「悟空ー!!!! はやくきてくれーっ!!!!」←きてた
週刊少年ジャンプが45周年だそうで。その記念企画が本作。『ONE PIECE』じゃないんですねぇ。
ワタクシとしては、『ドラゴンボール』は当然のように通ってきた作品でして。原作もアニメも観、読んでます。まぁ、劇場版アニメとか『ドラゴンボールGT』とかは漠然としか覚えてないんですがー。
↑映画館でもらえるオマケ。ドラゴンボールの種類はクジだと思ったので、「よっしゃ 四星球あたったぜー!」と思ったら全員四星球でした。‥‥いや、うれしいのは変わらないんだけどさ。
あらすじ(嘘)
ウーロン「ギャルのパンティおくれーっ!!」
ベジータ「よくも俺のブルマをーっ!!」
ぶっちゃけ、そんなに期待してなかったんですよ。今更感あったし。
なので、映画冒頭で「鳥山明」の名前が画面いっぱいに出てきた時も、「ネームバリュー頼りかよ‥‥」とか思いました。
その後、なんの捻りも引っ張りもないまま悟空が登場した時にも、「久々の映画なんだからもうちょっと盛り上げろよ‥‥」とかウンザリしてました。
肝心の悪役ビルスもコミカルな要素があって、「コイツじゃシリアスパートで緊張感湧かなくね?」とか思いました。『ONE PIECE FILM STORONG WORLD』の悪役シキが似た感じだったのまで連想したりして。
‥‥と、不安まみれな開幕でした。なんですが、いきなり悟空とビルスが対峙、戦闘することになって一気にテンションが高まる。スーパーサイヤ人3まで一気に出て、一気に負ける。この段階で充分ワクワクしてしまいましたよ。いきなりラスボスと戦闘&敗北っていうのは、『ONE PIECE』の映画でも『FILM Z』に近いですね。『FILM Z』と違うのは、悟空は手持ちのカードすべて出し尽くしちゃったことで、「こうなったらパワーインフレしかない‥‥」と心躍りました。
ちなみに、「ビルスがコミカルでちょっと‥‥」問題は、最終的に仲間になるという着地をするので違和感なかったですね。そういう意味では、ブウに近い悪役なのかもしれません。
本作の特徴として、ものすごくスケールが小さいんですよ。冒頭のシーンを除いては、すべてブルマの誕生日を祝うパーティー会場で行われます。おそらくですが、主要キャラをすべて出す、という意図があったのかな。セリフの掛け合いをさせて皆に出番を用意する、という感じで。上映時間が90分を切る程短いですからね。
そもそも、『ドラゴンボール』という作品において、「地球が破壊される」ってサスペンスは取り立ててヤバイ話でもないですからね(麻痺してる)。それこそ「でぇじょうぶだ ドラゴンボールで生き返れる」って話です。ナメック星行けば済む話。
スケールの小ささが原因だと思うんですが、本作では元気玉が使用されません。エンディングではでは盛大に歌われてるんですけどね(スパーキン)。
そんなパーティー会場。本作の根幹。これがおもしろいんですよ。観る前は「迫力のあるバトルシーンが観たいなぁ」なんて思ってたんですが、忘れてました。ギャグ要素の魅力を。
地球を破壊しかねないビルスがやってくることをベジータだけが把握していて、というシチュエーションコメディーとかすげぇハマってました。やはりベジータはギャグ要員だったか‥‥。それに、事前の悟空vsビルスの時に「神の気は感じられない」という情報を出していたのもうまかったです。
そもそもね、『ドラゴンボール』の主要キャラが総出でワイワイやってる映像を観るだけで、ファンとしてはビンビンなんですよ。それこそ同窓会に参加した感覚。パーティー会場、という舞台はそういう意図もあったんですかね。
俺たちのベジータ王子。本作ではギャグあり解説ありの大活躍でしたが、一番の驚きは恋愛要素。『ドラゴンボール』で愛の力が見れるとは!
ブルマがビルスに叩かれると、ベジータぶちぎれ。そして、悟空のスーパーサイヤ人3でも傷を与えることができなかったビルスに一矢報いる。あ、愛の力で悟空を‥‥愛の力でスーパーサイヤ人3越えちゃったよ。
「鳥山明って恥ずかしくなっちゃうから恋愛を描かないんじゃなかったけ?」と思ってたんですが、最後、悟空がベジータのことを茶化すんですよね。やっぱり鳥山明的に恥ずかしかったんですね。いいバランスだと思います。
シリーズファンへのサービス要素としては、「オッス オラ悟空!」を崩したのが秀逸でした。あのセリフってアニメの次回予告のセリフだから鳥山明の作ったものではない気がするんですが、そうだとしたら、すごく気の利く、サービス精神のある人だなぁ。
あと、ギャグだと、シェンロンがビルスに低姿勢ってギャグもよかったです。シリアスを崩す見事な緩急だったのではないかと。
既存のネタを崩す、というのだとラスト、悟空が瞬間移動で来てたのにギリギリまで助けに来なかったことが明らかになった件。これは「悟空ー! はやくきてくれーっ!」をネタにしてるワケですよね。これも笑った。前述したベジータの恋愛要素を茶化す、という意味もあったのですごく好きなシーン。
ていうか、本作の中でも悟空の瞬間移動はオンリーワンな技術なんですね。ビルスをも超越する技ってすごすぎるだろ。ヤードラット星人偉大すぎる‥‥。
バトルシーン。本作では肉弾戦がメインでエネルギー弾はあまり使わないんですよね。311を意識させるような街の破壊描写は排除した、なんて話も聞くので、その兼ね合いかな。最後のビルスの大技(火の玉みたいなヤツ)を喰らったら地球がどうやって破壊されちゃうのか、というのを伝えるには事前に街でも破壊するとわかりやすいんですが、そうはいかないようです。肉弾戦メインでもおもしろかったからいいんですが。
バトルシーンで一番ツボだったのは、悟空とビルスが舞空術で街の上空を戦いながら通るシーン。全然カットを割ることなく2人の移動にカメラが長々と追いかけていく映像が眼福すぎました。『ONE PIECE FILM Z』でも似たような空中戦はあったんですが、あちらの舞台は荒野だったのに対し、本作の舞台は市街地なんですよね。高い建物もたくさんある中を2人が戦いながら駆けめぐっていく、ここの多幸感ったらなかったです。サイコー。
いろいろとファン喜ばせな要素はあったんですが、個人的にツボだったのはピラフ一味。個人的にツボ、なんて表現は控えめで、映画館からの帰り道、「Z戦士なんていらなかったんや!!」と本気で考えてしまう程に魅了されました。
本作におけるピラフ一味というのは、要するに無印版『ドラゴンボール』への目配せだと思います。『ドラゴンボール』という作品は初期と比べると作風がガラリと変わった、というので有名ですが、その初期の世界観を引き継いでるのが、ピラフ一味。
ピラフ一味がZ戦士たちと絡めば、本作で揶揄されがちな「強さのインフレ」をメタ的に笑いに昇華できちゃうんですよ。
また、初期の牧歌的な世界観では違和感のなかったピラフ一味のウブさも、『Z』以降だと新鮮な魅力的なギャグになっていて。自ら銃を使うことにビビりまくってる姿は和む上、強さのインフレをギャグにしてるのでうまいですね。
また、ピラフ一味が「男女が手を握るなんて」とアタフタする姿は牧歌的というか、「女の子をパンパンすると結婚するはめになる」世界観を思い出させてくれて懐かしかったです。
‥‥まぁ、そんな理屈はいいんですよ。ピラフ一味のなにが魅力かって言ったらそんなのは1つでして。アイツらかわいすぎんだよ!!!
マイのロリ化ってなんだよ!! あざといだよコノヤロー!!! くそっ、くそっ。田村英里子に実写化させるんぞちくしょう!!
その上、園児姿のピラフ様とか!! あざとすぎんだよ!! けどかわいいよー。抱きしめてぇ。
そして、1人だけいつも通りのシュウ。それ自体がギャグのように機能してるってのもあるけど、鳥山明の動物キャラの魅力に改めて気づかされた次第。プーアルウーロンもそうだけど、カリン様も見たかった‥‥。
そんな3人がテンション高く、スラップスティックなギャグを続けるんですよ。楽しいに決まってるじゃないか。眼福すぎる。勘違いギャグもよかったんですが、まさかラブコメまでぶっ込んでくるとはな! 懐かしさに浸りながらニヤニヤしっぱなしでしたよ。楽しすぎる‥‥。
なんでガキのトランクスよりも幼い恋愛観してんだよ、ピラフ一味は‥‥かわいい。そしてそれを微笑ましく見つめるブルマが入ってくることで、ピラフ一味の幼児性が強調されてるじゃないか。40越えてんだろうよ、アイツら。くそっ、オバサン結婚してくれ。
ということで、Z戦士の活躍を見に行ったはずなのにピラフ一味のことしか考えられないという結末。寝起きでゴロゴロするビルスもかわいかったけどさ、ピラフ一味の足下にも及ばなかったです。
1つの映画としてどうだったかというと疑問はあるんですよ。最後も尻すぼみなまま終わった気もしますしね。そもそも話も無理矢理で、中身がないし。とはいえ、ファンサービスに徹した作品なので、ファンならば楽しめること必至なんじゃないでしょうかね。それと、ピラフ一味がかわいすぎて生きるのがつらい。
90点。
原作を振り返るエンドクレジットがサイコーでした。あんなん見させられたら欲しくもなるわ。うまいことやりやがる。
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