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『八乙女×2』20話の感想

八乙女×2 - 氏家ト全 / 【第20話】大晦日おしゃべりタイム | マガポケ

 来年もどうぞよろしく。年が明けたら2巻の発売も近いよ(2/8)。
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第20話「大晦日おしゃべりタイム」

 前半4コマが6ページ、後半がショート漫画で10ページ。計16ページ。

 前半。年末というよりは冬の日常って感じ。最初はカイんちで2ページ、その後は学校。
 家。ハルルの衣装は同じだが、カイの衣装は変わるのでそれぞれ別の日だろうか。ただ、2本目、3本目はカイの衣装が同じなので同日の可能性。ここが繋がってると、夕食(たぶん)に焼きニンニクを出されたカイの “食べると口臭うから嫌だ………” というセリフに特別なニュアンスが発生するので非常に良い。ハルルに気を許してるのは確かだけど、口臭いと思われるのは嫌がってるカイ。良いぞ。良さがすごい。
 カイ母。突然髪が伸びててビックリした。まぁ、「人間なんだから髪くらい伸びるだろ」と言われたらそれまでなんでが、漫画に対する固定観念があった。今後髪染めとかあったら面白いけど、それはさすがにやりすぎなんだろうな。髪型の多少の変化とかはあるかも。
 3本目でカイとハルルがやってるゲーム機。ただの黒い箱だが、大きさ的にスイッチとかそういうイメージでしょうね。よく見ると四角が重なって見えるので、それもスイッチっぽい。重なり方は微妙に違うのだが。
 学校。登校時、ハルルが全裸コート発言でボケたと思ったら、直後に出会った芦田ホシノがマスクの下にギャグボール疑惑という流れで笑った。想像で止まるハルルからの、実行してるのか? というパイセン。いや、実際にやったら横から見た際にバレちゃうので実行してる風のボケだと思いますけど。
 その直後のネタが、ルイの「着太りしたくないから気合いで薄着」という健全なオチ。妙な流れ、妙な連結を感じる。ルイ自体は至って健全で、思春期マインドのある微笑ましい話なのだが。
 文芸部の部室が寒い。からのストーブ導入。寒いから密着して人肌で暖めるというボケの次のネタで、先生に感謝して抱きつくという健全な密着に繋がる。そして、最後はストーブ使用後に寝落ちする3名。1ページ目がカイの家のコタツで寝るハルルだったんですが、部室でストーブが導入されるとカイも寝ちゃう、という円環みたいな構造になっててキレイ。

 ショート漫画パート。大晦日、リモートでオンライン年越し女子会。3人の部屋、背景、リモートに使う機材、そして乱入者などとにかく情報量の多い内容でアガる。泉家には真っ黒な猫がいるらしい。クロ子と呼ばれてるが、ちゃんとした名前なのかラフな呼び名なのか少し微妙だな。まぁ、そんなややこしいことしないと思うので普通に正式名がクロ子か。
 てか、中学生の年越しエピソードとしてのリモート女子会、めっちゃ良いですね。ちゃんと家にいるのが良い子すぎる。年越しの時間だったら家族の機材も借りやすいだろうし、めっちゃリアリティを感じる。今の中学生マジでやってそう。機材を借りる可能性まで考えるのならば、そもそも今回出てきた部屋も借りてる(空いてる部屋)、つまり彼女らの自室じゃない可能性もある。
 小ネタとしては、 “ヤウツベでトリプルブッキングのライブやってるみたい” 。絶対に出ると思ってたが、ついに出た。出ないとアヘ顔アニマルで繋がる世界ってことになっちゃってたよw
年末だけど、紅白(的な番組)ではなくネット中継ライブというのがリアルで良い。
 やたら描写が細かいのがアユムのリモート機材。(機材を)後ろから見るとタブレットのケースをスタンドにしてる風なんですが、正面から見るとケースより一回り小さいものが中央にくっついてる。ちょっと分からないんですが、家族が使ってるタブレットのケースだけ借りて自分のスマホをつけてスタンドとして使用してる、という感じなのだろうか。こういう描写が突然やたら細かくなるのとか最高ですよね。
 そんな本木家。本話最大のサプライズとも言えそうな姉の登場。全裸タオルで登場。なるほどアユムの胸の成長は家系……とか気持ち悪い感想を抱けるのでオススメ(何が)。ちなみに、姉の名前は本木ラン。最初は気づかなかったけど、「アユム→歩む→走る→ラン」ってことね。こういうダジャレ系のネーミング珍しくて面白い。今後にも期待しちゃう。武隈家でもあるか?
 年が明けたあと、1人で夜道を歩いてると運命の出会いが待っているらしい。という言い伝え、噂、都市伝説? “私達が夜外に出るのダメじゃない?” とリモート女子会らしいオチに繋がるのも良いし、ルイがそういう背伸びした情報を仕入れてるのも可愛らしい。
 ……と思ったらそれが実現する。リモートが終わり、雪を見たいが両親が酒盛りしててめんどくさいので玄関へ。からのカイとの遭遇。つまりそういうことだってばよ!! とさすがにハルルでも意識してしまう……意識してるんだろうな、という間があるのが超良かった。その前の雪を見る無言のハルルのコマもエモが感じられる。文字通り空気が一変してしっとりしたオチがつくのめっちゃ良いな。こういう緩急みたいな演出もうまいというか、近年どんどんレベルが高くなってきてると思う。4コマとショートの混ざった形式がハマった、というのもあるか。マジで侮れないというか、やっぱめちゃくちゃ面白いな……。


 終わり。過去作でも好きじゃなかった相手を好きになる変化が描かれることはあったけど、本作はリアルタイム進行でじっくり年月を重ねていくこともあって、その丁寧な変化が今までにない味わいを生んでますね。正直個人的には『生徒会役員共』のときにも「誰とくっつくんだよ」的な楽しみ方はしてなかったんですが、本作はそういう0か100かでは割り切れない良さがあって好き。めっちゃ良い回であった。
 ちなみに、次回は正月で、新学期で、席替えらしい。元の席をそれほど意識したことがないのですが、まぁ席替えというイベントが超盛り上がるというのは分かる。
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