北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

『ターミネーター:新起動/ジェニシス』の感想

とにかく明るいビョンホン「安心してください」

 『ターミネーター』シリーズは最も好きな映画シリーズの1つだったりします。まぁ、厳密にいうと『ターミネーター2』がオールタイムベスト級ってだけなんですけど。
 映画好きになった明確なキッカケは詳しくは覚えていませんが、テレビでやってた『ターミネーター2』観て感動したのが大きな要因の1つだと思います。その後何度も観て、観る度に伏線や物語の意味、演出、シリーズ定番の小ネタに気づいていったんですね。昔は「金属とけててカッケー!!」くらいの読解力だったから見返す度に新たな発見があったんですよね。
 んで、その他シリーズ。全部好きです。『3』以降はリアルタイム。『3』以降は黒歴史、みたいな扱いするノリありますけど、少し苦手だったりします。「じゃあ『新起動』もダメじゃん」ってなっちゃうかw まぁ、『新起動』は『3』以降を無視してるだけであってディスってるワケでは‥‥(苦しい言い訳)

 テレビシリーズの『サラコナークロニクル』はわかりません。テレビ放送があった時に数話は観たと思うんですけど、どうも最後まで観た記憶がないです。なんでやめたんだろう‥‥。
 小説に『新ターミネーター2』というシリーズがあるんですが、数冊読んだことあります。ちょうど映画『ターミネーター3』の公開前に本屋で見かけまして「原作じゃん!!」と勘違いして読みました。けど、おもしろかったですね。思い出したらまた読みたくなってきた‥‥。
 あっ、あとUSJの『ターミネーター2』のアトラクション。当時は綾小路麗華のキャラクターが青木さやかに思えて仕方なかったんですけど、実際のトコどうなんですかね。初見時は「青木さやかの営業?」って割とマジで思ってましたw(遠いから顔はよく見えない)

  • あらすじ
    • カイル「サラちゃんはどこかなー?」
    • T-1000「まってた」
    • シュワ「サラちゃんはどこかなー?」
    • シュワ「まってた」

 『ターミネーター』シリーズと全然関係ない話になるんですが、イ ビョンホンがかなり楽しみだったんですよ。T-1000という役がおいしすぎるし、何よりもタイムスリップしますからね。絶対脱ぐじゃん!!
 ‥‥そう思ってました。登場した時には既に警官をコピー済みでした。悲しい。こんなのってないよ。ビョンホンの早脱ぎ列伝にもファンがいることを制作陣は理解すべき(べき論)。
 ビョンホンの「出会って○秒で全裸」というタイムアタックに期待してたから『ターミネーター』新作にターミネーター役に出ると知った時は嬉しかったんですよね。タイムスリップするんだから初めから全裸じゃん!!と心躍ったのを未だによく覚えています。あの時のワクワクを返して‥‥。

 はい、本題。『ターミネーター』シリーズとしての本作。すげぇよかったです。とにかく過去作、特に『1』『2』に目配せをしまくった作品で、ここまで徹底した作品はなかなか珍しいんじゃないですかね。徹底しすぎてるため、バランスが悪い、ファンの二次創作っぽい、と感じる人もいるんじゃないかしら、と不安になるレベルですよ。
 ただ、ワタクシはそういう作品大好きです。シリーズモノって、こういうシリーズ定番の小ネタをどれだけ用意したか、ってのは個人的にはかなり大きな加点だったりします。『スターウォーズ』シリーズも同じ理由で大好きです。「新作では誰があのセリフを言うんだ?」って物語とは関係ない部分でワクワクするのが好きなのです。

 小ネタもそうだけど、一作目の完コピっぷりが見事なんですよ。本作の予習として直前に観てたんで、その感動がひとしおでした。キャストが違うだけで、シチュエーションが完全に一致。映像も一致。カイルにズボンとられるホームレス、カイルが服を調達する店、靴のサイズの確かめ方、試着室から覗くナイキ、シュワに服とられる不良たち(望遠鏡でビン割る)‥‥。そんな既視感バッチリ(褒)の映像の中に旧キャストと全然違う見た目の役者が並んでる、という映像がこの上なく気持ちいいんですよ。キャストの見た目に関しては似せるつもりサラサラなかったですよね。個人的にはよかったと思います。パラレルというか改変された世界、というのがわかりやすかったです。
 そんな「このシーンはあの時の!!」という感動を胸に抱けば抱くほど楽しめるのが新展開。メチャクチャに変更されちゃってるだけではなく、「オレの見たかったのが全部ある!!」という感じなんですよね。ここがホント好き。

 過去作のコピーと違った意味でのシリーズ定番の小ネタも豊富でして。ここが充実してるだけでワタクシは大満足です。『T3』『T4』もしっかりやってたと思いますけど、『新起動』はもっと頑張ってたと思います。
 ド定番の「I'll be back」は当然ですよね。字幕が「アイルビーバック」だったのは少しどうかと思うけど、みんな知ってるからいいのか。
 次に有名なセリフは「Come with me if you want to live」でしょうか。「死にたくなければ来い」ですけど、DVDとかだと各作で翻訳が共通してなかったりします。一作目ではカイルがサラに言ってたんですが、『T2』ではシュワがサラに言う、というのがサプライズでした。そこで本作『新起動』はというと、サラ→カイル。これまたいいサプライズだったと思います。「今回のサラはいつもと違うよ!」という本作全体にも言えるメッセージになってたと思います。まぁ、そんな大事なシーンを予告でやっちゃダメ‥‥。
 セリフ系ですと、「Get out」も定番ですね。フロントガラスに頭突っ込んで言うのは『T2』でT-1000を思い出します。『T2』はヘリなのに黙って飛び降りるパイロットが笑えるんですよねぇ。
 他にもシュワが何かを否定する時に言う「Negative」。『T2』だとジョンに言葉遣いを直される発端になるんですけど、本作だと直されてない。これは『T2』におけるジョンとシュワの疑似親子関係と、『新起動』でのサラとシュワの関係性が微妙に違うからなんでしょうねぇ。『新機動』サラは『T2』ジョンと比べると、素直なパパ大好きっ子なんだと思います。話は聞いてる状態で助けられた『T2』ジョンと、何も知らずに助けられた『新機動』サラという違いが如実に出てるのではないでしょうか。

 セリフ以外にも小ネタは尽きなくて‥‥って言い出してもキリないんですけど。老シュワが若シュワを倒した時にサラに送るハンドサインがサムズアップで『T2』っぽいとか、ラストにシュワがTー1000プールに沈むのは言わずと知れた溶鉱炉オチだったり、サラが車の鍵を見つけだすトコが『T2』のジョンを彷彿とさせたり、サイバーダインが出てきたと思ったら息子のダニーが立派になってたり‥‥。割と大事なのですと、ラストに一本道が出てきたのもそうですよね。あの一本道と空は主に未来を暗示させるものとしてシリーズを通じて描かれてきました。本作の、昼間の晴れやかな空の下、一本道を進んでいく、というのが過去作とは違ったニュアンスになっていて素晴らしかったと思います。
 セリフ以外で一番大事なのはターミネーターの殺し方でしょうか。これは「機械が生まれる場所で機械が死ぬ」という皮肉が込められてるんですよね。一作目では機械が機械工場で死に、『T2』の液体金属が溶鉱炉で死に、『T4』のシュワがシュワ工場で死ぬ。そして『新起動』では、ジョンがタイムマシンで死ぬ。これはうまいですね。ことの発端であるタイムマシンというアイテムをここで使ってるとは。
 ‥‥ちなみに、『T3』はこの皮肉が全然ないと思うんですけど、ターミネーターが押し潰されて死ぬ、というのは一作目オマージュですね。皮肉はないけど、シリーズ作として気を配らなければならない重要な部分、というのがわかりやすいと思います。

 本作としては珍しく「なかった小ネタ」。これはシルバーマン博士の存在でしょう。出演本数ではシュワに次ぐ数を誇りますからね。この人は大事。
 そんなシルバーマン博士がいなかったんですよ。代わりに、似たようなハゲがいましたね。J.K.シモンズ。まったく違う役名だし、関わりはないと思うんですけど、シルバーマン博士を意識して作られたキャラクターなんじゃないかと思いますね。未来から来たという事実にメッチャ理解のあるハゲ、というのがシルバーマン博士と真逆でしたから。まぁ、そこは素直にシルバーマン博士出しとけよ、とは思います。ファッキンテンポ!!(それ違う映画)

 シリーズの定番から離れたよかった点ですけど、ターミネーターの戦い方や倒し方がおもしろかったです。一番好きなのはT-1000を酸で倒すトコですかね。あの「オレだったこう倒す!」ってのはファンの妄想と近くてすげぇワクワクしました。シュワは金属骨格だから液体金属よりも酸には(少し)強い、ってアイディアも見事でしたよね。
 本作の目玉としてはT-3000なんでしょうか。ジョンミネーターですね。ぶっちゃけ、最初に粒子化って聞いた時は「なんか『トランスフォーマー4』で見たなぁ‥‥」みたいな印象だったんですけど、最後の戦いでは結構驚きました。粒子化を最大限活かした戦い方をしてたんですよね。まぁ、「初めから粒子化無双しろよ」と思わなくもないですがw けど、T-3000の通り抜け攻撃はかなり好きでしたよ。なんかよくわかんないけど超痛そう。

 キャストとキャラについて。前述しましたけど、似てないのはいいと思います。むしろアリ。
 老シュワ。これはハマってました。ぶっちゃけ『T3』みたく「老けたけどめっちゃ筋トレしたから全然変わらないでしょ?」という路線は『T3』の時点で結構無理があったのであり得ないですよね。なので「ターミネーターでも外側は老ける!」というアイディアと、そのアイディアを元にした物語が素晴らしかったと思います。サラとシュワの疑似親子関係はホント魅力的でしたねぇ。
 イ ビョンホン。まさかのアジア系という驚きはありましたけど、無表情で追っかけてくる様はちゃんとTー1000してたし、ハマってたと思います。100点‥‥なんだけど脱がないのでマイナス100点。酸作戦で殺される時に、酸で服だけ溶ける、みたいなシーンがあればプラス百万点だったんですけどね。はぁぁぁ、残念‥‥(Tー1000の設定的におかしい)
 その他の有名俳優ではJ.K.シモンズですかね。直近のオスカーウィナーですし。まぁ、大物役者で、本作では珍しい完全新キャラということを考えるともう少し活躍してほしかった気もします。まぁ、そこらへんはシルバーマン博士の生まれ変わり(死んでない)、とかの妄想で埋め合わせるのがベターですかねぇ。
 ジョンとカイル。役者に文句言いたいワケじゃないですけど、主役と悪役、しかもカイルとジョンにしては絵的に地味な気がしました。まぁ、ここらへんは好みも大きいんでしょうけど。『T3』ジョンの地味さは審判の日が来なくて腐ってるジョン、という説得力にも繋がったのでよかったと思うんですが、本作のジョンは単に予言者として今まで以上に神々しく、救世主として描かれてたと思うので少し残念。。失礼な話、名脇役顔じゃないですか。‥‥ただ、ただですよ。ジョン コナーっていうのはキリストのイニシャルJCに由来する名前だと思うんですけど、本作でジョンを演じたのはジェイソン クラーク、JC。ついでにカイル役はジェイ コートーニー、JC。まさかのJCリフレですね、ありがとうございました。‥‥JKもいますね。
 サラ。これはよかったと思います。『T2』のイメージからはかけ離れてるんですけど、むしろ本作が参考にすべきは『T2』よりも一作目のウェイトレスだと思うんですよ。この差は精神病院を経由してるか否か、というのが大きいと思います。あとは彼女を守るものの有無。要するにシルバーマン博士の不在とシュワ(ガーディアン)の介入ですね。この違いを考えると今回の新しいサラ像も飲み込みやすいのではないでしょうか‥‥というかワタクシは飲み込めた。別の言い方をするならば、母ではなく娘なんですよ、今回のサラは。守る側ではなく守られる側。そういう意味でも一作目の方が近いかな。まぁ、戦闘訓練は積んでるけど。シュワのことを父として、オジサンとして、popsとして慕うサラ、というのは新機軸で魅力的でした。母ではなく娘としてのサラだから、悪役がジョンでも違和感はなかったですね。そんなこんなで、本作でのサラ役が童顔なのは見事にハマってました。
 ‥‥あと、おっぱいが大きかったです。着替えシーンでのシルエットに度肝抜かれました。

 あと、よかった点をテキトーに書き加えるならば、スピーカーパンチが好きです。有効な武器がないから作るんだよ、というDIY精神には感動しました。一作目のハンドメイド爆弾を少し思い出したり。
 あとは、冒頭の核戦争シーン。あれも迫力ありましたね。特に3D映像が素晴らしかったと思います。冒頭に飛び出し効果の高いシーンを入れる3D映画は信頼できます。
 最後に予想外だったのは、ヘリでのチェイスがすごかったです。ぶっちゃけ「そここだわるの!?」という感じだったんですけど、メチャクチャに動きまくってて思わぬサービスを受けた気分。「コレ注文してないんですけど‥‥」と文句言いつつ食べたら結構うまい、みたいな。


 ということで、終わり。思い入れの強いシリーズの作品は話が長くなってしまってよくないですね。ホントはこの半分以下で終わらせたかったんや。
 まぁ、「まだ続けるんの?」という感じも少しある作品でしたけど、だからこそ初期2作のファンへのサービスに徹した作品だったと思います。続編とかリブートが氾濫してる昨今でも珍しいタイプの作品だったのではないでしょうか。
 90点。

 未見ですけど、監督とサラ役の代表作なんだそうな。
 監督は、これの功績を認められて『マイティソー2』に抜擢されたのかな。