北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

『トランスフォーマー ビースト覚醒』の感想

 めっちゃ良かった。シリーズ展開に関してはグズグズで、迷走してる印象もあったけど、2作連続でホームラン出してしまった。頼むからヒットして本作を起点としたシリーズが続いてくれぇ~!

バンブルビー』は例外

 前作『バンブルビー』が傑作なのに疑いはないのですが、やはりこじんまりした作品だったのも間違いない。なので「『トランスフォーマー』シリーズといえば『バンブルビー』だよね!」となるのには抵抗があるというか、あくまでもスピンオフ、変化球作品としての良さ。
 『バンブルビー』が80年代、本作『ビースト覚醒』が90年代なので、連続したシリーズ感もあるんですが、正直全然繋がってる感じなかったですねw

監督の選出が秀逸

 マイケルベイには独自の良さがあるのは前提として、やはり5作もやると内容のインフレがすごくて、「何が何だか」的な雰囲気もあった。そんな状態からの『バンブルビー』、そして『ビースト覚醒』の流れが見事すぎる。
 明らかにスケールダウンして人間のパーソナルなドラマを語ることに特化した『バンブルビー』がまず大成功。そのままスケールダウン路線でいくのかと思いきや、ベイ版五部作の頃のような荒唐無稽なクソデカスケールでの「地球の危機」を扱う本作がちゃんと面白かったの嬉しい。ベイ的なブロックバスター感もありつつ、キャラクターやドラマが丁寧なんですよね。しかもアクションが見やすい。『トランスフォーマー』映画として理想的なバランス……。

たぶんリブート

 映画シリーズ全体の展開とか、現在位置みたいなものがひたすらグズグズなんですが、たぶん本作から新シリーズスタート! ということなのだと思う。一応『バンブルビー』から始まったとも取れるけど、『バンブルビー』と『ビースト覚醒』にはそれほど繋がりがないので。
 リブートだけど、前シリーズのことを反省して逆張りのようなことはしない。まぁ、ベイが関わってるから当たり前なんだけど。それどころか主人公の相棒となるミラージュが変身する車種が『バッドボーイズ』オマージュという手広さまで備える。てか、本作は全体的に「ちょうどいいベイ作品」という雰囲気もありましたね。

全編ヒップホップ

 90年代という舞台を示すため、とか主演のアンソニーラモスの色を出すためとかあるんだろうけど、とにかくヒップホップ楽曲がかかりまくる。BGMとしてはちょっと主張が強すぎるのでは……と心配になるほどかかる。『クリード』シリーズよりもヒップホップ色濃いめになっててびっくりしましたね。
 さらには、劇中のキャラクターが自ら選曲して爆音で鳴らすシーンまで出てくる。それがクライマックスにおける復活バンブルビーの参戦シーン。本作でもラジオ話法は健在だったんですが、そのラジオ話法で始まり、そのまま曲が鳴り続ける、という登場がかっこよぎて泣いちゃう。
 前半、バンブルビーがあっさり退場したときには「殺すぞ」とかちょっと物騒なこと思っちゃったんですが、あんだけおいしい出番があると手のひらクルクルで腱鞘炎になってしまいますね。
 まぁ、よく考えたら『バンブルビー』の頃から選曲センス変わりすぎでは……。

90年代×ヒップホップ×ベイ版への目配せ

 としてマークウォールバーグが出てきたのには声出して笑った。本作が出すネタとして完璧なんだよな。しょうもない当時のサブカルネタなんだけど無駄にうますぎる……。

合体パワードスーツ

 シリーズとして大きな一線を越えてしまった感がある。もちろん場面としてはめちゃくちゃかっこよくて、2人の友情の発露として文句ナシなんですが、「今後毎回こういうことすんの?」とか気になりもする。
 とか思ったらラストでぶち上げられた『G.I.ジョー』シリーズとの合流。おそらくG.I.ジョーの一員として活躍しやすいように、人間サイズの『トランスフォーマー』キャラが必要だった、ということなんでしょうね。楽しみじゃないか……。正直『G.I.ジョー』の映画シリーズもこれまたグズグズなので、ちゃんとシリーズ展開できるか心配ではあるんだけど、本作のことが好きすぎるので応援しちゃう。

「ようこそセクター7へ」

 と思うじゃん? フューリー的なキャラによるスカウトがポスクレ(本作は違うけど)で描かれるのって手垢が付きまくってるけど、そこにちゃんと一捻り入れてくるのが本当にうまい。「はいはいそういうのね……」とか思いながら観てたのにまんまと「ウソでしょ!!」とびっくりしちゃいましたw

頑張れハズブロユニバース

 たぶん本作からすべてを始めるのであって、過去のハズブロ映画は無視するんだろうけど、『漆黒のスネークアイズ』大好きなので、アンドリュー小路演じる嵐影がまた見たい~! マジで頼む。まぁ、年代が違うからアンドリュー小路を出すとなると本作のアンソニーラモスを捨てることになるから悩ましいですね。
 あとは『バトルシップ』要素を拾ってくれると日本のカルトファンが喜ぶので是非。「海は任せろ!」的な感じで登場するだけでもいいので。キャストが違ってもブリトー喰わせときゃ成立するのでお得ですぜ。

無線で本名はやめろ

 全方位的に良く出来てたと思う本作だけど、一番感動したのはこの部分。兄弟の絆を感じさせるセリフが決戦&合体前の「名乗り」に繋がるので感動したし、そこからさらにベイ版の映画でお馴染みだった映画ラストの「私はオプティマスプライム……」のナレーションに重ねてくるからびっくり。オシャレすぎてオシッコ出た(嘘)。さらにはG.I.ジョースカウトの場面でもこのセリフが拾われてたし、本当に良く出来てる……。

とりあえず脊髄は引っこ抜く

 ベイ版のDNAを最も色濃く感じた場面。プライムが本作でも凶暴すぎるのよ……。敵キャラが倒したバンブルビーのトロフィーハントしてて憎たらしく描いてたけど、脊髄引っこ抜くのもどうかと思うよw
 プライマルの顔面殴打もグロくて笑いました。

ドラミングはグー

 だからゴリラのドラミングはパーだって何度も言ったでしょ!! と全世界のドラミング警察が出動してしまう描写なんですが、まぁ本作は一応原作オマージュということで。それでも困ったら「キングコング先輩の影響で……」という言い訳で逃げよう。
 ちなみに、ドラミングはそもそも威嚇ではないそうです。調べれば調べるほどキングコング先輩が諸悪の根源と出てくるので笑える。


 終わり。とにかくキレイなベイヘムという感じで最高だったし、個人的には「ブロックバスターってこんな感じが理想」という作品でもありました。マジでヒットしてくれ。本作の続きもハズブロユニバースも頑張ってくれ。トミ様に会いたい……。