北区の帰宅部の意訳

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ジャンプGIGA 2020 summer掲載『ゆらぎ荘の幽奈さん』の感想

ジャンプGIGA 2020 SUMMER
ジャンプGIGA 2020 SUMMER

 来週のジャンプ記事のオマケにしようかとも思ったんですが、書いちゃったし、数日寝かせる意味もないので独立した記事にします。あと、長い。

ゆらぎ荘の幽奈さん』「日和さん、ゆらぎ荘に来る」

 リクエスト企画の採用案。正確には「宮崎日和がこゆずに誘われてゆらぎ荘にやってきた話」。私、すっかり日和単独のリクエストだと勘違いしてました。記憶力の問題。なので初読時「日和回なのにこゆず美味しすぎィィ!!」と思いました。実際はそもそもリクエストにこゆずも入ってたのですね。失礼しました。まぁ、リクエストした方は日和にしか興味がなく、彼女の出番を考えたらこゆずをダシに使うのがちょうどよかった、みたいな可能性もあり得ますが、とにかくリクエストに忠実な内容。

 カラー扉もリクエストの2人。パスタが美味しそうである。
 普通に乳首が浮いててGIGA掲載版の中では最も性的な(最も乳首に近づいた)絵だと思います。単行本に載るかは知らないけど、載るなら乳首解禁で話は変わってくる。

 本編。まず驚いたのが、その時間設定。高二の夏休み。コガラシくんはバイト行脚中。正史扱いで、こんなにも細かく「ココらへん」と指定されるとは思いませんでした。もっとパラレルな世界で荒唐無稽な話になるとばかり。リクエスト送った身としては「妄想全開じゃダメだったのか!!」と驚き。正史に組み込めるかどうかで足切りが行われてた。ここまで読み取らないといけなかったのか……

 がっつり正史扱いだと思いますが、ぶっちゃけどの季節に組み込むかの自由度は高かったと思います。夏休みなのはコガラシくん不在の言い訳として便利ってのもあるけど、単純にジャンプGIGA発売時の季節に合わせるってのが第一だったのでしょう。連載時はこういうリアル季節との一致がなかったから新鮮です。「ハロウィンの翌週は幽奈さんの誕生日だ!!」とリアルを無視して劇中の季節を計算したのも懐かしい思い出。ちなみに伊集院光と同じ誕生日。

 パラレルではなく正史だったことの弊害。出演キャラクターに縛りが生じる。「雪崩くんワンチャン……!!」と期待してたんですが、パラレルじゃないなら無理だわw
 まぁ、雪崩くんは元々望み薄いですが、他にも「○○はついでに出るやろ」と期待してたファンも多いと思います。ドンマイやで。夏休みにゆらぎ荘に残ったキャラ(+ミリア)のみです。狭霧不在とか意外ですね。
 とはいえ、出てきたキャラは多いと思う。てか普通にちゃんとした読切なので大満足なんですけどね。

 本編。なかなか本題に入らない。もう『ゆらぎ荘』の新作読むのが嬉しくて嬉しくて……。
 話としては、リクエスト通りに始まる。逆に言うと、この時点でリクエストは完遂。あとは作者のフリースタイル。そこで行われるのがシャンプーボトル回の再現。今度はアロマオイルである。オイルマッサージが行われるのでボディシャンプーよりも体への圧が強い。以前と同じ発想なんですが、しっかりパワーアップ。その手があったかw
 そんなアロマオイルが女将さんコレクションで、霊力があるので、コガラシくんが例のパターン。女将さんの話はもっと読みたかったな……と無い物ねだりは尽きない。あとミリアちゃんの家族の話とか。あとは何でもいいので雪崩くん。

 アロマオイルで豊胸マッサージ。「雲雀ちゃんも混ぜてあげてよお!!」とか思わんでもないテーマですが、リクエストでこゆず固定なのでまぁ追い出されるのは必然か。
  “コレって脂肪をおっぱいに集めてるの?” “っていうよりは血行をよくする感じね! バスト自体を揉んじゃうとかえっって小さくなりかねないの” というガチで役に立ちそうな情報が出てくる。「揉んでしまった……」と落ち込む乙女が全国にいると思う。あと雲雀ちゃん。
 そんな「揉むのは素人」という話から、 “呑子ちゃんておっぱい小さくしたいんでしょ?” と呑子先生の胸を直接揉む展開に移るのがすごい。マッサージの体でコガラシくんが胸を揉む……と思ったら直接は揉まない……からのやっぱ揉む。豊胸マッサージというテーマでこんだけ筋の通った展開になるんだからすごい。溜めと盛り上げがしっかりしてる。

 胸を揉むのにワンロジック用意してしまったので、逆に言うともう胸は揉めない。呑子先生で終わり。じゃあどうするのかというと、疲労回復でお尻だ! リンパだ! と次々に連鎖していく。エロの言い訳としてのマッサージってあっち方面の作品では定番のシチュエーションですけど、「定番だから」と思考停止に陥らず、しっかりと『ゆらぎ荘』らしいロジックを構築して、それを多人数のヒロインを相手にし、段々と盛り上がっていく構成にしたのが本当に見事。途中でコガラシくんのマイクロビキニというギャグ要素も入れて緩急もバッチリ。バカ回なのは間違いないんだけど、ものすごい頭の良い人がバカ回を作り上げてるのが伝わってくる。本当に純度の高いバカを求めてる人にとってはこの知性が頭でっかちに感じられたり、エロの邪魔に感じてしまう恐れもあるのでは……と余計な心配もなくはない。まぁ、そういう作品だったら私はジャンプGIGA買ってないです。

 んで、クライマックスは当然日和。揉み手は呑子&こゆず。つまり、コガラシハンドが4本。あくまでもアロマオイルになってるんだから1人じゃなくてもよかろう、という発想が素晴らしい。
 「こゆず直接おっぱい揉んでるじゃん」というツッコミも成立しますが、こゆずなので単におっぱい揉みたい欲に勝てないってことなんだと思います。その前のミリア&仲居を両手に侍らせる場面でも胸揉んでる(2人同時は難しいという言い訳)。そもそも呑子先生の胸を揉むことを言い出したのもこゆずなので、「マッサージにかこつけてみんなの胸揉めないやんけ」とこゆずが一計を案じたとも考えられますね。

 一通り揉んでからコガラシくん救済。ここでこゆずが活躍するのが良かったですね。こゆずってこの手のハプニング発生装置として重宝されてるイメージありますけど、本編でも結構「ドジで良くないよね……」とガチ反省する話は多いです。その誠実さが本作の良さ。劇中で最も無責任でも許されそうなこゆずですらこの水準。やっぱ『ゆらぎ荘』特別なんだよなぁ……この手の感想は逆に落ち込むので良くないw

 こゆず頑張る。ハプニングからの反省と成長、これだけだと今までにもあった話なんですが、今回は「それを見守る日和」が加わる。リクエスト通りの人選なんですが、この収まりの良さにはマジ感動します。むしろ本編でなかったの作者の手落ちじゃない? とか思ってしまうレベルで納得。
 こゆずの頑張りと、日和の見守り。これが双方的なんですよね。一方通行だったり、どちかにとってだけ都合のいい話ではない。 “ママさん達と一緒にいると このままでいいって思っちゃいそうで…怖いんだ 一人前の化け狸になるには…それじゃいけないから…!” と言うこゆずに日和が心打たれるんですが、それを見てる私も感動。この手のママさんキャラ、いわゆる「バブみ」じゃないですか。本来ならバブみで、ひたすら甘やかしてくれる良さだと思うんですが、こゆずがそれを否定することで彼女の成長とする。バブみキャラに対してバブみの否定をぶつける。せ……誠実ゥゥ!!!!! マジ感動です。てか、ちょっとどうかと思うくらいに真面目だと思う。生きづらくない? 大丈夫? とか心配にもなってくるw

 ちなみに、中盤でこゆず(コガラシ)に胸を揉まれたミリアちゃんが逃げ出す場面あるじゃないですか。ぶっちゃけ読んでるとき少しだけ違和感あったんですよ。別に退場しなくても別のキャラに話は移るので問題ないので。他はキャラはそうなんだし。
 まぁ、要するに、こゆずが頑張る話にするためには幽奈&ミリアが邪魔だったって話。幽奈さんはチートレベルの術師なので当然アウト。なので気絶してもらう。そしてミリアちゃんも変化の術を使うので最後の場面に居合わせると都合が悪い。ただ、ミリアちゃんはコガラシくんへの恋心がないのでコガラシくんに揉まれることに特別な興奮はない。なので “こんなのムリですぅぅ!!” とまるで男に揉まれる感触を嫌がって立ち去る。ミリアちゃんも好きなので今回出てきて嬉しかったんですが、ちょっと邪魔な存在でもあったのですね。

 ラストは当然お風呂で反省会。先週のジャンプ本誌におけるミウラ老師の新作読切のラストが「お風呂入っちゃう?」みたいなセリフで終わってたんですが、『ゆらぎ荘』ファンへの目配せ的な小ネタでもあったんでしょうね。
 そんなお風呂でのラスト。ガチ反省するこゆずと、 “こゆずちゃんのカッコイイ所も見れたしね!” と励ます日和。この大人観、すごい好きです。本作全体に通じる絶妙な大人キャラの距離感。優しく見守る感じが本当に好き。仲居さんとか夢咲先生とか。呑子先生はさすがにちょっと当事者としての側面が強いんですが、それでもやっぱ大人として振る舞う場面も多いですよね。少年漫画でこの大人キャラを描けるってのがすごいことだと思います。お色気漫画だからただの女性キャラとして扱ってしまいがちなんですが、少し引いた立場にいる存在。同じ高さにはいない。夢咲先生がコガラシくんに恋する話もあったけど、それが具体的な行動に移るような話はないまま連載が終了する。この判断が実に本作らしい。
 そんな大人の優しさ、見守りつつしっかりホメるのが結集したのが先ほどのセリフ。本作で唯一、子育て経験のある大人キャラという貫禄を感じる素晴らしいセリフだったと思います。ミウラタダヒロ経産婦説……!!(なんでだよ)

 んで、こゆずは成長したけど、おっぱい星人なのは変わってない、とオチがついて終わり。
 なんですが、あのラストショット、何気にミリアちゃん可愛すぎません? 日和の胸に顔をうずめてるこゆずの背中に、寝ながら手を伸ばすミリアちゃん。どんだけ仲良しなの……と萌える。と同時に、ひょっとしたら手を伸ばしてる対象はこゆずではなく日和なのかも、と妄想するのも一興。日和の圧倒的バブみを目の当たりにして母親に甘えたい気持ちが生まれてしまい、それが寝てる間に発露した、なんてのはどうでしょう。まぁ、ミリアちゃんの暗黒家族エピソードを期待しすぎてる弊害なんですがw


 ということで終わり。終わるのか。てかもう終わったのか。もう読めないのか、『ゆらぎ荘』。うわ、つら。最終巻で描き下ろしエピソードを是非とも……なんだけど、そうだとしたら最終回のときに告知してるよなぁ。なにこれ。来週のジャンプに『ゆらぎ荘』載ってないとか笑えてくる。しかも『ハイキュー』もないからな。100円くらいでいいんじゃないかしら。


 突然恨み節になっちゃったんで本誌連載作品の番外編について少し。
 『あやかし』『灼熱』『タイムパラドクス』の3作品がどれも衣類をテーマにしてて興味深かったです。番外編ということで、本編を補足説明するような内容に偏ってしまったのですね。同じテーマなんですが、三者三様だから面白い。てか、『タイムパラドクス』佐々木出さなくていいんだw
 あと『ボーンコレクション』。『ドラえもん』をジャンプコミックスにしてて「それはダメだろw」とか思ったりしました。逆さにして読んでるのは可愛いです。説明もツッコミもないのが2人の日常という感じで良い。

香油 藤

香油 藤

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