今度のアカデミー賞でなんらかの賞を取るのは確実、と予想される大本命。そんな作品が年内に観れるとは喜ばしい限りです。多分ブラピのネームバリューのおかげです。あざす。
ワタクシ、野球にあまり興味がなくて、ルールくらいはわかるんですけど、業界に関する知識とか、ないので話についていけるか少し不安でした。
まぁ、結果としては、なんにも問題なかったですね。野球ファンの人にとっては業界についての描写が詰まってて楽しいんでしょうね。けど、それもメインではないので非ファンにとってノイズではなかったですよ。
マネーボール理論っていうのは、超簡単に、雑にまとめると、「出塁率がすべて」の考えの元にコスパの高い選手を集めて勝つ、というもの。
本作は驚くほどに野球シーンが少ないんですよ。というのも、主人公は「試合は見ない主義」なんですね。見たら負けるってジンクスがあるからなんだけど。
試合は見ないんだけど、気になるからラジオを片手に筋トレしてる。ラジオもちょっと付けてはすぐ消して。自分のチームが負けるとラジオぶん投げて壊しちゃう。
本作の主人公、ブラピは超短気なんですよ。すぐに物を投げる。仕事上では、データでしか選手を見ず、選手をモノ扱いしてる感じなんだけど、それなのに超人間臭い。感情むき出しで。それが主人公の魅力ですかね。
本作は事実を基にしてるんだけど。「フィクションじゃないの?」って思ったのが、主人公の過去。主人公は高校生の時にスカウトに「将来有望だからすぐにプロ入りするべきだ」と言われプロ入りするも、泣かず飛ばずの成績で引退。最終学歴は高卒。
そんな主人公がスカウトの常識をぶち壊す、って話。この過去が「ちょっと出来すぎじゃない?」ってくらい燃えるんですよ。調べたらどうやらホントらしいですね。この過去があるから、主人公がデータを絶対視するようになったのかな、と読むことができるんですね。
(ただ、ノンフィクション発信の企画ってのは「えっ、これホント?」って考えなきゃいけないのがノイズになってしまうから嫌い。)
主人公のブラピとコンビを組むのがジョナ ヒル。数字に滅法強く、主人公の理論を数式化、データ化して運用する。
このジョナ ヒルがねぇ、かわいいんですよ。もうね、腐女子的視点を持たざるをえないくらい、かわいい。
高卒とイエール大卒、感情むき出しと内気、強気と弱気、と主人公との対比が利いてて、2人がホント名コンビなんですよ。そんな2人が1つの野球理論の下、運命の出会いを果たす。
この出会いのシーンが実にロマンチックで萌える、もしくは少年マンガ的で燃える。敵球団で働くも才能を見いだされずにくすぶってるジョナ ヒルに主人公が一目惚れし、強引にヘッドハンティングする。このヘッドハントから、主人公球団の老害スカウトたちに紹介するまでの間、ジョナ ヒルが常にキョドってるのが超かわいい。主人公の強引さに振り回される。指さされて、「えっ、僕ですか?」ってトコとか、キュンキュンくるぜ。マジで名コンビ、もしくは名カップル。
ジョナ ヒルというと、『四十歳の童貞男』『スーパーバッド』『寝取られ男のラブバカンス』といった名作コメディーに出演してることでお馴染みなんだけど、この3作の後にいきなり本作見たら驚く。メチャクチャ太ってる。ピザとジャンクしか喰ってねぇだろ、というレベル。
ちなみに、私生活では、現在ダイエットに成功しスリムになってます。となると、気になるのが、本作においてデブなことに意味があったのか。見た目という実力と関係ない要素のために過小評価されてる、ってことなのかなぁ。もしくは、幼く見える見た目が老害スカウト陣との対比なのか、とか。また、筋トレしてる主人公との対比か?
(こういう時にも、「ただ単にモデルの人物がデブなだけでは?」という事実を基にしてることがノイズに感じる。)
本作は、脚本の1人を『ソーシャル ネットワーク』のアーロン ソーキンが担当しているので、いろいろと似ている点がある。実在の存命の人が主人公ってのはもちろん、基本会話劇だったりするトコも同じ。映像的な見せ場、野球シーンや主人公の夢が叶うといったわかりやすいカタルシスは少ない。申し訳程度に野球シーンが盛り上がるだけかな。それでも、観客の興味を離さないという魅力があるんですが。
まぁ、ワタクシとしてはもうちょっとわかりやすくカタルシスが欲しかったかな、って気はするんですね。舌がバカだからハッキリとした味が欲しいんですよ。
それと、これは個人的な好みは関係ない欠点。
字幕版に限った話なんですが、劇中に何度も挟まれる記録映像としての野球シーン、ここで入る実況を字幕で追うのがメチャクチャ苦痛。肝心のプレイは見れないわ、セリフは早いわ、野球専門用語が多いから読みづらいわ、の三重苦。吹替で観たかったです。やってるのかは知らないけど。ソフト化されてから観ようって人は吹替がオススメですよー。
そんな『マネーボール』。オスカー最有力なんて言われてますよ。個人的なツボにはハマらなかったものの、イイ映画なのは間違いないと思います。ただ、オスカー作品賞になるかなぁ、というと少しだけ違和感ではありますね。オスカーはもうちょっとハデな作品な、王道な作品のイメージです。ブラピが主演男優賞なんても言われてますけど、個人的なワガママを言えば『猿の惑星 ジェネシス』のアンディー サーキスが取ってほしいですね。『タンタンの冒険』で助演男優賞も狙えたりして!! なんて妄想は止まりません。(・・・・・まぁ、ないでしょう)
70点。