北区の帰宅部の意訳

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マンガ『サイコメトラー』(8巻)の感想

サイコメトラー(8) (ヤンマガKCスペシャル)

サイコメトラー(8) (ヤンマガKCスペシャル)

マンガ『サイコメトラー』(7巻)の感想 - 北区の帰宅部

 3ヶ月連続刊行の中間。8巻でございます。

 いきなり歯切れの悪いこと言うようで申し訳ないですが、8巻‥‥微妙。
 収録内容がね、「黒眼鏡の死神」のエピローグ、ブレイクが1話、みっちゃんブレイクが2話、そして新事件「殺人新聞」。当然「殺人新聞」は最後まで入りきらなくて、頭の3話だけ。要するに、まともに入ってる事件がないんですよ。「黒眼鏡の死神」は7巻で犯人はわかってるし。
 ということで、単行本単位で考えると、非常に困った巻。まぁ、単行本単位で考える人なんて稀ですからいいんですけど。各巻の感想を書いてる身としては困ったもんです。

 んじゃ、本題。

黒眼鏡の死神

 事件は解決して、犯人であるアリサを救う話。エピローグですな。
 前巻の予告でわかってたんですが、アリサの精神世界にサイコメトリーで入っていく話。「‥‥それなんて『インセプション』?」なんて思ってたんですが、目的もほとんど『インセプション』でしたね。アイディアの埋め込みか、記憶の改竄か、って違い。
 複数人が、誰かの精神世界に入り込み、その人に気づかれないように記憶を改竄する(アイディアを埋め込む)、って話。作者は『インセプション』好きなんでしょうねぇ。ワタクシも好きです。
 まぁ、精神世界に入るって展開は新鮮でいいと思うんですよ。「殺人名探偵」の時にも似たことやってたけど、今回はそこに1つ大きなトッピングを加える、というのもおもしろいですね。

 それが沢木晃。まさかの超大ネタが登場であります。エピローグでかよ。事件関係なかったとは。
 登場方法はいつもの通り、志摩さんの召喚でしたね。仲いいなお前ら。
 という感じで、やや強引な登場で少し冷めたりもしたんですが、「催眠術×サイコメトリー」のシーンがなかなか楽しい。世界が目まぐるしく変わり、アリサがどんどん若返っていく、というのは見応えありましたね。
 前シリーズみたいに実写化される、なんて話はないでしょうが、実写化した際にはここのエピソードはかなり楽しいんじゃないでしょうか。

 んで、沢木からの今後の布石。エイジに会いたがってる人がいて、「おもしろい事が始まるよ」だそうで。会いたがってる人って、幾島とカンナビス先生、ってことかしら。それとも9Jかね。
 幾島&カンナビス先生が沢木と組んでる姿がなかなか想像できないんですよねぇ。
 9Jはサイコメトラーかもしれない、みたいな描写があるので、沢木が好みそうなイメージはあるんですが。ただ、会いたがってる人間が「何人か」いる、なんですよね。9Jだけではない、となるとやはり幾島&カンナビス先生、かねぇ。今後出るキャラとも考えられますが、むむむ。

 アリサママの自首を止める件。正直よく理解できなかったです。正当防衛だからとか、相手も悪いとか、関係なくね?
 本作はたまぁに倫理観を疑うような話が出てくるんですが、ちょっとコレは度を越してたかなぁ。引きました。それはねーよ。
 せめて自首を止めるのが志摩さんじゃなくてエイジだったらよかったのかなぁ。もしくは沢木。アリサママが志摩さんの所に自首しに行こうとしたのをエイジが止める、って。だって志摩さんは警察じゃない。志摩さんは法の下にいて、エイジは法の外にいる、みたいな対比はあるから今回もそれでやれば少しはマシだったんじゃないですかねぇ。警察の人間が冤罪放置&自首の拒否するのはねーよ。ねーよ。

パープル・ヘイズ

 ブレイクその1。みっちゃんでない。すなわちヒカル。
 トオルがヒカルのことを意識し出すってギャグは好きだなぁ。マジでおもしろい。新章で一番好きな要素かもしれん。トオルの女好きの本能がヒカルの正体を見破ってる、みたいな勘ぐりも出来るのもイイですねぇ。

 んで、マッキー。あぁ、これはおクスリやってる人の顔だわぁ。って、無駄に毒吐きすぎである。
 そんなこんなで裏で糸引く9J登場でエンド。渋谷を舞台にした大事件に9Jは関わってくるんでしょうねぇ。「屍の街」っぽい。だとすると幾島も出たりするのかしら。今だとカンナビス先生も付いてきますね。9J涙目、な姿しか想像できん。
 んで、9Jがマッキーのウソを見破り、タバコをやって精神を支配、って描写が今後のフリですね。前者はサイコメトラーっぽいんですが、後者は「笑う死体」のポイズンを連想してしまいます。ドラッグを介して相手を操る、という明らかな超能力者ながら使い捨ての犯人だった、というレアキャラ。サイコメトリーは相手の精神を自分に入れる(読み取る)のに対して、ポイズンは自分の精神を相手に入れる(操る)、という対比も利いてて名犯人だと思ってるんですがー。
 ということで、この後9Jがマッキーにションベンを飲ませるという展開があるのではないかと予想しておきます(誰得)。

みっちゃん回

 今回は舞妓。犯人との絡みが早く、志摩さんの影響で店が風俗化というのもないので、今までとは少し違った感じになってますね。

 マイコーの目的は人体の無機物化。これは、冒頭のみっちゃん宅描写と対になってるのかな、と思ったり。ただ汚れているだけでなく、有機的な汚れ、虫、腐敗が進むみっちゃん宅と、完全に無機物オンリーで美を追求したマイコーのブース。同じ変態でも方向性が真逆、っていう。

 志摩さんが「なんちゃってプロファイリング」と自覚してるのがおかしかったです。コンプレックス、トラウマ、イジメ、というそれっぽい単語を羅列する展開はさながら「『サイコメトラー』あるある」。メタ的に本作をネタにしてるような感じでよかったです。

 マイコーの顔芸は「タイーホ」がよかったかなぁ。オチとしてキレイだったと思います。
 んで、この後に収録される「殺人新聞」では2ちゃんが出てくるワケですよ。マ、マイコーはそのための布石だったのかよ‥‥しょーもねー。

殺人新聞

 いきなり悪徳政治家が出てきましたが、これはトオルパパor『クニミツの政』勢の登場あるか??

 今回の犯人は新聞屋さん。狂気が爆発し殺人を犯す様子は本当に楽しいです。本作を読み続ける一番の理由はコレかもしれない。

 「殺人新聞」ってのは『恐怖新聞』パロディーってことでいいのかな。
 まぁ、『恐怖新聞』読んだことないので、内容までパロってるのか判断が出来ないんですが。

 サイコメトリーしたら、恵美ちゃんきたー。今回の事件は恵美ちゃん回ですか。これは楽しみだな。やはり身内が関わってこそ、ですよ。
 恵美ちゃんのことを何も知らないエイジ、という描写が泣ける。塾行ってるのも知らないって‥‥。それだけに、今回守るという形でかまってもらえて恵美ちゃん歓喜、という話ですね。

 新興宗教の教祖は、麻原がモデルってことでいいのかな? 江川達也にも見えますが(大変失礼な例示)。
 そんな教祖を斧で殺す。段々陰惨になってきてますね。どこまでいくのか、楽しみです。

 んで、2ちゃんねるインダハウス。
 個人的に、映画、マンガに登場する2ちゃん描写は地雷、と思っているんですよ。基本的に、どうやったってダサく見えちゃう。そして、2ちゃんを悪として描くのも短絡的だし、2ちゃんの反応を伺う主人公のことはみみっちく見えてしまう。良いことナシだと思います。

 ただ、おもしろいと思ったこともありまして。今回の事件、劇中の新聞や2ちゃんの内容がそのまま載ってるコマが多いんですが、この2つの違いは、縦書きor横書きではないでしょうか。マンガというのは縦書き文化で、進行方向は「左←右」。一方、横書きである2ちゃんは「左→右」。
 要するに、主人公の進行を邪魔するように2ちゃんが立ちはだかってるような印象を受けるんですよ。見開きで悪意の言葉が埋め尽くされる、という描写は過去にもありましたが、そこで横書きになってると同じだと思います。
 んで、こんなコジツケ考察としておもしろいのが、新聞で。新聞は縦書き、すなわち「左←右」。主人公の進行方向と同調してるんですよ。劇中、エイジが世直し新聞を初めて見た時、その異常性に気づかずにおもしろがってたのに対して、2ちゃんを見た時は一目で嫌悪感を露わにした、というのと通じているのではないでしょうか。
 エイジ(作者)は新聞に好意的で2ちゃんに悪意的、ということなのかなぁ、なんて思ったりしました。そもそも今回のエイジ、世直し新聞の犯人を止めることにそんなに乗り気じゃないようにも感じます。そんなエイジが事件に関わる動機となるのが恵美ちゃんなワケで。

 ‥‥と、なんちゃってプロファイリング改め、なんちゃって考察ごっこのコーナーでした。
 いや、事件が特に進んでいない状態で感想書くの大変なんですよ。
 だって、今のところ出てきた犯人候補のネームドキャラって植木先生しかいないでしょ。あの人はミスリード要員っぽいからさ、なんにもわからないです。


 「まぁ 恵美ちゃんが幸せそうなのでそれでいいよ」ってだけで感想が終わってしまいそうでした。今回の感想は難儀しました。
 何が言いたいかというと、くぅ〜疲れましたw(本編にならって2ちゃんネタ)。
 はい、じゃまた来月。

マンガ『サイコメトラー』(9巻)の感想 - 北区の帰宅部

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春うた、夏うた。~どんなときも。

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恐怖新聞 (1) (秋田文庫)

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