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マンガ『サイボーグ009』完結編(7話)の感想とか

マンガ『サイボーグ009』完結編(6話)の感想とか - 北区の帰宅部

 はい、1月半ぶりの『サイボーグ009』完結編のweb連載版です。いよいよ004編の後半でございます。

 先日、映画『009 RE:CYBORG』観てきましたよ。「天使編」と「地下帝国ヨミ編」をミックスした神山健治版完結編、といった様相で、ファンなら楽しめる作品だったのではないかと思います。
 なっがながとした感想を書きましたので、よろしかったらどうぞ。

ゲッサン 2012年 12月号 [雑誌]

ゲッサン 2012年 12月号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2012/11/12
  • メディア: 雑誌
 本編の前にゲッサンの話。
 現在発売中の雑誌ゲッサンにて、島本和彦版『サイボーグ009』が掲載されております。これは3.11の支援企画の中の1つなんですが、描かれてる内容が「天使編」なんですよ。未完の完結編その1。

 目次コメントによると、「『天使編』の続き+被災者の方々支援」というテーマだそうです。
 内容としては、人類に絶望した天使が人類を虐殺するシーンから始まるんですが、天使の虐殺というのが3.11と重なりますね。
 その後、「地下帝国ヨミ編」がフラッシュバックするんですが、これが結構長い。読者としては、「ヨミ編」リメイクとして楽しめるのでとても得した気分。けど、「ジョー きみはどこに落ちたい?」がなかったのは、なんででしょうね。謙遜とかそういうことなのかしら。
 そして、「人は悪魔になるかもしれないが」「神にもなるかもしれない…」 と、結論付けてフィニッシュ。「天使編」と「ヨミ編」を絡める手法は映画『009 RE:CYBORG』と似てますね。UFOが無数に浮かぶ図というのは「神々との闘い編」だったりして、「オレたちの読みたかった天使編」という感じがビンビンで素晴らしかったです。一度きりで終わってしまうのは実に惜しいです。

 では、web連載版の感想です。
 みんな大好き004の後編。「妖精街道」もおしまいです。

 ちなみに、本日は早瀬マサト先生の誕生日です。誕生日おめでとうございます。
 半年間完結編を描いてくだってファンとしては涙がちょちょぎれます。これからもどうぞよろしく。

 ということで、本編。
 扉では決意の表情をした新キャラ、カトウリクス。イエレちゃんの恋人であります。扉絵がまさかの敵キャラとは意外も意外。前編の扉がハインリヒの涙でしたので、そことの対比なんでしょうね。

 イエレちゃんの村の真実、イエレちゃんの種族の真実が明らかになる内容なんですが、話としては、今までの中で一番おもしろいんじゃないでしょうかね。小説版では001〜004編が1巻なんですが、1巻の中では一番好きです。アクションも含め、視覚的な見せ場が多く、マンガ映えする内容でもあると思います。

 冒頭、イエレちゃんがおじいちゃん(長)と話してるシーンで、ハインリヒの過去を読み取ったと語るんですが、そこの背景に出てくるハインリヒの戦闘シーン。恥ずかしながらこれが原作シリーズのどの話なのかわからなかったです。
 ‥‥ということで、我々スタッフが一生懸命探しました(S田S助風)。
 んで、見つかりましたよ。

*1
 ↑そっくり!
 正解は、「イシュタルの竜編」でしたー。いやぁ、まさか002押しのエピソードから持ってくるとは意外でしたねぇ。前回は「機々械々編」というので、004押しの話かと思ってたんですが。

 小説との比較という要素が強くなってしまうんですが、暗闇の中、ハインリヒに襲いかかるのはイエレか?カトウリクスか? っていうシーン。2人の髪型のシルエットが似ているので、マンガとして見応えのあるシーンになってました。その後、オノにカトウリクスの顔が映り込むシーンなんて、視覚的な演出でマンガ版ならではの味わいです。

 視覚的な見所でいうと、イエレちゃんの変身シーンでしょう。小説じゃあ、妖精モードの姿はわかりませんからね。
 そんな妖精モードのイエレちゃん‥‥仮面ライダーっぽい! 「虫+人間」となると、やはり仮面ライダーイズムは外せないんでしょうかね。小説にはない完全オリジナルな部分なので、大変楽しいです。
 それと、変身を解除したイエレちゃんが全裸だったのも見過ごせませんね。女性の裸は視覚的な魅力です。当たり前だろ言わせんな。ココ、原作小説だと、全裸って描写はなかったんじゃないですかねぇ。全裸が描きたかったんですかねぇ。サービス精神とも取れますが、変身シーンを絵として見ると、服が破けてることは一目瞭然なのでサービス以前に必然性があったんだと思います。

 「conclusioon GOD'S WAR」の今後に影響がありそうな重要要素としては、「邪神クロウ」という名前が明示されたことですかねぇ。今までは「神」「天使」「創造主」と呼ばれてたんですが、ここでは固有名詞いただきました。まぁ、この邪神クロウが今回のラスボスだと決めつけるのは早計ですけどね(←未読だからまだ知らない)。

 原作小説を読んだ時にも思った、今回の中でピンと来ない点なんですが。
 生贄決定戦のバトル時、本気で殺しにかかるカトウリクスがバカにしか見えないんですよね。読んでる身としては「殺したら生贄決定だよ?」って思ってしまう。攻撃を仕掛けないハインリヒもそういう思惑があるのではないのかと邪推してしまいます。本当は、イエレに裏切られたカトウリクスに、ヒルダを失った当時の自分を重ね合わせてしまい、戦う気力がなくなった、というシーンなんですが。
 けど、カトウリクスはちょっと猪突猛進すぎたかなぁ‥‥。仮にも今回のボスなワケだしね。

 そんな生贄決定のくだり。ハインリヒを心配するイエレちゃんのことを見逃さないおじいちゃんの目の演技が光ります。もう優しいおじいちゃんなんだからぁ〜。感動しました。
 カトウリクスがバカすぎる件は忘れます。おじいちゃんサイコー。

 そして、クライマックス。カトウリクスが邪神クロウに化けて現れるという見せ場です。映像的な見せ場なので、こういうトコは小説よりもマンガですねぇ。邪神クロウリクスの残虐ショーが楽しめます。
 絶望に身を任せて破壊と殺戮を重ねる姿は、ほんの少しだけスカッとするような気も‥‥。

 ラスト、結局死んでしまうイエレちゃん。最後の最後にヒルダの真似をするのが泣かせます。
 やっぱりハインリヒの悲恋はイイですねぇ。過去にも悲恋のエピソードはありますが、そこに新たな1ページが刻まれましたね。ヒルダを絡めたエピソードってのはめずらしい気もしますね。

 細かい小説版との違いですが、暴れ回ったクロウリクスは、小説だと天に消える。一方、本作だと月に消えたようにも見えますね。ここらへん今後関係してくるのかもしれません(←小説未読だからわかんない)。
 あとは、長の生存というのも小説版ではなかった要素だと思います。これは、イエレの喪失という悲劇性を増す意図なんでしょうか。

 そして、本エピソードのラスト。前編の冒頭シーンに戻ります。数ページ、完全に同じシーンが繰り返され、最後の最後に新規カット、月に向かって雄叫びを上げるハインリヒというシーンでフィニッシュ。月というのはやっぱクロウリクスの行き先という感じなんでしょうね。
 冒頭に時系列的なラストを描く、というのは小説版でもあるんですが、まったく同じシーンを2度、まったく同じに描くというのはweb連載版の方が強調されてますね。「運命は変えられなかった」のような感覚も相まって、本エピソードの悲劇性が増したと思います。


 ということで、004編はおしまい。次回からは、『009 RE:CYBORG』では大活躍だった005編でございます。今までと違って、ジェロニモ独りで話が進むので、内容的にはもちろん、視覚的にも今までとは違った味わいになるのではないかと思われます。
 次回は、12.14。今度は約1ヶ月ですね。よかったー。

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*1:石ノ森章太郎サイボーグ009(15)(秋田文庫)』秋田書店93ページ