北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

『名探偵コナン 黒鉄の魚影』の予習として『相棒』「神の憂鬱」観たよ

 先日『名探偵コナン 黒鉄の魚影』の予告を観たんですが、その中に「世界中の警察が持つ防犯カメラを繋ぐための海洋施設パシフィックブイ」というのが出てきた。本作の舞台となり、物語的にもキーとなる模様。個人的には「『ワイスピ』のゴッドアイじゃん!」と思ってブチ上がりました(2シリーズの類似点を見つけるのが趣味です)。ただ、そんなツイートをしたら、「もっと昔に『相棒』でやってるよ」という旨のリプライをもらい、せっかくなので観ることにしました。『ワイスピ』以外は同一の脚本家です(櫻井武晴)。

そもそも初『相棒』

 思ってたより組織内政治がギスギスしてて驚いた。もっとシンプルに「変人刑事がオモシロ捜査で事件を解決」くらいのイメージでいたので何もかもが新鮮。紅茶も全然飲まなかったしな。モノマネとかでしか知らないので、事件現場にティーポット持参するくらいのイメージだったんですが、そんなこたぁない。
 組織内のギスギス、秘密裏に進行する陰謀、劇場版『名探偵コナン』しか知らない身としては、真っ先に『ゼロの執行人』が思いつく。『コナン』の櫻井脚本回が好きだったんですが、『ゼロ』は突然作風が変わって驚いたんですよね。急に警察小説みたいなハードさ全開になってる。事前のイメージでは「安室ってキャラが女性に人気らしい」くらいだったので、「むしろオジサンが好きそうな内容じゃん」と驚いた記憶。どうやら櫻井脚本の持つ特色のうちの一つが大きく現れた作品だったということなのでしょう。『純黒の悪夢』が大成功したから脚本家が自信を持って好きなジャンルを提案してきたのではないか……(妄想)。
 ちなみに、今年の『魚影』は櫻井脚本だけでなく、立川監督が『ゼロ』以来のカムバックということで、これまた注目です。『魚影』公開直前になったら『ゼロ』をもっかい観ようかな。テレビだと『ハロウィンの花嫁』しかやらないだろうし。

監視社会への警鐘

 2010年の作品なんですが、防犯カメラの映像を集約、解析することによる監視社会というテーマはとても現代的で古さを感じない。別に派手なアクションがないこともあり、何も言われなかったら今の作品だと錯覚してもおかしくないレベル。まぁ、キャストはみんな10年ちょい若いので、そういう違いはありますけど。
 監視システムとは別に、「問題はまだ残ってるけどもう決まったから」と組織の上が方が結論ありきで動きだし、それに伴った問題が発生しても無視、もしくはもみ消しながら強行突破する様子は「これぞ日本」って感じでリアルでした……。今もまったく同じ。あれやこれやと連想できるw

『相棒』と『ダークナイト

 ノーランの映画の方の『ダークナイト』ですよ。「相棒 ダークナイト」で検索したら別の話題しかヒットしないので笑いました。これが検索汚染……!(違うよ)
 「神の憂鬱」を観る前から怪しかったんですが、2010年にこの防犯カメラによる監視システムを扱ってるのは映画『ダークナイト』からの影響もあるのではないか。映画終盤で、バットマンがジョーカーを見つけるためにゴッサムシティ中のカメラ、スマホを勝手に読み取り、さらにはソナー機能(奇しくも魚影!)もつけて街中を分析、即座にジョーカーを見つけ出す。当然問題しかない行為で、実際担当の技術者からも指摘されるんですが、そうでもしないとジョーカーには勝てない。そしてジョーカーはバットマンが悪に堕ちることを何よりも望んでいる(なのでこの時点でバットマンは負けたとも取れる)。そんな捻れが面白い映画だったんですが、この部分を抽出し、メインテーマに据えて2時間ドラマにしたのが今回の「神の憂鬱」だったのではないか、という見立て。「神の憂鬱 ダークナイト」で検索し直したら同じこと言ってる記事が1つだけ見つかりました。1つだけかぁ……もっといると思ったので不安だ……。
 とにかく、日本で大真面目に『ダークナイト』をやると『相棒』、そして『名探偵コナン』になる、というのはなかなか面白い現象です。日本のエンタメ最前線ですね。
 そして、その古びない、どころか現代にこそより響くテーマがあるからこそ、今回『魚影』で再び同テーマを採用したのでしょう。

「神の憂鬱」の続編としての『黒鉄の魚影』

 「神の憂鬱」に出てくるFRS(顔認証システムで防犯カメラ映像を分析する)はその計画が事件によって明るみに出……そうになるところを悪い大人たちの画策によって阻止。しかし、そのシステムは海外に流出し、同システムを日本が採用するには海外から買い取るしかない。果たしてそんな予算があるんですかねぇ……と右京さんが意地悪に微笑んで終わる。
 そして、今回の『魚影』ではスケールアップしていて、「世界中の警察が持つ防犯カメラを繋ぐ」ですよ。日本だけの話じゃなくなっちゃった。まぁ、『コナン』らしいクソデカスケールと言ったらそれまでなんですが、「神の憂鬱」から13年経った正当な続編というようにも見える。殺人事件の犯人や黒の組織もさることながら、コナンはこの監視システムとも戦うことになるのでしょう。そして、十中八九そのシステムの中枢である海洋施設は最終的に大爆発してコナンが脱出することになるw 組織がこのシステムに関わってるのも面白そうですが、単純に組織がコナンを攻撃しようとしてクソデカ銃火器を投入、結果的に施設は大爆発、というパターンも大いにありそう。『コナン』映画に組織が出てくると大体そうなる。

そもそもなんで『コナン』観るようになったんだっけ

 知人と話を合わせるためです。2人きりで話すにはまだ気まずい……という距離の人との時間を楽しくするためにその人が大好きだという『名探偵コナン』に手を出した。さすがに全部は無理なので劇場版のみ。それでハマって今に至るんですが、「『魚影』の予習のために『相棒』観たら面白くてさぁ……」と話すことはないだろうなぁ。本末転倒。
 ちなみに、その人、『コナン』の話を振ったら予想以上に響いてくれたんですが、しばらく話したら「原作もしくはテレビシリーズもよろしく!」となりました。劇場版は二の次という感じのハードコア『コナン』ファンだった……。


 終わり。これで『魚影』の解像度爆上がりだぜ!! という気分なんですが、そもそも本流である原作シリーズを知らないので、いつまで経ってもライトファンです。さっきウィキペディア見てたらもう既にラムの正体が明らかになってるらしくてひっくり返りましたw ラムって『純黒』で名前だけ出てきたあの人じゃん。そんなにも進行してたとは……(7年も前だからね)。
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