北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

映画『ミッドナイト・イン・パリ』の感想

それでも恋する20年代

 ウディ アレン監督最新作。オスカー脚本賞でもありますね。
 ワタクシはウディ アレン映画には明るくなくて、最近のスカーレット ヨハンソンの出てるヤツしか観たことがないです。

 本作は1920年代を代表する作家、芸術家が軒並み出てくる話なんですが、その人たちも全然わからないです。えぇえぇ、学がないんですよ。
 まぁもちろん、そんなの知らなくても映画は楽しめました。知ってたら楽しみが増える程度ですよ。

 あらすじ
懐古主義(1920年代サイコー)の男が20年代にタイムスリップ

 本作を観るにあたって楽しみにしていたのが、レイチェル マクアダムス。ワタクシはこの女優が好きなんですね。予告を観る限り、彼女が非常にかわいらしかったので本作の鑑賞は決定していました。ましてや、オーウェン ウィルソンとの共演ですからね。『ウェディング クラッシャーズ』のカップル再びですよ。と思ったら、本作での2人は仲がすげぇ悪くて最終的には別れます。「『タイタニック』再び!」と息巻いて『レボリューショナリー ロード』を観たらレイプ目・・・・みたいな状況です(←さすがにそこまでではない)。
 まぁ、オーウェン ウィルソンと相性が悪かろうと問題ないんですよ。それだけ本作でのレイチェル マクアダムスは魅力的でした。かわいいのなんの。しかも、画面に登場する度に衣装が替わっていて、どれも素敵でたまりません。バスタオル1枚の姿とかもはや神々しいレベルですよね。ありがとうございまーっす。

 冒頭に「ウディ アレン映画には明るくない」とか言ったのにアレなんですが、本作って『それでも恋するバルセロナ』と非常によく似た作りなんですよね。アメリカ人旅行者がヨーロッパの魅力的な街並みに魅了されるっていうのはもちろん、現実と非現実の対比が強調されていたのが大きいと思います。クソつまらない現実とすべてが輝いて見える夢の世界、この2つの対比。
 『それでも恋するバルセロナ』では、アメリカとバルセロナ、効率主義と芸術、非エロとエロ、といった対立。一方『ミッドナイト イン パリ』では2010年と1920年代、昼と夜、正妻と浮気相手、といった対立になっています。
 所詮は芸術的な街なだけであるバルセロナに対して、20年代のパリになっているのでフィクション性はよりパワーアップしてます。つまりは本作は『それでも恋するバルセロナ』の発展系って捉え方で間違ってないんじゃないすかね。

 そんな20年代の世界を彩るのが様々な文豪やら芸術家のみなさん。ポーター、フィッツジェラルドヘミングウェイピカソなどなど。各人が登場する度に主人公が「えっ まさかあなたは・・・・!」って目をクリクリさせて驚く様がすげぇ楽しいです。そんなオールスターの中の1人としてダリが出てくるんですけど、これが完全に出オチ。登場のインパクトがスゴイ上、出演時間ずっとボケっぱなしなので完全に出オチだったという印象です。それだけに強烈。ワタクシが観た回の劇場でも観客が一番沸いてました。エイドリアン ブロディーのコスパが異常。

 本作の主人公は20年代に対して理想を抱いてる懐古主義者でして、タイムスリップを繰り返すうちに20年代の女性に恋をする。主人公にとって20年代に生きている彼女は理想の女性そのものなんですよね。20年代を象徴する彼女と20年代を崇拝する主人公の相性はバッチリだと思われたんですが、終盤になると彼女も懐古主義者だったと明らかになる。彼女は20年代よりもさらに過去の時代を崇拝してるんですよね。20年代からさらにタイムスリップした先でゴーギャンとかに会ってキャーキャー言っちゃう。20年代そっちのけで興奮するヒロインに対して主人公はドン引き。「あんな素敵な時代に生きておきながら・・・」って。すると、ヒロインが「20年代なんてクソよ」って返す。主人公があんなに憧れていた20年代だけど、当時の人が「現在」として生きるのはつまらない時代だったんですね。要するに、退屈で仕方ない2010年も2100年代からしたら黄金時代であるかもしれないと。そして、主人公は彼女に別れを告げて現代に戻ることを決心する。ちょっと成長を遂げるワケで、現代に戻った主人公は生活を一新することに。
 もしも、2100年版の『ミッドナイトインパリ』を作るとしたら「過去」としての2010年代のパリには誰が登場するんでしょうかね。現代文学はまったくわからないんですが、映画版を妄想すると楽しいですね。そしたら「ミッドナイト イン ハリウッド」とかになるのかな。

 本作は本妻の他に複数の女性キャラが登場し、皆が主人公に多かれ少なかれの好意を寄せる作りになってます。まぁ、軽いハーレムマンガみたいな感じですね。そんなヒロインの中から誰と結ばれるのか、ってのが一応オチにあたるワケで。物語的に超重要ってワケではないんだけどクスッとさせる作りになってて楽しかったです。「ノスタルジーショップの店員いた!!」っていう。けど、美術館のガイド(サルコジ嫁)に浮気しそうな気もしますね。


 そんなワケでとてもおもしろかったです。声出して笑ってしまうシーンも多かったですし、ヒロインに「20年代はクソよ」って言われるシーンは2010年代賛歌としてよかったです。
 まぁ、個人的にはやはりレイチェル マクアダムスが魅力的だったので文句なし。あとはダリ。
 85点。

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