北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

コミックホットミルク2018年10月号の感想

 Komiflo登録したんで感想やるよーシリーズ第2弾。
 どうでもいいけど、雑誌の正式タイトルがよく分からないです。「ホットミルク」「コミックホットミルク」「HOTOMILK」どれなんだろう。検索とかの事情を考えると「ホットミルク」はくっそ不便ですね。

 Komifloの話になりますが、配信時期が紙版の発売から少し遅れます。全部同日だと思ったんですが、そうも行かないんですね。
 あと、収録内容も少し違う。紙版と見比べたわけじゃないんですが、公式サイトには書いてある1本がない。理由は分かりません。あと、目次もないし、読者ページもないです(後者は元々ない可能性も)。
 ホットミルクを目当てにがKomifloに引っ越しを考える際は注意が必要です。

 短い連載は拾おうと思います。

COMIC HOTMILK 2018年10月号

COMIC HOTMILK 2018年10月号

表紙(キチロク)

 表紙及びそれと連なるショートノベル。ショートノベルですよ。初見時すげぇビックリしました。こんな企画あったとは。
 さらに驚いたのは、webの方に飛ぶとオーディオドラマとして聞ける点。15分くらいの結構しっかりした奴。マジであはんうふん言ってるのでビビりました。学生時代にこの存在に知っていたら大変なことになってたと思う。エロの価値観が音、声に偏りすぎてたと思う。バックナンバーも余裕で聞けるんだぜ。1日1本聞いてもどれだけ持つか。……よく考えたら高校以下は18禁だからNGですねw
 そんな表紙&ノベル用のイラスト。良い、良いぞ。絵の感想は苦手なんですが、非常に好みです。夏らしくリゾート感ですね。一生のうちに一度でいいからこんな夏を……的な絶望感に打ちひしがれます。
 ホットミルクに限らないけど、エロ漫画雑誌の表紙&巻頭カラーイラストの楽しみ方として、ビフォーアフターを楽しむ、というのはあるんでしょうね。表紙は、本屋やコンビニで並べる都合で控えめなんですが、巻頭の方では遠慮なくドーン!という落差が魅力だと思います。

『射精しちゃえ!先生!』ふみひこ

 オールカラー短編。3ページ。まぁ、話としてはタイトルの通りですね。ただ、このカラー短編は難しいと思うんですよ。絵としてはエロをやらないといけないんだけど、短編にする以上、最低限の物語は必要で、というジレンマ。そこでタイトルで大体のことを説明しちゃうってのは妙案じゃないですかね。このタイトルと、1コマ目の金髪のギャルっぽい女の子を見た時点で「あーはいはいこういう話ね」と大体のことは理解できます。面白いなぁ。
 プレイ内容としては、終始クチ。パーティーはまだ続いたそうな……形式のエンドですね。これはエロ漫画でめっちゃ多いと思います。便利な終わり方。本作に関しては、限られたページ数においてクチだけで終わらせたのが逆に良かったんだと思います。クチだけだと展開が単調でも成立する。クチだけなんだけど、絵としてはケツのアップとかもあるのが面白いですね。そういう見せ方もあったか……みたいな驚き。

れこめんど!

 カラーイラストコーナーってことでいいんだと思う。雑誌に馴染みがないと何なのかが分からない。
 絵だけの感想は苦手なのでスルーしようかとも思ったんですが、おっぱい出して社員証かかげてるイラストがグサッときました。日常を意識させるようなアイテム使うの、良いっすね。

『さきゅっと!』じょろり

 サキュバスの2人組に捕まっておいしくいただかれる話……なんだけど、サキュバスって設定は彼女たちから言葉として説明されるだけで、特別サキュバスらしい何かがあるわけではないんですね。これが特徴的だと思います。羽や尻尾がはえたり、魔法をかけたりはしない(精力が増してるけど相手がエロかったら多少の違いはあるでしょう)。要するに、とんでもない痴女をサキュバスに例えてるだけの可能性もある。まぁ、名前が洋風なのでサキュバスなんだと思いますけどね。
 女の子2人組。ギャルっぽい見た目の子と、割と地味めというか見た目あんま気にしてないような子。前者が導入で、後者が大ボスになってるのが面白かったです。口数が多いのは前者なんだけど、盛り上がってくると満を持して出てくるのは後者。意外性であり、展開ですね。ここらへんが単なる男1女2では済まないオモシロだったと思います。

『乙黒美耶のお遊び』蛹虎次郎

 連載3話目。3話だったらKomifloのバックナンバーで余裕です。全部読みました。
 先生と付き合ってる男(可愛い)が不良に弱みを握られる話。1話目はバレた流れであれこれ、2話目が女装させられてあれこれ、そして3話目は先生に騙されてたことが明らかになって今までの関係がすべて一変、もしくは崩壊する。
 これ、相当面白かったです。やっぱ3話もあるとやれることにバリエーションあるというか。話の展開も素晴らしかった。単純にエロの内容も毎話違うんですよね。それでいて、物語がばっちり進行し、全体での起承転結があってきれいにオチが付く。
 不良の子は、いわば誘惑する悪魔で、現状を徹底的に破壊してくるんですけど、最終的に考えると、先生との関係がそもそも善とは言い難いものだったので、それを破壊する悪魔は主人公にとって救済でもあったのではないか?みたいな気がしてくるんですよね。彼が解放される話であり、成長する話でもある。そう考えると、2話目であった女装は、彼の男性性の否定であり、そこから性的に堕ちることで結果的に男性性を取り戻す。疑似的な死を経由して新たな性を取り戻すってめちゃくちゃ物語として王道ですね。通過儀礼だと思います。

『お嬢様の処女は兄のモノ』西川康

 こちらも連載。こちらも3話目。
 タイトルの通りですね。分かりやすくて良い。お嬢様学校で、兄を持つ友人たちが集まってそれぞれ兄との初めての思い出を語らう。どれも回想、伝聞という形でエロが行われるのが特徴的だと思います。お嬢様学校という縛りの厳しい状況の中、考えること、喋ることだけは自由という秘密の園感があって楽しいです。2話目のラストとか明確に「ホントはどうか分からないんですけど」ですよね。この距離感ですね。お嬢様とエロというテーマにおいて適切というか、ものすごく効果的だと思います。
 さっきの連載に比べると、各話同じことの繰り返しなんですが、それぞれ兄との思い出を振り返るキャラが違うのでそこでバリエーションが生まれてますね。ほぼオムニバス(3話までは)。
 んで、本話、3話目。今までの2話に比べると明確にお嬢様感が薄いですね。シチュエーションが一般の家という感じが強いです。そして、兄の愛が一方的で、落とされる話という側面も強いです。2話目も終盤に愛のない行為が描かれるんですが、本話はスタートから。そして、特徴的なのはラスト、 “そこまで言わなくてもいいよね” と落とす。これは2話目のラストで「嘘かもよ?」という匂わせをしたのと通じます。所詮は伝聞だから、情報がすべて正しいとは限らない。
 んで、次話への引き。グループの中で唯一の処女に話が移ってエンド。ついに、現在進行形の話になるっぽいですね。この展開は上がります。

『ビター』山崎かずま

 親が不在なので幼なじみにお世話してもらう話。世話する、されるの関係なので女の子が終始上からな態度なのが良いですね。買い物を手伝わせる際の “デートしようぜ” とか分かりやすい。わざと性的なニュアンスを込めて遊んでる。
 んで、当然一線を越えるんですが、これも完全に彼女主導。彼女が勝手に我慢できなくなって語り出す。途中で集中力がプツッと切れるとことか面白いですね。完全に彼女の気の向くままに進んでる。男の意志はほとんど介在しない。
 いざ始まると、彼女がよく喋る。余裕の現れであり、余裕があると振る舞ってる、この両方だと思います。それが徐々に語彙がなくなっていって、というグラデーションが良い。
 ラスト。最初にあったデートの件が冗談ではなくマジになる、というオチが最高ですね。言葉としては同じなんだけど、すべてが一変してしまった感。こういう端から見たら違いがないけど、当人からしたら……という機微。

『事情あり共棲(情事)』うましか

 金欠の女子大生が家賃を待ってもらうために大家のショタ兄弟に会いに行く話。無愛想な弟、愛想のいい兄……と思ったら兄の方が鬼畜で、というツイストから始まるのが楽しい。話が進むとエロ的に強敵なのは実は弟の方で……とさらなるツイスト。主人公としても下心がゼロだったわけではないので、襲われても強く出れない、というのが面白いですね。予想外の事態ではあるけど、エロで家賃を何とかしてもらう、という当初の目的からは全然ズレてない。
 エロを通じたマウント合戦だと思うんですが、ショタ兄が相手の目的を見抜くくだりがあって面白い。そこで2人の優劣が決定されるんですね。ノーブラだけどパンツはしてるので、おっぱいだけで勝てると思ったんだ?という推理が鋭すぎるので笑いました。手慣れてる証拠ですね。

「TDFK47」ぷらぱ

 47都道府県ですね。カラーイラストコーナー。エロ漫画雑誌のイラストページはヤング何とかみたいな雑誌におけるグラビアページに相当すると思うんですが、ここは特にグラビアっぽさが強調されてて面白かったです。プロフィールと質問コーナーとかあるのが、めちゃくちゃそれっぽいw

『泰田さんはサボり魔』Dr.P

 図書室にて、怠惰な彼女とあれこれ。図書室はエロにおいて一大ジャンルですよね。日常の中にある異世界、という雰囲気がエロと相性いいんだと思います。
 そんな怠惰な泰田さん、性的な誘惑をしてくるんですが、主人公に好意を抱いてる理由は図書室を貸してくれてるから。寝る場所として図書室を提供してもらってる。要するに怠惰を与えてもらってるわけですね。図書室は人気が少なく、はみ出し者という感じもある主人公にとって、偶然ではるものの図書室は彼女との2人きりの空間になって……と徐々に日常が非日常に変化していくグラデーションがとても良い。漫画に限らないけど、エロ作品の魅力はこの徐々に一線に近づいていき、ついに一線を越えるまでの過程だと思うんですよね。
 性的な魅力にすっかりやられてしまった主人公がペンを拾うフリして、のくだりが大変可愛らしいですw 思春期あるあるとして割とベタだと思うんですが、寝てる相手にわざわざフリをするってのが良いですね。控えめであり、可愛い。
 そして、そんなペンが2人の秘密の合図になって、というオチがまた素晴らしいです。一旦やってしまったら劇的に関係性が変わってもいいんだけど、いちいち言い訳のようなめんどくさい行程を経るってのがこの2人らしくて良いです。控えめであり、可愛くもあり、めんどくさいw

『耽溺キネマトグラフ』宮部キウイ

 元天才子役の女子高生が芸能プロダクション社長の息子が部長を務める映研であれこれされる。これ、オチで明らかになるんですが、要するに蟻地獄ですね。元天才子役の彼女が主人公の話でもあるんですが、本当のメインは人ではなく、場所。映研という周到に作り上げられた罠の話。たまたま今回語られるのは彼女だっただけです。元天才子役だったからああいうアプローチをしましたが、ズブの素人とかが来たらまた違う方法で落としていくのでしょう。
 特別な個人であると思っていたら、巨大なシステムにいともたやすく吸収されていく悲劇、という感じでしょうか。システムを作り上げた映研の部長は一切手を出さないまま終わる、というのも特徴的ですね。調子こいた彼女を落としていくことに快感を得る……みたいな描写すらない。最初から最後までまったくの平熱のまま。何度も見てきたという経験値であり、エロそのものよりもこの部、この蟻地獄システムこそが彼の作品である、みたいなことなのでしょうか。

『発情妖狐(ママ)は搾精(しぼ)りたい』ねりわさび

 タイトルがすべてを語りきってしまう系。こういう突き抜ける作品が常に一定数あるのが面白いですね。序盤の説明パートを簡略化するためにもタイトルで既に説明してしまおう、という。まぁ、意図は分かるし、効果的なのも分かります。まっしぐら感が楽しいです。
 コトが進むにつれて完全に受け身だった息子が性的に落とされ、最終的に主体的に動くようになるんですが、そこがドラマであり、性的に覚醒することが妖狐としての覚醒も意味していて……というのが面白い。散々「ヒィくん」という呼び名が繰り返されてきたんですが、最後に「氷知(ヒサト)」という呼び方が出てくるのとかも良いですよね。大人になった感があります。

『例えばこんなトリコロール』ばくや

 連載。前後編の2話目。2話なら読めます。
 好きな女の子に告白する件について黒ギャルに相談したら、あれこれ。黒ギャルが黒木さん、告白しようとする相手が白川さん、主人公が灰谷というダジャレネームが楽しいです。極端にデフォルメされた感じ、好きですよ。
 前編では告白の予行演習として黒木さんと致したんですが、肝心の白川さんへの告白が失敗し、後編が始まる。遊びのつもりだった黒木さんがすっかり灰谷に対して前のめりになってるのが可愛いですね。今回、この2人の愛は完全に一方通行。
 ということで、黒木さんから告白してコトが始まるんですが、これが前編と対比されてて面白いですね。前編では最中に抱きしめながら「好きです」と告白する場面が印象的だったんですが、ここ、抱きしめながらなので相手の顔は見ないんですよ。それに対して後編で黒木さんが “こっちを見ろっ!” と言ってくる。いじらしいですね。
 遊びから本気に変わる黒木さんの変化も楽しいです。基本的に黒木さんがノリノリになっていく様が見所だと思うんですが、いざ行為が終わって本格的に付き合うようになると灰谷くんは初めての交際なので “どこ行けばいいんでしょうか?” と再び物語の発端である「相談」に戻ってくるのがオシャレで非常に良い。ただ、一方的に教える教えられるの関係ではないので “これから二人で見つけていこうぜ!” と双方向性の結論に落ち着くのが最高。なにこれ、もはや感動とかそういう域。めっちゃきれいなオチやん。呼び方が変わる件もあるけど、とにかくエピローグがめっちゃ良く出来てる。

『さよならチルアウト』高柳カツヤ

 タイトルの通りですが、日常の中のダラダラした状態であれこれ。この当人たちに感動とかドラマが全然ない感じが素晴らしいです。ハードルが著しく低いw
 作家性なのか本作用の演出なのかは知りませんが、コマ割がものすごくシンプルで、ほぼ全コマが長方形。1ページだけ斜めの線ありましたけど他はすべて直角。そして、絵と吹き出しがコマの枠線を乗り越えない。1、2ヶ所だけですね、例外は。会話がメインのギャグ漫画とかならまだしも動きを見せる作品では迫力を出すためにやりがちだと思うんですが、一切ない。とにかく、低温で、特別さがまるでない。その表現としてめちゃくちゃハマってたと思います。
 一応物語はあるんですよ。引っ越し前の最後のあれこれですので、本来ならめちゃくちゃ感動的になってもおかしくないんですが、本作の場合は逆に「こんな時にそんなことするなよ」みたいな味わいすらあるし、それを激しく拒絶することない彼女を見て「これがこの2人の当たり前なんだ……」と驚くというか。
 あと、やはり本作における最大の事件はアマゾンの到着だと思うんですよ。ロマンチックのかけらもなくて最高ですねw しかも、このアマゾンの受け取りが妙に長い。思わず数えちゃったけど、5ページ。そんないる??と言いたくなっちゃうんですが、やっぱここが本作のハイライトに結果的になってると思います。服装は雑なのに鏡で髪を整える場面とかものすごくキュートですし、そこで「この格好じゃまずいかも」と少し意識するのも最高。で、ついに配達員との対敵ですね。何なら行為よりもこの場面の方がエロいですよw
 さっきから「日常」って書いてて、間違いなく本作のキーワードだと思いますけど、あのカップルにとっては日常であっても、第三者からは日常ではなく、異世界とかそういうレベルのあり得なさですよね。奇妙な世界に一歩踏み入れる寸前。
 んで、そんなアマゾン事件を経て、彼女が冷静さというか客観性を取り戻して少しだけ感動的になってエンド。ついでに部外者だった配達員にも思わぬ余韻があって……というオチも良いですね。


 終わり。長い連載はコミフロのバックナンバー読む時に一気に読もうと思います。
 初読時「こないだの快楽天のが良かったかなぁ」とか思ったんですが、いざ感想書こうと思いながら読み返したらそんなことはなく。めちゃくちゃ面白かったですね。やっぱエロ漫画の世界は奥が深いです。
 お気に入りとしては、連載の『乙黒美耶のお遊び』『お嬢様の処女は兄のモノ』『例えばこんなトリコロール』はどれも良かった。連載ならではの魅力が間違いなく生まれていたと思います。
 読切だと、『さきゅっと!』『ビター』『泰田さんはサボり魔』『さよならチルアウト』あたりが好きです。

 何となく自分の好みが分かってきた気がします。男の方もキャラ立ってる、可愛い感じが好きですね。ショタ的な意味じゃなくてもいいんですが、可愛いがあると嬉しい。

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