人類が、壮絶に、終わる
観てきました。「新世紀」と書いて「ライジング」と読みます。だけど、原題は「DAWN」です。そして前作の原題が「RISE」。ややこしやー。
3D字幕でした。3D映像としては、冒頭の猿たちの狩りシーンが相当よかったです。スクリーンに引き込まれるような迫力がありました。
てか、本作も映画の頭に雨降ってるんですよね。雨とか雪とか火山灰とか、3D映画の冒頭には何かしら降らせる傾向があると思います。方法論としてその業界の中ではセオリーになってるんじゃないか、と思いたくなるレベル。
- あらすじ
- 人間は人間を殺す
- 猿は猿を殺さない
前作の『創世記』だけを直前に見直してたんですが、『最後の』も見とけばよかったです。記憶が古くなっちゃってるんですが、「あーここは『最後の』と呼応してるんだろうなぁー」ってシーンがチラホラありました。
前作『創世記』が『征服』だったんだから、本作が『最後の』になるのは当然ですよねぇ。なんで気づかなかったんや。
うすらぼんやりした記憶ですけど、『最後の』のラストショットってたしか石像の目のアップじゃありませんでしたっけ。『新世紀』はそれ意識したのかな、とか。
過去作絡みのネタですと、前作ファンとしては猿が初めて喋る言葉というのが気になるのですが、本作におけるシーザーの息子ブルーアイズの初セリフは「father」だったと思います。これは『新』における「mama」と対になってるのかな、と。
前作『創世記』では『征服』の「no」が印象的に使われてましたね。猿は人間を拒絶するのか‥‥と落ち込みつつも、やっちまえー!!という高揚感溢れる素晴らしいシーンだったと思います。
ワタクシはとにもかくにも前作『創世記』の大ファンなのですよ。シリーズで一番好きだし、その年の作品の中でもベスト。おそらく2010年代でベスト10を考える時にも入ると思います(まだ半分も経ってないけど)。
そんな前作、シーザーがただただカッコよすぎて大好きなんですが、前作のようなシーザーの姿を期待してたら本作は少し肩透かしです。リーダーとして、父として、猿として、いろいろな気苦労に悩まされてるんですよね。それが作品としての新たな魅力になってるのは間違いないんですが、それでも前作みたいなシーザーの姿を見たかった気持ちも拭いきれず、むむむ。
ただ、シーザーではなく、アンディー サーキスという意味では、前作よりも本作に軍配が上がると思います。演技の迫力がスゴイです。バカでもわかる猿でもわかる。ていうか、単純にスーツアクター(?)が単独の主役になってるのは偉業ですよね。アカデミー賞ではアンディー サーキスが助演男優賞を取るように会社は画策してるなんて噂も聞きましたが、どう考えても主役ですよね。
みんな大好きコバ無双。シーザーがいろんな人のいろんな思想を考えて悩んでるだけに、自分の思うがままに暴れるコバの姿は痛快でした。もちろん悲しみも付きまとってるんですけど。それでも表面的な「やっちまえー!!」的な高揚が自分の中にあったのは間違いなくて。
人間に対する憎しみが誰よりも強いコバが猿真似で人間を殺すトコなんか、何とも言えない味わいでした。人間のことをこの上なくバカにした手法のようにも思えるけど、知能が進化する前の自分を再現するような行動をコバがやるというのは結構抵抗あったんじゃないかな、とか考えてしまいます。
猿真似の他だと、人間と戦争おっ始めるために偽装工作をするのとか、この上なく人間臭い方法ですよね。猿も進化するとこまで進化しちゃったな(悪い意味で)、という感じ。
そんな下準備があったからこそ、戦闘時のコバの痛快さにカタルシスを感じてしまうワケでして。物語としては悲劇に違いないし、コバも救いようがないんだけど、どうしても惹かれてしまうキャラでした、コバ。
そんなコバの殺し方。崖から落ちそうになって主人公が手を伸ばす、 とか「‥‥それなんてディズニーアニメ?」と一瞬言いたくなりました。よくありますよね。主人公は助けようとしたよ?という体裁を作りつつ悪役は結局落ちて死ぬ、という欺瞞に満ちた例のアレ。
ところが、本作は違った。シーザーは思い悩んだ末に、キッチリと自らの手でコバを殺しました。「猿は殺さないけどコバは猿じゃない」って無理のある理屈が悲壮感漂ってます。
前作『創世記』でマルフォイ殺した時は雄叫びあげる程に興奮しましたけど、本作の殺しはそんなに喜べないですね。しっかり殺したことは映画としては好感だけど、シーザーの手が猿の血で汚れてしまったのはつらいです。人間との戦いは避けられない、というリーダーとしての苦渋の決断を下すラストなんかも、偉いと思いますけど‥‥むむむ。
ということで、前作みたいな「人間なんて殺してまえー!!」的なノリを考えてたら全然違ったので面食らいました。まぁ、印象的な長回しもあったりして、楽しい映画なのは間違いないんですけどね。
85点。
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前作のことがちょっとどうかと思うくらいに大好きなので、比較すると本作は見劣りしてしまいます。まぁ、よく考えたら全然違う魅力の映画になっただけなんですけど。
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