北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

映画『くもりときどきミートボール』の感想

 某黄色と青色でお馴染みのレンタルビデオ屋で映画『くもりときどきミートボール』を借りました。観ました。
 アメリカのCGアニメですね。しかも3D。

 劇場公開時、日本では3D吹き替え版のみの公開だったそうで。かなりの不遇。自宅で観たんで、当然2Dなんだけど、3Dで観たかったなぁ。残念すぎる。
 ビル ヘイダーとアンナ ファリスっていうコメディー映画好きにはたまらない2人が主演なんだけどね。

 ソニーピクチャーズアニメーション製作。ピクサーでもドリームワークスアニメーションでもない。ソニピ。過去になにがあったかというと、『サーフズ アップ』や『オープン シーズン』。どっちも未見だけど、微妙な印象ですよね。

 が、本作『くもりときどきミートボール』が、文句なく名作だったと。



   あらすじ
イワシしか取れなくてさびれてしまった島
ヘンな発明ばかりする主人公の発明家
町を救うため、水分を食べ物に変える発明をする
島は食べ物が降ってくる島として世界的に有名に
初めて人から認められた主人公は機械を酷使して食べ物を降らせまくる
機械が暴走
降ってくる食べ物が巨大化
島を巨大な食べ物が襲う
主人公は機械を止めることを決意



 と、まぁ、平たく言えば発明コメディー。古典ですね。トンデモ発明があって、それによって町にトラブルが起こるっていう。

 食べ物が空から降ってきて狂喜する、ってシーンがあるんだけど。正直、食べ物が空から降ってきたら気持ち悪いよね。汚いし。コレは日本とアメリカの食に対する意識の差なのかな。まぁ、本編でも、後半になると気持ち悪がるんだけどね。
 食の意識の差といえば。設定。主人公の住む島はイワシしか取れなくて、食べ物がイワシしかなくて地獄、って設定なんだけど。イワシをバカにしすぎだね。やはり、日本人の認識からすると少し違和感。しかも、このイワシの認識は物語上最後まで変わらないからね。そんなにイワシ人気ないのかね、アメリカ人に。

 本作の魅力の1つとして、ヒロインのキャラがありまして。新人の女子アナとして主人公のいる島にやってくるんだよね。そんで、主人公が一目惚れする。その後、仲良くなって、ヒロインが降ってくる食べ物を予報するようになる。お天気お姉さんである女子アナですから、見た目がナンボな世界なんですよ。日米問わず。
 そんな彼女が仲良くなった主人公にとあるカミングアウトをする。「私、実は昔、ナードだったのよ」って。ナードってのは、ガリ勉とかオタクって訳なんだけど。スクールカーストにおけるイジメの対象。彼女は昔、メガネかけたガリ勉だったんだね。だから、ナード育ちでナード進行中の主人公と息が合った、と。ブサイクちゃんが努力して美人になって女子アナになる。もうね、これだけで十分泣けるよ。超イイ話。しかも、目が悪いから無理をしてメガネを外してる。女子アナモードの時の彼女はよくものが見えてない、つまり本当の彼女じゃない。そんで、主人公の前でメガネをかける。そんで、主人公は「きれいだよ」って言って。
 まぁ、目が悪いならコンタクトすりゃいいじゃない、って話なんだけどさ。ただね、このヒロインが世間的に醜くなった姿が主人公には美しく見える、ってシーン。
 これ、『シュレック』で同じシーンがあるんだよね。あれは、いわいる「美女と野獣」モノの物語で、最後に「美女の真の姿が野獣だった」って話だから。それを見たシュレックが「きれいやで」って言ってハッピーエンド。んで、ワタクシ、『シュレック』と似たシーンがあると無条件でその映画を好きになってしまうほど『シュレック』が好きなんだよね。『プリンセスと魔法のキス』もシュレックに似た物語だったし。
 本作で『シュレック』に似てるっていうのはそれだけじゃなくて。ラストらへんで、ヒロインの顔がピーナッツアレルギーでブクブクに腫れ上がるんだよね。もちろん、メガネはしてて、超ブサイクなんだけど。その姿の時に、愛の告白をするんだよね。もうね、この『シュレック』っぽさ。ヤバイね。好きにならざるをえない。
 ちなみに、悪役がチビで、身長がコンプレックスってのも『シュレック』と同じ。

 てかね、この映画脚本がスゴイんですよ。ギャグのおもしろさもさることながら、物語のうまさですよね。クライマックスになった時の凄まじい伏線の回収っぷり。ひたすらスゴイ。前半、何気ないギャグとして出てくる発明グッズがすべて伏線として機能してる。しかも、最後の最後、絶体絶命のピンチの時に主人公が切り札として使うアイテムってのが、また伏線回収で。しかも、それが主人公にとって、超大事な意味を持つアイテムなんだよね。ある意味、主人公の人生の始まりとも言えるアイテムで。しかも、それをキッカケにヒロインと仲良くなったりもしてて。それを使って主人公は島を救うんだよね。ゾワッとしたわ。スゴすぎて鳥肌ピンコ立ち。
 しかも、その後、父親との和解を果たす時に使われるアイテムってのが映画本編にずっと出てきた何気ないアイテムだったりして。見事すぎる。

 最後の冒険に仲間を数人連れていくんだけど、中に明らかにギャグ要因がいるのね。けど、そのギャグ要因の仲間ですらちゃんと活躍して主人公のことを救ってくれる。主人公のペットの猿ですら大活躍するんですよ。『アラジン』のアブーどころじゃない大活躍(いや、『アラジン』自体は大好きですよ)。しかも、その活躍のシーンも、とある伏線の回収だったりして。とにかくスゴイ。



 まぁ、とにかくうまい映画だった。脚本力ですね。
 ギャグはどれもおもしろいし、脚本はうまいわ、最後の最後に大感動、っていう。恐ろしいね。ハリウッドって。ファミリー向けのコメディーアニメで、これだけのクオリティーになっちゃうんだから。さらに、ラストの食べ物による大災害シーンは、実写の大作ディザスタームービー級の迫力だからね。ここは3Dで観たかった。
 いやホント、スゴイですわ。普段よく観るコメディー映画とはまったく違った魅力の詰まった作品で。ピクサーともドリームワークスとも違うベクトルのレベルの高さ。ソニピの新作アニメには期待ですね。今度、『サーフズ アップ』観るわ。
 85点。