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『八乙女×2』9話の感想

八乙女×2 - 氏家ト全 / 【第9話】マフラーと体育倉庫 | マガポケ

 あけ、おめこ、とよろ。さすがに本作ではそんなネタはなかったです。

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第9話「マフラーと体育倉庫」

 サブタイトルの通りの内容なんですが、マフラーと体育倉庫はそれぞれ別の話。マフラーについて最初の4ページが4コマ。そして別日、体育倉庫の話が10ページ通常の漫画形式で綴られる。

 4コマパート。新しいマフラーを買ってもらうも超八乙女がそれぞれ同じマフラー。価格帯が同じで、子供でも問題なく使えそうなデザインを、親が勝手に買ってくると案外こういうトラブルは起こりがちなのかもしれない。親が勝手に「ユニクロでいいっしょ!」みたいな感じで買ってきたらクラスでお揃いの人がチラホラ、とかマジでありそうで怖いw
 学校に行くと、当然カイが男子グループでからかわれるわけですが、女子グループでは「似合ってる」とフォロー。しかしこの「似合ってる」という表現に何か問題を感じたルイが勝手に混乱して……というオチは笑った。言葉遊びとしても見事だし、最後のルイの必死の言い訳を表面だけ見ると「男女でお似合いとからかってるわけではないよ」になるので、これまた文脈に完璧にハマる。普通の発言にも思えるけど、それは裏の裏という意味の表。
 からの2人のマフラーがごっちゃになってしまうトラブル。買ってもらったばかりなので(当人たちが気にしなければ)割とどうでもいいトラブルなんだけど、そうはいかない人が1人出てくるのがおかしい……と思ったら最終的には先生も事故に巻き込まれることになるので笑った。ルイが話を動かす便利キャラというのは重々承知なんですが、そこに自然な形でアユムと先生が絡んでくる構成が見事。

 後半。体育倉庫でルイとハルル……と思ったらルイとカイの馴れ初め(ルイがホレたきっかけ)が語られるので驚いた。本作史上最もエモーショナルなドラマだったと言えるかもしれない。それでいてしっかり序盤と終盤にハルルが下ネタぶっ込んでくれるので安心。良い話だったのに、「待ってました!」と言いたくなるようなキレイな下ネタで台無しにされるので笑ってしまった。
 ハルルが転校してくる前、6年になったばかりの頃の話。「割と最近だな!」とかツッコミを入れたくなってしまったんですが、これはタイムスケールがおかしい大人の悪い視点。小六にとってはあの感じで遠い目なんでしょうね。
 細かくて、明言されるような描写ではないんだけど、ルイとカイが今のように仲良しではない、というかちょっとよそよそしい感じもあるニュアンスが良かった。事前の説明がなくても「たしかにこれはハルル以前の話だ」と実感できる。
 話としては、天井に挟まったボールを取ろうとしたルイが落下する事故が起こるが、カイが助ける。このルイ落下のシーン、日常の緊張感のなさから一瞬で血の気が引くようなサスペンスが発生していて、その緩急の表現がめちゃくちゃ良い。これは4コマでは描けない(描きにくい)場面だったと言えそう。
 回想が終わってからの “そのわりには嬉しそうな顔で話していたけど” というハルルの指摘も良かった。読者としては回想の中の世界に浸ってしまうけど、現在ではその話をしているルイ、が存在しているわけで、そのことをハルルが強く意識させてくれる。直接は描かれないけどルイがどんな顔して話していたのかを想像するとこっちもニコニコしてしまうw


 終わり。次回は「小学校卒業前にみんなの思いを詰めて行う例のアレの回」だそうです。一瞬何のことかサッパリ分からなかった。2月なのでバレンタイン? 卒業前なので卒業文集の作成?
 とか思ったんですが、ヒントは「詰めて」という表現にあった。タイムカプセルですね。しかし、3月はもう卒業式でほぼ確定なので、次回以降は完全に卒業シフトって感じですね。どうなってしまうのだろうか……。
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