北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

『るろうに剣心 最終章 The Beginning』の感想

 観てきました。正直そこまでハマったわけではないんですが、前作の感想書いてるということでサクッと書いてしまおうと思った次第。

 良かった点。「ござる」ナシ、人も殺しまくり、さらにはグッと本格時代劇風に振った、シリーズ的に異色すぎる内容。それを最終作にしたシリーズ構成が面白いし、それを実行できちゃうのがすごい。一応本作が最後というよりは『Final』との二部作セットで最後ってことなんでしょうね。二部作と言っても前後編ではなく表と裏みたいな関係になってるのが面白いです。
 逆に言うと、今回のエピソード1的な試み、『Final』にはがっつり繋がるけど、シリーズ全体を総括するような内容だったかというと正直疑問。そもそも巴が死んだあとも人斬りを続けるのがいまいち理解できなかったし、巴がいなくても明治になったら人斬りはやめてたと思う。人を1人殺す度に巴のような悲劇が倍々ゲームのように発生するわけじゃないですか。だから巴との出会いをキッカケにやめるなら分かるんだけど、仕事は最後までやって、その後「ござる」になるってのは正直謎です。佐藤健風に言うと、本作を観終わった際の「はい歴史始まったー」感がない(あのCMは10年の恋も冷めるレベルで嫌い)。
 あと、やっぱ『Final』で本作のダイジェスト回想をしたのは失策の極みだと思う。どっちの作品のためにもなってない。

 あとこれは個人的な好みもあるんだけど、主演2人のシリアス演技もそれほど魅力的なものだったとは正直思わなかったです。「シリーズでは異色」という底上げ込みでそこそこ面白いってのは分かるけど。やたら間を取ってぼそぼそ喋ってた印象。ゆったりしてるくせに話は全部知ってるから余計に退屈……というのは『Final』が悪いw
 佐藤健、10年後の過去エピソードなのにビジュアル的な違和感がゼロだったのは素晴らしかった。まぁ、表情暗めのシリアス演技なので多少はごまかせたってのもあるのでしょう。逆に言うと、江口洋介が老けたなぁ、と。いや、老けた印象はなかったんだけど、最後に鳥羽伏見の戦いで過去映像が流れたじゃないですか。10年前の江口洋介。それ見たらあまりの若さに驚きました。わけぇ、かっけぇ。

 良かった点。村上虹郎沖田総司が良かった。めちゃくちゃ良かった。まぁ、作品のメイン悪役となった場合あそこまで惹かれたかどうかはまた別の話だとは思うのですが(それほど敵対する感じがなかったり)。とはいえ、村上虹郎ホント良かった。良い評判は度々聞いてたんですが、ほとんど作品を観てなかったので新鮮な感動。
 池田屋の裏では実はこんなことが……とか、沖田総司との決着はつかないまま終わった部分には歴史ロマンを感じました。まぁ、本シリーズ、主要キャラに斎藤一いるから言い分に矛盾があるんですがw
 やたらと低姿勢になって剣を構える感じとか『るろうに剣心』シリーズらしい外連味を感じました。好き。『イップマン3』のマイクタイソン戦も連想しました。
 ちなみに、今度映画化される『燃えよ剣』では村上虹郎岡田以蔵をやるらしいです。大友監督の出世作にして『るろうに剣心』の雛形(としか思えない)『龍馬伝』で佐藤健が演じてた岡田以蔵。今回の対決は新旧岡田以蔵だったのですね。熱いw
 村上虹郎が良かったのと表裏一体なんですが、アクション的な魅力は中盤の村上虹郎パートがピークで、その後は普通に盛り下がったと思います。最後の最後が弱った剣心を叩く……ってのはあまりに盛り上がらない。

 あと、キャスト陣では、出番は少ないなりに存在感のあった高橋一生。これは明治になって蒼井優と共演してほしかったです(ただの『スパイの妻』ファン)。

 出てこなかったキャストとして、藤原竜也。せっかくまともな物言いの時代の話なんだからカメオ出演してほしかったです。神木くんと表裏の関係になるから現実味あると思ったんだよなぁ。存在だけは匂わされてましたけど、過去映像でもいいから出てほしかった。せっかく鳥羽伏見の戦いエンドだったわけですし。まぁ、そうすると吉川晃司にも出てきてほしくなります。

 あと、『Final』の範疇でもあるんですが、ヤング縁を演じた荒木美羽のヤング真剣佑感がすごくて感動ものでした。そっくりすぎません? メイクとかで多少寄せてるってのはあるんだろうけど。

 シリーズ全体を締めくくる1本として面白い試みではあったけど、シリーズの総括感が正直足りないので不満も残る。そんな印象でした。てか、シリーズ全体を通じて武井咲の扱いが弱い問題があると思っていて、そこは不満のまま終わってしまったのも残念。ただのロマンス要員、毎回のようにさらわれるピーチ姫扱いで終わるにはもったいない存在だし、そもそも人斬りをやめるテーマを考えるとめちゃくちゃ重要なキャラだと思うので、最後の最後になって有村架純が前面に出てきたのはバランス悪いと思うんですよ。まぁ、過去にはアクション見たいから武井咲は引っ込んでて、とか失礼なこと考えたこともあるんですが、シリーズを締めくくることを考えたらそういうわけにも行かないよな……という印象。ごめんなさい。


 終わり。異例の大成功を果たしたシリーズだからこそできた実験的な構成の最終作だったとは思います。それをリアルタイムで終えたのは良かったです。個人的なシリーズベストは『京都大火編』です。やっぱフジタツなんだよなぁ。まぁ、香川照之藤原竜也が初期の悪役をやってなかったらシリーズ全体の印象もガラッと変わっていただろうなぁ、とは思います。大仰な演技に振り切ってる2人なので、後の悪役(主に真剣佑)が迷惑する形w
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