちが次々に国会に向かい、計画通りテキパキと占拠していく。
 このテキパキと占拠してく様は観ていて大変楽しいです。それと同時に国会占拠の計画が説明されてとてもテンポがいい。悪役が活躍するシーン、主人公たちが活躍するシーン、しかない。エンタメ作として正しいと思います。
 また、国会内で武器を所有できるのはSPのみ、という着眼点は素晴らしいと思います。

 本シリーズのために岡ちゃんはかなり格闘技の訓練を積んだそうで、その甲斐あってか戦闘シーンが多い。というか、ほとんど岡ちゃんが闘ってる。一応仲間が3人いるんだけどね・・・。シリーズ最終作なんだから仲間たちの活躍、仲間の絆とか見たいじゃん。全然なんだよねぇ。残念だ。仲間の活躍だったら前編の方があったような気がする。
 特にクライマックスに至っては、仲間たち完全に蚊帳の外。ちょっといくらなんでもあんまりでしたね。

 ラスト近くの堤真一とのバトル。前編でまったく闘わなかった堤真一がついに立ち上がる。岡ちゃん対堤真一という、シリーズ随一のマッチアップ。師弟対決はいつだって燃えるものである。
 ここで、岡ちゃんが銃を撃つのに躊躇ってると、堤真一がなんの迷いもなく発砲するんだよね。そして、岡ちゃんがそれを交わしつつ、堤に近づき、近距離戦に突入。殴る蹴るを繰り返すも、隙を見つけると銃で攻撃。銃を向けられると素手で銃口をそらし防御。
 これって、ガン=カタっぽい。映画『リベリオン』で発明された奇跡の格闘術、ガン=カタ。もちろん、『リベリオン』と違ってガン=カタを描くために映画じゃないんで、それほどフィーチャーされてないけど、それでも充分に目を引くシーンでした。『リベリオン』ほど高速のガン=カタではないものの、リアルな速度だったのかもしれません。ともかく、名バトルでした。


ガン=カタ開始!!

 映画前編で初登場し、強烈な印象を残した香川照之堤真一の計画に協力する国会議員
 この香川と堤の関係性が、『スターウォーズ』のパルパティーンとダースベイダーみたいですげぇよかったんですが・・・
 本作でもしっかり香川が堤を裏切る。ついでに香川と堤の関係性についても明らかになる。パルパティーンとベイダーにそっくりなもんだから、最後は岡ちゃんと堤が協力して香川を倒す、と思ってました。が、全然違った。
 違うどころか、香川、クライマックスになるとまったく出てこない。最後は、岡ちゃんと堤が総理大臣を殺す、殺さない、で闘って終わる。香川が全然出てこない。映画版のラスボスだと思っていたのですが・・・・拍子抜け。そして、香川の計画っていうのも、結局憎んでるはずの総理大臣のやり方とまったく一緒で小物っぽさがハンパない。
 香川という魅力的な悪役がいるのに、岡ちゃんと堤は総理大臣に執着してて、少しガッカリ。総理を殺す殺さない、の葛藤はテレビシリーズ最終回でもうやったじゃん。

 悪役の計画でいうと、香川の計画が結局総理大臣のやり方が一緒でガッカリしたんだけど。それ以前に、堤の計画も、結局悪徳国会議員を懲らしめたい、ってだけでそんなに緊迫感がない。観てて「懲らしめたらいいんでねぇの?」とか思ってしまった。それを見てちゃんが「俺が止めないと!」って奮起するんだけど、その感情に乗れない。
 やっぱり、革命という名のテロを行う以上、「この計画が最後まで成功したら日本はこうなっちゃいますよー」って紹介してくれないとね。時限爆弾として機能しない。岡ちゃんの気持ちとしては、「堤が悪に染まってしまう」っていう緊張なんだから、テロを成功したら堤はどうなるのか、ってトコを描かないと岡ちゃんの気持ちに乗れない。

 と、悪口ばっかり言ってるけど、一番不満だったのは別のところにありまして。
 ファンサービス的な感じで、テレビシリーズではお馴染みの掃除屋(殺し屋)が出てくるんだけど。こいつらの描き方が雑! てか、少なすぎ!! 超期待しちゃったよ!!!
 予告とかにも出てきてて、個人的に本作で一番期待してたトコなんだよ。ビートルズを名乗る掃除屋とのリターンマッチってのが一番見たかったよ。だから、本編に掃除屋が出てきた時はテンション上がったわぁ。掃除屋のみんなが相変わらず仲良く世間話しててサイコーだったのにさぁ。
 あそこで、掃除屋のみんなは国会議事堂に向かってるもんだと思ってた。それが、まさかのどうでもいい仕事。しかも殺しの方法が爆殺とか・・・・雑すぎるだろ。もっと事故死に見せかけた殺し方にしてくれないと。ガッカリ。
 しかも、このガッカリシーンが本編でのクライマックスを迎えた後に出てくるもんだから、テンションがガタ落ちしたところで、本編終了っていう・・・・。残念すぎるわぁ。

 それと、テレビシリーズやって、映画2本もやっての最終作なんだから、もっと気持ちよく終わらせてくれませんかね。
 なにあの終わり方。すげぇ残尿感。
 まだシリーズ続けたいの? あんだけ終わりだ終わりだって言っといて? ジャイアンの引退リサイタルかよ!!



 と、悪口ばっかり言ってしまいましたが違うんですよ。
 おもしろかったです。邦画でここまでエンタメに徹した作品ってのは超好感持てるし、シリーズファンとか関係なくオススメできる作品だと思います。最近、ここまでのエンタメ作って邦画であったかね?って感じ。
 あっ・・・『十三人の刺客』があったかぁ・・・・・しかも超名作だぁ・・・・・・・・うーん、あそこまでスゴイかっていうと全然そんなことはないんだけど・・・。
 けど、おもしろいですよ。シリーズとか映画前編とか無視してでも充分楽しい作品だと思う。ファンとしては最終作がコレなら大満足。まだシリーズが続くんならガッカリだけど。
 75点。


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