北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

映画『ジョン・カーター』の感想

 ウォルト ディズニー生誕110周年記念、スティーブ ジョブスに捧げられてるディズニーの実写大作『ジョン カーター』。ユニバーサルの100周年映画『バトルシップ』に引き続き、アニバーサリーな映画の主演はテイラー キッチュ

 アメリカでの売り上げが絶望的なことから「史上最悪の赤字映画」のレッテルを貼られかけてる本作。アメリカ以外での売り上げはそこそこらしいですね。はいはい、『タンタンの冒険』コースね。

 あらすじ
アパッチ狩りに駆り出された軍隊のエース
ひょんなことから火星行き
重力が軽いのでスーパーマン

 主人公ジョン カーターは映画冒頭からかなりのやり手なことが窺える「持ってる」男。『バトルシップ』と同じで嫌気が差すんだけど、『ジョン カーター』の方では火星に到着するシーンでうまいこと回避されてると思う。
 火星に降り立った主人公は火星の重力に混乱する(地球より小さい)。立ち上がるつもりがジャンプしてしまい、着地に失敗。歩こうとすると大ジャンプ、着地に失敗。ジャンプすると飛行に近いレベルの超ジャンプ、着地に失敗。動けないので、移動は擦り足。このシーンはおもしろかったですね。身体能力には自信のある主人公が重力の前では無力になってしまう。しかし、その重力の影響で火星人にはないスーパーパワーを手にする、っていう。この着地に失敗するシーンがあったから、この後のスーパージャンプの度に「成長したなー」としみじみ感じられます。
 てか、主人公のスーパーパワーがジャンプって地味すぎるな。マリオかよ。

 そんな「重力が軽い→スーパーマン」って設定に覚えがある。『ドラえもん』でこんな話がありましたね。宇宙救命ボードで未知の星に降り立ったのび太(とドラえもん)が軽い重力の元スーパーマンになる、って話。調べてみたらテントウ虫コミックス21巻収録「行け!ノビタマン」という回だそうです。
 「HAHAHA 『ドラえもん』のパクリかよww」とか一瞬思いましたが、『ジョン カーター』の原作小説『火星のプリンセス』の時代を考えたら逆でしょうね。元ネタだと思います。

 他にも、元ネタだと感じたのは『アバター』。主人公は不思議メダルの力によって火星に移動するんですが、正確には「主人公のコピーが火星に現れる」んですよね。もうこれ『アバター』じゃん。
 しかもラストカットは、主人公が「故郷に帰るんだ」みたいなこと言って火星に到着トコですからね。ラストカットまで『アバター』とそっくりですね。
 『アバター』公開時に「主人公はネトゲ廃人」説が広まって、ワタクシはこの説が好きなんですが、ネトゲのない時代のSF小説が元ネタなんですね。ネトゲ廃人は人間の潜在的欲求だったのか!(←違う)。

 ちなみに、ジョン カーターって名前のイニシャルはJC。ジーザス クライストと同じですね。ラスト、「火星のジョン カーター」のイニシャル「JCM」の文字が大写しになるので、火星のキリストだと言いたいんだと思います。
 なんでもかんでもキリストと絡めたがる映画観ると、「まぁ オレ信仰心ないし・・・」と、たまに冷めてしまいます。『エヴァ』とか観ると、「なぜ日本なのに旧約聖書ネタが・・・・」とか思いますし。


ガンビット時のキッチュさん

 主演のテイラー キッチュテイラー キッチュに関して言えば、『バトルシップ』よりも『ジョン カーター』のが断然好きです。主人公のキャラクターもそうですが、長髪なのがイイ。個人的にまだガンビットのイメージを引きずってるので長髪のがイイです。
 他にも、紳士風、西部劇風、身ぐるみ剥がされ半裸、砂まみれ、血まみれ、とテイラー キッチュ百面相という意味でも『ジョン カーター』は楽しかったですね。テイラー キッチュの充実した映画だったと思います。テイラー キッ充。

 映画全体としては、良くも悪くも『バトルシップ』と対照的。『バトルシップ』がバカ一直線な大味映画だとしたら、こちらは丁寧に作られたマジメな映画。原作愛が満ちていて、原作ファンからも好評のようですし。
 宇宙人や船のデザインは個人的にツボでした。4本腕のエイリアンが4本腕を活かしたボディーランゲージするトコとか超楽しいです。頬と顎の間から生えてる角の使い道が自然に紹介されていて、エイリアンの生態が垣間見える演出とかも楽しいです。
 逆に、火星での種族やキャラが多く、勢力図も思いの外複雑で少し混乱しました。『バトルシップ』の時の「ヒャッハー」的テンションで観てたら少し眠たくなりました。『バトルシップ』のせいで頭がバカになり始めてる!
 他にも、アクションの見せ場がいまいち盛り上がりきらなかったのも好きになれないです。映像的見せ場はあるんだけど、どれも特筆すべきレベルまで盛り上がらないと言いますか。
 一番ガッカリしたのが、クライマックスの手前にあったコロシアムでのシーン。主人公が悪役に「お前に挑戦する」と決闘を申し込む。アガるじゃないですか。んで、悪役が重い腰を上げて、コロシアム内に跳んで入ろうとすると、主人公もジャンプ。一撃必殺で、悪役首チョンパ。・・・・・えっ? 決闘終わり?? アッサリ終わりすぎて萎えました・・・・もうちょっとタイマンが見たかったです。

 作品全体は賛否が分かれてるんですが、おそらく作中に出てきたペットのウーラに関しては賛の意見が圧倒的だと思います。そのくらいによかった。もう、ひたすらかわいい!
 初登場時はちょっとガッカリしたんですよ。デザインがブサイクすぎたので。ところが、観ているうちにウーラの忠犬ぶりが愛おしく思えてくる。完全に犬なんですよね。仕草とか行動が。犬っぽさで言ったら『アーティスト』のアギーより上だと思いますよ。アギーの魅力は芸達者なところで、犬っぽさとは少し別なんでね。
 なので、画面にウーラが映るだけで満足でした。ずっとウーラが走ってるだけでワタクシは幸せです。

 もう1人、おもしろかったキャラが。マーク ストロング演じる悪役のマタイ シャン。これは悪の親玉で、正体不明の存在として登場する。やがて、地球とも火星よりも進んで文明からやってきた存在ということが明らかになる。文明のある星にやってきて、特定の者に「第九光線」というスーパーパワーを授ける。そして、戦いを助長し、星が滅びるまで続ける。
 なんか既視感・・・・これって・・・・・キュゥべえだよね。キュゥべえっぽいよね。『魔法少女まどかマギカ』のキュゥべえ。実写版キュゥべえがマーク ストロングかと思ったら笑ってしまいそうでした。誰かほむらちゃんの実写下さい。


↑僕と契約して火星の支配者になってよ

 そんなワケで、乗り切れない部分はあったものの『バトルシップ』と対照的でおもしろかったです。映画が始まる時のディズニーのロゴ、シンデレラ城が火星バージョンになってたのもよかったし。ああいうロゴで遊ぶ映画ってイイですよね。最近はやらないけど、ドリームワークスアニメーションとか。
 あっ、3Dについて書くの忘れましたけど、必要ないと思いますよ。3D字幕で観たんですが、「追加料金返せ!」と言いたい気持ちです。最近のハリウッド映画は3D映画の平均点が上がってきてるので期待してたんですけどね。
 60点。

John Carter (Soundtrack)

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ドラえもん (21) (てんとう虫コミックス)

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