映画の感想なんですが。観たのはかなり前のことでして。東北地方太平洋沖地震(この名称嫌い)の前のことです。
感想を書くのに手間取っていたら、あんな大変なことが起きてしまって。数日はなにもできなかったんですが、しばらく経って精神的に落ち着いたんで通常通り更新します。
前回ジャンプの感想書きましたが、映画の感想も再開します。
では。
アカデミー賞です。作品賞です。主演男優とかも取りました。
とにかくおもしろかったんですが。ワタクシはその日、花粉症がヒドくて鼻炎薬を飲んでたんですね。その日は特に症状がヒドくて多めに。ドラッグキメすぎたせいか軽くトリップ状態だったんですよ。頭がボーッとしてたんですね。なので、若干映画に入り込めなかった、っていう。大変もったいないことしました。
なので、観た直後は「まっ こんなもんか」って感じだったんですけど、思い返す内に「あれっ 超おもしろかったんじゃね・・・?」っていう感じで。
なので映画の出来ほどは感動しませんでした。完全にこちらの問題です。機会があれば、いずれまた観たいと思います。
あらすじ
主人公の父は英国王
主人公は吃音症で、人前でうまくしゃべれない
世継ぎは兄
が、兄は離婚経験のあるアメリカ女と結婚するために王をやめる
主人公は英国王に
スピーチできないやないけーーーっ
吃音。人と話す時に、うまく言葉でてこない言語障害の1つで、保険もちゃんとおりるみたいです。
特別考えたこともなかったけど、まぁ、それに近い症状ならば誰にでも経験はあるんでしょうかね。学校での発表時に言葉が出なくなっちゃう、とか。
ワタクシも上がり症なんで、人の注目を浴びると途端になにもできなくなることは多々あります。さらに、人見知りが激しいんで初対面の人とマンツーマンで顔を合わせると、本作の主人公により近づきます。「・・・・・・はっ 初めまして」みたいな。
その上、本作のキャッチコピーが「英国史上もっとも、内気な王」なんていうもんですから、勝手に「オレのための映画だ!」なんて思っちゃいましたよ。
ところが、全然違いました。吃音だとか、次期国王のプレッシャー、兄との確執は描かれるものの、内気なことは描かれませんからね。内気での苦労話はナシです。そもそも内気なのかもわからん。初対面の人に対してマジギレしてる主人公を見て、「あれっ・・・この人ちょっと違う・・・・」って勝手に疎外感を覚えていました。
まぁ、勝手な話です。映画自体はなにも悪くないです。
そして、国王の吃音を治療するのがライオネル。
国王の吃音を治すのが、オーストラリア人ってのがミソです。訛りの抜けてないオーストラリア人がイギリス国王に言葉を教える、っていうね。
主人公とライオネルの2人の友情がメインに描かれ、吃音の克服と2人の友情が比例していきます。
ライオネルに出会うまでは吃音に対して外部的な治療しかしていなかった。発声法やタバコによる気管の緩和など。
ちなみに、本作におけるタバコは吃音治療に行き詰まると出てくるアイテムで、タバコを吸うシーンは多いけど、かなり禁煙促進映画でしたよ。ただ、嫌煙家の人は「タバコ吸うシーンが多い」って事実だけで怒り出しそうですけどね。
外部的な治療では一切効果が出ない中、ライオネルは主人公の内面を知ろうとする。吃音の原因は精神的なものであると知っていた。そのため、なによりも主人公と親しい仲になることを優先する。国王という立場を無視するような態度を繰り返す。
そこで、主人公の持つダークサイドに触れる。父、兄へのコンプレックス、幼少期のイジメ。
治療はそれらの心の膿を出すことから始まるのである。吃音を治すには心からの友人を必要だったのである。
そんな英国王の前に立ちはだかるのはナチスドイツを率いるヒトラー。演説の大天才がイギリスを脅かす、というのは史実にしては出来すぎな構成。国王として国民のためにできることはスピーチしかない。ヒトラーの得意分野で戦うしかない。吃音症の主人公がヒトラーに演説でタイマン張るんですよ。燃えるに決まってるじゃないですか。
吃音だし、そもそも国王になんかなりたくない主人公。まーよくキレる。なにかにつけてファックと言う。ライオネルとケンカした時に「サノバ・・・」と悪態にすら吃音する始末。
そんな主人公は、苦手なスピーチも文章の間に悪態を挟むことでリズムが取れるようになる。最後のスピーチの時、緊張する主人公に向かってライオネルが口パクで「ファック」と言う。
ボクはあんなに心温まる悪態を見たことがない。
てかさ、ハンデを持った主人公、主人公を助ける親友、最強の敵、厳しい修行を乗り越えて勝利、ですよ。おもしろいに決まってるじゃん。みんな好きでしょ? そらオスカーも取るわぁ。
予告でもお馴染みの例の「椅子のシーン」とか号泣必至ですよ。「Yes,you do」という中一レベルの英語であんなに心震えるとはね。
が、ですよ。1つだけ引っかかったトコがありまして。まぁ、どうでもいいと言えるんだけど。
最初にライオネルは主人公に自分の実力を見せつけるために爆音ヘッドオンをさせてシェイクスピアを読ませ、それを録音する。すると、あら不思議、まったく言葉に詰まることなく流暢に読めてる、っていう。
そして、最後のスピーチ。映画最大の見せ場ですよ。これがさ、ラジオの中継なんだよね。「ラジオってことは事前に録音してたのを流せばいいんじゃね?」、なんてイカサマを思いついてしまったんですよ。だから、もう少し生放送ならではの状況や、国民の前での演説、とかじゃないと「イカサマでいいんでね?」という邪念が拭えなかった。
ラジオの放送ってのも完全な個室で行われるんだよね。主人公とライオネルの2人きりの部屋で。個室に入ってから、事前に録音したイカサマテープをマイクの前で再生、「計画通り(ニヤリ)」っていう。そんで、ドヤ顔で個室から出ていっても同じ結末だよなぁ、なんて。
ということで、ラジオの生放送というところに引っかかってしまった心の汚い小市民の感想でございました。
まぁ、とりあえず名作なのは間違いないですよ。だってアカデミー賞だもん。個人的には『ハートロッカー』よりも好きかなぁ。
それに、近年は変態役ばっかり演じてたヘレナ ボナム カーターが良き妻を演じてたのは衝撃でしたね。人肉パイも作らなければ、カボチャ頭でも極悪魔法使いでもないんだからね。あんな嫁さん欲しいよ。
85点。
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