『ザ マペッツ』−ミュージカル+下ネタ
日本でも大ヒットしているそうで。原因はわからないけど、下ネタコメディーということで『ハングオーバー』とかを連想しちゃいますね。アメリカのコメディーに集客力があると認識されるようになったらいいんだけど。
ワタクシは朝10時の回で見たんですが、かなりの席が埋まってました。サービスデー(千円)だったとはいえ、朝早い時間であんなに客集めるとは思いも寄らなかったです。
ただ、あれだけの人数がいた割には笑い声は全然でしたね。‥‥ひょっとして下ネタに引いてた? かわいい外見にまんまと釣られたってことですかね。
予告で本作を知って、真っ先に連想したのは『ザ マペッツ』ですよ。去年ですからね。よく覚えてます。オッサンと人形のブロマンス、結婚を意識した恋人がいて、三角関係になって‥‥ってのが完全に一致。「同じすぎるじゃねぇかww」なんて思いながらも、『マペッツ』大好きなので楽しみにしてました。
まぁ、結果としては、『マペッツ』とほとんど同じでしたね。
『マペッツ』が大好きなんで、今回は悪口多めになりますが、嫌いではないですよ。
あらすじ
少年「永遠の友達を僕に下さい!」
テディベア「よぉ」
先述の通り『マペッツ』とクリソツすぎてクリビツテンギョーです。男同士(ブラザー)の友情をロマンス映画の手法で描く、というジャド アパトー式のブロマンス映画ですからね。そして、そのブロマンスの相手である人形が子供を、結婚を意識した恋人が大人を象徴していて、この2択で揺れる成長の物語である、と。
が、決定的に違うのが、2択の結論。本作ではどちらかを捨てどちらかを選ぶ、という選択が描かれないんですね。なあなあのまま3人共仲良くなって、主人公は結婚を果たす。後半、テッドが主人公と別れることを決意するようなシーンがあるんですが、その直後にその2択とは関係のない事件が起こってそれどころじゃなくなってしまう。
本作で一番大事な「同性or異性」というテーマがぶれたのが本当に残念でした。
最後の事件ってのも個人的には乗れなくて。テッドが誘拐されるんですが、話の本筋と関係がなさすぎるんですよね。それだけでなくこの誘拐事件によって本筋がうやむやになってしまう。悪役描写も雑だったのもあって、「お前は見たくない」っていう感じでして。
それと、本作のハイライトとして主人公とテッドが殴り合いのケンカをするシーンがありまして。これは『マペッツ』にはなかった見せ場だったかな。ブロマンス映画だと『グリーン ホーネット』なんかを連想した名シーンなんですが、ここでテッドは超強いんですよ。なんせマーク ウォールバーグを圧倒する戦闘能力を見せますからね。そして、そのテッドを誘拐する犯人ってのがなよなよしたストーカーとそのデブ息子。‥‥テッド本気出せば勝てるよ! なに片耳切られてんだよ。縛られてる、みたいな弱みがあるワケじゃないんだから子供も親も倒した後にゆっくりと逃げればいいじゃない。‥‥みたいなことを考えてしまって、全然入り込めなかったです。犯人がなにかしらの凶器を持ってたりしたらテッドが逃げ回るのにも納得できるんですが。
誘拐のくだりも好きじゃないんですが、それ以上にダメだったのが、その直後のテッドの復活シーンでして。誘拐犯とのいざこざでテッドは命を落としてしまう。「異性同性の2択にこんなハードな決着つけるのかよ‥‥」と驚きました(続編製作のニュースは忘れたことにして)。そしたらなんですか、ヒロインが星に願い事をしたら、翌朝テッド復活ですか。簡単すぎるわ! しかも、流れ星が落ちるシーンが超ダサイしな!!
根拠なく復活させるくらいなら死なせなくてもいいじゃない。ヒロインが「死んじゃった!どうしよう!」って焦ってる横で、主人公が「縫えば直るんだけどね」って冷めてる、みたいなギャグのがまだマシでしたよ。テッドが死んだ時の感動を返してほしいです。
『マペッツ』との相違点でよかったトコ。テッドの内蔵音源。『マペッツ』のカーミットと違って、テッドは元オモチャですから、抱き締めてお腹のスイッチを押すと「I love you」って言う(鳴る)。この大人になっても変わらないかわいい声の「I love you」というアイテムが本作の白眉でして。テッドが象徴する、大人になっても変わらない子供性というのを強調されてます。そうでなくても単純なギャグとして超おもしろいですし。
劇中、3人の関係が崩壊し、主人公がテッドに別れを告げるシーン。主人公を引き留める術がなくなったテッドは最後の手段として自ら腹のスイッチを押して「I love you」と聞かせる。が、それは主人公の心には響かない。その後、主人公と殴り合いのケンカが終了すると、2人は清々しい表情で互いに「I love you」って言うんですよね。内蔵音源には頼らずに。もうこのシーンで涙腺が大変なことになりまして。大感動でした。
元々ブロマンス映画の中で「I love you」と言い合うシーンは好きなんですよね。男同士の「I love you」というフツーだとあり得ないシーンなんですが、不自然に感じさせない過程の部分が大事でね。その意味で本作は傑作です。大好物です。
まぁ、あとホメ系でいいますと、ちょっとどうかと思うレベルの下ネタがサイコーでしたね。「それクマのぬいぐるみじゃなかったら完全にアウトだぞ!」っていうレベルのが下ネタが大変愉快でありました。
顔射シーンとか、ものすごくツボでしたねぇ。ぬいぐるみ故の表情の乏しさと白濁液というリアリティーのギャップが酷くって。石鹸だから本当は清潔なんだけど、ものすごく不潔な映像でした。ただ、ああいうシーンで劇場内が引いた空気だと少し困りますね。笑った人負け、みたいな空気になってました。体感ですが。
あとは、カメオ出演のライアン レイノルズがよかったです。ちょっと顔出しするだけじゃなくて、ちゃんとキスまで披露してくれましたからね。イイ人だ。
作品とは直接関係ないかもしれないんですが、字幕の件。
個人的には好きじゃないです。アメリカ人向けの小ネタを日本人向けに変換しちゃうヤツ。アメリカ人の口から英語が発せられてるのに、字幕には日本特有のものが出てくる、ってのが嫌いでして。
字幕って「英語がわかった気になれる」ものという認識でして。日本特有のネタを出されると、「これは英語では違うこと言ってる」「通訳の人がんばったんだろうな」とか考えてしまって、その思考がもう邪魔なんですよ。
その好き嫌いの比重は人それぞれなんでしょうが、ワタクシはわからないままの方がいいや、って感じですね。
その小ネタ解説としては、映画秘宝(先月号)がスゴイですね。小ネタ全部解説されてるんじゃね?ってレベルの充実ぶりでした。原語そのままの字幕で観て、後から映画秘宝でネタを確認する、というのが一番幸せな手段かもしれません。無理ですけど。まぁ、ソフト化される際に字幕変わるかもしれないですね。
ということで、大まかな筋の部分に関しては『マペッツ』と同じで好き、けどその結論がどうも好きになれない、その他のギャグは大体よかった、って感じですね。サブカルネタに関してはまったくわからなかったんですが、「なんか楽しそうだなー」程度で満足するクチですので。
『マペッツ』公開前に『テッド』が公開してくれれば問題なかったんですけどね。『マペッツ』を観るまでの間はブロマンス映画の傑作と言えたかもしれません。
70点。
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個人的には『テッド』の上位互換。
同性か異性か、子供か大人か、というテーマを歌いあげる「MAN OR MUPPET」はワタクシにとって2012年のベストシーン。
ちなみに、「同性or異性」問題の結論としては、異性を取ります。同性友達と別れ、互いが大人になった状態で再会するという号泣展開。
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本作におけるテッドポジション役のジェイソン シーゲルは『マペッツ』にも出ていて最強すぎる。
原題は『I love you,man』でして、その名の通り男同士の「I love you」映画。
『フラッシュ ゴードン』のあの人の代わりに『超人ハルク』のルー フェリグノが本人役で出ております。
結論としては、同性とつるんだまま異性と結婚。『テッド』にかなり近いけど、死ぬ死ぬ詐欺しないし、テッドの位置のキャラクターが結婚のために‥‥というオチが泣かせます。
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これまた男同士で「I love you」と言い合う映画。しかも布団に入りながら。
結論としては、同性と別れます。この映画が一番別れが強烈に描かれていて、エスカレーターのシーンは号泣必至。主人公の年齢がこの中では一番若いので、同性と別れ、新たな自分に生まれ変わる、という通過儀礼がそのまま大人になることを意味してますね。
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