昔のミッキーはきもい
4月1日に観てきました。消費税増税のため1100円なんですよね‥‥。てか、感想書くのが遅すぎる。
『メリーポピンズ』の映画も小説もわからないです。それでもそれなりにおもしろかったのでよく出来た映画なんだと思います。ただ、『メリーポピンズ』知ってるとより楽しめる、理解できるってのは重々承知です。ある意味「○○2」みたいな続編映画よりも予習が必要な作品だったかもしれませんね。
- あらすじ
- 「アニメもミュージカルもクソ喰らえ」
個人的にディズニー映画は好きなんですよ。最近絶好調なことも含めて、ですが。ただ、好きなのはいわゆる第二期黄金時代とかディズニールネッサンスとか言われてるジェフリー カッツェンバーグの時代と、最近のジョン ラセターの時代。つまり、初期、ウォルト ディズニーの時代の作品は全然観たことがないのですね‥‥。おそらく子供の頃に親が観せたりはしてたんでしょうけど記憶はほぼない、という状況。さらには『メリーポピンズ』観たことも読んだこともないんだから、そりゃもう門外漢。
そんなディズニーさんのことを描いたディズニーの映画なんですけど、おもしろいのがアンチディズニー的な視点が入ってることですね。主人公がとにかくディズニー的な価値観を嫌っていて、それを見てるのがなんとも楽しい。アニメも嫌いミュージカルも嫌い、ディズニーの掲げる夢と魔法の世界に対しては「子供騙し」、挙げ句プーさんの作者に対しては「哀れね」と一蹴。
ディズニーらしさを嫌う主人公はイギリス人で、ウォルト ディズニーは当然アメリカ人。ということで、本作はイギリス人とアメリカ人という対比構造にもなってるんですよね。主人公が頑なに紅茶を飲むのが印象的です。そして、原作と映画化の対立でもあり、2人の父親像の対立でもあるワケです。そんな対比描写を観てるだけで楽しくなってしまいました。
原題は『Saving Mr.Banks』。バンクスさんってのは『メリーポピンズ』における悪役です(よね?)。そのキャラクターは原作者の父親がモデルになっていたという話なので、タイトルで父親のことを言っているんですよね。そして、邦題は『ウォルト ディズニーの約束』。劇中でディズニーの口から「父親は娘との約束(『メリーポピンズ』の映画化)を守らなければいけないんだ」というセリフで出てくるので、タイトルの意味は多分それ。つまりはどちらも父親のことを言っているんですよね。「Mr.Banks=父親=ウォルト ディズニー」という感じで。『メリーポピンズ』知らないと「Mr.Banks」ってワケわかんないのでうまい邦題だったと思います。ウォルト ディズニーが主役だという誤解は招きますが。
そんなMr.Banks、父親を救済することが物語の鍵になっていくんですが、ワタクシの印象ですと、ディズニー映画って悪役に容赦がないんですよ。基本的に悪役のことは徹底的に断罪して、1ミリの情けもかけない。また、その悪役を始末する際、主人公の手が汚れない(崖から落ちるとか)ことも多く、「全体的には好きだけど悪役の殺し方がどうも‥‥」って思うことが多いんですよね。なので、ディズニー映画における「悪役の救済」というテーマはものすごく興味深かったです。やっぱ『メリーポピンズ』観ないとダメだよなぁ‥‥(今更)。
「悪役=父親」を救済する話、しかも子供目線、ということでつい最近観た『レゴムービー』を思い出したりもしました。
映像的な見せ場としては中盤で出てくるディズニーランドにおけるシーンでしょうか。お馴染みのディズニーランドの昔の姿が見られてすげぇおもしろかったです。「あんまり変わんないなぁ〜」と思いつつ、着ぐるみが出てくると、「ふるっ!ださっ!きもっ!!」ってなりました。
また、ウォルト ディズニーがディズニーランドに降臨する、というのが個人的には結構ツボ。当時は当然にあったんでしょうけど、世代が違うとものすごく豪華に感じてしまいます。
野次馬にサインをねだられたウォルトが既にサイン済みのカードを配って回るってのも超おもしろかったです。「このオッサン調子乗ってんな」感が素晴らしかったです。当然主人公との対比にもなってますし。
本作の物語の肝は、小説の映画化する際のあれこれ。それも映画化するのがディズニーですからね。ディズニーの色に染めまくって我が物顔するのでお馴染みのディズニーです。「ディズニフィケーション(ディズニー化)」って言葉もあるくらい有名な原作レイプ魔。
なんだけど、劇中、ウォルト ディズニーがミッキーマウスというキャラクターへの愛を主人公に語り、「気持ちはわかる」と説得するシーンがありまして。ミッキーマウスが生まれる前、ウォルト ディズニーには「しあわせウサギのオズワルド」というキャラクターがおりまして。当時の看板スターだったんですが、権利を奪われてしまうんですね。その代わりとして作られたのがミッキーマウスなワケで。そのせいもあってか、ディズニーという会社はミッキーマウスに対する権利に関してちょっとどうかと思うくらいに厳しい。
要するに、ウォルト ディズニーも過去に自身の子供ともいえるキャラクターを奪われてるワケですね。そんなウォルトと、メリーポピンズというキャラクターを頑なに死守しようとする主人公の攻防が描かれるワケで、物語上、主立って語られるものではないですけど、おもしろい構図だなと思ったり。
ということで、結構おもしろかったですよ。常に「『メリーポピンズ』知ってたらもっとおもしろいんでしょ?」というのが脳裏によぎってましたがw
まぁ、ポール ジアマッティとのくだりがとにかくツボだったので『メリーポピンズ』知らなくても観てよかったです。
60点。
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監督の前作にして代表作。共和党支持者の金持ちが黒人を拾って育てるという内容が、「奴隷を買って親切にしてイイ気になる」みたいなよくあるSSっぽくてあまり好きではありません。
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