北区の帰宅部

映画の感想を書きます(嘘&希望)

映画『カンフー・パンダ2』の感想


3D映画として『トランスフォーマー3』を超えてると思います


 ドリームワークスアニメの最新作。
 個人的にドリームワークスアニメも『カンフーパンダ』も大好きなので超期待作でした。
 ドリームワークスアニメというと、去年の『ヒックとドラゴン』がディズニー顔負けの王道アニメの大傑作だったのが印象的なんだけど、今回の『カンフーパンダ2』はいつものドリームワークスアニメ風。

 ちなみに3D吹き替えで観ました。字幕版はかなり不遇な状況になってますが、とりあえず吹き替えはマシなので、問題ないですよ。とにかく3Dを観ないとダメです。

 今年は、ピクサーが『カーズ2』だったので、続編対決となってますね。売り上げ的には『カーズ2』のが勝ってるけど、作品的には『カンフーパンダ2』だと思いますよ。続編としても、エンタメとしても、ストーリー的にも、なによりも3D映画として。
 なんだけど、今年は、ディズニーが『ラプンツェル』という傑作をドロップしていて、さらに手書きアニメの新作『くまのプーさん』が控えているので、ディズニーがスゴイ。てか、ピクサー超えてますね、今年は。と思えば、第三勢力による『ハッピーフィート2』の公開まで控えていて、アメリカのアニメ映画業界は激熱。・・・・・あっ、『ファンタスティックMr.フォックス』は未見です。

 昨今の3D映画ブームは、ジェームズ キャメロンが『アバター』で起こしたと言われてますけど、下地を作ったのはドリームワークスアニメだと思います。『モンスターVSエイリアン』を3Dアニメとして作り、それ以降のすべての作品を3Dにすると発表。当時はそこまで3D映画が一般的じゃなかったので、「えっ、マジで?」って感じだったんだけど、その次作『ヒックとドラゴン』が公開される頃には世間的に3Dはビッグバジェット映画のステータスとして当然のように認知されていたと。
 ピクサーも3Dに対応してるんだけど、脚本至上主義のピクサーのスタンスとしては「特別3Dの意味はない」程度のもので、『トイストーリー3』とか『カーズ2』観ても「2Dでもいいかな・・・・」くらいの感じ(作品自体は素晴らしいですが)。
 『アバター』そして『トランスフォーマー3』の超本格3D映画のおかげで、「3D=奥行き」というのが世間的に認知されている中、ドリームワークスアニメが放つ『カンフーパンダ2』は・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・超飛び出すよ!!!!!



   あらすじ
前作でカンフーマスターになった主人公ポー
悪のカンフーマスターであるクジャクが武器の発明によってカンフー撲滅&世界征服を企む
急げポー、カンフー存続の危機だ



 思えば、前作の『カンフーパンダ』はカンフーモノとして、師弟モノとして、ありえないクオリティーを誇る大傑作だったのです。華麗な伏線回収が散りばめられたカンペキな脚本の元、高水準のカンフーアクションが繰り広げられていた。
 となると、当然続編は不安になります。
 ていうか、そもそも企画として危ない。『1』のあらすじとしては「カンフーオタクがひょんなことからカンフーマスターとなって街を救う」という話だったワケで。『2』は初めからカンフーマスターになってしまっている。
 そのため『2』では「武器によるカンフー撲滅」「ポーの出生の秘密」というテーマが掲げられるのだけど、正直言って、「文句なく傑作!!」という程ではない。『1』のような超絶クオリティーを期待すると肩透かしを喰います。

 じゃあ、つまらなかったのかと言うとそんなことはなく、それを補って尚余る魅力が詰まっています。『1』にはない魅力、それが3D。
 「飛び出すカンフーアクション!!!」 なんと心躍る言葉なのだろうか・・・・・・。

 ひたすら飛び出る。手前にあるモノが手前に浮き出て見える。奥からモノが画面に向かって飛んでくる。
 ある種、子供だましのようにも思える3Dの使い方。ホラー映画とかB級のジャンルで行われるような3Dに近い。
 が、見せ物小屋上等。超高速のカンフーアクションが3Dで見れればそれでいいよ! だって楽しいのだから!!!

 飛び出す3D、見せ物小屋精神というのをビンビン感じる『ピラニア3D』はこうなると必見なのかもしれない。ちょっと興味湧いた。
 マイケル ベイ師匠はバカ映画なのだから飛び出す3D映画を作るべきだったのだなぁ、と今になって思う(←こないだ『トランスフォーマー3』ホメたばっか)。キャメロン先生にそそのかされちゃったんだから仕方ないね。
 よっしゃ、こうなったらローランド エメリッヒにでも飛び出す3D映画作ってもらおうじゃないか!! 来年は2012年だぜ!!!

 ・・・・・落ち着きまして、本編の話に戻ります。
 やはり『1』と比較してしまうとどうしても欠点は見えてきてしまうんですね。ポーが最初からカンフーマスターなのはいいとして、メタボ腹を駆使したアクションをしないのは『1』のファンとしてはかなりショックな点です。『1』のクライマックス、タイラン戦のような伏線回収とギャグとマクガフィンの争奪戦が怒濤の同時進行するような盛り上がりはないです。ポーが普通に強い人になっているのはショックでした。

 それと、悪役の企てる「武器によるカンフー撲滅」というテーマも意外と掘り下げられなかったような印象でした。ラストに、体一つで敵の兵器を圧倒するシーンのカタルシスはあるのだけど、ポーが「武器」よりも強くなってるだけであって、「武器とカンフー」というテーマの解答としては少し雑かなぁ、って印象。
 悪役の世界征服って計画もいまいちピンと来なかったしね。具体的な描かれ方をしないから。マスターワニとマスターウシが悪役にフルボッコにされるシーンがあったらよかったのかなぁ、とか思ったり。

 「ポーの出生の秘密」についても大したことなかったね。

 本作は、『マダガスカル2』以降の動物アニメということで、大変難しい立場にあると思います。
 『マダガスカル2』は、「動物の特性=そのキャラの個性」として描かれた動物アニメを根底からひっくり返す物語なんですね。「アフリカに行ったら自分と同じ動物がたくさんいて、自我が崩壊する」という恐ろしい話。
 自我の崩壊、アイデンティティーについての問題というのはドリームワークスアニメ的には結構お馴染みのテーマ。『シュレック4』でも、怪物として怪力を誇っていた主人公が自分と同じ種族に出会うとその中では自分は非力、という似たような展開があった。
 その動物アニメの問題について、『マダガスカル2』は見事すぎる解答を用意しているんですね。また、それをギャグっぽく描いてるのが実にニクイ。号泣必至の傑作となってます。
 そんな『マダガスカル2』に比べると、本作におけるポーの出生の秘密は少し物足りないのは確か。「出生の秘密」について語るので、前作よりも父親の出番が増えているのだけど、正直前作の方が印象は強かったかな。なんせ、前作は「冴えないと思っていた父さんはカンフーの極意を知っていた!」という胸熱展開だったからね。それに比べ今回は、ただのかわいい親バカって感じだった。

 だけど、言っている通り、それを補って尚余る3Dアクションの魅力がスゴイんです。
 それに、「ポーが最初からカンフーマスターで違和感」という問題も、最初にある「ポーのアクションフィギュアで遊ぶ子供」というシーンで感動できるのでいいんじゃないでしょうか。
 カンフーオタクとして、有名なマスターに会った時にポーのテンションの上がり方やどーでもいい知識をベラベラしゃべってしまう感じとか、カンフーマスターになってもポーはポーなんだな、と安心させてくれる。

 そして、悪役。今回の悪役はクジャク
 前作はユキヒョウで、体、動きが人間に近かったのに対し、今度はクジャククジャクの体、羽根を生かしたアクションシーンは見ていて本当に楽しい。動物アニメの真髄ですね。

 ドリームワークスアニメの動物アニメらしさを感じたのが、カマキリのとあるセリフ。
 「親のことでクヨクヨすんなよ、俺の父親なんて母親に喰われたんだぜ」
 なぜそんなとこだけリアルなんだwwというギャグ。ここらへんは、同じくドリームワークスアニメの『ビームービー』っぽいですね。
 (『ビームービー』はドリームワークスアニメというよりはジェリー サイフェルドらしさが強いのだけど)

 ドリームワークスアニメらしい描写といえば、パロディー。『ヒックとドラゴン』ではほとんどなかったと思うんだけど、本作はありますよ。
 中でも好きなのが、『ターミネーター2』のパロディー。悪役の武器を作る製鉄工場が出てくるんだけど、製鉄工場といえば、『ターミネーター2』だよね!と言わんばかりにあのシーンが再現されます。胸熱です。

 そして、本作で、一番感銘を受けたのが、花火。
 本作の悪役であるクジャクは、幼い頃に花火の魅力に取り付かれ、花火をベースにした武器を作ることになるんですね。
 『カンフーパンダ』において花火といえば、『1』でのとある使われ方。『1』で、ポーは花火の力を借りて、「龍の戦士」として選ばれる。
 つまり、『1』で花火は救世主を生み、『2』で花火は悪役を生む、という対比になっているんですね。
 うまいっすねぇ。膝ポンです。『1』の時は特別な意味を持たなかったのに、『2』を作ることによって、特別な意味が生まれてくる、という続編映画を作る上で、理想的な展開だと思います。

 『1』になかった新たな魅力が『2』で生まれている、という意味ではヒロインもそうなんですね。
 しかも、そのヒロインってのがまさかのマスタータイガーで。
 終盤のシーンで、勝利したポーにタイガーが賞賛の言葉を贈る。すると喜んだポーがタイガーにハグをする。
 ここでのタイガーの表情!! 硬直した体に驚きを隠せない顔。完全に恋に落ちた乙女のツラしてるんですよ。人が恋に落ちる瞬間をズバリ描いている。なにこれかわいい。まさかアンジェリーナ ジョリーに対して萌える日が来るとは・・・・・・・・・・(観たの吹き替えだけど)。
 しかし、セリフもなく、恋に落ちる瞬間を見事に演じたタイガーは見事すぎますね。


 とにかく『1』が大好きすぎて、期待が高すぎて少し不安・・・・・という中観たのだけど、結果的には不満もあるが、前作を越える魅力にも溢れた傑作だったワケであります。
 こないだIMAXでの『トランスフォーマー3』をベタボメしたばっかりなんだけど、ひょっとしたら『カンフーパンダ2』は3D映画として『トランスフォーマー3』を超えていると思いますよ。ワタクシは本作をIMAXで観れてないので、一概に比較はできないんだけど、IMAXで観ていたら『トランスフォーマー3』を超えるコーフンを味わっていたと思う。単純に時間も短いし。『トランスフォーマー3』はバカ映画のくせに長すぎだよね。
 90点。

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