北区の帰宅部の意訳

映画の感想を書きます(希望)

『アントマン&ワスプ クアントマニア』の感想

 フェーズ5始まったってよ。ネタバレだよ。

フェーズ4

 全体的に『エンドゲーム』の事後処理というか、復興を描くような作品が多かったように思う。ディズニープラスのtvシリーズだと新キャラの披露もあって、それはフェーズ5以降への布石の要素も多いけど、ただの単独作もあった。『ウェアウルフバイナイト』とかマジで今後のこと何も考えてなさそう。逆に『Ms.マーベル』はミュータントと明言されたことでいつ来るか分からないMCUのミュータント時代への布石で間違いない。しかし、X-MENはマジでいつなんだ……。

からのフェーズ5

 「征服者カーン」が本格登場することでいよいよ次の『アベンジャーズ』である『アベンジャーズ the Kang dynasty』へと直結する物語が始動する。別のカーンは『ロキ』で既出なので、この「征服者カーン」というのが大事ですね……と思ってたら話が違うw 観る前は「どうせカーンは本作では倒せないってことですね」とか思ったのに、普通に倒せてしまった。まさかMCUで「奴は四天王の中でも最弱……」というアレを見ることになるとは。まぁ、これは狙ったサプライズだったのでしょうね。だとすると次のラスボスであるカーンの名前を決めなくては。本作の中にも「カーン王朝」ってセリフ出てきたけど、単純にあの無数のカーンがカーン王朝でいいんじゃね?

きゃあ、じぶんごろし

 カーン。キャスト的には大満足だし、ラストのカーン大集合も絵面として楽しく、ああいうのは実写ならではのワクワクだったと思います。同じ顔なのにいろんなキャラとして存在してる。『ロキ』にも無数のロキが集まる場面あったけど、あれはワニとかいたしね。
 キャスト的には満足だけど、ぶっちゃけカーンの恐ろしさを視覚的に描く意味では物足りない。『ロキ』で鍛えられた身としては「時間軸を消滅させるとは恐ろしい奴だな」と分かりはするけど、ほとんどセリフによる説明なので、映画としてそれでいいのか。というか次の『アベンジャーズ』のラスボス紹介としてその程度でいいのか。そもそもインフィニティストーン的な布石がないからどうもまとまりに欠けるというか、「もう次の『アベンジャーズ』に繋がっちゃうの?」みたいなあっけなさも感じる。まぁ、今後の映画には毎回カーンの変異体が登場するのかもしれない。

サンキュースパイダーマン

 予告のときから感じてたけど、あのカフェの爺ちゃん、スタン・リー枠なのではないだろうか。幻影を見てしまう。てか、こうなったら今後はカーンの変異体にスタン・リー枠やってもらいたい。

ハンク&ジャネット

 カーンのキャスト的な満足とも通じるけど、この夫婦は非常に良かった。前作はマイケル・ダグラスがコメディしてて最高だったけど、今回は初代アントマンとしてのかっこよさ、頼もしさがあって眼福。「待たせたな」とかっこつけて闊歩する姿が眼福。
 一方ジャネット。本作の「先に説明してよ!」大賞ではあるのだが、彼女の存在感、演技によって本作の魅力が大きく上がったのは間違いない。冗談みたいな豪華キャスト、というのがMCUの中でも本シリーズが異色を放つ強みだと思います。ジャネットがアクション始めたときの驚きったらなかったです。『アクアマン』でニコール・キッドマンが怒濤のアクションおっ始めたときにも近い驚き。

それに比べてワスプよ

 前作も正直「こんなもん?」という感じはあったけど、本作はよりそれが加速してしまった感。一応活躍する場面はちょこちょこあるけど、物語的にそんなに重要だったのか、かなり怪しい。せっかくのタイトルロールだというのに。
 「クアントマニア(quantumania)」の中には「antman」が隠れてる、という最後のタイトルロゴは新発見のように驚いたんだけど(まったく気づいてなかったw)、逆に言うと、そこでもワスプがハブられてるということなのよね。とてもつらい。

スコット

 予告だと娘との失われたときを取り戻すために悪魔の誘いに乗ってしまう……的な話だと思ったけど、あれ普通に脅されただけだったな? スコットの葛藤というドラマ的なオモシロが大きく削られた気がする。それでいいのか。まぁ、スコットに落ち度がなかったといういいでは良かったのかもしれない。「とにかく良い人」というのが彼のヒーロー性。
 先ほどの「カーンのすごさが分かりづらい」の件とも通じるけど、カーンがどう時間を操ってスコットの欲しがる時間をくれるのか、という部分が全然ないのよね。パワードスーツで戦う(からスーツが破壊されたらスコットでもそこそこ戦える)のはいいけど、それしかなかったから悪いアイアンマン程度でしかなかったと思う。

小杉は偉い

 小杉(ルイスの吹替)が宣伝活動してるからポストクレジットに出てきた本編のおさらいしてくれるんだと予想してたんですが、マジで一切出てこないのな。まぁ、ほとんど量子世界の話だから出番が難しかったのは分かるけどね。分かるけど、寂しい。そして小杉の謎の頑張り。いつかカムバックしておくれ。

ルイスよりも気になる不在

 キャシーの両親。全然出てこなくて、ずっとスコットとホープ一家にベッタリだったのがかなり違和感。最後の打ち上げの場面には出てきても良かったのではなかろうか。ウーよりも出すべきはそっちだったのでは。いや、ウーも好きだから出てきて嬉しいけどさ。

『ロキ』シーズン2楽しみですね

 ポストクレジット。ルイスが本命、大穴でリード・リチャーズだと思ったんですが、まさかのディズニープラスオリジナル勢。まぁ、こっからカーンの掘り下げをやるという意味において『ロキ』シーズン2が最重要になってくるのでしょうね。それは楽しみ。メビウスのスクリーンデビューも素直に嬉しい。てか、マルチバースサーガにおける『ロキ』の重要度がどこまでも上がっていくのな。映画も含めマジで最重要作だと思う。
 『ドクターストレンジMOM』のワンダほど「ディズニープラスに加入しないなんてあり得ない!」という扱いになってないのも個人的には良かったです。まぁ、それも今のうちなんですけどね。『キャプテンアメリカ』の新作映画控えてるので。あれはマジで映画だけ追ってるファンは振り落とされるやつや……。

『ロキ』ほど複雑ではなくて安心

 『ロキ』との関連が非常に濃い作品だったけど、話としては意外なほどにシンプルで分かりやすい。ややこしマルチバース展開に少し怯えてたのでマジで安心しました。『ロキ』シーズン2でまた本気を出してくる恐れもあるんですが、まぁ一旦のルール説明みたいなものは済んだので多少は落ち着いたものになる気もする。

めっちゃ『スターウォーズ

 本格的になりすぎるととてもじゃないが理解できなくなる量子世界。本作ではそのハードルが史上最低にまで下げられ、出来上がったのが『スターウォーズ』。「ここカンティーナだよね!?」ともなったし、サントラもところどころで『スターウォーズ』っぽい。エンドクレジット眺めながらぼーっとしてたら「今『愛のテーマ』流れた!?」となる瞬間もありました。
 『スターウォーズ』なのはいいけど、前作以前との整合性を大胆に無視してるのには驚く。ハンクも「なんで生きてるんだ!」と言ってました。前作の再会の場面とあまりに違いすぎる。まぁ、好意的に考えるならば、量子世界におけるカーンの支配が進んだことで人間に住みやすい環境になった、という感じか。ただ、そもそも量子世界って時間の流れが違うのでは……とか考え出すとまた分からなくなる。まぁ、おかげでシンプルで分かりやすかったです。
 てか、前作におけるジャネット、量子世界に文明や知的生命体がいることを説明するのがめんどくさいから「めっちゃ量子世界っぽい原野」を待ち合わせ場所に指定した可能性あるな……。

ほんやくコンニャク

 冗談みたいな場面だったが、「言語が違う」としたのは偉かったと思う。まぁ、本作が頑張ったところで、宇宙の果てで英語喋ったりするシリーズなんだけどね。

カーンの変異体とキルモンガーの変異体

 がボクシングで戦う映画も楽しみですね! ヴァルキリーの変異体は出るけど、スタカーの変異体は出ないらしいよ。


 終わり。『スターウォーズ』はイメージが一致だけど、『ストレンジワールド もうひとつの世界』とも通じるところがあったと思う……ただしネタバレにも関わってくるので困った。面白かったので未見の方にはオススメです。『ロキ』シーズン2目的にディズニープラス加入したついででもいいので。