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『八乙女×2』14話の感想

八乙女×2 - 氏家ト全 / 【第14話】6月はムシムシの梅雨 | マガポケ

 まだ本格梅雨シーズンって感じしないですね。東京ですが。
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第14話「6月はムシムシの梅雨」

 前半6ページが4コマ、後半6ページがショートの計12ページ。前半が学校で後半が家、特に繋がりはない、という感じ。ワントピックで突っ切る後半にはショートらしい楽しさがある。

 劇中では梅雨突入。1ページ目のカイとハルルの「下敷きであおぐ」のネタ。オチの身も蓋もないイメージカットに笑ってしまうんですが、ページ全体に目をやると、その上のコマがハルルのアップなので妙に連結して見えるというか、雑アイコラみたいになってて面白い。たぶん意図的なんじゃないかしら。エロくならないように、繋ぎが雑になるように調整してたりすると思う。偶然だったらごめん。

 2本目。ハルルとルイ。ハルルの「最悪○○をやるしか……」に対する「なぜそこで最悪の選択肢をとる!?」のツッコミが良かった。超良かった。ボケの主体ではない細かい言い回しの部分も拾ってるのが最高。

 4本目。ハルル、アユム、ルイが上級生の大人っぽさについての会話。羨望の眼差しを向けるアユム、特に関心がないハルル、どうすれば近づけるかを具体的に考えるルイ、と三者三様になってて良い。新中学一年生の日常会話としてリアルだし、そこで3人の個性が遺憾なく、それでいてさりげなく出てる。そこに容赦なくボケ続けるハルルのマイペースぶりも相変わらずの良さ。

 7本目。午後から雨が降り傘のない黒松くんにカイが貸してあげる。なぜかといえば同じマンションのハルルに貸してもらうから。端から見ればハルルが黒松くんに貸す方が単純なんですが、この3人の関係性的にはカイが真ん中に入った方が自然。別に仲が悪いわけではないけど、というリアリティ。この場面でハルルが遠くからピースをしてるのとか細かい仕草でまた良いんだよなぁ。カイがハルルに事前に承諾を得ていたのか、ハルルがその場で当然のようにオッケーと示したのかは分かりませんが、この温度感。

 8本目は続きで、カイとハルルが相合い傘で帰路。いくらでもラブコメになりそうな状況ですが、そんなに大きな展開にはならない。もっと静かで、ボケもなく、波風もないんだけど、静かにハルルが2人の身長差に気づく。ほとんど何もないネタなんだけど、これに連結で8コマも使うのが良い。ゆったりとした空気の中での味わい深さ。最後にエモめのネタが配置するのは『生徒会役員共』でもよくありましたが、本作だとこれからショートパートが始まるわけで、そういう意味でも嬉しい。
 てか、時間による身体の成長がはっきりと描かれたのもかなり珍しいことで、本作の大きな特徴と言えそうですね。リアルタイム進行なことも相まって読者は「○○ちゃんもうこんなに大きくなったのか……」と勝手な親戚気分になれてしまう。こういう感じの話は今後もありそうですね。

 後半のショート。ハルルが自室で宿題をやり終えるとクソデカ虫を発見。んで、急遽カイを呼び出し。女子の部屋に入ってドキドキ……の予感くらいの段階で終わるのも本作らしい。ちなみに、ハルルの部屋にはアヘ顔アニマルのぬいぐるみがあります。

 虫に怯えるハルルと冷静なまま仕事を完遂するカイのギャップがおかしいんですが、ハルルの怯え方がめっちゃリアルというか、私もそういうタイプなので激しく共感してしまった。 “所在ハッキリしてないと怖いでしょ!?” とか本当に分かる。超怖いのに目が離せなくなったりしてしまう。

 オチ。ハルルの母が帰ってくるも、部屋から聞こえる2人の声、そしてハルルの報告で誤解。最後のハルルの報告はまぁ割とよくある定番って感じなんですが、その前の部屋から聞こえる2人の声が、オチの誤解を踏まえて読むとちゃんとそういう意味にも聞こえる。 “ギャーー 飛んだーっ” “よし ティッシュティッシュ!!” “窓あけろ” ページを順番に読んでたら部屋の中で2人が虫相手に四苦八苦してる様子が思い浮かぶんですが、最後の誤解オチを知ったあとだとまったく別の光景が新たに浮かび上がってくる。


 終わり。今月は更新が遅れたんですが、『ブレワイ』2周目にドハマリしたせいですので、来月はもうちょっとマシになるかと思います。
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