北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

2017年映画上半期ベスト

 最近まるで映画の記事が書けてませんので、せめて節目の記事くらいは書こうかと思いまして、上半期ベスト。
 ベスト10にしようかと思ったら「これも入れたい!」ってなったのでベスト15です。こんなんで年間ベスト決められんのか、と毎年思います。

  1. 『イップマン 継承』
  2. ワイルド・スピード ICE BREAK
  3. キングコング 髑髏島の巨神』
  4. トリプルX 再起動』
  5. ザ・コンサルタント
  6. 『ローガン』
  7. 美女と野獣
  8. 『レゴバットマン ザ・ムービー』
  9. 『サバイバルファミリー』
  10. マグニフィセント・セブン
  11. 『ララランド』
  12. ドクター・ストレンジ
  13. 『メッセージ』
  14. 『モアナと伝説の海』
  15. ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険

 こういうの作る時って何となくブロック分けして決めるんですよ。「ベスト級なのはココらへんだなー」っていうのを数本決めてその中で順位を決める、みたいな。一番上のグループ、トップ4でした。偏ってるというか、頭悪そうだなぁ、とか。カンフー、ハゲ、ゴリラ、ハゲですよ。2017年素晴らしい年ですね。

 この手の企画やるといつも気になるんですが、やっぱ続編、リメイクが多いですね。マイナス補正かけようかとも思うんですが「けど面白かったよなー」ってなるので悩ましいです。
 そういう意味では、『コンサルタント』『サバイバルファミリー』『ララランド』『メッセージ』『モアナ』あたりはもうちょっと評価すべきかもしれませんね。

 1位『イップマン 継承』。日本公開が遅くれたせいもあって「やっと観れる!」みたいな興奮も加味されてるかもしれません。仕方ないよね。
 シリーズで最も泣かせにくる作品ではあるんですが、それでも魅力的なバトルシーンには事欠かさない、というのか素晴らしいです。「エレベーターやべぇよな!」「マイクタイソン戦のあの構えマネしたわー」「詠春拳同士の対決ついに来たぜ」とか言い出したらキリないと思います。どこを取っても最高、ですね。他にも多人数戦も魅力的っていうか、あれがクライマックスじゃないって贅沢な話。
 ドニーイェン演じるイップマンというキャラクターの揺るぎなさはもちろんなんですか、置かれるシチュエーションは作品ごとに大きく変化していて、シリーズとしての魅力もバッチリですよね。今回の作中でのイップマンは地位と名声が過去最高レベルだったと思います。『イップマン』という映画が歴史的な大成功を収めたことを踏まえたメタ的な設定のようにも感じられます。そして、物語では有名税というか、そのツケを払うことになるってのが面白いですね。さらに、それでいて今までで最も家族に密接したドラマでもある、ってんだから満漢全席です。あざますあざます。

 2位『ワイルドスピード ICE BREAK』。ポールウォーカーを失って初めてのシリーズモノであり、ラスト三部作の始動でもある節目の作品。こちらもシリーズの変遷がドラマの魅力と絡み合った魅力がありますね。映画の中ではブライアンは生きてて引退しただけのはずなんだけど、死んだかのような扱いで、子供の名前を……ってのはリアルでのヴィンディーゼルそのまんまでした。
 ジェイソンステイサムが仲間になるんですが、最初は「さすがに前作で悪いことしすぎでしょ」と少し不安でした。まぁ、その問題が完全に解決したかはさておき、家族というキーワードを使ってうまいこと理屈をつけたのは良かったと思います。ヘレンミレンという新キャラも投入しつつ、ルクエヴァという過去作キャラの再投入というファン向けのサービスも決まってましたね。ファン向けといえば、『MEGA MAX』の2人は嬉しかったなぁ。

 3位『キングコング 髑髏島の巨神』。ギャレゴジとは逆で、怪獣の出し惜しみナシ、というコンセプトが2作品の対比として面白かったです。どっちが悪いではなく。ゴジラは来るものでしたが、コングは会いに行きますよね。ゴジラは神出鬼没だけど、コングは決まった場所を守ってるワケですからね、そりゃ行きゃいる。
 コングの魅力もあり、アクションシーンの迫力もバッチリ。ゴジラとは違う、道具を使った戦闘、というのもシリーズ的な魅力ですね。あの大木の枝葉を削ぎ落とす場面は『パシリム』のタンカーに並ぶ名シーンだと思います。ホレた。
 それ以外にも人間たちの魅力もあったのが良かったと思います。トムヒはちょっとパンチ弱かった気もしますが、お姫様すぎないヒロインとか、愛おしすぎるジョンCライリーとか、サミュL節が爆発してる悪役とか。正しい発音が気になるグンペイもいいよね。手番全然ないけど。

 4位『トリプルX 再起動』。個人的にはアイスキューブ無双が好きすぎてもうヤバイ……。『エクスペンダブルズ2』のチャックノリスばりの活躍なんだけど、一見黒歴史な過去作にも最大限尊重するの、ヴィン兄好き……ってなります。
 良い面でもあり悪い面でもあるんですが、『ワイスピ』感ヤバイですよね。もちろん『ワイスピ』大好きなんで、大満足だし、アイスキューブのくだりも『ワイスピ』イズムを感じるんですが、元々の『トリプルX』の要素が少し減ったのは残念でもありますね。あの古き良きスーパースパイモノをエクストリームスポーツと混ぜる、というのは本当に素晴らしかったと思います。『キングスマン』が「荒唐無稽な007いいよな」って言ってましたけど、割と『トリプルX』に期待してる部分ありました。
 まぁ、続編決まったらしいんで、『ワイスピ』要素とのバランスがどうなるのか、楽しみです。
 『ワイスピ』すぎるファミリー感なんですが、本作の場合はシリーズの積み重ねが少ないせいもあるんでしょうが、「コイツいる?」ってヤツがいるのが面白いですね。主にDJ。短所のようで長所だと思います。「つるむと楽しい」ってスゴイ。ぶっちゃけ敵チームの方がキャラのが印象強いよね?ってなったりもするけど、そんなのも全部引っくるめて「みんなファミリーやで」という包容力ね。
 シリーズの積み重ねが少ない状態でのファミリー形成という面において、敵チームとの合併はナイスアイディアだったと思います。まぁ、ドニーさんはドニーさんだから仲間になるって時点でガッツポーズ確定みたいな所ありますけどねw 次回作へのドニーさん参戦、期待しております。

 5位『ザ コンサルタント』。ベン アフレックが死んだ目で戦いまくる、という意味でバットマン映画最新作と言えるかもしれない(イエネーヨ)。
 シリーズとかリメイクを除けば一番高いランクなんですが、オリジナル作品ということで「どういう映画なの?」とフワフワした状態で楽しめたのは確実にあると思います。特に本作はその側面が強くて、なかなかどういう作品なのか掴めなくて、それが求心力になってると思います。
 あとは、キャラ萌えという部分もハマった一大要素ですかね。要はベンアフの殺し屋像としての新鮮さ。イノセントみたいなものを感じてしまうというか、可愛いんですよね。

 6位『ローガン』。今までのシリーズと雰囲気が違いすぎる新たなアメコミ映画の形。『X-MEN』シリーズはMCUと比べて整合性とか大雑把だからこそ成立したバランス、ということなんだと思います。よくアメコミ好きの人って「バットマンは『ダークナイト リターンズ』だけじゃないんだよ!」って言ってるイメージあるんですが、異質な作品が生まれる余地があるのがアメコミの魅力なんだと思います。そういう意味で『ローガン』も同じなんゃないかな、と。みんなこうなってほしいワケじゃないけど、たまにこういう作品が突拍子もなく飛び出すことで、アメコミ映画、スーパーヒーロー映画の裾野がグッと広がった感。
 ド派手な能力のミュータントが出てこなかったのも良かったと思います。敵は自分の分身ですからね。贖罪とか何とでも読み取れる素晴らしい配置だったと思います。
 まぁ、あとはやっぱラストの十字架がね……あんなん泣くわ……

 7位『美女と野獣』。原作(アニメの方)をほぼそのままやってるはずなのに未だに通用する現代的な内容、というのがサイコーでしたね。ディズニープリンセスという歴史のターニングポイントであるインテリのベルにエマ ワトソンをキャスティングしたのがもう最高でね。この時点で勝ちかなぁ、という気すらしてくるレベル。
 ただ、個人的に一番刺さったのはルフゥだったりします。ゲイに変えられたことで話題になったキャラ。まぁ、今風の目配せなのかな、程度に思ってたんですが、めちゃくちゃ感動してしまいまして。歪なまでに極端な男性主義の権化であるガストンに恋してるんだけど、それを打ち明けられずにいる。ガストンからは子分として気に入られてはいるけど、「お前はこんなにいいヤツなのになんで独り身なんだ」とか言われちゃったりしてもう泣ける。元々ルフゥはディズニー作品によくいた頭の弱い子分キャラだったので、それをそのまま実写化したら問題になるのは明らかだと思います。そこをゲイというネタをぶっ込んできたのが見事ですね。社会的な目配せよりもドラマへのハマり具合を優先した結果なんじゃ、とか思いたくもなってくる。

 8位『レゴバットマン』。『レゴムービー』印の楽しいコメディー映画なのはもちろんなんですが、それだけじゃなくバットマン映画としての強度がヤバイ。バットマン映画は傑作揃いだし、それぞれ方向性が違うので比較するのも難しいんですが、明るく楽しいバットマン映画としては理想的な作品なんじゃないでしょうか。
 『レゴムービー』と比べてしまうとどうしても「レゴアニメである意味ある?」とか考えてしまうんですが(あの映画が特殊すぎるだけなんですが)、この映画で行われてることはすべてあの家で行われてる、とか妄想すれば納得なんじゃないですかね。まぁ、根拠と言えるような要素は特にないんですが。いや、銃声を口でピュンピュン言ってるのは根拠と言って問題ないレベルかも。まぁ、そうだったらいいな、的な。

 9位『サバイバルファミリー』。世界から電気が消えたら、というシチュエーションを楽しむ作品なんですが、コメディーですのでガチガチに考証を重ねるタイプの作品ではないと思います。もちろん軽い気持ちで見ると驚くには充分なくらい突き詰めてはいるんですが。それよりもコメディーや家族の物語を優先してる感はあると思います。
 笑いがめちゃくちゃハイレベルでいて、それでいて物語がすげぇ感動的な要素をはらんでいて、それが互いに邪魔せず引き立て合ってる、とういのは見事でしたね。矢口監督作品あるある。
 ベストギャグはやっぱり藤原紀香だと思います。ああいう役にokを出す藤原紀香は偉い。映画とは直接関係ないけど、公開と同時期に消費者庁が(一部)水素水ビジネスのインチキを摘発したニュースがあったんですが、それが余計に笑えました。

 10位『マグニフィセント セブン』。キリ番である10位はコレと『ララランド』で悩んだんですが、この2択だったら『マグニフィセントセブン』を選ばざるを得ない、と即決でした。分かりますかね、この感じ。
 映画館の帰り道でですね、複数の女性グループの会話が聞こえてきまして。「○○さん何度観ても死んじゃうんだよねーつらいわー」「その点私の推しの××は生き残るからw」みたいな感じの。なるほど本作はアイドル映画だったのか、と激しく腑に落ちた次第。めちゃくちゃ正しい視点だと思いました。7人それぞれのキャラクターもいいけど、それぞれの関係性に魅せられる部分が多く、個性の強すぎる7人がライブというステージでは抜群のチームワークを披露する。アイドルだw

 11位『ララランド』。ミュージカルとしての楽しさもそうなんですが、ライアン ゴズリングがシンプルなイケメン役やってるってのもツボでした。エマ ストーンも大好きですので、2人が魅力的にイチャイチャしたりしてるのを観てるだけで眼福というか。まぁ、それでもベストシーンは2人が出てこないオープニングの高速の場面だと思いますけどね。あそこはちょっとね、ズバ抜けてたよね。あと、ラストのアレも多幸感あってサイコーでした。ドンデン返しとかそういうワケではないんだけど、というバランスも好き。

 12位『ドクターストレンジ』。これもベネカンのハマりっぷりが最大の魅力だったかな。ベネカンのMCUにこんだけフィットした驚き。そうなってくると当然「今後他の映画のアイツらと絡むのか……」というワクワクが生じてくるワケでして。この広がりはMCU最大の魅力ですよね。MCUがハリウッドで最強レベルの地位を確立してからスタートした人気キャラという意味では初めて、という感じあると思うんですが、『アイアンマン』と類似してると思える部分はそういう計算もあるのかな。
 とりあえず、ストレンジも登場するのかな?という『ソー』新作に期待……と思いきやその前に『スパイダーマン ホームカミング』があるんだよなぁw

 13位『メッセージ』。叙述トリックと言っていいのか分からないんですが、後半になると序盤のアレに対して「そういうことだったんかい!」と腑に落ちる感じが気持ちよかったです。思考は言語に支配される(うろ覚え)という1つのネタをこんな風に広げてくるとはなぁ、という驚き。小難しい雰囲気はありつつ、話はシンプルで、ラストにはいかにもエンタメ作品っぽい盛り上げもあるのでそういう意味でも大満足な1本でした。

 14位『モアナと伝説の海』。オリジナル作品なんだけど、どうしてもデイズニーアニメという歴史を踏まえて観てしまうのでほとんどシリーズモノという認識。
 ポスターでモアナにハートマークさせるような人もいますけど、ぶっちゃけヒロインが恋愛第一主義じゃない、ってのはもう当然ですよね。最近の作品みんなそうやんけ。あんだけ流行った『アナ雪』から何も学んでない。本作になると「私プリンセスじゃねぇし!」とかセリフで出てくるレベル。これが痛快で最高に楽しかった。相手役のロック様とは当たり前のように恋仲にはならず、そもそもなりそうだけどー??みたいな引っ掛けもない。ロック様とは師弟関係ってのが素晴らしかったですね。女性が目指すものは男ではなく、スキルアップ
 そんな相手役のロック様。とうぜん王子様ではないんだけど、ヒーローっぽい扱いになってるのがアメコミ映画全盛の今風なのかな、と思うとまた面白かったです。ロック様の歌も最高でしたね。

 15位『ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』。『モアナ』と同じ2017春アニメ。
 シリーズの中でも屈指の異色作だったと思うんですよ。明確な悪役がいないってなかなかスゴイ。子供向けに分かりやすい悪人置きたくなると思うんですけど、我慢。そうなんだけど、ドラえもん映画における「冒険感」というのはバッチリ抑えてあるので王道的な作品だった気もしてくる不思議な作品。犬ぞりで南極を進んでいく場面とかの冒険感、めちゃくちゃ好きです。ちなみにこの冒険感、来年も重要視するらしく、次作のタイトルは『のび太の宝島』。クッソシンプルだけど、「絶対冒険するヤツだこれ」ってなりますねw
 登場人物の少ない映画ではあるんですが、ゲストキャラがみんな魅力的だったのも良かった。ゲストヒロインもそうだし、パオパオも動きと声が付くと最高、という感じで素晴らしかったと思います。それと、既存のアイテムであるはずの、さがし物ステッキですね。ぼかぁね、ああいう無機物萌えに滅法弱いんですよ。もう完全にノックアウトされました。可愛すぎかよ。


 ということで終わり。次点は『沈黙』『GotG2』『SING』あたりになりますかね。


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