北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

週刊少年ジャンプ2024年42号の感想

 『ONE PIECE』の歴代映画がネトフリ解禁されたので未見の人は『オマツリ男爵』がオススメです。嘘。細田守好きな人にはオススメです。『ハウル』を降ろされ、チームを奪われ、意気消沈した自身をルフィに重ねるセルフセラピー的怪作(背景を知らないと普通につまらないと思う)。

表紙

 新連載。本編(モノクロ)では気づかなかったピンクのピアスが印象的。ピアスってかイヤホンか。

読者プレゼント

 スカイダイビング。珍しい題材。風を浴びて髪の毛が舞い上がっちゃってるのを再現してるとことか地味に好きです。「髪がこれ以上長いと無理!」というギリギリの判断も感じられる。

巻頭カラー『しのびごと』たけぐし一本 みたらし三大

 新連載。作者はそれぞれ原作と漫画。『アメノフル』コンビ再びですな。食べ物忍法が出てくる可能性はまだ否定されてないので期待してよさそう(ずるい論法)。
 巻頭カラー。タイトルロゴがかっこいい。表紙のより好き。あと、暗さ表現がカラーページならではの解像度で良かったです。モノクロ本編(再生紙)でもギリ見れるレベルになってて結構良かったけど、カラーページを本編に使う見開きってよほどの人気作にならない限り今後ないと思うので、良いもん見れました。挨拶代わりにかっこよかったし、なかなか良い巻頭カラーだったのではないでしょうか。
 本編。忍者がいて、公安警察として頑張ってる。ぶっちゃけ、今週の内容だけだと殺し屋でも代替可能な話だと思うんですが、殺し屋漫画に出てくる殺し屋が警察に取り込まれてる可能性はほぼゼロだと思うので、意外な角度で独自性が生まれてたと思います。
 殺し屋でもいいって書いたけど、一応しのぶことが物語の中心だから忍者らしいってのはあります。それは分かってるのよ。殺し屋漫画でもそのくらいの護衛任務はありそうって話で。もしくはスパイ。
 コミュニケーションが苦手なスーパー忍者が、学校にてスーパードジな女子生徒を護衛することになる。超シンプルで分かりやすい設定来たな。読切でもありそうなくらいシンプル。今後どのように膨らんでいくのか楽しみです。
 コミュ障設定。もはや定番というか、「また学校で普通を目指す主人公だ……」って感じのデクだ。正直さすがに多すぎると思うんですが、昨今の若者をターゲットにするなら必要な戦略ということなんでしょうね。学校でマイノリティのような自己認識の人が圧倒的多数なんだろうな。変な世の中だ。いや、実際のところは「俺もホントはこの主人公と同じくらいコミュ障だけど何とか仮面かぶって頑張ってんだよ」という人が多くて、そういう人にコミュ障主人公は響きやすいってことなのかな。
 スタート時点で主人公が最強という設定を含め、とにかく近いのは『キヨシくん』だと思う。ただし、『キヨシくん』は学校以外の話もあるので、そういう差別化は感じる。ちなみに「普通の学園生活を目指す」系の主人公で意外と独自性が生まれてるのは『キルアオ』だと思う。普通の学園生活がオジサンの魂の救済になってる。基本設定は某漫画をまるっと拝借してるが、十三と某探偵はここが決定的に違う。ただ、あっちの某警部の下の名前が十三なのでややこしいです。
 『キヨシくん』ではなく『キルアオ』と本作が似てるのはイヤホン越しに指示を出したりサポートしてくれるオペさん。完全に猫田なのだが、現状顔出しが完全にナシ。ツッコミとか普通に個性のあるキャラクターを感じるのに、という現在のバランスがかなり魅力的だと思うので、いつか顔出すにしてもしばらくはこのまま放置してほしい。ただ、喋りだけでキャラを立たせることを意識的にしてる気もするので、ひょっとしたらこのまま「声だけ」キャラになるかもしれん。その状態で人気投票やってほしいなぁ。
 護衛対象。友達も恋人も大人が用意したもので、彼女自身もその運命に違和感を少し抱いている。最初は “僕につけて欲しい…” とギャグにしてたけど、「そんなの良くない」的な話になるのは明らかでしょうね。普通に憧れる主人公との食い合わせも含め、このテーマは面白そうだと思う。かなり良い。
 普通を避けたいヒロインと、普通の入学式が怖くて行けない主人公が2人きり。面白いセッティング。友達役の忍者の手落ちが酷いとは思うが(メガネなので許す)、「なぜ2人は出会って仲良くなったのか」の部分に理屈があり、そこが感動的で、何なら運命を感じてしまう。
 ということで、当然出てくる暗殺者。殺される錯覚演出は定番であるもののかっこよかったし、そこから敵が “…あの女に正体を隠しているのか” と情報を読み取るのが良い。強くはないが、素人でもない説得力。最強主人公が思わぬところで苦戦するという面白さでもある。
 バトル。当然圧勝なのだが、圧勝すぎて主人公の底が見えないバランス。基礎能力がひたすら高いことしか分からず、バトルキャラとしての特徴とかは全然見えない。その中でも、敵が使ったペンを使って、冒頭の場面で説明した隠れ身の術を使って勝利する、という気の利いた展開があるのがすごく良かった。最強キャラなら雑なワンパンで終わってもおかしくないのですが、楽勝だがちゃんと面白い。
 友達になって初回終わり。 “友達になろうよ” の返事が “ちょっと… 考えさせて下さい…” なのが予想外で笑ったわ。笑ったのだが、そこにツッコミを入れるのではなく素直に “うん” となるヒロインも良い。登場時の運転手とのやりとりでもそうだが、ちゃんと良い子感がある。
 終わり。『キヨシくん』すぎると思ったんですが、なかなか良い初回だったと思います。やはり『アメノフル』コンビ好きだぜ。あらすじレベルでは普通なんだけど、読んでると細かいところでしっかり面白い。気づけば魅力的なキャラの紹介も済んでるし、かなり良かったです。

『呪術廻戦』269話

 スクナ戦の反省会。よく『ドラえもん』の映画を観たキッズが「最初に○○使えば楽勝だったよな」と面白かったのを隠しながら強がったりしますが(私でした)、それと似たような感じ。『ヒロアカ』でもそうだったけど、この手の最終決戦は「ぼくのかんがえたさいきょうのさくせん」みたいな話になるので、それに対して「もっと良い作戦あったでしょ」と作中でツッコミが入ってくる。それへの反論も劇中で語られるし、そもそも真希さんはなんで乙骨を鬼詰めしてるんですかねぇ……とニヤニヤできるオチも良い。
 意外とメインテーマだった簡易領域。正直「強さランク」的な基準ではかなりどうでもいい部類の話だと思うんですが、本作世界の、それも学生たちの今後の世界を考える上では最重要テーマだった、と繋がってくる。冒頭で “いい加減ガキはガキらしくしてくれ オッサンの肩身が狭くなる”ツンデレを発揮してた日下部(唯一の先生)の存在もそうだけど、学生たちの今後の話に徐々に移っていってるのが最終章エピローグらしくて良い。かなり好きです。
 まぁ、その若者たちが過ごしやすい世界を作るために行うのが、「世界の上の方にいる老害を殺す」なのが痛快でもあるがちょっと安直すぎる気もする。五条先生もそうだったね。まぁ、こうでもしないと難しいってことなのでしょう。分かる。ここらへんのスタンスは『ヒロアカ』と全然違うので面白いですね。「そもそも世界のシステムがクソ」系の作品は本作以外にも多いと思うんですが、本作のこの乱暴すぎる解決法はおそらく極北でしょうね。世界のシステムを無視できるほどに五条先生が強い、という最強キャラ大喜利の一環だった話を今回冥冥が引き継いだ、みたいな形だと思う。
 そんな冥冥。駄菓子屋の背景に集まってくるカラスが良かった。駄菓子屋とカラスって普通に夕方の光景として美しいというか、エモいの部類だと思うんですが、本作の、それも冥冥がいると意味合いが全然違ってくるのが面白い。

ONE PIECE』1126話

 本格的にエルバフ行きそうな雰囲気になって楽しみ……と思ったらバルトロメオ。「そもそも猛毒は今のルフィには効かんじゃろ」とか野暮なことを考えてしまったんですが、あの回りくどい儀式めいたやりとりが尾田っちの好きな世界観なんだと思います。毒の瓶(蓋はない)をわざわざバルトロメオの眼前に持ち出した時点で超怪しいんですが、それも含めてシャンクスたちの狙いだったんでしょうね。
 お次は黒ひげ。会議なのだがひたすらガヤガヤしてて良い。シマシマの実も含め絵面が楽しい。見開きの会議も超かっこよかったし、そこで唯一カメラに背を向けてるクザンも意味深。「最後の晩餐」でいうユダ的な描かれ方(ダヴィンチのはちょっと分かりにくいけどサイゼリヤとかに飾ってあるやつだと露骨にユダの孤立が強調されてる)。
 相変わらずルフィたちへの興味がなくなるような面白さですね……とか思ってたらラストにまったく知らないタイプの展開が来るので驚いた。まさかの酒による幻覚。衣装が違うことで幻覚だと示すのはいいんだけど、衣装が違う上に顔があまり描かれないので、一瞬誰だか分からなかったです。文脈でナミだと分かったものの。
 まぁ、おそらくだけど、小さめの事件をやって、そっからエルバフ上陸なのでしょう。とにかく最近の『ONE PIECE』は島ごとに事件が大きくなりすぎてるので、比較的こじんまりとした、良い意味でどうでもいい事件が描かれるのだとしたらかなり楽しみです。なので、変に「実は仕組まれた陰謀だった」みたいな方向にならないといいな。まぁ、マジで何の意味もない寄り道になるとも考えづらいですが。

センターカラー『魔男のイチ』2話

 カラー扉と本編、どちらとも今週はイチの少年っぽさが出てて良いですね。変人なのは前回と同じだけど、今回はかなり無垢性に寄ってるというか、ゲスく言うとショタみ。デスカラスさんの変人性もかなり際立ってたし、キャラクターで魅了してくるタイプの2話だったというか、初回の補足をするような回だったと思う。
 新キャラではないが新キャラ的な存在なのは殺されたはずのウロロさん。前回の感想で「習得された魔法の人格は残るのか」と気になってたんですが、正解は「ヴェノム方式で残る」でした。考え得る限り最高の形であった。ウィーアーヴェノム! デリシャス!
 ヴェノム方式のショタ主人公というと、去年の読切『小羊虎を成す』もそうだったわけですが、あれはヴェノム役が綺麗なお姉さんだったわけで、どっちがヴェノムに近い可愛さかと言えば断然本作だと思う(ショタの魅力については議論が分かれる)。つまり何が言いたいかというと、トム・ハーディはショタ。
 とにかく変人性を(ウロロ以外)が発揮するキャラ萌え回だったわけですが、最後にイチが見せる究極的な変人ムーブというのが「こちらの想像を超える良い奴」だったのも強い。この手の大技のリスクを無視して行動できるキャラクターって主人公像としてよく出てくるけど(『ヒロアカ』デクとか)、それで行うのが自分のやったことの尻拭いであり、リスクが爆睡だったのが良い。寝てる間もウロロは元気に出てくるのもおいしい。

『ひまてん!』10話

 ありそうでなかった給料の話。初めての給料日なので緊張するひまりと、この仕事は別に初めてじゃないので特に意識してない殿一。仕事人としては基本的にひまりの方がスケールが大きいイメージだったけど、家事代行に関してだけは逆転してるのが面白いですね。殿一にとっては数ある代行の中の一つ、という不均衡。
 特別な初給料なので気合い入れて手渡ししたいひまりと、「振り込まれないんですけど?」という殿一。すれ違いコントなのだが、誕生日プレゼントとかでやるべき話だよな。給料の渡し方なのが面白い。現金の授受でドキドキしてるんじゃないよ。
 ひまりが幼稚であたふたしてるのが楽しいのだが、逆に殿一は自己評価バカ高いが故にややこしいことになってるので面白い。徹底して仕事の話なのに、ただの給料の支払いでこじれる。最終的に交際1ヶ月記念みたいな雰囲気になって終わるので改めて「金銭の授受なのに……」となる。
 家事代行の仕事について「家を守る」という表現が出たのは本作的に重要なんでしょうね。『ウィッチウォッチ』的な守人ポジ。

『僕とロボコ』201話

 寅さんにハマる。相変わらず趣味が絵に描いたようなオッサンすぎるよ、宮崎先生……。王道を突き進みすぎてて「理想のおじさん」みたいな風格すら漂い始めてきたというか。
 厳密には「男はつらいぜ」。許可取らないと名前出せないというルール(自主ルール)ってマジなのかな。正直ナンセンスだと思うし、勝手にやって怒られる筋合いないと思うんだけど。案外自由ではない。
 寅さんになってやりたいことは人生相談。以前、ラジオ番組『ハライチのターン』で岩井が同じことをやってたけど、あの映画って人生相談したくなる作品なのかしら(未見)。
 ロボコのインチキ回答をゴリモツの解釈でカバー。都合良すぎるので笑ったのだが、ボーガンの矢のくだりだけはちょっと分かってしまった。もうちょっと頑張れば私もあの2人のポジションになれるのかもしれない。

センターカラー『逃げ上手の若君』172話

 『ONE PIECE』でいえば島と島の間の世界情勢の回。天下取りの基本ルールを改めて説明しつつ、疑問を呈しつつ、という前半がなかなか面白かった(コラムが完璧なタイミングで補足してくれる)。バカの疑問が意外と真理。ただ、ラストの実際の歴史研究の話をした直後に漫画的なハッタリに全振りする演出は相変わらず萎える。脳潰れたのに動いてる男がいたんですよ~(男は黙って死ぬ)。
 歴史研究における名刀の謎。前にも出てきたが、完全に『火ノ丸相撲』でお馴染みの名前が出てくるから面白いよね。正直鬼丸ってまったく知らなかったけど、人気の名刀だったのですね。

『カグラバチ』49話

 戦力差の話。敵陣営のツメゲリ部隊、過剰評価してた。前回の「実は生きてた→やっぱ死んでた」の話、無駄なラリーで正直ヘタクソな作劇だと思ったんですが、完全に無駄ではなく「ツメゲリ部隊なら結構勝てる」という情報をチヒロたちに届けたのが大きな成果だったのですね。これはかなり面白い。そして先週の感想もちょっと修正したくなってくる。今回チヒロが気づいた戦力差の修正は、読者が先週気づいてもおかしくなかったやつですね。意地悪しないでよ……。
 んで、チヒロは下車。考えあっての選択で、その考え自体は面白いのだが、やっぱ車内の閉所で守りながらの戦闘はチヒロだけじゃなく作者的にも難しいのかな……などとメタなこと考えちゃう。一対多になることで相当スッキリしたというか、バトルが分かりやすくなったと思う。

『アオのハコ』164話

 遊佐弟の悩み。弟特有の利があって、「器用」と言われ自信を得たが、それを兄の圧倒的な努力の積み重ねによって崩される。器用という自信が呪いになって、がむしゃらに頑張ることを自然と避けてしまった、というのはめちゃくちゃ面白い。そして努力の積み重ねというのは本作でいえば大喜でお馴染みの強みなので、それを司るのが遊佐兄というのも熱い。やはり大喜と遊佐兄の対比や対立、良い。申し訳ないが未だに兄の方が圧倒的に好き。
 ただ、DNAへの反抗としてピアスが出てきたのは最高だった。不良イメージの象徴みたいな扱いだったけど、実は彼の根っこにあるこじれメンタルの現れであったという。非常においしい。せっかくなら双子で片方だけピアスって方がうまみが増すと思うが、「努力の蓄積は兄に分がある」という話とかみ合わないのでダメか。
 『美女と野獣』のラストで野獣がイケメン(とされる)王子になって可愛くない問題(主にディズニー)。この件は、当時ディズニーの責任者で『美女と野獣』に関わったジェフリー・カッツェンバーグがディズニーを抜けた先で作った『シュレック』が完全なアンサー(結ばれた果てに美女が野獣に戻る)になってるので私としてはもう擁護意見とか結構です。世界一面白い映画だと思う。そもそもディズニーの方、野獣状態が無駄に可愛いから話がややこしいんだよな。グッズ展開とかも100%野獣だし。ラプンツェルでも似た現象あるけど、呪い状態の方が商業的に重宝されるジレンマ。

『SAKAMOTO DAYS』182話

 ボイルさん、獄中でのシンのライバル兼理解者みたいな感じになるのかと思ったら新キャラの噛ませ犬扱いになってしまい悲しい。看守長ぶっ倒したら次のレベル(さらに地下)に行ける、という設定はめちゃくちゃシンプルで好きだけど、ボイルさん……。
 そんな看守長、シンにキレるのは反抗したからではなく、ここから出て行こうとするから。言い分が狂ってて、それでいて前段の恐怖政治の場面と完全にリンクしてて良いなぁ。狂人なりの言い分が理解できてしまう。
 面白いのだが、「こんなとこで苦戦してたらいつまでも監獄編終わらないよ?」という変な角度の心配も出てきてしまった。心配というか、予想外の出来事に驚いてるって感じか。
 まぁ、シンの実力は既に限界を迎えてるので、伸びしろは超能力にしかない。そんな話だったので、ここで何かしらの成長を見せるのでしょうね。超能力が。成長するのが普通の人の強さの部分じゃないので、成長後に看守長を瞬殺しても都合の良い覚醒展開にならないと思う。うまいというか、かなり面白いな。成長の話。

『あかね噺』126話

 打ち上げ。ぼんやりと次の話に繋がるのかと思ったらとっ父破門の真実に近づくので驚く。おっ父はそもそも実力がどうこうではなく、やった「芝浜」の内容(流派みたいな?)に問題があると判断されて即破門。腑に落ちて気持ちいいのもあるが、初回からずっと抱えてきた「不条理破門ジジイクソが」を大事にしたい気持ちもあるので正直複雑。これは前にも似たこと書いた気がするが。
 見開きで絵が差し込まれるだけの葬式の回想。情報的な要素は少ないが、非常に良い。各師匠キャラの若かりし姿も見れて眼福。やっぱキャラデザ的な魅力、本作は圧倒的に強いですね。まぁ、一瞬「おっ父の葬式はつらかったよな……」と誤解したんですが。

『夜桜さんちの大作戦』242話

 もずの改造&コピー開花と、七悪の開花春来。正直この手の最終章特有の卍解披露祭りは単調になりがちというか、能力の情報を開示して即勝って終わりになりがちなので、そろそろ飽きてきたところもあるんだけど、今回で一区切りついて、話が次段階に行ったのが良い。非常にちょうどいいタイミング。人数が絶妙だな。まぁ出し惜しみしてる長男長女が残ってて、あの2人は特別扱いになってるのもうまい。

センターカラー『ウィッチウォッチ』171話

 水着集合ポスター風。チャミーに色が着いたのは大きいと思うんですが、正直本作(篠原作品)の女性キャラにセクシー系の魅力はほとんど感じないんだよな。別に絵が下手とか、漫画として魅力が乏しいとは思わないし、世間的には人気あってもおかしくなさそうみたいな納得はあるのだが、不思議だ。強いて言えばモモチは独自性あって好き。
 本編。モイちゃんの古着回。週ちゃんとかは前から注目してたように、見る人が見ると初期の頃からオシャレとして描かれてたらしい。マジでそういう目が足りてないのを痛感する。ただ、本編では単なるオシャレではなく「めんどくせぇオタク」のキモさを抽出してるので良い。ここらへんのバランスはさすがだ。
 理想の古着屋。「知らねぇ~」と鼻ほじりたくなるんですが、ジーンズの回と違って、一応説明されてる違いはある程度分かる。それが面白いとも取れるし、分かった上で1ミリも響かないのでジーンズ回より「実際にこれ目の当たりにしたらマジで苦痛だな」という感覚が生じる。いや、勝手に楽しそうに話してる人自体は好きなんだけど、話を聞く上である程度興味あるフリをするのがつらいというか。今回は一着選んであれこれ言われるので地獄みが深い。というか、マジで金銭的な価値を無視すれば「本当にいらないんで結構です」って言いたくなっちゃうな。知らないオジサンのおさがりとか考えちゃう。まぁ、ごねにごねてモイちゃんに受け取ってもらうしかない。
 話としては、オタクのダークサイドを丁寧に描き、モイちゃんでもそれに堕ちてしまったのが面白い。本来だったら堕ちないと思うが、今回は「高校生が手を出すには金銭的にきつい趣味」という前提が利いてる。
 お店の中で選ぶ、選ばせる。そこに世間的な評価が絡んでくる話。要するにこれ、趣味全般、オタク全般に当てはまる寓話だったと思うんですよ。そういう意味でかなり良く出来てたと思う。私だったら映画とかになると思うけど、友人と「好きな映画1本ずつ借りて徹夜しようぜ」みたいな話になった場合が近いだろうか(レンタルビデオ文化が古い)。好きなの選んでほしいけど「いやそれはちょっと……」と言いたくなってしまう気持ちも分かる。ダークサイドの魔の手はそこかしこに潜んでいる。

『願いのアストロ』21話

 警察署。完全に忘れてた。警察に協力してるんだった。ノノちゃんもすっかり忘れてたので新鮮な気持ちで「シルエット面白いな」ってなった。
 マル暴上がりの刑事がアストロ関連の課の班長になって現れる。急に警察の話も細かくなるし、逆にヤクザサイドのお抱え弁護士とか出てくるし、エネルギープラントとか言い出すのでオラわくわくすっぞ。ヤクザ周りのフィクションとして「いかにも」な要素が次々と出てきて面白そう。ただ、ヤクザ周りの描写を細かくすればするほど、本作の「正義のヤクザ」というフィクションが難しくなると思うんだけど、大丈夫なのか。まぁ、負の側面はシオウ関連で深堀りする予定だろうから逆に好都合なのかも。やはり面白そうだ。
 ゴリラなのにブタ呼ばわりされた寅兄がしょっぴかれる。動物が多すぎる。正直味方にするには便利すぎると思うので(グランドライン突入したあたりでジンベエが仲間にいるくらいのイメージ)、作劇上の都合も感じるのだが、 “未成年で救われたな世剣ヒバル” と汚い大人の策略に関わらないでいられるのは少年主人公(少年漫画)の特権、という扱いが面白い。少年漫画って話のスケールが大きくなればなるほど「子供が戦うべきじゃないよ」ってなりがちだけど(『ヒロアカ』とか)、本作は子供だから戦うべきという話をヤクザらしい理屈で構築してる。

『悪祓士のキヨシくん』12話

 極端なキャラクターの人たちが顔合わせしつつ、基本はキヨシの人見知りギャグで進めつつ、年齢の話も出てくる。定番っちゃ定番なのだが、普通に面白いな。誤解されがちなキヨシが34歳には即好かれてるのが良い。そこに試験前からある棺くんとの対立(仲良し)の軸が加わってくる。正直試験的な危機感は皆無に等しいのだが、めちゃくちゃ面白そうである。まぁ、34歳だけ危ない目にあって「足を引っ張ってすまない」「そんなことないですよ」的な話になるんだろうけど、現状のパワーバランス的にキヨシと棺だったら赤ちゃんを守りながらでも楽勝でクリアできそうなイメージなので、どういう理屈で34歳が危機に陥るのかが楽しみ。

『鵺の陰陽師』66話

 打ち上げ。サブタイの「打ち上げ」まで今週の『あかね』と完全に一致だ。地味にすごい。こんな味も素っ気もないサブタイをつける作品が同時に現れるとは……。
 打ち上げでチームの結束を高めると同時に、捕らえた人から情報を引き出す。冒頭、緩急のギャグとして描かれた「子供好き」を戦略として即採用する鵺さんが小ずるい。ああいう宴会の席での子供モテ、そりゃ効果は大きいだろうな。それと同時に「知らないわけではないが……」という距離感の人との挨拶が不意に訪れたりして、コミュ症描写の解像度が高いところも好き。宴会らしいワチャワチャ感もありつつ、細やかなキャラクター及び関係性も見せててかなり良い回。本作の強さを感じる。
 情報を引き出す件。子供作戦はそれほどでもなかったが、逆に鵺さんが大胆に情報を開示することで相手に喋らせることに成功する。ここも鵺さんの大人感があって良いよな。鵺さんだけ宴会の席でも情報戦をしてる。いや、厳密に言うと、鵺さんが自らの過去を暴露したことで相手がびっくり情報を提示してくれるところに因果関係はそれほどないと思うんだけど、あくまでも雰囲気として策略とか攻防っぽくなってて好き。

『超巡!超条先輩』30話

 超巡、家庭菜園を始めるの巻。突拍子がなくて最高のスタートだ。
 そこから超巡の催眠が野菜に効くと気づいてしまった超巡がSNSで承認欲求を爆発させる。SNSが出てきたのが何気に驚きなんですが、超巡らしさもしっかりと感じる。話の展開は『こち亀』っぽいんだけど、超能力とは別にちゃんと超巡らしさがベースになってるのが良いよね。あとセクシー人参が予想以上にセクシーなので笑いつつ少しドキドキしました。おそらく本作が最もエロに近づいたコマ。
 SNS。インプレッションで稼ぐのではなく、あくまでも野菜を売ったり、本を出したりと、実際にメイクマネーする方法がちょっとだけ原始的なのも良い。扱いきれないという側面もあると思うが、ギャグ漫画が描く寓話としてある程度原始的な構造の方が面白いんだろうな。プリミティブでフェティッシュな何とかかんとかってトヨエツが言ってたのをSNSで大量に見ました(未見)。
 自業自得かつSNSで炎上。炎上のイメージとしてオシシ仮面の「グエーッ」を持ってきたので笑った。当然キャラクターのビジュアルは似てないんだけど、一目で分かってしまうからオシシ仮面はレジェンド。何気にオシシ仮面の「脚」を似せて描かれてて、丁寧な仕事ぶりを感じる。

『キルアオ』69話

 騎馬戦開始。騎馬戦のルールが特殊で正直意味分からん……いや、ルール自体は分かるが「それ面白いの?」という感じだったが、今回始まって分かった。最初にカンフーと空手がただ戦うところから始まって、そこから騎馬の戦いに移行、及び同時進行になるってことですね。最初は分かりやすいバトルが描かれ、その後試合が複雑になっていく。なるほど、これは面白そうだわ。「最初はただ殴り合うだけなの……?」というズッコケ感が良い。
 空手の人が腕につけてるやつ。てっきりトレーニング用の重りだと思ってたけど、普通に本番も着けたままなのね。突きではなく腕を振り下ろす動作をメインにするなら、重りがある方が威力が増しそうな気がする。その場合はトレーニング用ではなく単なる武器か。……武器アリなの?

『アンデッドアンラック』222話

 アンディがユニオン入り。ジーナが席を譲る形になるが、そこで彼女がこっそり古参アピールしてるのが良かった。アンディに勝てないことは分かってるが、「この中で風子とアンディの関わりの深さを唯一知ってるのは私」みたいな自己肯定感。
 んで、いざマスター戦。切り札はジュイスなので、その覚醒をどうするかを考えて準備したかったのだが……という即開始。たしかに、前回の「いよいよ最終戦だ!」みたいな盛り上がりから、今週「それでは数ヶ月準備の方を……」となったら萎えるもんな。その間をサプライズ的に埋めてくるのはうまい。まぁ、時間を操作できるんだったらいちいち戦わなくてマスターさんたち勝てそうな気もするんだけど、あくまでも漫画が面白くなる方向に全力というのが良い。

『妖怪バスター村上』13話

 総大将。人間なことを隠しながら総大将を演じ、それを村上の屁理屈でごまかし続ける。空虚なリーダーを有能な補佐が屁理屈で讃えて周囲を騙す、という意味で今週の『ロボコ』とも似てますね。つまり紅院は寅さん。
 他校の不良がカチコミにやってくる。いつの間にか妖怪学園に愛着を抱いてしまった紅院が……というドラマの結論がなかなか良い。ベタではあるがかなり好きなテーマです。そもそも倒した四天王のうち半分とチーム組んでるんだから今更な気づきだったのかもしれない。一応これで妖怪学園編が終わりってことだと思うけど、そこで得た紅院の成長は総大将という称号ではなく、霊力でもなく、妖怪に対する価値観の転換だった、というオチ。いつの間にか友達も増え、彼女(?)もできてるし、今のジャンプの中でも屈指の成長速度を見せる作品と言えるかもしれない。
 ダイダラボッチ退治。わざわざ村上がトイレネタで攻めるのが地味に良い。直前で紅院が漏らした直後だというのに。ただ、紅院が漏らしたのは小で、ダイダラボッチへのネタは大。紅院の大はまだ見られてないのでセーフだ。

巻末解放区!WEEKLY週ちゃん

 敬老の日ということで、超人シニア特集。最高である。今までなかったのが意外なくらい。
 とにかくジジイは強い、という伝統。現在最強ジジイ漫画である『あかね』からのエントリーがなかったのが意外だが、バトル漫画縛りってことなんだろうな。書いてないけど。
 剣士ジジイというのは定番だが、やはり最近のジャンプで最強のジジイといえば『SAKAMOTO』のタカムラになるか。ラスボスに吸収されるという、メタ的に見ればVIP待遇である。
 レジェンドジーサンだと亀仙人だと思うけど、強さ的にはそれほどでもないので、そういう意味だと『HUNTER×HUNTER』ネテロか、『BLEACH』の総隊長あたりか。年寄りは組織のトップにいる、という年功序列を前提に感じちゃいますね。
 ジーサンキャラで意外と珍しいアプローチだったのは『夜桜さんち』万の、セクシー路線じゃなかろうか。みなさん生涯現役だけど、現役の路線がちょっと違うのが良い。
 バーサン部門だと非バトルになるが、『こち亀』ゲパルトがかなりレジェンド感あるというか、あの『こち亀』という作品の中でいつの間にか超重要なポジションに居座っていた、という存在感が今思い返してもすごい。一時期の『こち亀』がラブコメ色、ハレーム色出してきたけど、その果てに出てきて最も重要な女性キャラがゲパルト。

次号予告

 新連載最後。タイトルとキービジュアルで内容がまったく想像できなかったんですが、ゲーム制作だそうです。そう来たか~。そういうので来たか~。言われてみれば、ジャンプでやりそうなテーマ。いや、ジャンプらしいとか定番のテーマではないが、ちょくちょく出てくるタイプのテーマだと思う。
 個人的な注目はやはりというか『呪術』。最近の大作は最終回一個前が実質最終回みたいな傾向あると思ってるので『呪術』がどうなるのか楽しみです。……てかカラーじゃないのが意外だ。

目次

子供の頃に疑問だった事を新田義貞に言わせてみました。真実はどうあれ疑う事って大事
(『逃げ上手の若君』)

 私も子供の頃ずっと “難しい言葉を使うな!” って思ってたよ。

愛読者アンケート

 新連載についてと、アプリ「ジャンプNAVI」について。やべ、知らない……。アプリ作りすぎだろ。こちらとしては出版社ごとの壁すら煩わしいというのに。まぁ、軽く調べた感じ、ツイッターとかSNSで情報収集しない読者にも最新情報を届けやすくするためのアプリ、って感じだろうか。

総括

 次号の発売は火曜だから月曜更新になっても最新号なのだ、とか思ってたが24時過ぎちゃった。マジでやる気が出ねぇ。涼しくなっていろいろ快調になると思うので、次号は頑張りやすいと思います。こういう「来週は頑張る」と書きたくなったところを修正する一手間がうざったい。

 今週のベスト作品。新連載。思ってたよりしっかりと面白かった。もっと気をてらった仕掛けがあるかと思ったけど、着実に実力を見せるようなタイプの初回で非常に良かったです。
 次点は『ONE PIECE』と『魔男』。

 ベストコマ。『超巡』のオシシ仮面です。グエーッ。

 ベストキャラ。『アオのハコ』の遊佐晴人。兄コンプレックスとしてのピアスが非常に良かった。器用さの呪いも面白かったですし。
gohomeclub.hatenablog.com