北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

映画『くもりときどきミートボール2 フード・アニマル誕生の秘密』の感想

デレる類人猿

 2014年2本目の劇場映画です。アニメが連続です。
 前作のことが大好きなので楽しみにしてました。先日前作を見直したんですが、ラストに父親が本音を口にするシーンでポロッと泣いちゃいましたよ。映画観て泣くのが久々だったので衝撃でした。ちなみに2014年初泣き。イイ年になりそうです。

 ワタクシが観たのは2D吹替版。吹替はかまわないんですが、3Dで観れなかったのが心残りでして‥‥。都合のいい場所、時間で3Dをやってるトコを調べたら、どこもまったく割引が効かなかったんですね。「3Dは観たいけど2100円出すのか? 2D版なら1000円で観れるぞ?」と考えた末に妥協してしまいました。むむむ。

  • あらすじ
    • FLDSMDFR「いつから私が死んだと錯覚していた?」
    • スプレーシューズ「なん‥‥だと‥‥?」

 前作は脚本が恐ろしくよく出来ていたと思うんですが、本作はそこまでじゃなかったですかね。その代わり、アニメーション的な楽しみがグッと増量されてる感じ。前作でいう、スパゲッティーの台風みたいなシーンが大増量!っていう。
 フードアニマルとかホント楽しいんですね。チーズバーガーが巨大クモになってるのとかサイコーでしたよ。ゴマが目になってるとかうまいですよね。滅茶苦茶気持ち悪いんですけどw 気持ち悪いだけに、「バンズを触ってほしいって」ってシーンがギャップ萌えでした。
 そんなフードアニマルがすごい数出てくるんですよ。主人公たちと絡むようなヤツらはいいんですけど、背景として出てくるようなのもたくさんいるんですよ。ちょっと把握できない密度でした。一時停止して何の動物と何の食べ物なのか、調べたくなりました。

 脚本は前作のが良い、なんて言いましたけど、それでも本作にもすげぇ好きなトコはありまして。それが悪役との決着の付け方。
 本作の冒頭には主人公の作った無駄に思える発明品がたくさん出てくるんですよ。父親がその実験台になってるトコでちょっと感動してしまったり。そんな発明品、前作を観た人の中には「はいはい無駄に思える発明品がラストに大活躍するのね」なんて先読みした人も多いでしょう。ワタクシもそうでした。食べ物転送ホールは食べ物しか送れない(人間不可)ということで、「フードアニマルなら送れるのか!なるほど!」なんて思ってました。まぁ、それは実際に当たりだったんですが。もっと大ネタがありまして。
 ラスト、悪役の切り札は自身の発明品であるホログラム。それぞれが個別に思考するので複数の自分でブレインストーミングできる代物なんですね。それを分身の術のように使うんですが、それを打ち破るのは主人公のお祝いスイッチ。観てる時は「ホログラムにはペンキ付かないから打破できるのか!」なんて腑に落ちてたんですが、よくよく考えるとそれ以外にも意味はありまして。
 悪役のホログラムってのは他人を拒絶するための発明なのに対し主人公のお祝いスイッチは他人との繋がりを大事にするための発明なんですよね。そして、このお祝いスイッチによる失敗で一度主人公は絶望していたワケで。その時に「憧れの人(悪役)の前であんな失敗を‥‥」って言ってたんですよね。こういう細かい伏線は相変わらずうまいな、と。
 さらには、主人公はこのお祝いスイッチを押すのを猿のスティーヴに任せてたのもうまいですね。助手の猿(類人猿)の協力を拒絶してた悪役との対比になってらっしゃる。

 他人を拒絶するか受け入れるかってのもテーマの1つだと思うんですが、父子の関係というのも本作のテーマだったのではないかなと思いまして。主人公と父親の関係はもちろんなんですが、主人公と発明品であるフードアニマルたちの関係ですね。手に負えなくなった、暴走した我が子を拒絶するのか受け入れるのか、っていう。
 ヒロインが先にフードアニマルたちに愛情を注いだのはそういうことなんじゃないですかね。我が子には立派になってほしいという父親と、「世間的にはダメな子かもしれないけど良いトコもあるわよ」的な母親。
 主人公の父親がフードアニマル達とすぐに仲良くなるのもおもしろかったですね。実の息子とわかりあうにはあんなに苦労したのにw(前作) おそらく、息子には厳しく当たるけど孫は溺愛する祖父バカ的な行動だったんじゃないですかね。息子(主人公)と釣りをすることにこだわってたけど、フードアニマル(ピクルス)とはあっさり実現したってのもおもしろかったです。そもそもイワシ好きって時点で違うか。
 そんなことを考えながら映画を観ていたので、ラスト、仲間を奪われた主人公が敵陣に乗り込む時に、父親、そしてフードアニマル達と協力する、って展開がグッときまして。一旦、3世代の父子だけになることでシンプルでわかりやすくなった気がします。また、そこで釣りによって勝機を見出すってのがサイコーですね。

 これは深読みで偶然だと思うんですが、本作の冒頭で「すぐ帰れますよ」と避難を強いられる島民を見たら、日本の原発事故を連想してしまいましてね‥‥。除去作業を行う会社がすげぇ胡散臭いってのもそうですね。まぁ、事故の原因と会社が無関係なのは違いますけど。単に「科学が暴走した果て」というのを描いただけ、ってのが実際のところでしょうか。
 まぁ、そんな風に原発事故と結びつけてたので、本作のラストが少し飲み込みづらいんですよね。故郷が元通りになってないので、「ハッピーエンドちゃうやん‥‥」と思ってしまいました。フードアニマルを残すのはいいけど別の島で暮らしてもらうワケにはいかなかったんでしょうか‥‥って、使用済み核燃料の貯蔵場所を巡る問題にも繋がりそうですね。関係ないんでしょうけどw


 まぁ、最後のは勝手に深読みしたら変な感じになっちゃった、というだけで基本的にはおもしろかったですよ。「イケてる会社はカフェが豊富」ってギャグもすげぇ好きでしたし。
 前作が結構カンペキに近い出来だと思っているので、別方向のおもしろさに徹したのは正解だったかな、と思います。ワタクシは断然前作派ですけど、子供とかは本作のが好きだったりする?とか思ったり。
 80点。

映画『くもりときどきミートボール』の感想 - 北区の帰宅部
 4年前と大分感想の書き方が変わっててわろた。

映画『モンスター・ホテル』の感想 - 北区の帰宅部
 本シリーズと同じソニーピクチャーズアニメーションの作品。これまた超おもしろかったです。ソニピアニメ侮れないですね。