童貞大戦争
和製『X-MEN』みたいなこと言われることも多かったと思うんですけど、映画の『X-MEN』は第一作が10年以上前ですね。邦画は10年以上前のハリウッドに勝てるのか。
原作については全然知りません。なぜかマンガ原作だと勘違いしてたレベルです。マジごめん。
- あらすじ
- 「公園のベンチに死体が9時間!」
- 「公園で人撃とうとしてもバレへんはずや!!」
予告等の事前情報で惹かれてたのは染谷将太です。車椅子に座った染谷くんが例の死んだ目で「人間共がぁぁぁ!!」って言ってるのを見て、「よっ! 染谷屋!!」という気分でした。この手の役はとりあえず染谷くんに任せとけばええんやで、という風潮を感じます。嫌いじゃないよ。
んで、観てみたら、その点は大満足でした。死んだ目は思っていた以上に死んでました。恨み節コンサートでした。ぶっちゃけ他のキャラとの演技の温度差、世界観が違いすぎたんですけど、そのチグハグ感はマンガチックでむしろプラスだったのかもしれません。‥‥原作はマンガじゃありませんけど。
思わぬ収穫だったのが、童貞。まさかの童貞役ですよ。なにこのタイプキャストすぎる役は。染谷くんのために作った役ではなく、原作があるってんだから驚きです。染谷くんが「セックスってしたことある?」って言った時はテンションあがりすぎて少し吹き出しそうでしたよ。
まぁ、観てる最中はあまりの染谷充に満足だったんですが、映画館を出た後に「死ぬまではただの体弱い人なんだから前線出る意味なくね?」とか思ったんですが、本編中に気にならなかったからこれはオーケー。
あと、よかったのはアクションですかね。特に岡田将生、主人公のアクションが好きでした。よくあるダメアクションシーンの例に「攻撃される前に避けちゃってる」ってのがあると思うんですよ。事前に決められた動きをなぞるだけで相手にあわせてない、っていうヤツ。別に本作がそれだとは言いませんけど、仮にそうだとしても本作はそれでいいんですよ。主人公の能力は相手の動きが予知できることですから。だから1人だけ動きの温度が違うというか、あまり敵意がないダンスのような雰囲気があるんですよね。本作じゃなかったら「迫力ないよー」ってなっちゃうと思うんですけど、それが本作だとアリ。すごくよかったですね。
敵意があまりない上、防ぐこと、避けること優先のアクション、というのは主人公の性格に基づいたものですので、そういう意味でも好きです。バトルスタイルにちゃんとそのキャラの意志を感じるとリアリティーというか、深みが増しますよね。
単純に岡田将生のスタイルがいいから見栄えがすごくイイってのもあるかもしれません。
まぁ、あとはあまりよくなかったです。超能力バトルについても、ぶっちゃけ超能力の使い方が初登場時と変わらなかったので、最初が一番カッコよかった気すらします。まぁ、足速い坊主くんの鉄球はおもしろかったですけど。
坊主でいうと、合体技があったじゃないですか。敵のキス魔とのコラボ技。ああいうの大好物なんですけど、キス魔は超能力じゃなくてマシンガン使うだけなんですよね。歯矯正ガールとやればよかったのに‥‥。
キス魔でいうと、車の中でイラク帰りのオッサンを誘惑するシーンってなんだったんでしょうか。怪力くんを忍び込ませたのかと一瞬勘思ったんですが、違うよね。フツーに失敗しただけ?
彼女は誘惑する能力が強いんだと思いますけど、映画で描かれるのは大体キスしてるトコなので「フツーに殺した方が早くね?」という気もせんではないです。まぁ、キスで殺してる絵面は大好きなんですけどね。
染谷くんの問題とも通じるんですけど、唯一長生きできるあの子も前線に連れて行く意味ないよね。ぶっちゃけ成海璃子も最終決戦で棒立ちだったんで非常にアレなんですが。序盤にしか超能力が描かれないから「お前だけは長生きできる‥‥」って言われても、「超能力使えない代わりに長生きが取り柄ってフツーの人間なんじゃあ‥‥」って思えちゃうんですよ。てか、超音波っていくらでもバトルに組み込める気がー。
あと、謎超能力描写としては、冒頭のボーリング上のシーン。たしか引きこもりの彼が「胸ポケットに銃あるよ」って言ってたと思うんですけど、どうやってわかったの? あの時は「透視能力なのか!!」とか思ってたんですけど、蓋を開けてみたら記憶力。どういうことなんだ。これは単になにか見落としただけかも‥‥。
という具合に後から振り返ると「‥‥ん?」ってトコが多かったんですよ。これが残念。劇中は説明ゼリフが異常に多くてげんなりするんですが、その割には説明が足りてないよ。
染谷くんの「子供生んでくれ‥‥」ってのも飛躍しすぎてよくわかんなかったです。
個人的に一番気になったのは、20歳で死ぬ問題が解決してない件。まぁ、これは「解決策は見つからんけど諦めずに進むことが大事なんやで」という感じにしたかった気もするんですけど。
ただ、だとしても本作で一番大事と思われる20歳問題と関係ない事件がドンドン進んでいくのはまずいでしょう。染谷爆弾で人類滅亡するのも困るけど、もうすぐ寿命だよ。てか、岡田将生が20歳以上に見えるから、明日にでも死ぬんじゃないかとハラハラするよ!
ラストの公園。これまたいろいろ気になった。
まず、公園に行く前にイラク帰りのオッサンがボスキャラっぽく立ちはだかったけど、負ける気がしないよ! 戦ってみたら案の定楽勝だよ!
そして、伊原剛志、染谷将太、岡田将生、長生きちゃんの4人による膠着状態。メキシカンスタンディングっぽい非常に熱い状況なんですけど、岡田将生がその気になったらフツーに勝てた! 特に工夫とかないし、予知も関係なさそう!
公園で一番アレだったのは世間からあまりに無視される件ですね。血塗れの男がいて、拳銃もってる人が隠す素振りもなく構えてるのに、その周りでは親子がほのぼのと遊んでる‥‥いくらなんでもおかしい。嫁の自殺が9時間放置もよく考えると怪しいんですけど、あれは公園に人気なかったし、「深夜スタートなのかな?」みたいなことを考えればなんとか飲み込めたんですよ。いや、ぶっちゃけ飲み込めないです。ただ、それでもナイフで自殺はまだ地味でしょ。拳銃と血塗れに比べたら。
余計なお世話だと思うんですけど、あの話だったら、事件が解決して主人公たちが去った後に血を流した伊原剛志のそばに「大丈夫ですか?」ってモブが近づいてくる、みたいな展開があると「9時間無視されないやん‥‥」って話になって少しはマシだった気もしますね。
そもそも、公園でわざわざ待ってた意味が全然ない。染谷爆弾使いたいから捕まえた時点で殺せばいいじゃん。すげぇ規模のデカイ感染なんだからどこで起爆しようと関係ないじゃん。‥‥てか、生け捕りにする意味がねぇ!!
ということで、終わり。まぁ、期待してた染谷くんは堪能できたし、岡田将生のアクションという思わぬ収穫があったので「1つもおもしろくない! 嫌い!!」って映画ではないですね。
けど、英語のテロップはクソださかったっす。
40点。
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主人公は金属骨格を持つのにラスボスが磁石マンという「勝てるワケねぇ‥‥」という感じなんですけど、『ストレイヤーズ クロニクル』はあまり相性悪いようには見えなかったですね。高速移動マンとめっちゃ硬いマン以外は予知と高速移動で完封できますし、そもそも戦闘に不向きな能力が3人もいる。
もしもアントニオ猪木がガソリンスタンドの店員だったら‥‥じゃなくて岡田将生と瀬々監督の作品。アントキノイノチ DVD スタンダード・エディション [DVD]
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